『鉄拳レボリューション』×『デッド オア アライブ 5 アルティメット 基本無料版』原田Pと早矢仕Pがトークバトル!?【インタビュー完全版】

基本料金無料で遊べるフリー・トゥ・プレイ(F2P)版を相次いで配信した、3D格闘ゲームの雄『鉄拳』と『デッド オア アライブ』。その開発者が、真意を語る!

●シャレの通じない人は読まないでください……!?

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 3D格闘ゲームの雄『鉄拳』と『デッド オア アライブ』が、基本料金無料で遊べるフリー・トゥ・プレイ(F2P)版を相次いで配信した。いずれも、長きにわたって格闘ゲーム人気を支え続け、現在でも高い人気を誇るシリーズだ。その最新作を、あえてF2Pで配信する意図とは? そして現時点での成果は?
 『鉄拳レボリューション』をリリースしたバンダイナムコゲームスの原田勝弘氏と、『デッド オア アライブ 5 アルティメット 基本無料版』をリリースしたコーエーテクモゲームスの早矢仕洋介氏が、F2P版をリリースした真意から、格闘ゲームに対する思いまで、たっぷりと語ってくれた。
※本記事は、週刊ファミ通2013年10月17日号に掲載されたインタビュー記事に加筆したものです。


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『鉄拳』シリーズプロデューサー
Katsuhiro Harada
原田 勝弘氏(写真左)
『デッド オア アライブ』シリーズプロデューサー
Yosuke Hayashi
早矢仕 洋介氏(写真右)


◆『鉄拳レボリューション
プレイステーション3/配信中
 基本無料で遊べる『鉄拳』最新作。従来通りの本格的3D格闘ゲームでありながら、全キャラクターに、強力で使いやすい“スペシャルアーツ”、“クリティカルアーツ”が追加されるなど、『鉄拳』初心者に配慮した仕様も採用されている。また、プレイを重ねてゲーム内ポイントを貯めていくことで、キャラクターを強化したり、新たなキャラクターが解放されたり、といった独自のやり込み要素も楽しむことができる。なお9月のバージョンアップにより、課金によって任意にキャラクターの使用権を解放することも可能となった。
★詳細は→【『鉄拳レボリューション』公式サイトはコチラ


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◆『デッド オア アライブ 5 アルティメット』基本無料版
プレイステーション3/配信中
 プレイステーション3用パッケージソフト『デッド オア アライブ 5 アルティメット』発売と同時に配信開始となった、ダウンロード専用タイトル。無料で使用できるキャラクターは4人で、そのほかのキャラクターは有料で使用可能となる(購入していないキャラクターは使用できないが、対戦相手としては登場する)。ストーリーモードも有料だが、それ以外の要素はすべて無料で楽しめる。また、パッケージ版と基本無料版のユーザーや、基本無料版のユーザーどうしでのオンライン対戦も、制限なくプレイすることができる。
★詳細は→【『デッド オア アライブ 5 アルティメット』公式サイトはコチラ


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●同時期に発表された2作品 そこには対照的な思惑が……!?

――両作品の基本プレイ無料タイトルが、ほぼ同時期に発表されたのには驚きました。
原田勝弘氏(以下、原田) べつに、裏でタイミングを合わせたわけではないんですよ。
早矢仕洋介氏(以下、早矢仕) 『デッド オア アライブ 5 アルティメット』(以下、『DOA5U』)の場合、パッケージ版と基本無料版の両方があるので、予約が本格的に始まる前に、「無料版もやりますよ」と発表して、ユーザーの方々に好きなほうを選べるようにしなければと思っていました。それで予約受付が始まる直前に基本無料版を発表したのですが、その日のうちに原田さんが連絡をくれましたよね。「じつは……」と(笑)。
原田 『鉄拳レボリューション』は、じつはかなり前から作っていたのですが、ずっと黙っていたんですよ。パッケージを売ることを念頭においた『DOA5U』とは事情が違って、ダウンロード型タイトルの場合、発表してしまうと、ユーザーさんは「すぐに遊ばせてくれ!」となるんですよね。だから作り置きしておいて、たまたまE3がいいタイミングだったので、そこにあわせて発表したわけです。あと、“コンソールゲーム史上世界初のF2P格闘ゲーム”というのも狙いたかったので、直前まで秘密にしていたというのもあります。

――基本無料という形でリリースすることを決意した理由を教えていただけますか?


