「ポケットモンスター」も「イナズマイレブン」シリーズも定額で見放題ですよお母さん!

夏休みの子どもにオススメ! 定額映像配信サービスHuluがニンテンドー3DSに対応、1ヶ月の無料トライアルキャンペーンも_03
「ポケットモンスター ベストウイッシュ シーズン2 デコロラアドベンチャー」
(C) Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C) Pokémon

 フールージャパンは、同社の定額映像配信サービス“Hulu”を今夏よりニンテンドー3DSに対応させる。
 Huluは、月額定額(現在は980円)で1万本以上の映画・ドラマ・アニメがオンライン経由で視聴できる、マルチプラットフォームな映像配信サービス。「ポケットモンスター」シリーズや「イナズマイレブン」シリーズのアニメなどもラインアップに含まれており、同ハードを持っている子どものいる家庭に朗報と言えそうだ。

 なお、すでにソフトが提供されているWii、Wii U、プレイステーション3、Xbox 360同様に、視聴に使うソフト本体は無料。ソフトはニンテンドーeショップで配信される(配信は8月中を予定している模様)。
 すでに契約している場合はそのアカウントを使ってログインすればそのままサービスを受けられ、新規ユーザーとなる場合は登録と契約が必要だが、対応を記念して、通常2週間の無料トライアルが1ヶ月間分提供される(ソフトダウンロード時に表示される12桁のコードを特設サイト http://www.hulu.jp/promo/3DS に入力した上で登録)。

実際に触ってきた

 フールージャパンのオフィスにお邪魔して、ひと足先にニンテンドー3DS版のソフトを触ってきたので、その模様もお伝えしよう。
 表示は2画面を使用して、番組の選択などは下画面を使用。上画面に選択中の番組の詳細情報などが表示されるという組み合わせ。どれを見ようかという時に、概要などを見ながらコンテンツをサクサク選んでいける。
 選択はボタンでもタッチでもオーケー。個人的にはボタン操作の方がレスポンスがはっきりしていて好みだった。

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▲トップページなどの画面レイアウトは、タブレット版などのインターフェースに近いものだった。

 視聴中は、上画面で映像本編が表示される一方、下画面でシークバーを使った早送り・巻き戻しや再生の再開などが行える。
 上画面の解像度に限界があることもあって映像はそれなりのSD画質でしかないのだが、特に子どもが使うケースなどを考えると、ニンテンドー3DSで気軽にHuluのコンテンツを見放題というメリットの方が大きいと感じる(ただしWi-Fi経由でのインターネット接続が必要なため、どこでもというわけではない)。
 なお、起動や画面遷移時のロード時間がやや長かったが、これは開発中バージョンということもあり、正式版までにさらなる高速化を図るとのことなので、改善に期待したい。

 また、Huluでは海外の人気ゾンビドラマ「ウォーキング・デッド」などの大人向けのコンテンツも配信されているが、子どもが間違って再生してしまわないか心配な人も多いだろう。そこで、キッズ向け作品以外を表示しないようにする“キッズロック”機能も搭載されている。
 キッズロック機能をオンにすると、パスワードを入力しない限りキッズ作品以外のページに移動できなくなるため、ダウンロード&登録とセットアップを行ったらあとは子どもに渡して安心して見てもらうことが可能だ。

夏休みの子どもたちへのプレゼント――日本先行プロジェクトとしての3DS版Huluに迫る

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 本作の開発に関わっている、フールージャパン プロダクト部 部長の福田剛氏にも話を聞いたので、あわせてインタビューもお届けしよう。

――ニンテンドー3DS版はまだ海外でも出ていないと思うのですが、日本が先行という形になるのでしょうか?
福田 日本先行ですね。今までUS(アメリカ)の物を持ってくることが多かったのですが、これに関しては日本担当のチームで開発してUSにローカライズさせてやろうかという、今までと逆のモデルです(笑)。日本担当チームがローカライズだけじゃなくてフルに製品を持つのが珍しいので、みんなモチベーションも高くて、かなりのスピード感で開発できたので、社内外みんな驚いていましたね。

――(使いながら)インターフェースが、下画面でコントロールして上画面で詳細という役割分担で統一されていますね。
福田 この辺りのコンセプトはWii Uとも似ていますね。あれもコントロールが手元のWii Uゲームパッドで、再生画面がテレビという形なので。スクリーンも小さいですし、解像度も高くないので、画質はHDではなくSDに落として配信しています。

――ちなみに容量はどれぐらいですか?
福田 ソフトそのものは16MBくらいなのですが、サムネイルやUIなどは全部(オンラインで)落としてくるんですよ。(データ量を減らすために)結構そこをそぎ落とすのが限界になってきていて、四苦八苦しているところですね。
――そこがローディングなどの高速化の鍵にもなってきているわけですね。
福田 はい。それにメモリ容量なども限られているので、うまいやり方で工夫しています。

