『ドラゴンクエスト』の挑戦

 2013年8月21日~23日、パシフィコ横浜にて開催されている、日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC 2013”。その初日となる8月21日に行われたセッション“日本人のためのMMORPG開発 ~『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』の挑戦~”の模様をリポートする。

 『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』(以下、『DQX』)は、言わずと知れた『ドラゴンクエスト』シリーズの本編10作目にあたる、MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)。現在はWiiとWii U向けにサービスを展開中だが、来たる2013年9月26日にはWindows版の発売も予定されている。

 このセッションでは、『DQX』のディレクターを務める藤澤仁氏(スクウェア・エニックス)が登壇。“日本人に向いたMMORPG”とは何なのか、そして『DQ』シリーズはなぜ新しいことに挑戦する必要があったのか。つぎつぎと浮上する問題への対応や、運営面での失敗談なども交えつつ、その問いに対する“答え”を導き出すセッションをくり広げた。

▲登壇した、藤澤仁氏。

『ドラゴンクエストVIII』から続く“挑戦”の歴史

 登壇した藤澤氏は、「今日はネットで生中継もされているとのことで、『DQX』プレイヤーの方も多く観られていると思いますが、戦士の立ち回りの話ですとか、地味な修正点の話などは一切ありませんので、ご了承いただきたいと思います(笑)」と切り出し、会場の空気をつかんだ。

 まず藤澤氏は、2004年に発売された『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』以降、『DQ』シリーズは新作を作るたびに挑戦を続けてきたと語り、その挑戦の歴史を振り返るところからスタート。

・『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』……『DQ』シリーズ初となるフル3D表現への挑戦

 それまでの『DQ』シリーズと言えば、見下ろし型の視点でドット絵のキャラクターを動かす手法が採られていたが、『DQVIII』では世界のフル3D化に挑戦。『DQVIII』において、藤澤氏はシナリオ担当とクレジットされているものの、システムの仕様書作成や進行管理など、ほぼディレクターと同じ仕事を担っていたという。この仕事がきっかけで、以降の『DQIX』、『DQX』では正式にディレクターを務めることになったとのこと。「いま思い出しても(開発が)いちばんツラかったですが、そのぶん思い入れも深い作品です」と語った。ちなみに、『DQVIII』の出荷本数は、国内で380万本、世界も合わせると490万本に達した。

・『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』……『DQ』シリーズ初となる、携帯ゲーム機での本編製作への挑戦

 藤澤氏が正式にディレクターを務めた初めての作品。『DQ』シリーズの生みの親である堀井雄二氏からゲームデザインの大きな部分を任され、仕事として非常にやりがいがあったとのこと。ニンテンドーDSでの本編製作となった『DQIX』だが、このゲーム開発でたいへんだったのは、ゲーム内容そのものよりも、携帯ゲーム機で『DQ』シリーズ本編を作るにあたって、“どこにどれくらいの力点を置いて作るべきなのか?”という問いかけだったという。また、「すれちがい通信のブームは、開発スタッフ内でもまったく想定していなかったこと」、「いまでもよく話すのですけれども、“まさゆきの地図”は仕込みではありません。本当です(笑)」とも語った。なお、『DQIX』の出荷本数は、国内で440万本、世界も合わせると550万本。

・『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』……『DQ』シリーズ初となるジャンル“MMORPG”への挑戦

 2013年8月2日で、サービス開始から一周年を迎えた『DQX』。こちらの出荷本数は、国内で約70万本とのことだが、これは2012年11月6日時点、Wii版のみの集計データである。その後、Wii U版の発売を経て、現在は当然ながら増えているとのこと。また、「もう少しでおめでたいお知らせができると思います」と藤澤氏が語っていたことから、節目となる出荷本数に到達する日は近そうだ。しかし『DQX』が目標として掲げているのは、1作目のファミコン版『ドラゴンクエスト』の出荷本数と並ぶ、150万本だという。

『ドラゴンクエスト』はなぜ挑戦するのか?

 簡単な振り返りが終わると、続いては「“セントラルクエスチョン”を設定しましょう」という話に移る。セントラルクエスチョンとは、シナリオやストーリーを構築する際に使う言葉だが、ここではセッション全体の主題となる“問いかけ”のことを指している。

 藤澤氏が提示したセントラルクエスチョンは、“『ドラゴンクエスト』はなぜ挑戦するのか?”。『DQ』シリーズは、しばしば「挑戦しなくてもいいタイトルじゃないか」、「変わらないのが『DQ』のいいところ」と言われることがあるけれども、それでもなぜ新作を重ねるたびに挑戦をし続けるのか? 「これはセッションの最後にお答えするクエスチョンとして設定しておきたいと思います」と藤澤氏。

