ミンゴスがファンの前で本音をぽろり

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 2013年7月28日(日)、神奈川県のアニメイト横浜にて、声優、そしてアーティストとして活躍する今井麻美さんの11枚目のシングル『星屑のリング』の発売記念イベントが開催された。秋葉原でのイベントから始まり、今回のイベントの前日には大阪でもイベントをこなしてきた今井さん。TOKYO MXで放送中のテレビ番組『Anime-TV』の取材も入っていたためか、この日はトークでファンとおどけつつも、制作の裏話や今後のアーティスト活動についてガッツリと語る内容となった。

 イベントの冒頭では、前日の大阪イベントの朝に寝坊をしたため、着替えに1分かけないほどの超特急で支度をして大阪に向かったというエピソードで会場を沸かせた今井さん。そんなおもしろエピソードを披露したかと思うと、11thシングル『星屑のリング』については、自慢のCDに仕上がったと自信を覗かせる。自身がどんな歌を歌っているのかを、最近今井さんのことを知った人にも伝えられる、名刺的な1枚になったと太鼓判を押す。さらに、楽曲に関しては表題曲の『星屑のリング』が、劇場でも公開されたオリジナルビデオアニメーション『コープスパーティー Tortured Souls -暴虐された魂の呪叫-』のオープニング主題歌に起用されていることに触れ、「私が歌えたというのはうれしかったですね」と喜びを噛み締める。劇場で実際に自身の歌が流れているのを観に行った際には、ちょっと奮えたそうで「こういう機会がこれからも増えたらいいなと思うんですけども!(笑)」と、自身の音楽プロデューサーである濱田智之さんの顔をジッと見据えながら、大きな声でその想いを伝え「ついつい心の声が暴走しちゃったみたいで(笑)」と笑う。

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▲リハーサルの様子。
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 また、今回のCDが3曲入りのCDであったことも、今井さんにとっては「贅沢だなーって思った」と語る。というのも2曲では、始まりの曲と終わりの曲、という形になってしまうが、3曲ならちょっとしたミニアルバムのように、自分の好きな流れをCD1枚の中で作り上げられるからなのだと言う。そして前作の『Dear Darling』に続いて3曲入りのCDとなり、曲も溜まってきたからか「いつか4枚目(のアルバム)がね……」とアルバム制作についての意欲をポロリとつぶやいた今井さん。しかし「あ……この話はやめましょうか。(濱田プロデューサーを見ながら)向こうから圧力が(笑)」と語り、“4枚目のアルバム”については、この時点では多くを語られることがないまま、会場のファンからの質問コーナーへと進行していった。

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 質問コーナーでは、“衣装についてのこだわり”や“4枚目のアルバムが出せるとしたらどんなものにしたいか?”、“今井さんのライブでのサポートバンド“+A”のメンバーから、作曲をお願いするとしたら誰にお願いしたいか?”、“『星屑のリング』をこれまで歌ってきて収録のときと変わったことはありますか?”といった濃い内容の質問が飛び交う。

 衣装については、最近はライブの衣装も担当している、園山織衣さんによるオーダーメイドが多くを占めており、今井さん自身、その芸術性に惚れ込んでいるという。今井さんは、曲の世界観を作り上げるうえで、衣装も非常に重要な割合を占めていると感じているそうで、会話の中で今井さんが語っていたイメージを濱田プロデューサーが汲み取り、衣装を担当する園山さんと打ち合わせをして、衣装のほか小物に至るまで特注で制作しているとのことだった。

 続く“4枚目のアルバム”については、あくまで“もし出せるとしたら”という過程で話を展開。『COLOR SANCTUARY』、『Aroma of happiness』、『Precious Sounds』と3枚のアルバムで、人間の五感を表現してきた今井さんは、「自分の中では昇華できたんじゃないかと思ってすごく達成感があったんですよね」と語る。そして『Precious Sounds』完成後から、いつ4枚目の話が来ても備えられるように、どんなものを作ろうかずっと模索していたという。そんな中、アルバムの表題曲について、「表題曲はそれを聴いただけで“私”だということがわからないとダメだと感じていた」という今井さんは、自分とは何かをつねに自問自答し続けたとのこと。そして、4枚目のアルバムを作るとしたら「これを実現したい」と思ったことというのが、“日本語のタイトル”。これまでのタイトルは、すべて横文字のタイトルとなっており、それは今井さん自身、表題曲であり、アルバム全体を表すものとして横文字にしたほうが懐が深く、作品に対してもぴったりだと感じていたからだと経緯を語る。しかし前3作でひとつ区切りがついたことで、つぎは“日本語のタイトル”と強くイメージするようになったという。それは日本人として生まれて、日本語がすごく好きだという今井さんが、声優と歌手という職業の中で「歌詞を自分の中で消化して表に出すという作業がすごく好きなんです。言葉をかみしめて表に出すということが私の仕事だと思っているから、それをなまけちゃいけない」とつねに感じているからなのだとか。今井さんは「もし4枚目のアルバムをリリースできるとしたら、等身大の自分を表現したいなと思っています」と、まだ見ぬ4枚目のアルバムに想いを馳せた。

