ネットワークはパワーであり、フリーダム――

 2013年7月18日~21日(現地時間)、アメリカ・サンディエゴのコンベンションセンターにて開催されているエンターテインメントのイベント“Comic‐Con International”(通称“コミコン”)。開催3日目となる2013年7月20日に行われた、ユービーアイソフトの『Watch_Dogs(ウォッチドッグス)』のセッション“Watch_Dogs: Does Privacy Exist?”のリポートをお届け。

『Watch_Dogs(ウォッチドッグス)』ハッカーであるプレイヤーは選択を迫られる【Comic‐Con International 2013】_01
『Watch_Dogs(ウォッチドッグス)』ハッカーであるプレイヤーは選択を迫られる【Comic‐Con International 2013】_02

 日本でも発売が決定した『Watch_Dogs(ウォッチドッグス)』(ハード、発売日未定)は、あらゆるものがネットワークでつながれている、近未来のシカゴが舞台のオープンワールドゲーム。主人公のエイデンは、ネットワークにハッキングし、対象のシステムを操作して目的を達成していく。ロックされている扉を開ける、スプリンクラーを作動させて敵を妨害するなど、ハッキングでできることはさまざまだ。

 今回のセッションには、本作のリードストーリーデザイナーを務める、ケヴィン・ショート氏が参加。本作の見どころについて語った。

■ネットワークをハッキングするというシステム

 テクノロジーというものは、よい方向に使う人がいる一方で、悪い方向に使う人もいる。どう使うかが問題である。『Watch_Dogs』は、そのことについて考えさせてくれるゲームだとショート氏は語る。

 物語の舞台は近未来のシカゴだが、現実のシカゴは、22000台のカメラを設置しており、“世界でいちばん監視されている都市”と言われている。ショート氏は、「これはゲームのモデルとして使える」と考え、シカゴが舞台に選ばれることになった。

 実際のシカゴと違うのは、『Watch_Dogs』のシカゴでは、すべてのデータが中央のオペレーティングシステムに集められ、分析されていること。この部分はフィクションで、実際のシカゴでは、データが中央に集められていることはないそうだ。

■ゲーム作りで重要視したこと

 ショート氏は、近未来のシカゴが舞台だからといって、現実離れしたものではなく、理論に基づいた“リアル”だと思われるものにするよう、心を砕いたという。

 このゲームが、ほかのゲームと違うところは、道行く人たちに仕事や興味などのプロフィールが用意されていること。シカゴには、約300万の人たちが住んでいる。この、“人々すべての情報に囲まれている”と感じられることが本作のポイント。道行く人が、ただのNPCではなく、リアルに生活をしている人として感じられ、プレイヤーは彼らに対してさまざまな感情を抱くことになる。そこで、ハッカーである主人公が、どんな行動をとるか? プレイヤーは、ここでモラルを問われるのだ。

 たとえば、誰かの携帯電話をハックすると、その携帯電話の持ち主の妻が暴行されたため、「犯人を殺しに行く」と言っている会話が聞けてしまう。ここで、その現場に向かうか否か? これは開発スタッフの中でも意見が分かれたそうだ。ショート氏は、このような場合に、どう行動するかをプレイヤーに考えてほしいという。

 プレイヤーがどのような行動をするのか、開発スタッフにももちろんわからない。プレイヤーの手にゲームが渡って、プレイが始まったときに何が起こるのかが楽しみだ、とショート氏は語った。

■Q&A

 ここでは、質疑応答の一部の内容を紹介する。

――シカゴの街の人々を開発するにあたって、苦労した点は?
ショート まず、プロフィールを作るのがたいへんでした。シカゴへ行ってリサーチを行い、ボイスも現地で録音しました。モントリオールで録音するのでは、ダメだと思ったんです。それから、アニメーション・ディレクターが細かい仕事をして、ディテールをつけてくれました。

――マルチプレイの映像で、主人公がハックされている場面がありましたが、ハックされるとどうなるのですか?
ショート シングルプレイをプレイしていると、ほかのプレイヤーがハックしてきて、ゲームの中に入ってくることがあります。自分が蓄積してきたスキルや資産を使おうとしてくるので、追い出すことを推奨します。