 セントラルクエスチョンの答えを導き出すにあたり、話は2011年にさかのぼる。『DQX』がMMORPGだと世間に発表されたのは、2011年9月5日。その当時、発表を受けた世間の反応はというと、「『DQ』本編でなければよかったのに」、「人に気を使いながらRPGなんてしたくない」という意見が多かったそうだ。藤澤氏も、「必ずしも歓迎された出来事ではなく、逆風の中からのスタートになりました」、「“RPG”と“MMORPG”は、まったく別の物として認識されているのだということを、強く感じました」と語った。“RPG”という言葉の定義はさておきとして、藤澤氏は両ジャンルの違いを下記のように分析。

<RPGとMMORPGの違い>
・RPG……ひとりで没頭する“読書的”な楽しみ
・MMORPG……大勢で挑む“冒険的”な楽しみ

 「ただ、世の中がそういう風に認識する気持ちというのは、とてもよく理解できました。なぜなら、自分も最初は、『DQ』をオンラインゲームにすると聞いたとき、同じことを思ったからです」と、当初は藤澤氏自身も反対派だったことを明かす。ここで話は『DQX』開発スタート時のころまで巻き戻る。『DQVIII』の仕事がちょうど終わったころ、藤澤氏は『DQX』の開発スタッフとして誘われたという(※『DQIX』開発の話は本題から逸れるため割愛)。そのときは、「MMORPGなんて遊びたくないし、自分が遊びたくないものは作れない。そもそもMMORPGの知識もない」という理由から、『DQX』の話を一度断ったという。それでも結果的に『DQX』のディレクターに就任したのは、以下の3つの理由があったからだそうだ。

【1】自分で経験することで見えたふたつの問題点
 「いいから(MMORPGを)遊んでみなよ」と、齊藤陽介氏(『DQX』プロデューサー)から言われ、実際に遊んでみたものの、“ほかのプレイヤーがいる世界”がどうにも自分の性に合わず、何度もゲーム内で挫折を経験したそうだ。それでも遊び続けたところ、ある日突然おもしろくなったという。「確かにおもしろい。でも、そこに到達するまでのハードルがあまりにも高い」と感じた藤澤氏。これがひとつ目の問題点。そしてふたつ目の問題点として、“MMOの世界に潜んでいた目に見えない魔物”を挙げた。その“魔物”とは、“お約束”、“セオリー”、“常識”という3つ。『DQX』の開発途中、MMORPGに詳しいスタッフから「オンラインゲームの世界ではこれが常識なんです」というようなことを、よく言われたという。その発言について藤澤氏は、「MMORPGをよく知らない僕のことを心配したスタッフが、『DQX』をおもしろくしたいという一心で言ってくれたこと」と捉えており、また、「その“常識”に助けられて、無駄な議論に時間を費やさずに済んだ場面もあったことは確かです」と添えた。ただ、それと同時に、「常識やセオリーといったものがごちゃごちゃになっている」とも感じていたという。この点について、藤澤氏の考えかたはこうだ。

 「オンラインゲームは複数のプレイヤーがひとつの世界に集まってくるもの。つまり共同体。共同体を維持するための常識は確かにある。そこは守らなければいけない。一方で、ゲームデザインは自由であるべきだが、そこにまで常識が浸食してきてしまっている」。

 では、ゲームデザインに浸食してくる常識とは? 藤澤氏は、「すでにオンラインゲームで遊んでいる熟練プレイヤーたちが突き詰めた、効率のよさ。そういったものが、オンラインゲーム業界全体にはびこっていた。私には、そう見えました」と語る。MMORPGは、まだ日本で普及しているとは言い難いジャンルであることは確かだ。これからどんどん新しいことができるジャンルであるはずなのに、初心者が入ってくるのを妨げている、すでに先鋭化が始まっている、という状況にあると藤澤氏は分析した。

【2】チャレンジャーとして臨める環境
 藤澤氏は、堀井雄二氏のアシスタントとしてゲーム業界に入り、ずっと『DQ』を作ってきた。それはつまり、“絶対に外すことは許されない”という環境でゲームを作ってきたということ。自分たちが考えた“新しい物”が世間で評価されるかどうか、そういった状況で仕事をしてみたいという欲求も強かったという。これが、藤澤氏が『DQX』ディレクターに就任したふたつ目の理由。