 また、作曲を頼みたい+Aメンバーについては“しかばねちゃん”こと、宮地夏海さんを指名。すでに作曲も作詞も担当したことがあるキーボード担当の“たまちゃん”こと花岡環さんと3人で、先日、朝9時集合の女子会を開いたというエピソードから、仕事ではないときに顔を合わせるとふだんは見られない、いろいろな面が見えてきて「やっぱり不思議な人」だと感じたという今井さん。そんな宮地さんから、どんな曲が生み出されるのかが気になっている様子だった。そして、“『星屑のリング』をこれまで歌ってきて収録のときと変わったことはありますか?”という質問については、「発見はありました」と応える。『星屑のリング』を初披露したのは、自身のソロライブツアーの仙台公演。「そのときは切迫感があった」と語る今井さんは、「自分を追いつめる方向で作り込んでいたと思います。“苦しくて辛くて逃げ出したくて”という想いが強い歌いかたをしていたと思う」とコメント。しかし、その後「この曲は“希望”だったり、“温かみ”を感じさせなければいけない」と収録をしたときよりも強く感じたという今井さんは、そんな“温かい印象”を各所で歌い継いでいくなかで意識して歌に込められるようになったと語り、「そういう部分も皆さんに届けられたらなと思います」と締める。

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 そんなエピソードを披露してからのミニライブコーナーでは、『星屑のリング』からどのようなイメージを感じ取れるのか、期待感が高まる。さっそく披露された『星屑のリング』では、楽曲のイメージカラーである黄色と白のサイリュームが会場に広がるなか、今井さんの迫力のある歌声が響き渡る。話題に上がっていた切迫感を肌で感じるほどの歌声は、曲の世界観を表現していくうちに、徐々に温かみを帯びたものに変化し、会場に浸透していく。最後は満足げな笑顔を見せた今井さんは、直前に同曲の話をしていたため、自身のハードルが上がってしまったことを意識していたようで「やっべ! 集中して歌ったらお腹空いちゃった(笑)」と、それまでとは別人のような笑顔を見せ、会場の笑いを誘った。

 続いては『Tender Is The Night』披露。さきほどよりもより明確に温かさのこもった包み込むような歌声で、微笑みながら同曲を歌い上げると、会場のファンもその歌声に聴き入る。途中、星空を見上げるように歌うなど、身振り手振りでも曲の世界観を表現した。ゆったりとした時間が流れた後は、サイン入りポスターの当たるジャンケン大会に突入。ジャンケンの勝者3名にサイン入りポスターが渡されると、最後の曲『路地裏のプラネタリウム』へ。「手拍子が合う曲なので、もしよかったら皆さんもやってください」と今井さんがファンに語りかけると、これに会場も呼応しクラップ音が会場に鳴り響く。その様子にうれしそうな笑顔を浮かべると、楽しそうに『路地裏のプラネタリウム』を歌う今井さん。曲の中の主人公を演じるようにネクタイを放り投げる仕草を見せるなど、曲が描き出す世界観を歌声と演技で表現した。

