目指すは全ハード制覇! 『MHF-G』が新たに2機種で展開!
現在、PCとXbox 360でサービス中のカプコンのオンライン専用タイトル『モンスターハンター フロンティアG』(以下、『MHF-G』)。好評稼働中の本作が、満を持してWii Uとプレイステーション3でサービスを開始する。サービス内容や、『MHF-G』独自の魅力について、プロデューサー・杉浦一徳氏と、ディレクター・木本龍己氏にうかがった。
『モンスターハンター フロンティア オンライン』サービス開始時より、運営プロデューサーを務める。現在は『MHF-G』プロデューサー。
木本 龍己(きもと たつみ)氏(写真右)
『モンスターハンター フロンティア オンライン』の立ち上げからタイトルに携わり、現在は『MHF-G』のディレクターを務めている。
Wii U、プレイステーション3でのサービス開始が決定!
――Wii U版、プレイステーション3版、の企画が動き出したのはいつごろでしょうか?
杉浦 Xbox 360版の開発が終わったあたりからだと思います。カプコンの強みを出すという意味で、ほかの家庭用ゲーム機でも『MHF-G』を出していきたい思いがありました。チャンスがあれば、さまざまなプラットフォームでの展開にチャレンジしたいな、と。
――2機種への移植ですから、苦労も多いかと思います。
杉浦 ゲームを移植するという点では、とくに大きな問題はありませんでしたね。それよりも、プラットフォームごとに、オンラインゲームを提供するための仕組みや作業工程が異なる部分がありますので、サービス開始後の運営やサポート、決済システムなどをどうするかという点において、苦労はしました。ただ、両プラットフォームとも、非常にやりやすかったと感じています。
――オンラインの仕組みや作業工程の違いとは、具体的にどういった部分でしょうか?
杉浦 たとえば、PC版ではすぐに直せる不具合でも、プラットフォームによっては、さまざまな工程を踏まなければいけない場合もあり、修正に時間がかかってしまうこともあります。Wii Uやプレイステーション3では、いざサービスを始めてみないとわからない部分もありますが、極力そいうことのないように努めます。
――現行のXbox 360版、PC版と合わせて、4つのプラットフォームでサービスを行うわけですが、チームの増員にも力を入れているのでしょうか?
杉浦 PC版だけだったときよりも、人数はかなり増えています。オンラインゲームでは、組織運営も非常に大事な部分です。私の仕事も、ゲームにがっつりと関わるよりも、組織を運営することや、チームのモチベーション維持に対しての比重が大きくなってきていますね。
――Xbox 360版、パソコン版とは別にサーバーを用意するのでしょうか?
杉浦 はい。プラットフォームごとに独立したサーバーになります。
――サーバーの数やユーザー数など、想定する規模はいかがでしょうか?
杉浦 Xbox 360版スタート時と同等の規模は想定しています。具体的には、Wii U版、プレイステーション3版のそれぞれでサーバーが1~2個ずつあるイメージですかね。ゆくゆくは、プラットフォーム内のふたつのサーバーを統合してプレイヤー間の交流を促進する、ということもあるかもしれません。
――どういったユーザーをターゲットにしているのでしょうか?
杉浦 各プラットフォームでオンラインコンテンツを楽しんでいる方に、気軽に遊んでほしいと思っています。
――いまや、ネットにつながっていることは当たり前と言っていいですしね。
杉浦 パソコン版をリリースした6年前とは、環境がだいぶ変わっています。現在、オンライン要素がないゲームも少ないですし、オンラインという垣根は非常に低くなっていると思います。ほかのゲームでオンライン要素を遊んでいる方は、『MHF-G』にも違和感なく、スッと入っていただけるのではないでしょうか。大事なのは、入ってきていただいたお客様に対して、その後に何を提供できるか、ということですね。月額料金やアイテム販売についても、それがどういうものなのか、価格に見合うものなのか、そういった説明はきちんとしなければならないと考えています。この考えは、以前から変わっていませんし、これからも守っていきます。
――ゲーム内容は、現行のPC版、Xbox 360版と同様になるのでしょうか?
木本 はい。まったく同じ内容を楽しんでいただけます。PC版では、秋に大型アップデート“G3”が実施されますので、Wii U版、プレイステーション3版は“G3”からのスタートとなります。それに加えて、各プラットフォームに備わった、独自の機能への対応も考えています。プレイステーション3版で言えば、トロフィー要素は実装されています。
杉浦 Wii U版は、はっきりとお約束はできないのですが、Wii U Gamepadやニンテンドー3DSを使って、ゆくゆくは何かおもしろいことができないか、前向きに検討しているところです。
――Wii U版に関して、Wii U Gamepadへの対応はどのようになっているのでしょうか?
木本 テレビとタブコンで表示する画面の切り替えが可能です。また、ヌンチャクでの操作は非対応ですが、Wii U PROコントローラーは対応しています。
『MHF-G』の魅力とは?
