コラボ+ベストなアルバム『Splash!』

 声優、アーティストして活躍する榊原ゆいさんのNEWアルバム『Splash!』が2013年8月28日にリリースされる。今回は榊原さんの1stシングル『jewely days』や3rdシングル『Eternal Destiny』の作・編曲を手掛けたDJ Shimamuraさんとのコラボベストアルバムとなっている。“コラボ”で“ベスト”という一風変わった内容となっているのだ。そんなコラボベストアルバム『Splash!』について、榊原さんとDJ Shimamuraさんのふたりにお話を伺った。

榊原ゆいさんのNEWアルバム『Splash!』について榊原さん&DJ Shimamuraさんにインタビュー_03
▲左がDJ Shimamuraさん。右が榊原ゆいさん。

きっかけはファンの反響

榊原ゆいさんのNEWアルバム『Splash!』について榊原さん&DJ Shimamuraさんにインタビュー_01

――今回、コラボベストアルバムというあまり聴きなれない形式ですけれども、どういったアルバムなのでしょうか?
榊原ゆい(以下、榊原) 毎年アルバムを8月にリリースさせていただいているのですが、今年はShimamura君と作ろうかなと思ったのがきっかけです。そのときにセットリストを考えるために歴代の曲を数えたらちょうどいい数だったんですよ。
DJ Shimamura(以下、Shimamura) ちょうどいい数(笑)。
榊原 ホントに、ちょうどまとめるのにいい数だったんです(笑)。けっこう古い曲やCDとして集めるのが難しい曲もあるので、歴代の私たちのコラボしてきた曲をいまこのタイミングでギュッと集めて、プラスいまのふたりのコラボ曲も入れるとすごくいいんじゃないかなぁと。それで“コラボ”なうえに“ベスト”がついたんです(笑)。コラボアルバムにしようと最初は思っていたんですけれど、集めてみたら「ベストになった!」という感じでしたね(笑)。
Shimamura 昔の曲だとなかなか手に入りづらいものもありますからね。それを並べてみたら、アルバムとして聴いてふつうに楽しめるものになっていましたね。
榊原 実際に並べてみて「これは、いまやるべきだったのかな」と感じました。気づいた時期がよかったですね。たまたまだったんですけれど(笑)。

――そもそも、なぜShimamuraさんとやろうと思われたんですか?
榊原 以前にバースデーライブのステージでゲストとして呼んだときのみんなの反響がすごく大きかったというのが大きいです。あと、ここ最近仕事をしていなかったんですよね。
Shimamura たしかに! それまではコンスタントにしていたんですけどね。
榊原 そろそろ「みんなShimamura君が欲しいんじゃない?」みたいな雰囲気になりまして(笑)。今年はオーガストさんもライブをなさったりとか、Shimamura君といっしょに主題歌を作ったりした、縁のあるメーカーさんがお祭りのような雰囲気になっていたので、やはりShimamura君なんじゃないかという考えにいたり、お声掛けさせていただきました。

――榊原さんからオファーがあったときには、どんな心境でしたか?
Shimamura 最初にコラボレーションでアルバムを作りたいという話をもらったときに、テーマとしてもすごく明るくてポップでキャッチ―なものにしたいというリクエストがあったんです。でも、僕が担当した『Eternal Destiny』や『jewelry days』などは、けっこう早い曲ですし、『Ready Go!!』や『Try Real!』、『ONENESS!』などバッチリポップなやつをやっていたので、「これ以上か!」と(笑)。
榊原 「もっとくれ!」ってね(笑)。
Shimamura もっと上を目指さなければいけないということで、ちょっとプレッシャーもあったんですけれども、せっかく声をかけていただきましたし、しかもアルバムだったので、ここは挑戦しようと。それでまず『Splash!』という曲を作らせていただいたんです。最近あまりいっしょに制作をしていなかったあいだに、僕も「ゆいにゃんと何かをやるんだったらこういうことをやってみたいな」とか、テーマとしてもすごく明るくてポップでキャッチーなものにしたいというリクエストに対して「いまの自分ならこういうモノが作れるんじゃないか」というビジョンがあったので、自分の中でもやりたいことをやりまくった感じの制作現場でしたね。