――開発体制は世界バラバラなんですか?
福田 開発拠点は3つあって、ロサンゼルスのサンタモニカと、シアトルと北京にあります。日本は開発スタジオがなくて仕様を決めるところで、3DS版に関しては、基本的には北京で作っています。ただテクノロジーの応用をしていて、配信システムなどのバックエンド部分はUSが開発しています。このUIの元となっている仕掛けはシアトルですね。それをカスタマイズして今回のプログラムをイチから作っているのが北京です。
 開発チームは、デザイナーと、テクニカルなPMと、実際に(プログラミング)コードを書くデベロッパーで分かれています。開発の初期段階では、日本で「こういう機能が必要だ」とか、「3DSなので子供用から考えてみようか」とかいったディレクションを始めて、3DSの特性やボタンの配置、他のプラットフォームでのボタンの使い方、任天堂さんのガイドラインなどを考慮して骨子に固めていきます。
 それをベースにデザイナーが案を出して、そこで出てきたアイデアをゲーム機用のものを手掛けてきたシアトルのデザイナーにレビューしてもらったりして、複数の案のいい所を合わせながら、どうするべきかというのを決めて、それで始めてデベロッパーがコーディングをし始めるといった感じですね。

――かなりワールドワイドに作っていますね。
福田 そうですね。でも、やっている側はあまりワールドワイドという認識はないんですよ。「みんな1ヶ所がいいよね」と言ったりはしますが。というのも、特にデザイン段階などは隣同士で「ここをこうしてね」って話ながらやるのが一番いいんです。そこを電話会議などでやると「今何ページだ?」みたいなコミュニケーションのボトルネックが生じるので。

――コミュニケーションはSkypeなどですか?
福田 Skypeやメールが多いですね。Skypeでざっくり話して、細かい所はメールでフォローしてといった感じで、みんなこういう開発体制に慣れているので、特に不自由と感じたことはないですね。時差ぐらいですかね。

――ああ、時差大変そうですね!
福田 日本と北京はそうでもないのですが、USが入ってくると早朝ミーティングが増えますね。それ以外は、日本と北京が夜に仕上げたものを送っておけばUSが朝までに返事をくれたりするので、メールや書類ベースのものは問題ないですね。

――ニンテンドー3DS版で特に注力した部分はなんですか?
福田 当初は子どものための機能を前に出す方がいいだろうと考えていたところ、さすがに1300万台も売れているものなので、もう年齢層が上から下まであってあまり関係ないんですよ。ポップなデザインで子供の作品がバッと見えるようにでもしようかと思っていたんですが、そうする必要もないねと。
 なので「ならでは」の機能はないのですが、ボタンとコントロールの部分などは特に気をつけました。

――ちなみにWii U版などは参考になりましたか?
福田 Wii Uなどはプレイステーション3版などと同じコンセプトのUIなんですよ。コントロールの仕方は結構違うんですが。そのコンセプトを携帯ゲーム機向けに適用したのがコレなんです。
 例えば縦にカテゴリが並んでいて、横に行くと掘っていく、タイトルをクリックするとコンテンツのもっと深い情報が出てくるというデザインランゲージは、Web版にしても、タブレット版にしても、全部同じ仕様になっています。

――タブレット版を普段使っているんですが、そのせいか、これを触った時もスムーズにどうすればいいかわかりました。
福田 これだけを使う人ってあまりいないと思うんですよ。マルチデバイスでシームレスに使えて、他のデバイスで見たものの続きをそのまま見られるというエクスペリエンス(体験)が大事なので、それをやる時に使い方や見え方が違うと混乱すると思うんですね。そこはすぐに使えるように共通化してデザインしています。

――配信以降も最適化は続けていく予定なのでしょうか。
福田 そうですね。ロムだけでゲームを提供していたような時代とも違いますし、我々のようなベンチャーは足の速さが売りなので、後から出てきたいい要素は積極的に足していきたいですね。バランスを見ながらやっていきたいです。

――Wi-Fiの速度はどれぐらい必要ですか?
福田 普通の環境で大丈夫です。ビデオのストリーミングは1MBもあれば大丈夫です。

――これで子どもがアニメ見放題というのはこの夏休みの時期にジャストですね。
福田 ちょうど一年前にWii版を出したのですが、そのタイミングで「ポケモン」が入ってきたんですよ。夏休みにお母さんが何が困るかと言ったら、暇そうにしている子どもをどう手間を掛けずに面倒を見るか。そこで980円で「ポケモン」見放題っていうのは、自分の子供にもプレゼントしたかったし、すべての夏休み中の子どもたちへのプレゼントというつもりで去年はWiiを作ってたんですよ。

――今年はニンテンドー3DSと。
福田 そうですね。「ポケモン」に関しては放送後すぐにその日のものが見られるので、録画の必要もないですし、思いっきり楽しんでほしいなと思います。