【3】仲間たちからの勧誘
 理由の3つ目として挙げたのは、仲間の存在。藤澤氏が『DQX』のディレクターに就任するころ、すでに『DQX』開発スタッフにはMMORPGの“プロ”たちが揃っていた。まず『DQX』のプロデューサーを務める齊藤陽介氏。齊藤氏は国産MMORPGの走りでもある『クロスゲート』(2001年サービス開始)でプロデューサーを務めていた。ふたり目は、現在『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』のプロデューサー兼ディレクターを務める、吉田直樹氏。3人目は、安西崇氏。安西氏は、『信長の野望 Internet』でディレクターを務めていた人物。こういった“プロ”たちが揃っているのに、それでもなお藤澤氏をスタッフに入れようとしたことにどんな意味があったのか。齊藤氏から「これなら自分も遊んでみたいと思うMMORPGを作ってほしい」という言葉を聞き、ディレクターを引き受けることにしたという藤澤氏。そのときのことを、「『ドラゴンクエスト』をちゃんと作り、そのうえでMMORPGにするという志でなければ、日本にMMORPGを普及させることはできない、という決意の表れのように聞こえました」と振り返る。

 こうして、正式に『DQX』のディレクターに就任した藤澤氏が、まず最初に決めたこと。それは「このゲームで、MMORPGというジャンルを、日本でメジャーにしよう」ということ。とはいえ決して楽観的に捉えていたわけではなく、「『DQ』というタイトルを使って、MMORPGというジャンルを日本でメジャーにできなかったら、もうこのジャンルは普及しないのではないだろうか」と思うほどの決意も持っていたとも述べた。1作目の『ドラゴンクエスト』は、日本にRPGというジャンルを定着させたが、それと同じことを、『DQ』シリーズの第10作目でやろうと決意したという。

『ドラゴンクエストX』の開発コンセプト

 セッションの序盤から「MMORPGは日本で普及していない」と述べられてきたが、はたして本当に普及していないのだろうか? その点について、藤澤氏は「根拠となるかどうかはわかりませんが、参考程度に」という前置きをしつつ、データを用いて解説した。

・日本のゲーム市場は、世界市場のおよそ14%である(『ファミ通白書2013』調べ)
・世界最大のMMORPG『World of Warcraft』は、瞬間最大有料プレイヤー数が世界で1200万人だった
・日本の有料プレイヤー数を14%とした場合、1200万人×14%=168万人となる
・つまり、日本国内で168万人くらいの有料プレイヤーを見込めるなら、普及していると言えるのではないか
・しかし、現在の日本にはそういったMMORPGは存在しないため、普及しているとは言い難いのではないか

 ここで見かたを変えて、なぜ『DQX』は“そこまで遊ばれていないのか”を考えてみたい。『DQX』がMMORPGだと発表されたあと、“『DQX』を遊ばない理由”として、藤澤氏がよく聞いた言葉があるという。それが以下の3つで、藤澤氏はそれぞれ“制約”と捉えており、対応策も合わせて解説した。

<『DQX』が遊ばれない“3つの制約”>
・「Wiiがないんだよね……」 ⇒“環境的”制約
・「月額課金がなあ……」 ⇒“金銭的”制約
・「私はオンラインゲームはやらないんです」 ⇒“心理的”制約

 まず環境的制約についてだが、Wii自体は非常に普及したハードではあるものの、開発の手離れが遅れてしまったこともあり、Wii本体を手放してしまった人、片付けてしまった人などが多かったのではないかと分析。また、Wiiは“リビングに設置してみんなで遊ぶハード”であるがゆえ、「ガッツリとMMORPGを遊べる環境にWiiがない」という話もよく聞いたという。

 『DQ』シリーズには、「なるべくプレイヤーにハード的な負担をかけない」という理念がある。言い換えれば、「もっとも普及しているハードで提供する」ということにつながる。一家に1台くらいはパソコンがあるこのご時世、Windows版『DQX』の発売(2013年9月26日発売予定)も、時代に合わせた対応策のひとつというわけだ。なお、現在Windows版『DQX』はベータテストの最中だが、それが終了したあとは、製品版にキャラクターを引き継げる“先行体験版”の準備もあるとのこと。

 ふたつ目の、金銭的制約について。「月額課金で運営する以上、できることは限られています。でもその中で最大限の工夫をする」という信念のもと、定額&割安の料金設定にしたという。オンラインゲームに料金を支払う形態としては、定額制または従量制が一般的だが、そのどちらがいいのかは状況にもよるが、「当時、定額のほうが安心という風潮があったため、定額制を採用しました」と語った。料金については、一般的なMMORPGの場合、定額制でも月額1200円~2000円ほどかかるところを、1000円という価格に設定。これは、“Wiiポイント”の最低購入単位である1000円に合わせたのが理由。また、“キッズタイム”という課金なしで遊べる時間帯を設けることで、お小遣いの融通が利かない子どもでも遊べるような配慮がされている。

 そして「今日、もっとも言いたかったこと。私を一番悩ませている言葉」と藤澤氏が語ったのは、「私はオンラインゲームはやらないんです」という、3つ目の心理的制約について。仕事柄、いろいろな人と話す機会がある藤澤氏は、「『DQ』シリーズは好きだけど、『DQX』はやらないんです」と話す人に対して、「なぜですか?」と問いかけるそうだ。そうして得た“答え”を、藤澤氏は大きく3つに分解。