――これから始める人のために、『MHF-G』の独自の魅力についてお聞かせください。
木本 まずは、定期的に行われる大型アップデートにより"進化し続ける狩り"を楽しめるのが『MHF-G』の最大の特徴であり、独自の魅力だと言えます。アップデートごとに、新モンスターや新武器、新防具が追加されるほか、新たなコンテンツも増えて、毎回ゲームがガラッと変わります。また、『MHF-G』はオンライン専用タイトルですので、ゲーム内には全国から接続しているほかのハンターがいて、いっしょに狩りが楽しめます。その強みを生かし、ハンター同士の交流や共闘に特化したコンテンツが豊富にあるのも『MHF-G』ならではの要素です。
――『MHF-G』のみに登場する独自のモンスターが多いですよね。
木本 『MHF-G』では、オリジナルモンスターだけでも40種類以上、シリーズでおなじみのモンスターを含めると、全部で110種類以上のモンスターがいます。さらに今後もアップデートごとに、新モンスターが続々と追加されていきますのでつねに新しい狩りに挑戦できる楽しさがあります。
――メインビジュアルに描かれているモンスターは……?
木本 新たなスタートということで、新モンスターを用意しました。名前はまだ秘密ですが、この白い飛竜は、比較的低いハンターランクから狩猟できるようになります。また、ハンターが着用している装備は、パッケージ特典の武器と防具です。Wii U版とプレイステーション3版とで、それぞれ別の武器と防具が付いています。
――本作オリジナルの武器や防具には、どういったものがあるのでしょうか?
木本 独自要素のひとつに、“特殊リーチ武器”と呼ばれる武器があります。リーチが極端に長かったり短かったりと、狩りのスタイルや狩猟するモンスターによって、使い分ける楽しみがある点が魅力です。防具は、モンスター由来のベーシックなデザインのものから、個性的なものまでさまざまなデザインがあります。見た目を重視して防具を選ぶ楽しみもありますが、『MHF-G』では、最大で12個のスキルを発動することが可能なため、いかに有用なスキルを発動させるか、防具の組み合わせを試行錯誤するのも醍醐味のひとつとして楽しんでいただけます。
――オンライン専用ならではの、コミュニティー要素についてお聞かせください。
木本 ハンター同士でグループを組んで、“猟団”を結成することができます。猟団ランクを上げることで、専用の猟団部屋を利用できるようになったり、猟団専用のクエストが受けられるようになったりします。また、サーバー内の猟団がふた組に分かれ、さまざまな試練に挑戦することで得られるポイントを競い合う“狩人祭”という共闘コンテンツがあります。勝利した組にだけ解放されるクエストや、褒賞でしか手に入らない武具などがあり、ゲーム内でもとくに盛りあがるコンテンツのひとつです。
木本 このように、全国のハンターと出会い、多様なコンテンツを通じて仲間との絆を深めていけるのがオンライン専用である『MHF-G』の魅力と言えます。
初心者のための『MHF-G』の遊びかた
――“G3”アップデートも上級者向けのコンテンツであるG級の拡充がメインとなるとは思いますが、初心者でも楽しめる要素も追加されるのでしょうか?
木本 もちろん、初心者の方にも楽しんでいただけるような内容にしていきます。新モンスター(白い飛竜)をなるべく低いランクから挑めるようにすることもその一環ですし、プレイステーション3版、Wii U版では、初心者の方に向けたクエストを多く配信しますので、気軽にプレイしていただければと思います。
杉浦 そのほかにも、スタート時には多数のイベントやキャンペーンを予定してますので、お楽しみに。
――想定していないようなスピードでハンターランクを上げるユーザーも多そうですよね。
杉浦 Xbox 360版は、PC版よりも3年ほど遅れてリリースされましたが、サービスが始まると、あっという間にPC版のユーザーに追いついてしまいました。家庭用ゲーム機のお客様の“ゲーマー魂”とでも言いましょうか、ゲームに対する熱量におどろかされましたね。Wii U版、プレイステーション3版のお客様の反応も非常に楽しみです。
――これから始める方に、どのように遊んでほしいですか?
木本 まずは、ほかのハンターの方とコミュニティーを形成していただき、『MHF-G』独自のモンスターをどんどん狩ってほしいですね。そこが『MHF-G』でいちばん楽しいところだと思います。6年のサービスの蓄積があるので、大量のコンテンツがありますが、急いで先に進むよりも、友だちとのんびりと遊んでいただいたほうが、思い出に残るものが多いと思います。
杉浦 Wii Uやプレイステーション3で、すでにフレンドを作っている方は、その方も引き込んで『MHF-G』を遊んでほしいですね。
――猟団の仲間と遊んだり、広場で見知らぬ人と狩りに出かけたりと、『MHF-G』は遊びかたが気軽に選べる点も魅力ですよね。
杉浦 その通りですね。猟団に関してももっとテコ入れしたいと考えているところです。イベントも豊富にありますし、毎週いろんなネタをご提供できると思いますので、あせってランクを上げることよりも、そういうものを楽しみながら、のんびりとプレイしていただければ。
サービス予定やプレイ料金は?
