実際にプレイしていただいた感想などをお聞きしました
池田佑基氏(写真中央、文中は池田)
寺島誠一氏(写真左、文中は寺島)
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)より10月3日配信予定のプレイステーション3用ダウンロード専売タイトル『rain』。本記事は、この『rain』の魅力にさまざまな角度から迫る特別企画。今回は、“他のクリエイターから見た『rain』”をテーマに、ゲストとして『SIREN(サイレン)』シリーズや『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』(以下、『GRAVITY DAZE』)などを手掛けた外山圭一郎氏を招いて、『rain』の池田佑基ディレクター、寺島誠一アートディレクターとともにお話を聞いた。外山氏には、事前に『rain』をクリアーまでプレイしていただいている。果たして外山氏は本作をどう見たのか? これは必見のインタビューですよ。
「最後までやってよかったな、と気持ちよく終われるゲームですね」(外山圭一郎氏)
――まず、実際にプレイされるまえまで、外山さんは『rain』に対してどういう印象をお持ちでしたか?
外山 そうですね、僕は(SCE内部の人間という)立場上、企画の段階から何度か目にはしていたのですが、おもしろいけれど作るのが大変だろうな、と思っていました(笑)。
池田 これは、いろいろな人によく言われましたね(笑)。
外山 “見えないプレイヤーを操作する”というのはすごくキャッチーでいいコンセプトですが、1本のゲームにしていく過程で、そのほかのアイデアなどが行き詰まってしまうのではないかと。ゲームの雰囲気も狙いすました感じがあるので、例えば、敵の倒し方として少年がバンバン銃を撃っていくというわけにもいかないでしょうし(笑)。
池田 そういった不安は、もちろん僕たちにもありました。紆余曲折があり、当初考えていた完成形とは少し違う方向に落ち着いたのも事実ですが、それでも行き詰まるということはなかったですね。
寺島 アイデアという部分では逆の意味で大変でしたね。開発初期の段階で、あとから困らないようにアイデアをストックする期間があったので、数には困らなかったのですが、実際にゲームに落とし込んでみると、“これでは遊べない”ということは多くありました。
池田 たとえば音で怪物をおびき寄せられる、というアイデアひとつとっても、じゃあ何かを遠くに投げて音を出して、そちらに怪物を誘導しよう、とやると、これではゲームシステムが複雑になりすぎてしまう。「もっとシンプルにこのアイデアを実現するにはどうすればいいか?」といった面では苦労しましたね。
――外山さんは難しい企画と見ていた『rain』、実際にプレイされてみて、いかがでしたか?
外山 「あ~、うまいことやりやがったな」と思いましたね(笑)。
――うまく形にしたなと(笑)。全体的な印象もお聞きしたいです。
外山 絵本を読み進めていくような感覚、というのが一番近いですね。もちろんしっかりとしたゲームらしさもあります。さまざまな要素がひとつひとつ丁寧に触れるようになっていて、理不尽なところもない。ものすごく派手なことが起きるわけではないけれど、プレイヤーに感情の起伏を抱かせる。いろいろな体験が詰め込まれていて、とても好い印象を持ちました。
悩んだ時期、導いたのは外山氏だった!?
――という感想を聞いて、おふたりはいかがですか?
