バットマンとなった直後の苦悩を体験せよ!

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▲プレイおよび解説を行ってくれたEric Holmes氏。本作ではディレクターを担当している。

 2013年9月18日、東京ゲームショウに先駆けて、ワーナー エンターテイメント ジャパンにてWii U、プレイステーション3、Xbox 360用ソフト『バットマン:アーカム・ビギンズ』(海外名は『Batman: Arkham Origins』)のプレゼンが行われた。

 2013年12月5日に発売予定の本作は、2010年に登場した『バットマン アーカム・アサイラム』、2011年の『バットマン:アーカム・シティ』に続く『バットマン』シリーズ3作目。開発スタジオは前2作を手がけたRocksteady StudiosからWarner Bros. Games Montre'alが引き継ぐ。今回、ディレクターを務めるEric Holmes氏が来日し、本作の魅力を実際にプレイしながら語ってくれたのだ。では、プレゼンで明かされた情報をお伝えしていこう。

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▲プレゼンが行われたのは、ワーナー本社にある映画館のような巨大スクリーン。その迫力ある映像を十二分に堪能してきました!

 まずは、本作の舞台から紹介。時系列は、前2作よりもずっと以前。ブルース・ウェインがバットマンとなって活躍を始めた直後、若き日のバットマンが描かれるのだ。過去の物語にした理由は、「映画『ダークナイト』がインスピレーションの源」とEric氏は語る。

 事件はある年のクリスマスイブに発生。ゴッサム・シティの頭領であるブラックマスクに5000万ドルの賞金をかけられ、ジョーカーを筆頭とするDCユニバースの犯罪者たちがバットマンを一斉に狙ってくるのだ。

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▲今作で描かれる若き日のバットマン。挫折を知らず自信過剰なため、ペンギンを必要以上に痛めつけてしまうなんてシーンも。
▲今作の黒幕のひとりであるブラックマスク。彼のもうひとつの姿が、ゴッサム・シティの実業家であるローマン・シオニスだ。

 この頃のバットマンはまだ自警団という立場で警察に認められておらず、警察からも追われる存在。また友人であるゴードンも、この段階ではまだ所長でも友人でもない。さらにSWATチームは腐敗しており、賞金目当てにバットマンを襲ってくるそうだ。このような四面楚歌の状況にも関わらず、バットマンはたったひとりで戦い抜いていくのだ。

 若き正義感に心躍らせ、また能力を裏付けるかのように活動を成功させてきたバットマン。だが本作では、ときには失敗し、挫折することも。そんな経験を経て真のヒーローへと歩んでいく、成長物語が描かれるという。

 ちなみに舞台となる場所はゴッサムシティ。ノースゴッサム、サウスゴッサムの2エリアに分けられ、その広さは前作『バットマン:アーカム・シティ』の2倍という。前作は広さよりも密度に重点を当てたオープンワールドだったが、今作では「密度を上げながら広くしていった」と、その完成度に自信を見せるEric氏。ちなみにノースゴッサムはまだ刑務所ができておらず、「みんなが知っているのとはちょっと違うゴッサムシティが楽しめるのも魅力」だそうだ。

犯罪者との対決はさらにバリエーション豊かに!

 続いてゲームシステムに触れていこう。基本的なシステムは、前作『バットマン:アーカム・シティ』と同様のオープンワールド。さまざまなガジェットを使ってゴッサムシティを飛び回ったり、犯罪者とバトルできるのだ。

 新要素として紹介されたのが、新たに犯罪が発生するシステム。デモプレイでは銀行強盗が発生し、現場までの距離が表示された。その場所に急行し、犯罪者を全員倒せばミッション完了となる仕組みだ。ちなみに、より上手に戦うと多くの経験値がもらえるシステムも新たに追加され、この経験値を利用してバットマンを強化する成長システムもあるようだ。