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原田 いくつか要因はありますが、ひとつは、格闘ゲーム自体が成熟したジャンルになっていて、手を出しにくくなっていることがあります。もしかしたら格闘ゲームは、もっと安ければ、もっと買ってもらえて、もっと競技人口も増えて盛り上がるのではないか? と。それなら思い切って無料にしてみよう、ということですね。成熟しすぎてマニアックになった格ゲーを、もう少し広い人に、もう一回手に取ってもらえれば、それがつぎにつながるだろうと。あとは、きっかけとしては、やはり『機動戦士ガンダム バトルオペレーション』の成功もあります。あれこそまさに、F2Pだからこそ成功した希有なタイトルだと思いますが、あれのダウンロード数、人気を目の当たりにして、「PS3でも受け入れられるんだな」と思えました。
早矢仕 『DOA』の場合、『5』のつぎに『アルティメット』発売するとなると、やはり『5』以上に売るのは難しいですよね。そうなると、オンラインでの対戦相手も減ってしまう。せっかくオンラインまわりもがんばって作ったのだから、たくさんの人に楽しんでほしい。その対戦相手として、基本無料版のユーザーに加わってもらおう、という考えかたです。また、『DOA5』では、オンラインで遊んでいる人のデータを毎日取っていますが、皆さん、本当にうまいんですよ。ここまで来ると、それなりにうまい人ですら入れないゲームになってしまう。でも格闘ゲームって、同じくらいのレベルの人と戦うのが楽しいものですよね。ですから、基本無料版を出すことで、うまい人も初めての人も、同時に、一気に入ってきてほしい、という狙いもありました。

――パッケージの価値をより高めるため、という意味合いもあったわけですね。
早矢仕 そうですね。ですから、ほかのF2Pタイトルの課金ポイントは、参考にしていません。いままでの格闘ゲームプレイヤーの皆さんに違和感のない課金形式というものを大事にしました。
原田 まじめだね。「無料おっぱいがやりたかった」とか冗談のひとつも言ってほしかったな(笑)
早矢仕 (笑)。じゃあそちら方面も説明すると、『DOA5U』には、オフラインモードもほぼ全部入っていて、ダウンロードした後は、オンラインに一切つながなくても遊べるようになっています。ですから、ひたすらおっぱい写真を撮りたいという人でも大丈夫なように、システム、モードも充実させてありますよ(笑)

――そこは本当に太っ腹で、驚きました。


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早矢仕 今回の施策の狙いとして、とにかくキャラクターを好きになってもらいたいという側面もありました。だから、キャラクターを楽しむモードは全部お届けして、やりこんでもらいながら、お気に入りのキャラクターを見つけてほしい。キャラクターの試遊キャンペーンをやったりしているのは、そういう理由からで、「この子がカワイイな」とか、「この子にこんなコスチュームを着せてみたい」とか、そういう楽しさも見つけてほしいんです。
原田 さすが、女性キャラ視点だね。
早矢仕 3Dモデルで作っていますから、やはり雑誌の写真よりも、動いているほうが圧倒的にかわいいんですよ。だから、まず自宅のテレビで動かしてみてほしい。……なんだかマジメな格闘ゲームの話じゃなくなってきましたけど(笑)、でも、我々らしい無料版にはなったかな、と思います。じつは『鉄拳レボリューション』のような課金形式も検討したんですが、「うちのゲームにはあわないね」ということで、採用しなかった経緯もあります。
原田 うちは、発想としては、トライアルで人が増えてくれれば、将来につながる、というのがいちばんでした。やってもらうとわかりますが、無料でかなり遊べてしまうんです。

――たしかに、ライトなプレイヤーならほとんど課金しないで遊べてしまいますね。
原田 おもしろいデータがあって、我々の予想としては、みんな30分~1時間くらいずつ遊ぶだろうと見ていたのですが、いざ始めてみたら、みんな3時間くらい、ほぼ無料で遊んでいるんですよ。『鉄拳レボリューション』は僕らにとっても、「仮想ゲームセンターをやったらどうなるだろう?」というトライアルですし、でも実質ワンプレイ100円より全然安くて、アーケードとは違う体験でもある。そのあたりは、おもしろいデータがいっぱい集まっていますね。