――正式サービス前に行われるオープンサービスはどのようなものでしょうか?
木本 正式サービスに先駆けて、テスト期間としてプレイ料金無料のオープンサービスを1週間行います。この期間は通常通りゲームを楽しめますが、ゲームへの接続に問題がないか、不具合が起きないかなどのテストを兼ねています。オープンサービス後、正式サービス開始時点から月額料金が発生する形になりますね。また、オープンサービスでプレイしていたデータは、正式サービス後に持ち越せます。
――プレイ料金に関しては、現行のものと同じになるのでしょうか?
杉浦 料金もサービス内容も同じにします。30日間遊べる“ハンターライフコース”が1400円で、別途30日間600円の“エクストラコース”を購入していただけると、より快適に楽しめます。
――アイテム販売や、ほかの課金コースは、最初から販売されるのでしょうか?
杉浦 いいえ、最初からすべてを販売することは考えていません。まずは、ゲームを楽しんでいただいて、アイテムや各種コースの価値を知っていただくことが先かなと思います。そのうえで、だんだんと課金コースを解放していく形を取ります。
――武器と防具以外に、それぞれのパッケージに付属する特典はどのようなものでしょうか?
杉浦 60日間プレイ可能な“ハンターライフコース”のクーポンが付属します。また、そのほかにも狩りに便利な消費アイテムなども付いています。
――『MHF-G』をプレイするには、必ずパッケージを購入しないといけないのでしょうか?
杉浦 パッケージ版以外にも、Xbox 360版と同じように、無料のダウンロード版があります。まずダウンロード版をプレイして、ゲームを気に入っていただけたら、課金していただいて、そのままゲームを続けられる仕組みも予定しています。
――料金の決済は、どのような仕組みなのでしょうか?
杉浦 『MHF-G』に関しては、ゲーム内のランチャー画面に決済用の独自のインターフェースを設けており、そこで決済が完結できます。ニンテンドーeショップや、PlayStation Storeを介さない形になりますね。決済には、PC版と同様に、クレジットカードや電子マネーなどが使用できます。
家庭用ゲーム機でオンラインサービスを行うこと
――家庭用ゲーム機でオンラインゲーム展開をする難しさはありますか?
杉浦 最初はPC版以外のプラットフォームは想定していなかったため、PC版のフォーマットを各プラットフォームに落とし込むこと自体がたいへんでしたね。それ以外に、先ほども話しましたが、オンラインサービスの提供スピードに関する部分ですね。各プラットフォームで、我々とお客様が納得できるような速度でサービスを展開できるかという、開発よりも運営面での難しさがあります。すべてのプラットフォームで差がないように、同じサービスを提供しなければいけませんので。
――Xbox 360版のサービス開始時は、かなりスムーズだった印象があります。
杉浦 そうですね。PC版のリリース時にくらべればだいぶ……(苦笑)。ゲーム内のトラブルよりも、プラットフォームが異なることで、お問い合わせに対するサポート面で、初めて遭遇することが多かったですね。
――家庭用ゲーム機でのオンラインゲーム運営で得たものはありますか?
杉浦 カプコンは家庭用ゲーム機で結果を出してきた会社ですが、オンラインゲームという新しいジャンルで、大きな市場を開拓できたことですね。PC版の『MHF-G』で得たノウハウを活かして、家庭用ゲーム機でオンラインゲームを展開し、新たなビジネスモデルを確立することができたと思います。その経験値はさらに蓄積されているので、Wii U版、プレイステーション3版でも良好なサービスをご提供できるように、がんばりたいと思います。
――今後『MHF-G』はどう進化を遂げるのでしょうか?
木本 これまでもアップデートをくり返して『MHF-G』は進化してきました。今後もさまざまな方向性を模索しながら進んでいきたいと思います。“G3”でも、新たなモンスターやフィールドのほかに、ビックリするようなものを用意していますので、Wii U版、プレイステーション3版のハンターの方にも楽しんでいただけると思います。来年春に予定している“G4”アップデートでは、新武器種も登場しますし、モンスターや各種コンテンツなども、『MHF-G』独自のものを打ち出していきます。
――最後にファンへメッセージをお願いします。
木本 これから始める人にとっては、消化しきれないほどのコンテンツが詰まっています。リアルの友だち、オンラインの友だちと、まずはゆっくり楽しんでください。
杉浦 まずは、安定した運営ができるよう心掛けます。不具合が起きないことを第一とし、起きてもすぐに解決できるような体制で臨みます。満足いただけるようなサービスをご提供できるよう、チーム一同がんばっていきます。