ゲーム第3作は別に進行中だが、そのためには……。

 『アリス・イン・ナイトメア』、『アリス マッドネス リターンズ』など、日本でもカルトな人気を誇るアメリカン・マギー氏によるアリスシリーズ。その最新作『Alice: Otherlands』の公式ツイッターアカウントが、日本語で支援を呼びかけている。

 そう、新作ゲームとは別に、アニメ化計画が進行中なのだ。以前本誌でOtherlandsの始動について報じたが、その後クラウドファンディングサイトのKickStarterでファンからの出資受付がスタートしたのは、この同名の3Dアニメ映画化企画だった。

 ちょっとややこしい話になっているのには、アリスシリーズの版権問題が背景にある。アメリカン・マギー氏とSpicy Horseが発表したゲーム第3作目の企画も進んでいるのだが、シリーズの版権は旧作をリリースしているエレクトロニック・アーツが所有しており、この権利を買い取らない限りは製品化することができない。
 すでに版権買い取りの交渉を行なっているらしいのだが、資産整理で持っている版権を片っ端からオークションにかけたTHQのようなケースならともかく、現役バリバリの大手パブリッシャーから、クリエイターが率いるスタジオが版権を買い取るというのは、なかなか難しいことだ。

 そこでアメリカン・マギー氏とSpicy Horseが選んだのが、ゲーム化と比べるとまだ入手しやすそうな映像化権の買い取りを行い、アニメ映画を制作して市場の目を引き付けることで、このアリスというIPにわざわざ売却を検討するだけの価値があり、同時にファンが(誰か他人が手掛けたものではなく)“アメリカン・マギー氏の”アリスを待っていると証明してみせること(だからアメリカン・マギー氏は「アニメには興味ないよ」というファンの投稿に対して真摯に反論している)。
 なお、このアニメ化はSpicy Horseでは行わず外部スタジオでの制作となり、ファンから得た資金はすべて権利料と制作費に使うそう。また本プロジェクトには映画監督のツイ・ハークが協力する予定であるほか、ゲーム版制作の暁にはクリス・ヴレンナ(元ナイン・インチ・ネイルズ/マリリン・マンソン)がサウンドを提供するとのこと。

 気になる内容だが、Otherlandsでは、『アリス マッドネス リターンズ』のラストで幻覚と重なり合ったロンドンの街へと歩いて行ったアリスが、ヴィクトリア朝ロンドンにいた(あるいはいた可能性のある)偉人や怪人たちの精神世界へと入っていくという。ジュール・ヴェルヌ、ジャック・ザ・リッパー、ダーウィン、コナン・ドイル、オスカー・ワイルド……という候補のどれも面白そうだ。

 しかし先のツイートにもあったとおり、締め切りの8月5日まで残り8日という中、募集額20万ドル中、集まったのは12万ドルと若干渋い状況。出資するにはAmazon.comのアカウントを作りクレジットカード決済しなければならないが、アリスを救おうという気概のある人は出資してみてはいかがだろうか。本編映像は25ドル以上の出資から手に入る。なお、ペイパルを使った出資も可能だが、KickStarterは期間中に募集額を超えないと出資が行われないため、基本的にはKickStarterでの出資をおすすめしたい。