――少し話が戻りますが、大きなIPをF2P化するということについて、会社側の意向としてはどうだったのでしょうか。止められたのを説得した感じなんですか? それとも、逆に会社側から「やれ!」と言われたとか……?
早矢仕 うちの場合は、会社から言われて、というのはないです。会社に「こういう夢があるのでやらせてほしい」とプレゼンして理解してもらえた感じです。もちろん、「これくらいネットで遊ばれています」「DLCはこれくらいダウンロードされています」という説明はしましたが、コーエーテクモゲームスとしては、コンシューマでF2Pをやるのは今回が初めてなので、まず試金石となります。
原田 うちの会社……というか鵜之澤さん(バンダイナムコゲームス副社長・鵜之澤 伸氏)は、「なんでもいいから、早く試せないの?」とひと言でした(笑)。「ゲーセンでワンコインいくらで遊ぶ『鉄拳』は最たる例だろう。2ヵ月くらいでパッと作れないの?」と。それは会社としての意向だったと言えるのかな(笑)。とにかく「早く試せ!」という時間的プレッシャーは事実ありましたね(笑)。


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――格闘ゲームと言えば、言語を必要としないジャンルで、海外の人ともスムーズに遊べるというアドバンテージがありますよね。そういう面での広がりについてはいかがですか?
早矢仕 『DOA』の場合、格闘ゲームのプレイ人口という面で、『鉄拳』も含めて上がいますから。まず、アクティブプレイ人口が、ジャンルの中で世界で一番にしたいという野望はありました。それで生まれてくるものがあるのではないかと。
原田 『鉄拳』は、もともと世界で展開していて、パッケージはシリーズトータル4250万本くらい売れていますし、もとからワールドワイドで強いタイトルなんですよ。そのうちの2000万強が欧州で、残りを北米とアジアで分けている感じなんです。ほかに中東でも遊ばれていますね。

――なるほど、『鉄拳』シリーズはもともと世界くまなく展開しているタイトルなんですね。『鉄拳レボリューション』のワールドワイドでの状況はいかがですか?
原田 ダウンロード数はかなり増えていますが、牽引しているのは北米と日本なんですよ。おもしろいのは、逆にダウンロードオンリーというのが足かせになる人もいて、「パッケージで欲しい」とか、「オンラインではなく、ローカルで遊びたい」という地域の人もけっこういて。

――ああ、ネットインフラが発達している国ばかりではないですからね。
原田 そうなんですよ。北米と日本は、予想の2倍以上になっていますが、逆に『鉄拳』シリーズの人気が高い欧州の小さな国や、中東、アジアの人たちが、ダウンロード専用になったとたん、やりたいのに、無料なのに手が出せないという、謎の状況が生まれていて(笑)。いまやオンラインって、主軸のように見えてはいますが、じつはひとつのシーンでしかない。やっぱり遊ばれかたは多種多様で、オンラインで広がった部分もありますが、オンラインゆえの足かせというのも見えてきましたね。


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●「パッケージも好調です」(早矢仕氏)「新たなファンが、思惑通りに」(原田氏)

――それぞれ作品をリリースされて、現時点での手応えはいかがですか?
早矢仕 パッケージと基本無料版を同時にリリースするので、パッケージが売れてくれるのか、懸念はあったんです。でも、我々が想定していたよりも、しっかりパッケージを買ってもらえているんですよ。全キャラクターを使って遊びたいという方が、一定数いるんだな、と。
原田 それは全キャラクターを使いたいというよりも、物理的に所有しておきたいということじゃないかな。たとえばバースとかは、俺は別に使いたくないし……って、そこは早矢仕君も同意するところなんだよね(笑)。やっぱり『DOA5U』を買って、自分のものにしておきたいという層が多いんだと思いますよ。
早矢仕 なるほど。2万3800円の数量限定版を用意したのですが、おかげさまで完売しましたし、所有したいと思っていただけているのかな。また、じつは基本無料版が好調で、我々の想定を大きく越える売上を記録しています。
原田 ちなみに基本無料版で遊んだ後で、「やっぱりパッケージも買おう」ってなった場合、セーブデータは共有しているの?
早矢仕 はい、共有しています。また、パッケージ版には、前作『DOA5』でいままでリリースしたダウンロードコスチュームが6000円分くらい入っているんですよ。それが使えるのも、パッケージ版のメリットですね。
原田 じゃあ、いちばん理想のパターンとしては、基本無料版で遊んで、買い足して買い足して、ほぼ全部買っちゃったあとに、なぜかパッケージ版を買ってくれると……。
早矢仕 それ、すごくロスが大きいのでお勧めしません(笑)。
原田 さすがにそんなヤツはいないか。「こりゃパッケージ買ったほうが安いな」って途中で気づくよね(笑)。
早矢仕 (笑)。あとは、『バーチャファイター』とコラボしているので、『バーチャ』プレイヤーの皆さんが、「『バーチャ』キャラだけでいいや」という買い方もあるかな、と思っているんです。
原田 ああ、なるほど。あとは、パッケージ版を買ってきて、「俺、バースいらねーっす」ということで、キャラセレからバースを消すオプションが、とか……。
早矢仕 やめてくださいよ!(笑)。そんなオプションはないです!