<『DQX』を遊ばない人たちのおもな理由>
・「なんだか難しそう、面倒くさそう」
・「人といっしょに遊びたくない」
・「ゲームをやめられなくなる恐怖」(依存してしまいそうな恐怖心)

 この3つの答えは、MMORPGに対する世間の“悪い印象”そのものだと語った藤澤氏は、「これを解決しないことには、日本人に向けたMMORPGなど到底作れない」と考え、攻略に乗り出す。

<MMORPGの“悪い印象”に対する攻略>
・「難しそう、面倒くさそう」と感じる人に対して ……「いつもの『DQ』と同じです」と言えるゲームにすること
・「人といっしょに遊びたくない」と思っている人に対して ……ひとりでも遊べるゲームにすること
・「ゲームをやめられなくなる恐怖感」を抱いている人に対して ……依存化しないゲームデザインにすること

 藤澤氏は、「この3つの攻略が、すなわち“日本人向けMMORPG”を作るために必要なものであり、この言葉をそのまま『DQX』の開発コンセプトとしています」と語った。

<『DQX』の開発コンセプト>
・いつもの『DQ』と同じ
・ひとりでも遊べる
・依存化しないゲームデザイン

 ここで、開発コンセプトに従ってゲーム開発を行ってきたという実例を、映像を交えて解説した。まず、「いつもの『DQ』と同じ」というコンセプトに関しては、画面上の情報を最低限にすること、コマンドメニューも従来シリーズと同じ“2列×4段”の形にすること、バトル中の画面もシンプルにすること、などが挙げられた。中でもコマンドメニューについては、堀井雄二氏の強いこだわりがあったとのこと。また、『DQX』開発初期段階で、最終目標として作られたバトルシーンのムービーも公開され、そこから開発が進むにつれ、極限までシンプルに洗練されていった様子が伺えた。

▲“見せるべき情報”を限界まで減らし、難解そうなイメージを排除した『DQX』のゲーム画面。
▲開発初期に作られたバトルシーンのイメージムービー(左)と、現在の『DQX』のバトルシーン(右)を比較。イメージムービーでは、テキストログやマップ、呪文の“詠唱ゲージ”など多彩な情報が表示されているが、現在の『DQX』のバトルシーンにそういった面影はなく、いたってシンプルにまとめられているのがわかる。

 さらに「いつもと同じ」についてもう1点、「エンディングまで遊んで終わりでいい」という方針を立てているとも語った。『DQX』は製品版が発売されたとき(1度もアップデートを経ていない状態)から、エンディングまでの全シナリオが実装されていた。MMORPGに詳しくない人からすれば「当たり前でしょ?」と思われるかもしれないが、多くのMMORPGでは、ストーリーやコンテンツは後から足されていくもの、というのが一般的。しかし『DQX』はそんな“常識”に捉われなかった。ひとりで遊んで、エンディングを見て、終わり。「そんな遊びかたを肯定したかったんです。オンラインゲームだからエンディングはちょっと待って、とは言いたくなかった」と藤澤氏。

 続いて、ふたつ目のコンセプト「ひとりでも遊べる」について。一般的なMMORPGは、ほかのプレイヤーとパーティを組んでバトルを行うものが多い。『DQX』も4人1パーティでのバトルシステムとなっているが、AI動作するNPC“サポート仲間”のシステムを搭載することで、ひとりでもパーティバトルが楽しめる仕組みになっている。サポート仲間とは、“ログインしていないほかプレイヤーのキャラクター”を、AI動作する仲間として借りられる、というもの。ひとりで遊ぶときだけでなく、たとえば友だち2~3人でパーティを組む際に、足りないひとりをサポート仲間で補充する、といった柔軟な活用法もある。

 3つ目のコンセプト「依存化しないゲームデザイン」について。この依存化に関しては、“オンラインゲーム依存症”が社会的な問題になっていた背景もあり、堀井雄二氏も相当気にしていたようだ。「そういったプレイヤーを『DQ』から生み出したくない」という考えから出てきたアイデアは後述するが、いずれも“ゲームをプレイしていない時間にメリットが生じるシステム”であることに違いはない。

 まず、先ほども出てきた“サポート仲間”のシステムがそのひとつ。自分のキャラクターをサポート仲間として冒険者の酒場に預け、ほかのプレイヤーに自分のキャラクターを借りてもらうことで、遊んでいない時間でも経験値やゴールドが稼げる、というシステム。遊んでいないときでも、ほかの誰かが自分のキャラクターを育ててくれるわけだから、好きなタイミングでプレイを休むことができる、という寸法だ。