――なるほど。そうして出来上がったアルバムですが、どんな特徴を持ったCDになりましたか?
榊原 やはりアガる曲が基本のCDですね。ふたりのコラボ曲でのアガりかたもポップでガッツリ明るいほうのアガるほうもそうなんですけれど、聴かせるほうのアガるほうもどっちも叶えられると思うんです。Shimamura君のサウンドの魅力ってそこだと思うので、怒涛のアゲアゲになっています(笑)。だいたいShimamura君の曲って、ライブでセットリストを作ろうとなったときに、最初の掴みか最後のほうの盛り上がりの中に入ることが多くて、「ここぞ!」な曲なんですよね。認知度的にも曲調的にも、本当に華やかなところに入るんです。それがシリアスなものでも、明るいポップなものでも、どっちでもパンチがあるんです。今回“夏”というテーマもあるし、どうしてもタオル曲が作りたかったというのがあって。それでShimamura君に「ちょっとタオル曲作ってよ!」って(笑)。
Shimamura オーダーが入りました(笑)。
榊原 「超アガるヤツ作って」って。“夏で、はじける感じで”とオーダーをしましたね。
Shimamura 作曲と編曲自体は僕が当然やっているんですけれど、注文が山ほどあって。
榊原 何回リテイクしたのかわからないぐらいリテイクしましたね(笑)。4回ぐらい出したかな?
Shimamura そうですねー。なので、半分ぐらいはゆいにゃん作曲なんじゃないかっていうぐらいの曲になっています(笑)。エネルギーをもらいながら作った感じですね。
榊原 「もっと! もっと!」ってね。結果、CDで聴くよりもライブで盛り上がる、ライブ向けの曲になりましたね。
Shimamura ライブの大きい音と、みんなといっしょにタオルを回すっていうのがポイントですね。
榊原 共同作業(笑)。ひとつになれるのがライブの醍醐味だから、そのビジョンを思い浮かべて作ったし、Shimamura君にもそのイメージでお願いをしました。

――作る時点でライブをイメージされていた?
榊原 完全にライブ曲として作っていましたね。

――実際にアルバムを聴かせていただいたんですけれど、これいつ休むんだろうと(笑)。
榊原 そうなんですよ!(笑) 私たちもその話をずっとしていて、結論としては「寝る前に聴くな」と(笑)。絶対に寝る前に聴いてはいけないアルバムなので、これから徹夜するぞとか、夜聴くにしても、ここからアガるぞとか、寝ない人のためのアルバムですね。
Shimamura もしくは朝、学校とか会社に行くときに聴いてもらいたいですね。
榊原 “これから”とか“まだまだ”という人に聴いてほしくて、もう寝る人は絶対に聴いちゃいけないです(笑)。たぶん途中でガバッと起きてサイリュームを振り始めちゃうんじゃないかと。これはホントに寝るときにはオススメできないアルバムになってしまったんですけれども……。
Shimamura 取材なのに、「聴いちゃいけない」って言ってたら変じゃないですか?(笑)
一同 爆笑
榊原 一応、注意事項ということでね(笑)。寝る前はダメだと。それ以外は大丈夫です。
Shimamura 元気を出したいときとかね。
榊原 曲順は私が決めさせてもらったんですけれども、Shimamura君に確認してもらったときにけっこうサラリと決まっちゃって。歴代の曲を並べていったときに、新曲や初フル収録の曲を挟むべき箇所が「ここだな!」というのがすぐにわかったんですよ。すぐに見えましたね。
Shimamura 僕も曲順のリストをもらっての感想は「すごくバランスがいいな」というものでした。僕はDJなので曲順というのにはやはりこだわりがあって。つぎにどういう曲が来ると前の曲を引き立てられるか? つぎにかかる曲が盛り上がるか? ということをいつも考えているんです。そういう目線で見てもすごくバランスがよくて、しかもそれが作った順番にわりと近い流れになっているというのがすごいなと思いました。僕もパッと見ただけですぐにオーケーを出しましたね。

――DJが絶賛しているじゃないですか。
Shimamura ホントにすごいと思ったんですよ。バランスのよさが。
榊原 歴史を追いつつ新曲が挟まってくるので、耳的にも楽しいんじゃないかなという感じですかね。

新曲はタオル曲とサラダ曲?