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――(笑)。『鉄拳レボリューション』のほうは、反応はいかがですか?
原田 『鉄拳』に関しては、前作の『鉄拳タッグトーナメント2』が、非常にゲームとしての評価が高く、コアなゲーマーに支持された一方で、初心者や復帰組の方にはきびしいゲームになっていた面があって、ある側面では人を選ぶソリッドな格闘ゲームだったんです。その反動もあってか、鉄拳レボリューション』では、かつての『鉄拳』ファンや、新しく入ってきてくれた人の定着率がかなり高いんですよ。

――格闘ゲームを遊ぶ人を増やしたい、という狙いがバッチリはまっているわけですね。
原田 まさに思惑通りです。『鉄拳レボリューション』では、タッグ戦ではなく1対1にしたり、使いやすい必殺技を設定したり、わかりやすくしてあるのですが、それで「なるほど、『鉄拳』ってこんな感じなのか」とわかってくれた人が多い。今回、将来につながる宝の層は獲得できたと思うので、そのお客さんたちを、この先どう誘導して、もっと『鉄拳』の世界にハマっていってもらうかが、つぎの大きなテーマとなりますね。

――逆に、コアなファンからの反応はいかがですか?
原田 ゲーセンで遊び慣れている人に聞くと、コアゲーマー的には『TAG2』とかがやっぱり本流であって、「こっちはデザートかな?」という人も多いです。ですが、勝ち続けている限りはいつまでも遊べる仕組みだから、「一回一回のプレイに気合いが入る」、「いい緊張感がある」と言う人もいます。初心者の人にも、そのシビアさは伝わってくるみたいで、ひたすらうまい人の対戦を見続けている人とか、自分で対戦部屋を建てておきながら、「観戦したいのでうまい人集まってください!」という人もいたり(笑)。意外にいろいろな反応が現れていておもしろいです。

――では実際のところ、どれくらいのユーザーがプレイしているのでしょうか?
原田 8月末の時点で、200万ダウンロードは突破しました。課金については重要なデータなので詳しくお話しできませんが、日本国内では、水着コスチュームを購入する方がとても多いですね。海外は、ロウなど男キャラにプレミアムエフェクトやコスチュームを付けている人が多い(笑)。
早矢仕 そうなんですか。じつは『DOA』シリーズでも、同様に国内では水着が人気で、海外で当初「男のコスチュームをくれ!」と言う方が多かったのですが……。でも、いざリリースしてみると、海外でも、これがまぁ、水着がよく売れるんですよ(笑)。なんだ、数字は正直だぞ、と(笑)。ただ最近では、Twitterなどでも、正直に海外のファンの方も「ビキニはまだか!?」と言ってくる人が増えてきましたね。

――何だか心温まるエピソードですね(笑)。プレイヤーの年齢層はいかがですか? 無料となると、若いプレイヤーも増えそうですが。
原田 厳密なデータはないのですが、コミュニティーの反応を見ると、若い人が多いですね。もちろん、『鉄拳』を20年遊んできたけど、家庭を持ってゲームを買えなくなった人が、小遣いを使って遊んでいる……という復帰組もいますけど。反応を見た限りでは、若い人の多さが目立ちます。
早矢仕 『DOA』シリーズは、世代交代していないところが問題なんですよ。アンケートを見ると、国内に限ると、平均30~35歳くらいですかね。
原田 そうなんだ、意外だね。
早矢仕 『DOA』は『5』が発売されるまで、新作がない期間が7年半くらいありましたから。Xbox 360が登場したころにゲームをやりこんでいた20代中盤から30代前半の方が、『5』を発売したときにもそのままついてきてくれていて、その世代がメインなんですよ。あと今回、『バーチャファイター』とコラボさせてもらっていますが、『バーチャファイター』の場合、さらに年齢層が高いんですよね。40代の人もたくさんいる。
原田 そうなんだよね。ゲーム大会とか開催すると、早々に飲み会になってたり(笑)。
早矢仕 早く終わらせて飲みに行く方もいます(笑)。でもやっぱり、『バーチャファイター』はつねに憧れのタイトルなんですよね。
原田 それはみんなそうでしょう。みんな憧れていたと思うよ、『スト2』を作っていた人たち以外は(笑)。
早矢仕 ですよね。それで、『DOA5』でも、「おお、アキラだよ!」と30代、40代の人が盛り上がってくれたんですが、若い世代では知らない人も多くて。
原田 そこは世代格差だろうね。
早矢仕 そこを、この基本無料版でチャレンジしたいですね。今回は無料で遊べるので、ぜひ若い人たちにも、「3Dモデルでかわいい女の子を見てみるか」という動機だけでもいいので、まず触ってみてもらいたいです。
原田 サラを14歳とかにすればいいいんじゃないかな。アキラも15歳とか(笑)。
早矢仕 なんであえて『バーチャ』のキャラなんですか(笑)。『バーチャキッズ』があるし(笑)。
原田 あれは頭身がキッズなだけで、年齢がキッズなわけじゃないから(笑)。