 そして、『DQX』を印象付けるもうひとつのシステムが、“元気玉”。これは、“遊んでいない時間”(ログアウトしている時間)が溜まることで、元気玉というアイテムと交換できるシステム。『DQX』では、“遊んでいない時間”のことを“元気チャージ”と呼んでいるが、元気チャージ22時間につき、元気玉1個と交換できる。元気玉を使用すると、モンスターを倒した際の獲得経験値やゴールドが、30分間2倍になる。たとえば、平日はあまり遊べない社会人でも、溜まった“元気チャージ”で元気玉をたくさん交換し、週末に一気にレベルを上げる、といった遊びかたが可能になる。

 また、「遊ぶことが“義務化”しないゲームにする」という点も、「依存化しないゲームデザイン」というコンセプトに含まれる項目のひとつ。その例として藤澤氏は、以下の2点を挙げた。

<“義務化”させないための工夫>
・レベル差がある人ともいっしょに遊べるようにする
・毎日遊ぶことで倍率が上がるような仕組みにしない

 MMORPGでは、「レベル差が大きい人とはいっしょに遊びづらい」という状況がしばしば起こり得る。その理由は、モンスターを倒した際に得られる経験値の計算式を、“モンスターと自分のレベルの相対差”から求めるゲームが多いことにあると藤澤氏は解説。『DQX』の場合、モンスターが持つ経験値は“絶対値”となっており、“自分のレベルに応じてパーティメンバーで経験値を分配する”という方式を採用している。「もちろん、レベルが高い人と低い人が組んだ場合は、レベルが低い人のほうが経験値は少なくなりますが、それでもいっしょに遊べなくなることはない、というあたりを突いています」とのこと。

 また、「毎日ログインしてもらうことでゲーム離れを防ぐという狙いで、倍率が上がっていくような仕組みを採用しているゲームも多いですが、『DQX』では一切導入しないということにしています」とも語った。

 この2点の工夫を取り入れることによって、「毎日遊べないことで、ほかのプレイヤーに遅れを取ってしまうかもしれない」という危機感や、「友だちとレベルが離れてしまい、いっしょに遊べなくなるかもしれない」という恐怖心の緩和を実現していると言えそうだ。

懸念点を消しただけでは、ゲームはおもしろくならない

 さて、『DQX』の開発コンセプトについて詳しく解説してきた藤澤氏だが、「ここまでは、“懸念点を消しましょう”という話なんです。でも、それだけではゲームはおもしろくならないんですよね」と、バッサリ。ここからは、“どうやってゲームをおもしろくしていくのか?”という主題に移っていく。懸念点を解消したうえで、“オンラインゲームとしての楽しさ”をきちんとプラスしていくことが重要と話す藤澤氏。では、『DQX』における“プラス”とは?

【1】自分のキャラクターが、“人間ではない”種族である
 『DQX』には、人間のほか、タイトルにもある“五つの種族”が登場する。ここで藤澤氏は、「すでに矛盾を感じている方がいるかもしれません。いつもの『DQ』と同じではないじゃん、と。確かにそうです。こういった“いつもと違うこと”に対しては、(開発スタッフ内で)徹底的に議論を行いました」と語った。

 藤澤氏は当初、「『DQ』の主人公は人間であるべき」と主張しており、主人公が“五つの種族”であることに猛反対したそうだ。しかし堀井雄二氏や齊藤陽介氏の強い意向もあって、最終的には、主人公は“人間”と“他種族”の両方の姿を持ち、それがストーリーに深く関わってくる、という方向性で落ち着いたとのこと。これによって、オンラインゲームならではの“さまざまな種族がいる世界観”を描きつつも、自分は人間だという“『DQ』らしさ”も維持することができたのだという。

【2】バトルがリアルタイムで進行していく
 これまでの『DQ』シリーズと言えば、“コマンド選択式のターン制バトル”が伝統だった。しかし『DQX』のバトルは、コマンド選択式でこそあるが、リアルタイム制である。ここでも藤澤氏は、「従来通りのバトルにするべき」と主張し、リアルタイム制に猛反対したそうだ。しかしここでも【1】と同様、堀井雄二氏らの強い意向があって、最終的には納得したとのこと。ただ、転んでもただでは起きない藤澤氏は、「何をプラスしようか」と考えたそうだ。

 「リアルタイムで動くバトルというのは、“誰が”、“何をした”という状況の把握がとても難しいんです。結果的には、テキストログから情報を得る、“テキスト依存型のゲーム”になってしまうことが多ので、そうではなく、実際に目の前で展開されていることが“見た目”で把握できるバトルにしたい、ということを思いました」。