榊原ゆいさんのNEWアルバム『Splash!』について榊原さん&DJ Shimamuraさんにインタビュー_02

――そんな新曲ですが3曲入っているということで、それぞれどんな楽曲なのかを教えていただければ。
榊原 『Splash!』はタオル曲で元気でアゲアゲな曲なんです。もう1曲の『moment』は自由に作った曲ですね。『Splash!』はテーマが決まっていたんですけれど、『moment』はホントにガチ自由だったので、Shimamura君に「任せるよ」という話をしたんです。ただ、アルバムのラインアップ見るとわかるんですけれど、ずっと耳にパンチを浴びせている感じなんです(笑)。焼き肉で言うとカルビ、カルビ、カルビ、ハラミ、カルビ、カルビ、ハラミみたいな感じなので、ちょっとチョレギが欲しいなと(笑)。
Shimamura これ焼き肉だったんですか?(笑)
榊原 肉で言うとね(笑)。ちょっとサラダが欲しいよね、というようなところを踏まえてサラダっぽいのを作ろうよという話になったんですよ。なので、『moment』はサラダ曲です(笑)。
Shimamura 突然のサラダ曲(笑)。
榊原 タイアップ曲だと主題歌的な曲が多くなるので、オープニングだからグッと掴まなきゃいけない楽曲になるわけです。だから、ふんわりとしたというか、ちょっとアンニュイというか、ふわっとした感じのものってなかなか作る機会がないんですよね。そこで私とShimamura君の曲でちょっとやわらかめな曲というのもいいんじゃないかと。
Shimamura やってなかったもんね。
榊原 どちらかと言うとここ最近、私もふんわり系の詞を書いていなかったので。これはこれで新しいよね。
Shimamura 『moment』は、僕が先に作曲をして歌詞を榊原さんに書いてもらってという流れで作ったんです。曲を作った段階ではアゲアゲなわけではなく、少し引いたぐらいのものにしようと思っていました。ジャンル的にはドラムンベースというジャンルの音楽にしようと思ったんですね。ほかはハードコアだったり、ハウスっぽかったりするんですけれど、この曲は4つ打ちじゃない、少しクールなクラブミュージックな感じで、わりとストイックな、ポップだったりキャッチーな要素を控えた感じにアレンジしたんですけれど、いざボーカルレコーディングになって、榊原さんの声が入ると一気にポップになって、キャッチーになったので、聴きながら「こういうものは存在しないな」と感じました。いままでなかったなと。榊原ゆいというボーカリストのキャラクター性の強さに感動しましたね。この曲は完成するまでどうなるかわからず、完成した瞬間のこんなものができてしまったという、作り手ならではの独特の感動がありましたね。
榊原 Shimamura君の曲ってガッツリ声を出すことが多いんですけれど、今回はふわっと、ほわんとした、いままで歌ったことのないような声質で歌ったんです。レコーディングの前に、こういう感じの声色で歌おうと想像はしていたんですけれど、いざレコーディングで歌ったら、歌ったことのない声で歌うと、どこまで地声でアプローチしていいのかわからなくなって(笑)。けっこう悩みながら歌いましたね。私は地声パワー系なので、どうしても上のほうの音程をバーンと出しちゃうんですけれど、ふんわり上のほうを出すというのが難しくて。ファルセットで引っ込みすぎず、上にパンと当たっているんだけれどキツくなく、ガッツリしない当たりかたっていうのが求められる曲だと思ったので、自分のどこに当てたらちょうど『moment』にハマる当たりかたになるのかというのを、けっこうスタジオで苦戦しました。そうして生み出したというか、形になったものなので、私の中でもこれは新しい試みだったかなと思います。

――コラボとしても榊原さんとしても、いままでにない新しいものに仕上がっていると。
榊原 そうですね。あまりこういう歌いかたはしないと思います。それが新鮮でした。Shimamura君からもらったサウンドも新鮮な感じがしたし、歌詞を書いたときもShimamura君の曲でこういう歌詞を書いたことがないなと思ったし。全部が新しいコラボの仕方だったので、ファンの方も聴いたことのないコラボになっていると思います。

――出来上がってみて、ちょっとこれまでにはない方向性が見えたという感じなんですか?
榊原 オリジナル曲独特なものなのかなって。すごくうれしいことにタイアップ曲というと主題歌が多いじゃないですか。ゲームタイトルがあって、そのゲームの世界観に合った曲を作っていくなかで、アーティストとして遊べる、ホントにどう料理してもいい曲だったんですよ。
Shimamura 味が決まっていない料理っていう感じだよね。
榊原 そうそうそう。そこを楽しめるのは、オリジナル曲ならではだなと思いました。
Shimamura 遊んでいたらできたというか、とくに目的地を決めずに、お互いが「こんなのどう?」、「こんなのどう?」ってやっていたら、いままで見たことないようなものが完成したと。しかも、それがすごく自分たちが気に入ったものになったんです。
榊原 これに関してはリテイクもなく(笑)。「自由にしていいよ」と言ったので。それぞれに“自由”を持ち寄って、“自由”に完成しました(笑)。