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――(笑)。では『鉄拳』のプレイヤー層はいかがですか?
原田 『鉄拳』の場合は、『鉄拳 5 DARK RESURRECTION』のときに、中高生のプレイヤーがバーッと増えたんですよ。その高校生たちが、飛鳥やリリなど、同世代の若いキャラクターを気に入ってくれて。それまでは、「『鉄拳』っておっさんばかりのゲームでしょ?」と思われていたようで……まぁ、一八や平八が主役級だったりもしましたし(笑)。だから、じつはキャラクターの年齢や見た目も多少影響があるのかもしれないですね。アキラとか、超おっさんでしょ(笑)。
早矢仕 けっこう反応を見ると、アキラやサラを知らない人がいるんですよねぇ。
原田 でも、あやねやかすみはみんな知ってるじゃない。アインVSザックとかは誰も知らないけど。……いや、いちおう言っとくけど、俺は超知ってるよ?(笑)
早矢仕 だから、男キャラ批判はやめてくださいよ(笑)。でもアインを知らない人には、この『DOA5U』で「アインはなんでハヤテと同じ顔なんだよ!」とか言われた事もありました。
原田 なんで勝ちポーズで「いいバイブレーションだ」とか言ってるんだ!?とかね。バイブレーションってどういう意味なんだと(笑)。
早矢仕 あれはね、うちに台詞を創る天才がいたんですよ(笑)。
原田 「コレ大丈夫なの?」って思ったもん。聞いて想像しちゃったあなたが悪いんだよ、的な(笑)。
早矢仕 当時はちょこちょこ、そういうのが入ってましたね。いまもいろいろ入れていますけど(笑)。


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●『鉄拳』×『DOA』コラボの可能性は……?

――運営面でのご苦労などはありますか?
原田 運営は本当にたいへんです。と言っても、いままでオンライン対戦もやってきた格闘ゲームですし、予想していないことは起きないんですよ。もともとゲーム性としては成り立っているものなので、そこでの予想外はないんです。ただ、コンシューマゲームの場合、携帯ゲームのように、日々のデータを見てすぐに仕様を変える、ということができません。デバッグの量も多いし、SCEさんに提出して承認を取って、というプロセスにも時間がかかりますから。

――なるほど。運営型のF2Pで、その足かせは痛いですね。
原田 普通にやると、お客さんに言われてから、実装するまでに、どんなにがんばっても1ヵ月~2ヵ月かかってしまいます。そうならないように、予想をもとに仕込んでおいて、スイッチを変えればいろいろ起きるようにしてあるんですが、予想ってなかなか当たらないんです。なので、ずっと人がつきっきりでやってます。

――やっぱりそうなってしまいますよね。
原田 何か実装したら、アメリカからじゃんじゃん電話かかってきて、「何が起きてるんだ!?」となったりね(苦笑)。その対応にあたる部分は、優秀な人間がやらないといけないんですよ。ゲームがわかっていて、数字も読める人じゃないとできない。そんな優秀な人たちが、日々夜まで仕事しているのを見ると、心が痛いです。
早矢仕 たいへんそうですね。うちは運営型ではなく、DLC型なので……(笑)。
原田 ああ、そうかぁ。よーし、『DOA5U』で何かあったら、いろいろTwitterで騒いでやろう。「何千円も払ったのにー!」って(笑)
早矢仕 (笑)。でも本当に、最近はスマホゲームのスピード感に慣れていらっしゃる方が多いですからね。我々も、お客さんの要望にすぐ動いてはいるんですが……。
原田 パッチデータ自体は、その日のうちにできたりはするんだよね。
早矢仕 ええ。でも実装は1ヵ月後になってしまったり。なるべく早く対応したいという思いはあるんですが、コンシューマだとどうしても時間がかかってしまいます。我々のほうでも、お客さんの意向を先読みしてなんとか乗り切っている感じです。
原田 でも、その予想が外れるんだよね。
早矢仕 先ほどの、海外での男性コスの件もそうですが、いざ出してみたら、「アレ? 求められているんじゃないの?」となったり(笑)。
原田 でも、運営型のタイトルについては、プラットフォームのありかたを変えていかないといけないということで、SCEさんとも、密に取り組んでいるんですよ。まさに、コンソール業界の仕組みを変える取り組みを、SCEさんの海外グループまで巻き込んで、僕が旗振ってやっています。そこは早矢仕君たちにも、「俺に感謝してね」と言っているんですが(笑)。将来的には、コンソールゲームのオンラインタイトルに、モバイルやPCのいいところが活かされて、どんどんよくなっていくと思います。

