ハッキングで世界が変わる
ユービーアイソフトのWii U、プレイステーション4、プレイステーション3、Xbox One、Xbox 360用ソフト、『Watch_Dogs』。発表以来その映像、世界設定のインパクトから注目を集めている新規タイトルだが、全貌はまだまだ不明な点が多い。今回、8月21日~25日(現地時間)の期間、ドイツ・ケルンで開催されている欧州最大級のゲームイベント“gamescom 2013”にて、メディア向けのハンズオン(試遊)に参加できたので、そのプレイリポートをお届けする。プレイできたのは、PS4バージョンをPCで動かしているゲーム本編。さらに今回は、“CTOSモバイル”なるアプリも体験できたが、こちらも内容が濃いので別記事でお届けする。
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今回のゲーム内のプレイエリアは、シカゴの低所得層の地域である“ウォード”というエリア。状況としてはこのエリアのデータを持っておらず、街の人などのデータをハッキングできない。というわけで、まずはCTOSのコントロールセンターにウィルスを入れて、アクセスコードを入手するのが目的だ。ちなみにCTOSというのは、街にあるさまざまなもの、電話やATM、信号などをネットで管理しているシステムで、主人公エイデンの目的、ストーリーの核に関わってくるものとのこと。
CTOSのコントロールセンターに近づくと、当然厳重な警戒態勢。ガードも多数いるようだ。どうやって侵入するかはプレイヤーの自由で、正面から銃撃戦で突破してもよし、監視カメラをハッキングしてガードの位置を把握して、見つからないように潜入してもいい。停まっているフォークリフトをハッキングして動かしたりもできるので、これでガードの注意を引きつけたり、といったことも可能なようだ。ハッキングを駆使して進む場合は、ハッキングできる物や人の挙動、持っている情報などを把握して、それらを組み合わせて安全なルートを確保するという感じだ。ちなみに記者は建物の横手からこっそり侵入、ハッキングを駆使して進もうとしたが、ガードに見つかり問答無用の銃撃戦に突入。フォーカス・モード(一定時間、時間の流れがスローになる)を使ってガードを倒すという力技でサーバーへのアクセスコードを入手するという結果に。そしてサーバーをハックして、これでエリア内のラップトップ、携帯電話などからすべての情報を得ることが出来るようになった。
さっそく周囲にいる携帯電話を持っている人をハッキングしてプロファイルを見る。電話を盗聴したり、テキストメッセージを見たりできるが、その内容が犯罪に繋がっていたりした場合、それを阻止したり解決するサイドミッションにいけるそうだ。つぎに、クレジットカードを持っている人から口座情報を入手。ATMに行ってお金を頂戴した。さらに、駐車してあるクルマもハッキングでいただく(もうなんでもあり。ハッキングすげえ!)。クルマに乗ったらマップを開いて行き先を決めれば、GPSが誘導してくれる。ちなみにクルマは英国で『Driver』シリーズを開発しているReflectionsが作ったもので、見た目も挙動もリアルだ。信号もハック出来るのでずっと青信号にしておくという荒業も可能。ただし、交通量が多いところなどでこれをやるとタイミングによっては大事故になり、警察がきてしまうので注意が必要だ。
クルマを走らせ目的地(付いてくれたスタッフさんにそこに行けと言われた)に到着して、道行く人をハックしてまたATMで現金を入手したりとハッキングライフを満喫。そして近くにあったFree Wifiのボックスをハックしてみると……なんと他の人に自分がハックされたことが判明! 周囲の人のプロファイルを見て、ハックしてきたハッカーの女を発見する。しかしこれがまた複雑な話で、実際には記者の台の裏側の台にいたプレイヤーがハックしてきていたのだ!! 要するにこれは製品版ではオンライン要素で、他のプレイヤーのゲームプレイにハッキングを仕掛けて侵入して、そのプレイヤーのネットワークデータを自分のものにできちゃうというもの。リーダーボードのようなものもあり、最も多くのネットワークを入手したプレイヤーが悪名高いハッカー(ベストプレイヤー)になるそうだ。さて、やられたら10倍返しだ! ということで今度は反対に相手のゲームにハックして入ることに。この場合、相手のゲームの中では自分は通行人として登場する(さきほどの女はそういうこと)。通行人を装って相手プレイヤーに20mくらいまで近づき、気づかれないようにハッキング(一定以上近づくと、相手側にアラートが出てハックする前に気付かれてしまう)。相手はハックされたことに気付いたが、こちらが誰かわかっていないので探している。とりあえずビルの裏に身を隠す。これで相手に気づかれずにカウンターが100まで行くと、相手のネットワークを自分のネットワークに加えられる。カウンターが100になり、ネットワークをゲット。しかしついに気づかれてしまい、追いかけてきたので、クルマに乗って逃走。見事逃走に成功したところでプレイ終了となった。
さて、実際にプレイしてみたが、とにかく出来ることが多いため、正直に言うと頭の中がとっちらかって整理しきれなかった。「どうだった?」と聞いてきたスタッフさんにそのことを伝えると、「それは仕方ない。今回のプレイアブルバージョンは、エイデンがほとんどなんでもできる状態になっているからね。実際のゲームでは、最初はできることは少なくて、ちょっとづついろいろなことができるようになる流れになっているんだ。もちろん新しいことには丁寧なチュートリアルもつく」とのこと。なるほど、安心しました。 とはいえ、プレイヤーに入ってくる情報量が多いのは確かで、なかなかに歯ごたえがある作りになっているが、それらを掌握して使いこなしたいと思わせる魅力があるのも間違いない。ハッキングを軸にしたギミックや演出、展開は秀逸で、ストーリーもかなり気になる。また、オープンワールドアクションとしても相当なクオリティーなので、シカゴの街でいろいろやっているだけでも楽しい。注目作は注目作たりうる仕上がりになっていると言っていいだろう。