――『戦刃恋歌』はフルバージョンを今回、初収録ということですね。
榊原 これは逆にタイトルがあってこそ遊べた曲でしたね。これはまた違う遊びをしました。
Shimamura 違う遊び(笑)。
榊原 ゲームのメインヒロインを私がやっているんですけれど、メインヒロインがロボットなんです。

――あーーー。なるほど!
榊原 なので、私の歌いかたもちょっと無機質な感じにしています。いつもはどうしてもアツく歌っちゃうんですけれど、「今回はいかん!」と。すごく抑えながらレコーディングをして。2番のBメロでバックの曲が静かになる部分があって、とくにShimamura君と打ち合わせていたわけではないんですけれど、そこにいい歌詞が乗せられたんですね。しかも2番のBメロまではエフェクトがかかっていて、ちょっとロボットっぽい感じの雰囲気にしてもらっているところを、そこからエフェクトが外れて人間になるという演出を加えているんです。ゲームにすごく反映された形の遊びかたをしています。なかなか私は声にエフェクトをかけることがないので。

――たしかに聴いていて、珍しいなと思って。なるほど、そういうことだったんですね。
榊原 エフェクトの掛けかたもすごく細かいところまでこだわって。「これもうちょっとヘロってなる?」とか、「なりすぎても違うんだよね」って。そこは何回も打ち合わせをしました。
Shimamura 榊原さんのリクエストが来たときに、おもしろいことを考えるなと思ったんです。ふつうはエフェクトをかけるなら、最初から最後までエフェクトがかかっているといったやりかたになるんです。でも、今回はゲームの作品のストーリーをフィーチャーしたいと。歌の中にもその要素を取り入れたいということだったので、途中からエフェクトを外すような形にしました。一般的には歌詞の中にストーリーがあるというのが通常のやりかただと思うんですけれど、声色やエフェクトにもストーリーをつけたいというリクエストはおもしろかったですね。細かい指定がいっぱいありましたが(笑)。
榊原 私、いつもこだわりの注文が多いので(笑)。どうしてもこうしたいというコンセプトが出来上がると、どうしても思う形にしたくて。とくに今回の『戦刃乙女』という作品の収録はワード数がすごく多かったので、珍しくアフレコの時期がすごく早かったんですね。本来ゲームだと、だいたい主題歌を先に収録して、作品のキャストに入っていたらアフレコはその後に始まるんですけれど、珍しくアフレコのほうが始まるタイミングが先だったんです。ヒロインのミヤビとしてアフレコを始めていて、ストーリーを追っているときだったので、余計にこの曲に対してふつうじゃダメだと思っていたんですね。作詞もそうですし、歌のエフェクトもそうですし。このヒロインの気持ちや作品の世界観をちゃんと主題歌に表現したい。『戦刃乙女』でしかあり得ない『戦刃恋歌』にしなければいけないと思ったんです。それでエフェクトなどにこだわらせていただきました。皆さんも耳で感じてもらえるとうれしいですね。とくにゲームをやったあとだと、ホントに「おぉ!」ってなると思います。

