パンクラス王者3人との夢の対談が実現

 オンラインFPS『Alliance of Valiant Arms (以下、AVA)』を運営するゲームオンの主催で、『AVA』トップクランと格闘技団体パンクラスの王者たちによる対談が実現した。

 現在、『AVA』では世界的なアスリートから“戦うための心構え”などをトップクランが聞く対談企画“世界と戦う男達”を展開中。前回の元世界ボクシング評議会(WBC)スーパーフライ級チャンピオンである佐藤洋太氏との対談に引き続き、2回目の実施となる。

 対談は6月30日に行われたイベント“パンクラス248”終了後に行われた。対談場所はなんと試合後のリングの上! 興奮冷めやらぬその場所で、『AVA』プレイヤーたちは何を感じ取ったのだろうか。

■対談出席者

川村亮選手
第11代ミドル級キング・オブ・パンクラシスト
ISAO選手
第5代ライト級キング・オブ・パンクラシスト
石渡伸太郎選手
第2代バンタム級キング・オブ・パンクラシスト
Darkよっぴー選手
『AVA』の実力派クラン、DeToNatorのリーダー
MaxJam氏
DeToNatorチームマネージャー
井上洋一郎氏
『AVA』日本運営プロデューサー

観客を味方につける戦い、表現

MaxJam さっきまでの試合を見て、初めての経験ということもあって、度肝を抜かれました。

井上 まさか、終わった瞬間にこの場所(リング)で対談をするとは思ってもいなかったので。

川村 マットの上に血が残ってますね。

井上 ちょっと緊張しています。

川村 リングに上がる機会なんて、なかなかないですからね。

井上 我々は『AVA』というFPS(ファーストパーソンビューシューティング)のオンラインゲームを運営しています。MaxJamさんは『AVA』の実力派チーム“DeToNator”のマネージャー、Darkよっぴー選手はチームリーダーです。

川村 Darkよっぴー選手はどういうタイプですか? スナイパーとかですか?

Darkよっぴー 僕はライフル銃を持って前線で戦うタイプです。

井上 1チームは5人構成なので、ライフル銃やスナイパーライフルといった異なる武器を持ってチームプレイをするんです。

川村 5人で一気に攻撃するんですか?

井上 守りと攻撃に分かれますね。守っているチームに対して攻めていくのが基本です。みなさんはゲームはお好きですか?

川村 ゲームは好きですよ。

井上 やっぱり格闘ゲームとかですか?

川村 (ISAO選手に)格闘ゲームとかやるよね?

ISAO ゲームセンターでけっこうやりますね。

川村 石渡さんはやらないの?

石渡 あんまり・・・。

川村 僕はガンシューティングみたいなやつは好きですよ。

Darkよっぴー FPSもそれと近いですね。

川村 『○○○○』(某ガンシューティング)は全部クリアーしたことありますよ。ゲーム名は出して大丈夫ですか?

一同 笑

井上 きっと大丈夫ですよ。
(編注:一応、タイトルは伏せておきました)

MaxJam それけっこうすごいですね。

川村 700円くらいかけましたけど(笑)。

Darkよっぴー ちなみに、僕らの場合はマウスとキーボードを使います。

川村 マウスで銃を撃つんですか?

Darkよっぴー マウスで撃ってキーボードで移動です。

MaxJam 照準はマウスの動きと連動しているんですよ。

井上 マウスを動かして照準を敵の頭に合わせてマウスをクリックするのが基本です。銃には反動もあるので、マウスを下げて反動を制御するといったテクニックもあります。

川村 やっぱり銃によって特徴が違うんですか?

井上 そうですね。いろいろな銃があるので、人によって好みが違います。で、Darkよっぴー選手は日本代表プレイヤーとして、世界大会にも出場しています。

川村 いろいろと試合の映像なんかを見させていただきました。

井上 ありがとうございます。今年は2回ほど世界大会を行って、1回は優勝できました。今度は10月末か11月ごろに世界大会があるので、その予選を行っている最中です。

川村 『AVA』の場合はどの国が強いんですか?

井上 いまは韓国が強いですね。

川村 あそこには軍隊がありますからね。

井上 全体的に若いプレイヤーが多いんですけど、18歳を超えると韓国は徴兵制があるじゃないですか。だからトップの選手がどんどん入れ替わっていくんですけど、それでもやっぱり強豪です。それに追いつけ追い越せという状態です。

川村 きっと、ただ単に撃ち合うだけじゃダメなんですよね。戦術も大事だったり。

MaxJam それはもう。かなり大事です。

川村 本物の戦場で使うような作戦もあるんですか?

MaxJam ふたりひと組で動く“ツーマンセル”とか。

Darkよっぴー 1対1じゃなくて5対5だから奥が深い、というのはあると思います。個人技がすごくても、連携が取れていないと勝てませんから。

川村 やっぱり軍隊があるかないかは大きいですね。

井上 そうかもしれませんね。戦う気持ちを維持したり、チームとして戦うのがなかなか難しかったりするんですよ。『AVA』は2008年から始まって5年目なんですね。今年、世界一を狙えるくらい盛り上がっているんです。こういう会場で大会を開催して、お客さんの前で戦うというシーンを作るようになって4年ほどになるんですけど、ようやくしっかりと人が集まるようになって、応援する人も増えてきました。

川村 大会を会場に見に来る人はどれくらいいるんですか?

井上 後楽園ホールやプリズムホールで開催したときは1400人くらい集まりました。

川村 1400人!?