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 今井さんは会場のファンが、1番では手拍子が少しずれていたものの2番できっちり修正してきたことに驚きを隠せなかった様子で、曲を歌い終わるなり「みんな打ち合わせとかしてないよね? すごいねー(笑)」と笑顔で語る。そして『星屑のリング』の発売記念イベントも今回が最後ということで、今後の自分の活動についてマジメに話しながら帰ろうかな、と今井さんは提案。以下は今井さんによる独白。「ソロ活動を初めてからずいぶん経って、いまではホントに私の中で欠かせない仕事のひとつというか。この仕事をいま取り上げられてしまったら私はたぶん路頭に迷っちゃうと思うんです。もちろんそれ以外の仕事もありますから、ほかのお仕事をがんばって目標を変えるということもできるかもしれない。みんなは私のことをどういう風に思っているのかわからないですけれど、(中略)自分は人一倍自分のことが好きじゃなくて、自分っていう人間が生きていくうえでどういうことをしていくのかが、まだ漠然としかわからなかったりするんです。もちろん楽天的なところもあるので、あまり思い詰めたりすることもないんですけれど、でもふと何かのきっかけで自分を見失ってしまうことが、こんな私にでもあるんですよね。でも、そういう不安定な部分があるからアーティスティックな活動ができるのかなって少し前向きに捉えたりもしています。つねにつねにポジティブ志向で、というやりかたもあるのかもしれないですけれど、私に合っているもの、私に表現できるものは、“少し不安定な部分”というのもあるのかなって思います。(自分を見失って不安定になったとしても)自分ひとりでどうにかできることももちろんあります。寝たら復活できることもあるんですが、復活できないときもあるんですよね。そういうときに“自分は歌が歌えるんだ”ということが大きな支えになっていると思うんです。私のまわりにいる、私を支えてくださっているスタッフさんにちょっと愚痴を言って迷惑をかけてしまうこともありますけれど、そういうのを受け止めてくれる仲間がいて、自分は歌を歌えるんだということを思うと、私は本当に幸せだなって思います。あっち行ったり、こっち行ったりしながら、歌を歌ったりなんだりと、これからもいろいろなことをしていくと思いますけれど、まぁ基本はこんな感じですから(笑)、皆さん生暖かく見守ってもらえたらうれしいなっていう風にホントに心から思っています。アルバムを3枚出して、自分の中で一度完結したところで、ここからさき音楽をどういう風に捉えていくかというのが、私の今後、そして真価の問われてくるところだと思っています。全力で立ち向かって、皆さんにお届けできたらいいなって思っています」。

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▲大阪イベントの際に「今井さんはいつも変だ」という声が上がったことを話題に上げ、「私、そんなイメージ!?(笑) 意外と傷つきやすい乙女心なんですよ。ガラスハートなんで、言葉には気をつけてくださいね(笑)」と語る今井さん。

 そして「4枚目のアルバム……出るといいですね(笑)」と語った今井さん。2013年8月28日に発売予定のBlu-ray『今井麻美 Music Video Collection 2009~2012』に収録されている音声特典のオーディオコメンタリーについて、「ぜひ皆さんに聞いていただきたいんですよね。“物を作るとはどういうことなのか”ということを、少し垣間見れると思います。作家さんといっしょにラジオのごとく語り合っていますので、ぜひぜひぜひこちらもチェックしていただければ!」と力強くアピール。自身の想いを伝え切り達成感に満ちた表情の今井さんは「退場の曲をかけてください!」と濱田プロデューサーに指示。元気いっぱい、駆け抜けるような去り際を想像していたものの、会場に流れたのはしっとりとしたバラード曲『Tender Is The Night』。この不意打ちに「これー!?(笑)」と最後の最後でうまくまとまらないのも、ご愛嬌。すかさず『路地裏のプラネタリウム』に曲が変更されたところで、元気いっぱいな笑顔を見せて、今井さんは会場のファンに手を振りながらステージを後にした。

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▲イベント終了後にパシャリ。
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▲今井さんがポスターに描いたイラスト。
▲『Anime-TV』用のコメント撮影も行っていた。
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▲関西だししょうゆ味のポテトチップスとともに。なぜ撮影したのかは不明。

■今井麻美さん11thシングル「星屑のリング」
発売日:2013年6月26日発売
価格:【DVD付盤】2310円[税込]/【通常盤】1680円[税込]
発売元/販売元:5pb./メディアファクトリー
予約先着特典:撮り下ろしB2発売告知ポスター
【収録内容】
01. 星屑のリング(OVA『コープスパーティー Tortured Souls ―暴虐された魂の呪叫―』OP)
作詞:夏 瞳 作曲:濱田智之 編曲:伊藤 俊
02. Tender Is The Night(PS3&Xbox 360専用ソフト『ディスオーダー6』ED)
作詞:漆野淳哉 作曲:桐岡麻季 編曲:酒井陽一
03. 路地裏のプラネタリウム
作詞:山科 蓮 作曲/編曲:山口和也
04. 星屑のリング(off vocal)
05. Tender Is The Night(off vocal)
06. 路地裏のプラネタリウム(off vocal)