 この考えから出てきたアイデアが、“移動干渉バトル”だったそうだ。ここで実際の『DQX』のバトルシーン動画を出しつつ解説。移動干渉バトルとは、キャラクターがモンスターを“押す”ことができるシステムのこと(もちろん、モンスターに“押される”こともある)。これによって、戦士などの前衛役が文字通り“壁役”となってモンスターの進路を塞げば、僧侶や魔法使いといった後衛への攻撃を阻止できる、といった戦術が可能になる。また、「オンラインゲームのシステム構築をしたことがある方ならわかるかもしれませんが、(移動干渉バトルは)技術的にものすごく難度の高いことでして、『DQX』の開発の中でも非常に苦労しながら実現したシステムです」と付け加えた。

【3】人とのコミュニケーションの楽しさ
 ひとりでも遊べるとはいえ、『DQX』はMMORPG。「ほかのプレイヤーがいるからこその楽しさも、ちゃんと実現したい」。そう思った藤澤氏がまず考えたのが、“キーボードなしでもコミュニケーションを取れる配慮”だったそうだ。『DQX』では、ほかのプレイヤーがバトルしている際に、近くで“おうえん”コマンドを使ってその人を応援することができたり、“ジャンプ”でちょっとした意思の疎通を図れたりと、チャットを介さない気軽なコミュニケーションが可能になっている。また、どうしてもチャットを使わないといけない状況になった場合でも、登録されたテキストをコマンドから呼び出せる“よく使うセリフ”で対応可能になっている(登録テキストは自分で自由に書き換えられる)。

 チャットに関してさらにひとつ。『DQX』のチャットは、小さな子どもがプレイすることにも配慮し、“安心・安全”という面に徹底的にこだわっているという。その一例が、“相互認証がない状態での、1対1チャットの禁止”だ。大抵のオンラインゲームには、 “Tell”あるいは“Whisper”と呼ばれる1対1チャット用のコマンドが用意されている。しかし『DQX』の場合、「それができたほうが便利なのは間違いないですが」という前提のもと、あえてフレンド登録している相手としか1対1では話せないようにしているとのこと。これによって、「見知らぬ人からいきなり自分個人宛てにチャットが飛んでくる」といった状況は起きない仕組みになっている。

従来のオンラインゲームを超える“遊びやすさ”の追求

 楽しさだけではなく、“遊びやすさ”への追求も『DQX』の大きなこだわり。その具体例として挙がったのが、“いっしょに遊ぶ機会を失わせない配慮”だ。「多くのオンラインゲームでは、サーバが違う人とはいっしょに遊べません。ですので『DQX』では、“サーバの移動を自由にする”ということを、最初に決めました」。たとえば、あとからゲームを始めたプレイヤーが、先行して遊んでいる友だちと違うサーバで遊んでいたとしても、いつでもサーバを行き来して合流できるということ。「さらに言えば、ゲームデザインのうえではたいへんな部分でしたが、“世界はひとつ”ということで、別サーバにいるキャラクターともパーティを組めるし、チャットもできるようにしました」と話を続ける藤澤氏。ちなみに、“大規模MMORPGでありながら、ひとつのワールドでゲーム世界を実現させた”ということで、『DQX』は本年の“CEDEC AWARD”ネットワーク部門にノミネートされている。それほど、技術的に難度の高いことをやってのけているというわけだ。

発売から1周年を迎えて

 さまざまな願いを込めて完成した『DQX』は、2012年8月2日に発売され、早くも1年が経過した。ここからは、発売後の話題が中心となっていく。発売直後、実際に遊んだプレイヤーから寄せられた意見の多くは、「思った以上に『DQ』だった」、「本当にひとりで遊べる」、「短時間しか遊べない社会人でも楽しめる」といった好意的なものだったそうだ。

 しかし、運営側としては、想定外の問題も数多く発生していた。どのオンラインゲームでも、サービス開始初期や大型アップデート後などに発生しやすい問題として挙げられるのが、“想定を超えるプレイヤー数が殺到したことによって発生する諸問題”だろう。ある種、人気のバロメータとも言える問題ではあるが、『DQX』も例外ではなかった。サービス開始当初は、連日の緊急メンテナンスや、プレイヤーで溢れ返ったサーバを緩和するため、サーバ数を急きょ2倍(20→40)に増設するといった対応に追われていた。藤澤氏は、「非常に申し訳ない気持ちでの船出となりました」と当時の心境を述べた。

 続いて、“プレイヤーといっしょに世界を作っていく”というテーマについて。オンラインゲームは、プレイヤーが遊んでいる中で、同時に開発を続けていくもの。「開発側が思ったことだけをやるのではなく、プレイヤーの方々からご意見をいただきつつ、開発を進めていきます」。『DQX』では、公式プレイヤーサイト内に“提案広場”という場を設けており、そこでプレイヤーからの意見を受け取れるようになっている。そういった場を用意したことでうまくいった事例として藤澤氏が挙げたのは、“モンスターの狩場が集中しすぎる問題”の改善。少し前の話になるが、提案広場に“モンスターの狩場集中問題”の改善要求が多数寄せられたそうだ。強さの割に経験値が高いモンスターや、ドロップアイテムが高値で売れるモンスターなどに人気が集中するのは、ある意味しかたのないこと。とはいえ、それで狩場が大混雑すれば、プレイヤーのストレスは溜まる一方となる。この問題について藤澤氏は、寄せられた意見を参考にしつつ、以下のような対応策を実施した。