メイキングも必見のミュージックビデオ

――アルバム表題曲の『Splash!』はミュージックビデオも用意されているということですが、撮影はいかがでしたか?
Shimamura たいへんでしたよ(笑)。
榊原 思った以上にね(笑)。私はいつものPVよりもやることが少なかったんですけれど、何せShimamura君が初のPV撮影ということで、すごくいろいろさせちゃって。
Shimamura いろいろしましたね。飛んだり跳ねたり。
榊原 トランポリンとかも出してきてね。DJなのに飛ぶっていう(笑)。
Shimamura 「DJやれよ!」っていうね。いや、やってますけれどね、DJも。
榊原 じつは、Shimamura君と私がふたりで出ているカットはないんです。それは私の中でストーリーがあったので、あえて撮影しませんでした。今回のストーリーは、私たちがダンサーちゃんと踊ったり、私が歌っている歌を、Shimamura君が回しているという構図になっているんです。せっかくふたりで作っているから、ふたりで「わー!」って感じにしようかとも思ったんですけれども、それはジャケット写真にしようと思って。ジャケットやブックレットのほうではバッチリコラボをしています。ミュージックビデオもジャケット写真も、Shimamura君には超何回も飛んでもらって。
Shimamura 相当飛びました(笑)。
榊原 撮影はどうだった?
Shimamura 初めてだったじゃないですか。何をやるんだろうと思っていたら「飛んでください」って言われて(笑)。なかなか飛ぶことなんかないじゃないですか。こういう画が欲しいですというのは、絵コンテを見せていただいたのでイメージに合うようにしようと思って飛ぶんですけれど、なかなか思ったとおりにはならないんです。しかも、必死に飛んでると「笑ってください」って言われて(笑)。
榊原 「笑顔で飛んでください」ってね(笑)。
Shimamura 「そりゃそうだよな」と思いながらも、たいへんでしたね。もう、部活です。散々地べたで飛んだあとにトランポリンでも飛びました。トランポリンのほうはハイスピードカメラでスローになるものを撮影しました。
榊原 でもね、Shimamura君がすげぇキレイに飛んでいて、マンガみたいなんですよ。
Shimamura これは、「このジャンプで正解を出そう」、「これを最後にしよう」という熱意ですね(笑)。
榊原 ヘッドフォンのコードとかホントにキレイな波打ちをしているんですよね。
Shimamura いちばん僕が困ったのが、飛んだポーズはよかったのに、コードのたわみ具合がよくないっていう理由でのNGでしたね(笑)。「僕が悪いんじゃないですよ」って。コードを持って撮影するのは難しいです。女性も髪のたわみ具合とかあると思いますけどね。
榊原 私もトランポリンは初だったんですけれど、トランポリンで飛びながら、人様に見せても大丈夫な顔をするっていうことの難しさが(笑)。難しかったよね?
Shimamura 難しいです!
榊原 見てる人は「笑顔で飛べばいいじゃん」って思うかもしれないんですけれど、そういうわけにはいかないんですよ。しかも、スーパースローになると全部見えちゃうじゃないですか。それでかわいい顔しろって言われても「けっこうきびしいんですけど!」って(笑)。私50回ぐらい飛んだと思います。
Shimamura 1秒前の表情はすごくいいんだけど、そのあとが微妙みたいなのとかね。
榊原 あれは本当に難しかったですね。ダンスシーンはいつも通りなので、いいんですけど。あとは……タオルもたいへんでしたね。タオルを振っているシーンがあるんですけれど、いちばん最後にタオルを開いて印刷された“Splash!”っていうロゴを見せるシーンがあるんです。でも、なかなか全員文字の上下が揃わなくて。しかもドヤ顔でキメるので、ドヤ顔で逆向きになっているという(笑)。リハでも何回も練習したんですけれどね。
Shimamura 実際にタオルを広げてちゃんと上下間違わずに広げられるかを試してみると、その難しさがわかると思います。
榊原 しかもタオルを右手だけで回そうとしたら、すげぇしんどくて(笑)。途中左に持ちかえたりとか、振り付けで右と左の両方で回すようにしているんですけれど、タオルを持ち替えるので余計にわからなくなってしまって。でも、あれでファンのたいへんさがわかりましたね(笑)。だって、3~4時間ずっと手を上げて、サイリュームを振って応援してくれているわけだから、これはすごいなって改めて感じました。……まぁ、感じたうえでタオルを回させるんですけど(笑)。そこはごめんね、と。でも、楽しさが伝わるPVになったんじゃないかと。メイキングも見どころなので。裏側を見られますからね。
Shimamura けっこうシュールなシーンもありますからね(笑)。本編のミュージックビデオを見たあとにメイキングを見るといいですね。
榊原 「そんなアナログなの?」みたいな(笑)。努力の結晶が見られると思います。

