「オンラインで友達と無限に共有!」というわけではないが、興味深い動き

Steamのゲーム共有機能“Steam Family Sharing”が発表_01

 Valveは、同社のデジタルプラットフォーム“Steam”向けの新機能として、ゲーム共有機能“Steam Family Sharing”を発表した。Valveでは今後βテストを段階的に実施していく予定。

 この機能は、家族や近い友達がSteamの共有ライブラリーにアクセスし、本人がプレイしていない間、ゲームを借りて遊べるというもの。
 共有機能自体は、1アカウント辺り10台までのマシンで有効にできる。持ち主が有効化したいマシンに入っているSteamのアカウント設定から自分でセットするか、家族または友達が自分のアカウント(及びマシン)からリクエストを送り、持ち主がメールで承認するかで設定できる。

利用にはいくつかの制限が

 ゲーム共有機能というとXbox One発表時にアナウンスされたオンライン経由の共有機能などが記憶に新しいが、Steamグループ“Steam Family Sharing”の説明文に「Players who share computers can also share their Steam games with Family Sharing(コンピューターを共有しているプレイヤーは、Family Sharingによってゲームも共有できます)」と書いてあるように、こちらは基本的には、家庭内での利用や、学生のシェアハウスなど、同じコンピューターを複数のユーザーで使い回すような環境を想定した機能の模様。

 もちろん、友達の家の友達のマシンに共有することも不可能ではないだろうが(それも自分のマシンのひとつであるということにしてしまえばいい)、すべてのゲームをいくらでも共有できるというわけではなく、以下のようないくつかの条件が存在する。

・Steamキー以外にサードパーティのシリアルキーが必要なゲーム、月額契約のMMOなどは利用できない(Valveが管理していないものが起動に必要なため)。
・共有ライブラリーにアクセスできるのは一人まで。
・ゲームを借りているユーザーは、持ち主がプレイを始めると数分の猶予が与えられ、購入するか終了するか選べる。持ち主は自分のプレイに制限を受けない。
・DLCにもアクセス可能。ただし、自分が本編を持っていないのに、持ち主が持っていないDLC分だけ自分で買うといったことは不可能。
・一方でインゲームコンテンツについては制限はなく、借りたゲームを通じてゲームアイテムを購入したり、トレードするといったことができる。ただしインゲームコンテンツの共有はできない。
・リージョン制限(地域制限)をこの機能で超えることはできない。
・ゲームをシェアした相手がチート行為などをした場合、共有権限が取り消されることがある。このためValveでは、安全なことがわかっているマシンでのみ有効化することを薦めている(例えば不特定多数が使う可能性がある場合、自分で設定するにしても、友達が「このマシンで使いたい」と依頼してくるにしても、それなりのリスクがある)。

 というわけで限定的な共有ではあるものの、それでもValveがこういった施策を打ち出すというのは興味深い動きだ。
 リビングでの使用を想定したValveのゲームマシン“Steambox”で、家族メンバーでアカウントを分けつつ、家庭用ゲーム機と同様にゲームを共有可能にするための布石でもあるだろうし、それ以上のことを考えているのかもしれない。今後この機能がどのような方向に進んでいくのか、正式化後にどんな利用をされていくのか、注目だ。