<狩場集中問題への対応策>
・モンスターの経験値データの見直し ……突出した“おいしいモンスター”を生み出さないための調整
・強い敵と戦うことで“強敵ボーナス”を得られるシステムの追加 ……より強い敵と戦ったほうがお得になるシステム
・同一モンスターを100匹倒すことで“ちいさなメダル”がもらえるシステムの追加 ……ターゲットとなるモンスターを巡回させるためのシステム

 上記のような対応を行った結果、現在では極端に1ヵ所の狩場が混雑する、という状況は減ったとのこと。藤澤氏は、「ご意見をいただける方というのは、『DQX』に対する熱量も高い方が多いです。ただ、簡単に見えてもじつは技術的に難しい問題ですとか、運営側が進めていきたい方向性とは異なるものですとか、解決できることはとても少ないのですが、毎日届くご意見を見ながら、開発は進んでおります」とし、今後もプレイヤーとともに“世界を作っていく”ことを述べた。

 改善例のあとは、「この1年間の中でいちばん記憶に残っている」と藤澤氏が語る、“運営における失敗例”の話題。事の顛末はこうだ。

<運営における失敗例>
・(藤澤氏の)連絡・確認ミスから、ゲーム内で想定を超える“名声値”が得られるようになっていた。
・得られる名声値を、本来想定していた数値にマイナス修正した
・修正前に名声値を得たプレイヤーのデータは、マイナス修正しなかった
・プレイヤーから非難の声が殺到した

 「当時はまだ“名声値”がゲーム進行に及ぼす影響度が低かったため、あとから時間をかけて名声値の帳尻合わせをしていく、という方法を考えて、こういった対応をしました。ただ、それでプレイヤーの皆さんからたくさんのお叱りをいただきました」。そんな状況の中で藤澤氏が再度取った対応策は、以下の通り。

<実施した対応策>
・“想定外”だった状態(不具合があった状態)に戻し、すべてのプレイヤーが等しく名声値を得られる状態にした
・特定のプレイヤーが有利にならないよう、データをプラス修正した
・プレイヤーに謝罪し、不具合に至った経緯を説明した
・将来的に名声値がゲーム内でどう利用されていくのか、というプランを開示して、理解を求めた

 「これは完全に私のジャッジミスです」と当時を振り返りつつも、「しかし、ここからいくつか学んだことがありました」とも語った藤澤氏。名声値問題の根底にあったのは、“情報不足からくる不安”だったと藤澤氏は分析した。「名声値がゲームに及ぼす影響は低かったと述べましたが、それはあくまで“開発側の理屈”。私たちは、“それ”の影響が低いことを知っていますが、遊んでいる方にはわからない。将来的に帳尻を合わせると言っても、どう合わせるのかもわからない。だから不安になるんです」。さらに、「見えていなかった問題点として、“情報公開”にかける労力の配分が、十分ではなかったこと」も挙げた。藤澤氏は現在、開発&運営ディレクターとして、その両方の責任を担う立場にいる。「開発にこれくらい」、「運営にこれくらい」と、パワー配分を自分で決めなくてはいけない立ち位置にいるわけだが、プレイヤーにきちんと理解してもらえるだけの“情報公開”には、パワーをきちんと配分できていなかった。それに気づかされた藤澤氏は、情報公開の“機会”と“質”を改善することに注力したとのこと。

<情報公開の“機会”と“質”の改善方法>
・“中長期的展望”の公開
・定期的なメッセージ配信“開発・運営だより”
・説明が必要な修正には“ディレクターコメント”を付けて、詳しく解説する

セントラルクエスチョンの“答え”

 セッションはいよいよ佳境に入る。発売されて1年が経過した現在、毎日25万~30万程度のユニークプレイヤーが、『DQX』の世界で遊んでいるとのこと。「もともと『DQX』は、『DQ』が好きな人たちのテーマパークになればいいなと思って開発したゲームです。徐々に、そういうものになりつつあるのかなという実感は、最近になってようやくつかめてきました。最初は“オンラインゲームはいやだな”と思って始めたのですが(笑)、こうして皆さんに楽しんでいただいている様子を見ると、作ってよかったと思うようになりました」。大勢のプレイヤーたちに感謝の意を述べた藤澤氏は、いよいよセッション冒頭で話したセントラルクエスチョンの“答え”に迫る。