池田 じつは、すこし前までは、まだまだ理不尽な部分が多かったんです。その時期、ちょうどプレイステーションアワードの時だったと思います。外山さんたちと飲みに行くことになって、その席で「あとこのくらいの期間が残っているんですけど、外山さんなら何をしますか?」とお聞きしたんです。そうしたら外山さんは「僕ならずっとチューニングをする。新しいことは考えずに、テストプレイを繰り返したほうがいい」と。
外山 その人いいこと言いますねえ。
一同 (笑)
池田 それを聞いて「なるほど」と。やはりそういう時期って、うまくいっていない部分がことさら大きく見えてしまうもので「何か新しい要素を入れたほうがいいんじゃないか」「もっと派手にしたほうがいいんじゃないか」と考えがちなんです。ですが、外山さんのアドバイスから、それ以降はユーザーテストとチューニングを繰り返して、理不尽なところをなくしていって少しづつ遊びやすく遊びやすくしていったんです。理不尽なところがないと言っていただけたのは、ほかならぬ外山さんのおかげなんですよ。
外山 僕のおかげかはともかく(笑)、おそらく直前にやっていた『GRAVITY DAZE』がまさにそうだったので、そんな話をしたんでしょうね。『GRAVITY DAZE』も、形になってきたときに、自分たちとしてはおもしろい遊びのギミックができた。「多少荒削りでも伝わるだろう」と思っていたのですが、実際にプレイしてもらうと、これがまったく伝わっていない、という時期がありました。もうどうしたらいいかわからない、というくらいの状況だったのですが、とにかく細かく、遊びやすくするためにチューニングを繰り返したんです。するとあるとき、ガラッっと評価が良くなった。徐々にではなく突然。その経験から出たアドバイスだと思います。
似ている? 『GRAVITY DAZE』と『rain』
――『GRAVITY DAZE』も『rain』も遊びの部分がありきでスタートしたという点が共通しているんですね。
外山 そうですね、『rain』の企画を見たときに、「似ているな」と思ったことは覚えています。いまどき珍しいやり方ですしね。
――あまりいまどきの手法ではないんですね。
外山 僕たちの時代は、遊びの企画から、というのが当たり前でそう教わってきましたが、昨今の売れ筋は少し違ってきていますね。変わったことをしていちからそれを覚えてもらうよりも、馴染んだわかりやすいゲームシステムの上で、世界観や体験の差をつける、というやり方が今風かなと思っています。
――『rain』をプレイしてみて、感心したところや驚いたところはありましたか?
外山 想像していたのとは違って、意外にも饒舌なゲームだったことには驚きましたね。言葉はまったく出てこないくらいなのかな、と思っていたのですが、ぜんぜんそんなことはなくて。キャラクターが喋るわけではもちろんないのですが、画面に浮き出てくるテキストですね。これが興をそがない現れ方といい、タイミングも含めてすごく機能していて、すばらしかったです。あれは、どういう発想から取り入れたのかな?
池田 まず、キャラクターを喋らせたり、セリフを入れたりするのはやめよう、という決めごとがありました。とはいえ何も語らないわけにもいかないので、だったら全部文章で出してしまっていいんじゃないか、ということであの形になりましたね。
外山 文章の内容がまたいいんですよ。書ききらないで、大事なところはぼかしている。これが、キャラクターに表情があまりないことと相まって、すごく想像力を刺激するんです。かといって物語がわかりにくいということはなく、でも想像する余地も多く残されているという。バランスがいいですよね。
――物語の読後感はいかがでしたか?
外山 余韻に浸りながら、最後までやってよかったな、気持ちよく終われるゲームでよかったな、と思いましたね。先ほど「絵本を読み進めていくような感覚」と言いましたが、まさに“読後”という言葉は『rain』にはピッタリだと思います。
――もし外山さんが『rain』をディレクションしていたら「ここは違う形になったかも」という部分はありましたか?
外山 自分だったらどうしただろう? という視点は片隅に置きながらプレイしていたのですが、結論としては“イジるのは難しい”ですね(笑)。最初にも言いましたが、難しい企画なんです。これをどうゲームとして成立させるかという部分が実に的確ですしバランスもいい。『rain』がパッケージタイトルだったら、例えばもっとキャラクター性を強めて、といったことはありますが、それはまた別の話ですしね。
――では最後に、外山さんは本作をどういった層にオススメしたいですか?
外山 普段からゲームに親しんでいる人だけでなく、あまりゲームをやらないという人にもオススメしやすいですね。もちろんゲーム性の部分ではストイックなところもありますし、やり応えという面でもしっかりしています。個人的にありがたかったのは、どうしても仕事柄まとまった時間が取りにくいので、ほどよい時間集中して遊んで、凝縮された楽しみを味わって気持ちよく終われる、というところですね。そういう意味では、ライフスタイルに合わせやすいというか、多忙な方にもオススメですね。
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