――それはシステム的に、ということですか?


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原田 ええ、いろいろ変わってきています。ユーザー目線では、ファーストパーティーもサードパーティーも関係ないじゃないですか。メニューの間違いとか、すぐ直せるだろう、という部分が、1ヶ月かかったりするなんて、ユーザーからすると不思議でしょう。でも、確かにそれは、できて当たり前のことなんです。それを時代に合わせてスピーディーに対応できるように変わってきているんです。むしろ、当然あるべき姿に変えようとしてるんですよ。
早矢仕 PS Storeの“無料ゲーム”というカテゴリーは、原田さんが交渉して作ってもらったんだそうですね
原田 そうなんです。僕自身、ほかのタイトルでも、F2Pで考えているものもありますし、そういうカテゴリーをちゃんと作ってほしい、と。将来的には、ハードよりもサービスの勝負になっていくと思うんです。よくクラウドが話題になりますが、クラウドサービスが進めば、いずれサービスの名前しか残らない時代が来ます。PS5になると、本体がなくて、コントローラと画面しかない、となるでしょう。そこで残るのは、サービスの名前ですよね。それこそ“PlayStation Network”という名前であるとか。“Steam”もプラットフォームですが、いわゆるハードなプラットフォームではなくて、いわばサービス名です。サービスの名前としてユーザーの頭に残るもの、通いたくなる場所作りを、いまのうちから、始めておかないといけないんです。

――ところで『鉄拳レボリューション』は、9月に大きなアップデートがありましたよね。そのアップデート項目のひとつとして、課金によって任意のキャラクターを解放できるようになりましたが、この仕組みを導入した意図を教えていただけますか?
原田 『鉄拳レボリューション』は、コツコツプレイしてギフトポイントを貯めて、ランダムでキャラクターが解放されていく、というのが基本なんですが、この仕様にしたのは、こういう遊びがあったほうがゲームっぽくていいだろうと考えたからです。実際、それを楽しんでいる人もたくさんいるんですが、ユーザーの反応として、「お金は払うから、好きなキャラクターを早く使えるようにしてくれよ!」という人もとても多かったんですよ。とことん無料で遊べるのもいいけど、課金で解放することもできるという“選択肢”も用意してくれ、と。

――ああ、それはいち社会人ゲーマーとして非常によくわかります。そこは、原田さんとしては想定外だったわけですか?
原田 「もう課金でいいからそこは」と、ユーザー側から言われるのは、じつはあまり想定していなかったです。そういうケースはけっこう多いですね。やっぱり、時間がないから格闘ゲームを選んでいるという人も多くて、MMORPGみたいに、一日何時間も遊ぶゲームはムリだと。寝る前に20分くらい対戦して、「勝った! 負けた! よし寝よう!」というスタイルの人にしてみれば、「シャオユウを使いたいのに、また違うキャラが来た! また今週もがんばってポイント貯めなきゃいけないのかよ!」って(笑)。そういう、設計としてユーザーのニーズを掴み切れていなかったな、という部分は多々ありましたね。
早矢仕 私としては、アップデートのタイミングを、『DOA5U』の発売に重ねてくるのはやめてほしかったですね(笑)
原田 いやいや、あれは嫌がらせとかじゃなくて、本当にたまたまだってば!
早矢仕 まあ、そうですよね(笑)。配信可能になるタイミングもありますからね。
原田 そうそう、あのとき、大きなミスがあったんですよ。本来、キャラクターの解放はふたりずつなんですが、間違えてメニューに新キャラが4人乗っかった状態で承認が降りちゃって。それで、公式ホームページも、本来はふたりずつ表示するフォーマットだったところを慌てて改造して、「今回は4キャラクターを解放します」と告知したんです。そうしたらネットで、「なるほど、『DOA5U』が出るから、大盤振る舞い作戦でつぶしにきたんですね!」って言われてて、そこで「あ、出るんだ!」と気づきました。まあ……しょうがないよね(笑)。でも、『鉄拳』と『DOA』って、それほどユーザー層はぶつからないんじゃないの?
早矢仕 確かに、『DOA』は、いろいろな遊びかたも増えてきていますからね。あとは、『DOA』が『鉄拳』をライバル視してきた歴史があるので、ファンの方からも「早矢仕君がんばって! 『鉄拳』より盛り上げよう!」と言われたりします(笑)。
原田 そうなのか。俺はその逆は言われたことないなあ。