 「“『DQ』はなぜ挑戦するのか?” あくまで私個人の考えなので、正しいかどうかはわかりませんが、ゲームというものは、形式美を尊重する古典芸能ではない、と思っています。時代に合わせて、つねに新しいことに挑戦し、“存在するための選択肢”を増やしていかなければ、たとえ『DQ』であろうとも存在できなくなるという危機感を持っています。ゆえに『DQX』は、これまで挑戦を続けてきましたし、今後も続けていくだろうと思っています」。

『DQX』のいままでとこれから

 セッションの終了時間が迫る中、藤澤氏はここまでの総括を述べた。

 「1作目の『DQ』が出てから、今年で27年になります。その歴史の初期段階では、あまり極端な変化をするタイトルではなかったように思います。ですが『DQVIII』からここ10年は、大きな挑戦を続けていまして、毎回ムチャなんじゃないかと思うようなことをやってきています。それはそれでいいことだと思っているのですが、だからこそ実感としてあるのは、“新しいことをやるのはたいへん”ということです。世の中から叩かれたり、挑戦自体を笑われたり、そもそも相手にしてもらえなかったりと、そういった目に何度もあってきました。ですが、いまは挑戦してよかったと思っています」。

 藤澤氏はさらにこう続ける。「このセッションの最初で、“『DQX』は世の中に歓迎された出来事ではなかった”という話をしました。そんな中で、Twitterでこんなツイートをされていた方がいたので、ご紹介したいと思います」。

 そして紹介されたのは、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズなどでおなじみのゲームデザイナー・桜井政博氏のツイートだった。日付は2011年9月6日(※厳密には9月5日の深夜)。『DQX』がMMORPGであるという発表が世間になされた直後にあたる。桜井氏は、「オンラインと聞いて、従来型の『ドラクエ』の方がいい、と言う人は少なくないかもしれません」と前置きしつつも、「しかし」と言葉を続けている。

 “進歩や変化や突然変異に寛容な、あるいはそれを当然とみなすゲーム業界でないと、同じ場所で足踏みするばかり”

 桜井氏は「私は超楽しみです」と、ツイートを締めくくっている。藤澤氏がこの桜井氏の発言を紹介した真意はどこにあるのか。ゲーム業界全体の発展を願う人間のひとりとして、またゲーム開発者のひとりとして、この姿勢をつねに忘れてはならないという思いを伝えたかったのではないだろうか。

セッションの終わりに

 セッションの最後に、藤澤氏はこれからゲーム業界を担っていくであろう大勢の受講者たちに向け、こんな言葉を残した。

 「自分の個人的な感想ですが、CEDECというこの場に、私は賛同しています。ですが、4~5年くらい前でしょうか。“CEDECは大丈夫なのかな?”と心配したことがあります。それは当時、“北米市場に対して、どういったゲームを作ったら売れるのか?”みたいなことがしきりに語られていた時期がありまして、市場を読むことがいけないとは思わないのですが、“そのために何を作るか?”ということまで踏み込んで話してはいけないと思うのです。なぜかと言うと、“自分がおもしろいと思っているか?”という部分が欠落しているからです」。

 「いまから17年くらい前になりますか。ある日本のゲームが、世界のゲーム市場を席巻したことがあります。──『ファイナルファンタジーVII』。あのゲームは、市場を読んで作られたゲームではなく、開発している人たち自身が“これは本当におもしろい”と信じて作ったものを、ただ市場が受け入れたんじゃないかと、私は思っています。世界市場は、私たちが思っている以上に、新たしい挑戦や新しいおもしろさに対して、寛容なはずだと思います」。

 「私は、今日のこの講演の最後に、皆さんにこういう言葉をお伝えしたいと思います」と、セッションの締めに入る藤澤氏。そして会場のスクリーンに映し出された言葉は──。

 “新しいこと”をやろう

 「私たちゲーム開発者が、ゲーム作りに行き詰まったとき、最後に唯一信じていいのは、自分の中にある“おもしろい”というインスピレーションだけ。なので、それを信じて、“新しいこと”をやりましょう。人から笑われたり、失敗することも多いです。でも、みんなでやれば、誰か“当たり”ます。みんなで新しいことをやって、日本のゲーム市場から生まれる“当たり”をたくさん増やしていって、日本のゲーム業界を盛り上げていけたらいいなと思います」。

 日本にMMORPGを定着させることができるのか? その大きな挑戦が成功するかどうか、『DQX』がひとつの“カギ”を握っていることは間違いないだろう。そのブランド力の強さ、市場に及ぼす影響力の強さゆえ、「失敗のリスクを負ってまで勝負しなくてもいいじゃないか」と思う人がいるかもしれない。しかし、国産RPGの王者として君臨しつつもチャレンジャーたる姿勢を崩さない、藤澤氏を始めとした『DQX』開発スタッフ陣に、会場からは大きな拍手が送られた。