 また新たな敵も登場する。さきほどの銀行強盗のなかには、アーマーを身につけた強力なタイプの犯罪者が存在。通常の攻撃ではダメージをほとんど与えられず、またひるまないため、うかつに手を出すと手痛く反撃されてしまう強敵だ。だがマントによる攻撃を連続で当てるとスタンさせることができ、この状態で攻撃を与えるとアーマーを破壊することが可能。以降は通常攻撃でもダメージを与えられる仕組みだ。『バットマン』シリーズのバトルはコンボをつなげることがキモのため、どのタイミングでアーマーを破壊するべきかという戦略も楽しめそうだ。このほかに、素速く格闘攻撃をくり出してくるマーシャルアーティストという敵も登場。いかにタイミングよくカウンターを狙えるかがカギとなりそうだ。

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▲ボス格であるヴィランはもちろん、一般(?)の犯罪者にも新顔が。まずはアーマーを破壊して守備力を下げるのだ!

 さらに、新ガジェット“遠隔クロー”も紹介してくれた。これはクローが付いたロープの両端を2ヵ所に投げるもので、たとえばふたりの敵に投げつけると、ふたりの敵は1本のロープでつながれた形になる。やがてロープが縮まってふたりの敵がぶつかり合い、スタンしてしまう……という具合。活用次第では戦略のバリエーションが大幅に増えそうなガジェットだ。

探偵パートは大幅にパワーアップ!

 バットマンといえば探偵としての能力も見逃せない。というわけで今作では探偵ギミックも大きく強化され、「調査に物語が加わった」とEric氏はアピール。

 あるポイントにバットマンが到着すると、突如目の前にいたヘリコプターが墜落してしまう。周囲を透視したり痕跡を調べられる調査モードを活用し、操縦者の死体を調べてみると、墜落の瞬間を巻き戻して見ることができるのだ。

 そのようにして墜落の直前を見ると、ヘリのテイルローターに何かが当たり、そのせいで故障して操作不能となり、ビルに衝突して墜落したようだ。さらに何かが当たった瞬間を注意深く調べると、どうやら弾丸が当たったらしいことが判明する。表示された弾道から狙撃場所を割り出し、調査してみると、ヴィランのひとりであるデッドショットが事件に関与していた……ということが推測された。このような調査をくり返し、犯罪者を追い詰めていくミッションも楽しめるようだ。

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▲眼前のヘリが急に墜落! その瞬間をビデオ映像のように巻き戻して、事故の原因を調査することができるのだ。

 最後にほんの少しではあるが、実際にゲームをプレイさせてもらうことができた。筆者がプレイして感じたことは『バットマン:アーカム・シティ』の正当な続編である、ということだ。先に述べたように、調査モードの強化や新しい敵キャラクターなど気になる新要素はいくつもあるが、全体的には前作からシステムは大きく変わっていない。個人的には『バットマン:アーカム・シティ』のシステムはほぼ完璧と思っているので、この変化のなさは嬉しいポイントであった。そのことをEric氏に伝えると、「我々は新しくするために新要素を追加することはしない。前シリーズの制作者に敬意を払い、確実におもしろくなる部分だけ新要素を追加している」とコメントしてくれた。過去シリーズのファンは、間違いなく楽しめる作品に仕上がることだろう。

 ちなみに本作に先駆けて、前2作がパックとなったお得なパッケージ『バットマン:アーカムツインパック』が、プレイステーション3とXbox 360で10月10日に発売予定。未体験の人は、今作の発売前におさらいとしてプレイしてみてはいかがだろうか。

(取材・文:ライター/喫茶板東)

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▲プレス向けにバットマンのマークをあしらった巨大なUSBメモリーもプレゼントされた(シリアルナンバー入り!)。前面に液晶モニターが付いており、スイッチを入れると内蔵された本作のムービーが流れるという凝ったギミックが! いかに本作に気合いが入っているか、伝わる一品なので、つい紹介してしまいました。