“体感する”バースデーライブ

榊原ゆいさんのNEWアルバム『Splash!』について榊原さん&DJ Shimamuraさんにインタビュー_04

――そして、このアルバムを引っ提げてのライブが10月にありますね。
榊原 いつも通りですね。アルバムを出したら、そのアルバムをメインにバースデーライブをやっていますので、今年もやります。今回はZepp Tokyoなので、Shimamura君とライブをするにはちょうどいい場所だと思うんです。いつもはバースデーライブと言うと、ショーっぽくいろいろな演出を入れていたんですけれど、今回はガチライブみたいな感じでやりたいなと思っています。ガッツリ、Shimamuraサウンドで。もちろんアルバム収録曲は全曲やります。ということは歴代曲全部やるっていうことで、体力がやばいよね。DJとして回すだけでもこの曲数は……。
Shimamura 1曲やるだけでもけっこう体力を使うのに、14曲…………。
榊原 未知の世界ですね。
Shimamura 全部終わったあとにどんな顔をしているんだろうって(笑)。
榊原 そんな豪華なライブになります。歴代全部やりつつ、今回はいつもと趣向を変えて、古い曲をメインにしています。初期の活動の曲を多めにやろうと思っていて。そして、こちらも歴代最大曲数をやるということになっていますので、ちょっともうヤバイよね。怒涛です。
Shimamura なぜ、それをやろうと思ったのか。自分への挑戦なのか。
榊原 なんでやるんだろうねぇ~?(笑) いままでは演出の部分でも楽しんでもらった時間があったのですが、今回はライブに徹するということで、じゃあ詰め込んじゃえみたいな。演出の時間がない分ね。セットリストを決めているうちに、「あれ?」って(笑)。ダンサーちゃんたちと話しながらセットリストを決めていったんですけれど、ダンサーちゃんたちもいままで踊ったことがないような曲数を踊ることになるので、みんな未知の世界なんですよ。
Shimamura しかも、それが僕の曲ですから、テンポが早かったり、かなりハード目のトラックが多いですからね。
榊原 なので、Shimamura君も、私も、ダンサーちゃんも全員未知の世界を体験するというライブになっています(笑)。かなりアガる世界がくり広げられるので、その熱さをいっしょにZepp Tokyoで味わっていただきたいなと。
Shimamura “体感する”って感じですよね。
榊原 ガッツリ盛り上がってもらえたらうれしいなと思いますね。

――実際、アルバムの14曲だけでも踊りっぱなしじゃないですか。
榊原 ブートキャンプですよ。
Shimamura ダイエットになりますね。1度、ライブに来る前と帰ってからの体重を計ってほしいぐらい(笑)。

――入場時に計れるようにすればいいんじゃないですかね(笑)。
Shimamura 体脂肪計を置いて(笑)。
榊原 (笑)。あとは、ホントに今年こそ履きなれた靴で来てください。マジでヤバいです。女子もどうしてもオシャレをしたいなら、履き替える靴を用意してもらって(笑)。
Shimamura 会場まではヒールとかでもいいけど。
榊原 会場に着いたら履き替えるっていうね。まぁ、そんな感じで、かなりお楽しみがいっぱいなので、来ていただけたらと思います。

――それでは最後にひと言ずつメッセージをいただければ。
Shimamura 今回初めてコラボレーションのベストアルバムというものを作る機会をもらえまして、ゆいにゃんからのたくさんのリクエストに応えて、かつ自分がいま出しきれるサウンドの世界観や技術を存分に使いました。いままでの10年近い僕らのコラボレーションの歴史みたいなものもすべて詰め込まれているので、そういう部分も含めて楽しんでもらえたらと思います。ライブに来てもらえる方は、その歴史を生で、かつタオルを振り回したりしていただきながらね。見るとか聴くよりも、参加して、自分もライブの一部というか、派手なお祭りの中にいっしょにいるという感覚で楽しんでもらえたらいいなと思います。
榊原 10年近いんだと思うとちょっとビックリします(笑)。『jewelry days』から始まった縁で、当時そこまでDJサウンドがゲーム業界に浸透していなかったときにこのサウンドをもらってから、ホントに榊原ゆいとしての活動のスタートが華々しくなりました。ホントに私の中でも大事な曲ばかりなので、ひとつの作品にまとめることができて、かついまの私たちの全力を出すことのできたアルバムだと思います。ぜひ末代まで(笑)、大事にしていただければなと思えるようなものになりました。ライブもぜひ盛り上がっていただければと思います。タオルの振りかたは動画配信しますので(笑)、楽しみにしていてください。
Shimamura なんで最後にタオルの振りかたの話で締めちゃうのか!(笑)。
榊原 回す用の“Splash!タオル”、ライブ物販で買ってくださいね!(笑)

榊原ゆいさんのNEWアルバム『Splash!』について榊原さん&DJ Shimamuraさんにインタビュー_05
榊原ゆいさんのNEWアルバム『Splash!』について榊原さん&DJ Shimamuraさんにインタビュー_06
▲初回限定盤
▲通常盤

■Splash!
発売日:2013年8月28日発売
価格:【限定盤】3990円[税込]/【通常盤】3150円[税込]
※限定盤には『Splash!』ミュージックビデオのほか、メイキングなどを収録したDVD同梱