――ファンとしては、そのライバル同士のコラボも期待してしまうところですが……。
原田 『鉄拳』と『DOA』がコラボしちゃうと、いまは『DOA』が『バーチャファイター』とコラボしてるし、『鉄拳』も『ストリートファイター』とコラボしてるしで、全部ひっつくことになっちゃうね。よくわかんないことになっちゃうよ(笑)。


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早矢仕 我々の立場として、そういうふうに言ってもらえるのはすごくうれしいです。昔、『鉄拳』と『バーチャファイター』が、新聞の広告で競演したことがありましたよね。あのときは悔しい想いをしました……(苦笑)。広告には「10年早いんだよ!」ってコピーがデカデカと書かれていましたが、本当にあれから10年くらい経って、『バーチャファイター』とコラボさせてもらったり、『鉄拳』と同じ場所で取材してもらえるようになれて……。『DOA』もここまでこられて、感慨深いものがあります。
原田 いや、我々としても、初期の『鉄拳』のころは、『ストリートファイター』と『バーチャファイター』の背中を追って一生懸命やっていたけど、ユーザーの方には「こんなの格闘ゲームじゃない!」って言われたりもして、けっこう辛かった時期はあったんですよ。それでなんとかのし上がって、『バーチャファイター』とコラボ広告もできるようになったと思ったら、今度は板垣さん(ヴァルハラゲームスタジオの板垣伴信氏。テクモ在籍時に『デッド オア アライブ』を開発)から「○ね○ね」言われて(笑)。がんばったら新たな敵が、みたいな(笑)

――(笑)。でも、本当にあの広告はインパクトがありました。よく実現しましたよね。
原田 いまは開発者どうし交流していますが、当時は、とくに現場どうしで交流があったわけではないので、お互いの牽制がすごかったんですよ。先にうちがCGを入稿したんですが、ゲームモデルではなく、毛穴やキズまで表現したハイモデルだったんですね。その後、『バーチャファイター』のアキラのCGがあがってきたんですが、そっちはゲームモデルで、ツルンツルンのアキラだったんですよ。それでセガが慌てて取り下げて、すぐに作り直してきて。それを見て、うちも「じゃあうちももうちょっと……」って作り直し始めて……もう新聞社の人が勘弁してくれよ、ってなっていました(笑)。

――それだけ『バーチャファイター』の存在は大きなものなんですね。
早矢仕 僕らも、やっぱり『バーチャファイター』には本当に思い入れが強いので、『DOA』にゲスト出演するキャラクターも、いちばん思い入れのある、“ザ・バーチャファイター”と呼べるキャラを選んでいるんです。『バーチャファイター』ファンの方からは、「『DOA』のシステムに合うのは葵だろう」とか、「女の子と言えばアイリーンじゃない?」と言われたりもするんですが。
原田 もしもうちが選ぶとしたら、ジェフリーだろうね。パッケージも、キングとアーマーキングとジェフリーが並んでいる絵かな。で、後ろでウルフが微笑んでる(笑)。


●ひと口に“F2P”と言っても戦略は千差万別

――F2Pで作品をリリースされた経験をふまえて、いま、F2Pというスタイルについて、改めてどのように考えておられますか?
原田 F2Pとひと括りにはできないですね。利益を上げるという目的は同じだったとしても、戦略はタイトルごとに違うんです。『鉄拳』は運営型ですが、『DOA5U』は豪華な体験版という感じですから。『DOA5U』の場合は、「パッケージを買ってくれる人が増えるといいな」という考えに基づいているわけでしょう?
早矢仕 そうですね。パッケージを買われた方が自分にあった対戦相手に困らない状況を作りたいというのが基本無料版を採用しようとした最初の動機ですから。
原田 対戦が増えてほしいというのは同じですよね。ただ『鉄拳』の場合は、対戦する人を増やすという、いわば横の広がりと同時に、縦の広がりも考えていて。将来まで考えたときに、ずっと時代を追いかけてきたベテランプレイヤーと、今回生まれて、育ったプレイヤーをどう融合させるか、そこが大目標です。だから、戦略の入り口は違うはずです。
早矢仕 僕らとしては、『5』が久しぶりの『DOA』だったので、とにかく最新作を遊んでくれる人をひとりでも増やして、このシリーズをもっともっと育てたいというのがあります。その本流を育てる手段として、F2Pを活かそうと。原田さんの場合は、『鉄拳』プロジェクト全体がある中での、ひとつのチャレンジという位置づけですよね。
原田 『鉄拳』はアーケードも家庭用も定期的に、途切れずにやってきて、大きな地盤がありますからね。ベテランの人、コアな人がたくさんいる中で何をしようか? という考えかた。そこは違うかもしれないね。でも小野ちん(カプコンの小野義徳氏。『ストリートファイターIV』シリーズプロデューサー)は、「早矢仕君のやりかたのほうがうまい」と言っていたなぁ。でも、それはお前の好みの問題だろうと。俺には、「『鉄拳Xストリートファイター』はいつ出るんだ?」とか、文句しか言ってこない(笑)。
早矢仕 私もE3でお会いしましたが、開口一番、「早矢仕君のやりかたのほうが好きだよ」と言っていました(笑)。
原田 なんだ小野、自分がいちばん○○○○××××!(※編集部自主規制)。そこはどうなんだと(笑)。


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――えー・・・ともかく(笑)、お話を聞いていると、将来像としては、「F2Pを主流に展開しよう」という方向とは違うようですね。
原田 それはそうだよね。わからないもん(笑)。
早矢仕 パッケージがないビジネスモデルは考えられないですね。今後どうするかはまったく決まっていませんが、「『6』ではパッケージはないです」とするつもりはないです。
原田 僕自身、PCゲームなどもよく遊びますが、F2Pタイトルも、パッケージタイトルも両方楽しんでいます。F2Pには、メーカーの戦略や思惑もあるし、無料だから集まってくれる人もいる。でも、無料で集まってきた人でも、うまくなって、そのゲームを好きになったら、“つぎ”を求めますよね。そこで、「パッケージも欲しい」、「限定版が欲しい」、と広がっていくでしょう。そういう人向けにもやれることがあるわけですから。ただ……『鉄拳レボリューション』を体験して、「ダウンロードはいいな、もうロムを入れたり出したりするのは面倒だわ」と感じた人も多いんですよね。正直僕自身、パッケージも好きだけど、steamの便利さには勝てないかなぁ、と思う面もあります。でも、ローカルで動く、手もとに物がある、ということが重要だと考える人も多いので、今後全部がダウンロードに、フリーになるということはないと思います

――それを聞いて安心する読者も多そうです。最後に、読者にメッセージをお願いします。
原田 やはり無料ですし、ダウンロードしてみて、消すのもタダです。運営型なので、アップデートやイベントなどもありますし、とにかくトライしてみてください。あとは、いまはTwitterやFacebookなどで、直接開発者に声を届けることもできますので、感想や要望をどんどん言ってきてほしいです

――そんなことを言ってしまうと、要望が殺到するかもしれませんよ?(笑)
原田 それが僕の場合、風貌や普段の言動で得をしているのか、あまり無茶苦茶なことを言ってくる人はいないんだよね。理不尽に突っかかってくる人には真正面から反論するし。早矢仕君の場合は、かなり言われていそうだけど(笑)。
早矢仕 いろいろ言われますよ。ただ格闘ゲームはファンの皆さんとのコミュニケーションが大事ですから、基本すべて受け止めてから開発としての姿勢、対応を考えています。
原田 でも、文句を言ってきてくれる人は、僕らにとってはある意味“宝”なんですよ。逆に何も言わずに、見切りを付けていなくなられるのがいちばん辛いですから。

――では、早矢仕さんからも、読者にメッセージをお願いします。
早矢仕 『DOA』は、ファミ通の読者なら、名前を知ってくれている方が多いと思いますが、まだ触ったことのない方も多いと思うんです。基本無料版は、PS3を持っていて、ネットにつながっていて、ハードディスクが空いてさえいれば、落とすのはタダですから、まず触ってみてください。とくに静止画のスクリーンショットでしか見たことがない方は、実際に動いているところを見ていただけば、ある種の衝撃を感じてもらえると思います。プレイ感覚の気持ちよさも、触ってみてこそわかることだと思いますし、我々としても、中身で勝負しているゲームだという自負があります。ですので、ぜひ、気軽に触ってみてください


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