MaxJam 1400人収容の会場に2500人ほど集まって、入りきらない人がしかたなく帰ったってときもありましたよね。

川村 ここ(対談場所のディファ有明)全部で1500人くらいですからね。すごいですね。

井上 選手はアマチュアとして活動していますが、多くのユーザーに大会やイベントに集まってもらったり、世界と戦って勝ちたいという気持ちがあります。プロのゲーマーを目指して、運営側と協力してがんばっている段階です。

川村 プロというと、もちろんお金の問題がありますよね。スポンサーがついていたりするんですか?

MaxJam (ユニフォームを指差しながら)この“ELSA”と“SteelSeries”という2社にスポンサードしてもらっています。

井上 “ELSA”はエルザ ジャパンさんという日本のグラフィックボード(グラフィックを描画するPCパーツ)などを販売しているメーカーで、“SteelSeries”というのはマウスなどのゲーミングデバイスのブランドです。

MaxJam デンマークの会社ですね。

井上 ネットカフェでお客さんを集めて対戦会イベントをやったり、テクニックをレクチャーしたりといった活動をしています。

川村 やっぱり性格はプレイスタイルに出ますか?

Darkよっぴー すごく出ますね。人によってぜんぜん違いますよ。

川村 ちなみに、Darkよっぴー選手はどういうタイプですか?

Darkよっぴー 僕はわりと前に出たがるタイプです。敵を倒すのが好きなんです。

川村 画面上で一発撃たれたら終わりなんですか?

Darkよっぴー 頭に当てると一発で倒せることが多いんですけど、体の場合は何発か当てる必要があります。

川村 当たると動きが遅くなったりとかは?

Darkよっぴー 少し影響はありますね。

井上 頭を狙われるといけないので、壁に隠れてチラッチラッと確認しながら行動するんです。それをスナイパーが見ていたりするので、フェイントを入れるのも重要ですね。

川村 おもしろいですね。

Darkよっぴー 射撃する側としては頭に当てれば簡単に倒せるんですけど、頭は小さいので狙うのが難しいんです。

川村 それは格闘技といっしょですね。顔を狙えば倒せると思って狙うんですけど、的が小さいし動くじゃないですか。そこで、石渡選手が得意なボディー打ちとか、まずは広いところを攻撃して、動きを止めたところで上を打つという戦いかたもあります。闇雲に当てにいけばいいってものでもないですもんね。フェイントを入れたり相手の動きを見てから打つっていうのは、それはもう格闘技と同じ、ドンピシャですよ。

Darkよっぴー そういうのは共通する部分だと思います。今日は試合を観戦させていただいて、観客を沸き上がらせるパフォーマンスやひと言ひと言のコメントの重みがすごいなと純粋に感じました。こういうのは僕らには足りない部分かな、と。

井上 彼らもイベントをやるとお客さんの前で話すシーンがあるんですよ。次回の大会に向けてどう考えているかみたいなインタビューを受けて、それでVTRを作ることもあります。

川村 そういうのは得意不得意がありますよね。慣れもありますけど。試合だけで見せる選手もいるし、まったくマイクを持たない選手もいますよ。

井上 どういった性格かを見て、選手に「こういうことをしてほしい」みたいに話すことはあるんですか?

川村 完全に選手の自己プロデュースです。たとえば、Darkよっぴーさんは前に出たがる性格ということでしたけど、喋らないのであればひたすら喋らないのもいいですよね。それが定着したら雰囲気が出てくると思います。あの人は本当に怖い人なんだとか。そういうキャラ作りは必要だと思うんですよね。

Darkよっぴー 独自性や個性って感じですか。

川村 そうですね。プロになると何かでお金をもらうわけですから、強さだったりキャラクター性だったり、お金をもらうだけの何かがないと。

MaxJam でも、そういうキャラクター性を活かすには“勝つ”、“勝ちにいく”というのが最低条件ですよね。それがないと成り立たない。

川村 ずっと勝ち続けられるのは世界でひとりだけですからね。それを目指していくのか、それを目指しながらも自分なりの見せかたを考えて、観に来てくれた人に対してのアピールができるかだと思いますよね。

Darkよっぴー さっきの川村選手の引退を賭けるっていうコメント、あれはすごかったですね。
(編注:9月29日に行われるパンクラス20周年記念大会にて、川村選手はパンクラス旗揚げメンバーである高橋義生選手と対戦予定。敗戦時の引退を表明した高橋選手に対して、川村選手も引退を賭けて戦うと宣言した)

川村 アドリブです。

一同 笑

川村 久しぶりにリングに上がって緊張しちゃって。僕みたいなタイプは喋れないといけないんですよ。彼ら(ISAO選手と石渡伸太郎選手)みたいに、本当に強くてカリスマ性がある場合は喋らなくてもみんな納得してくれるんですけど、僕はプラスアルファとして何かをしないといけないので。

井上 格、オーラ、カリスマというか、そういったものですかね。

川村 僕は無理やり作ろうとがんばっているけど、彼らふたりはそれをやらなくてもオーラでアピールできてるんですよ。けっきょく、プロとアマの違いってお金を稼げるかどうかだと思うんです。もちろん、“強い”というのは前提として。『AVA』でも撃たれるのは怖いからみんな隠れると思いますけど、いいタイミングを見つけて堂々と飛び出したら盛り上がるんじゃないですか? 観客を味方にするのは大事なことだと思います。僕も海外で2試合(韓国とシンガポール)やっているんですけど、日本のホームリングとぜんぜん違いますから。

井上 観客を味方にするプレイというのも大事かもしれませんね。

川村 でも、“それをやりすぎると撃たれる”というのは、僕らの世界と同じだと思うんですよ。「盛り上げよう盛り上げよう」という気持ちが強すぎて負けてしまったら元も子もないですから。そこの微妙なラインが難しい。

井上 リアルタイムにその場で考えなきゃいけませんしね。

川村 そうですね。だから、アドリブが利かないと。

Darkよっぴー 僕らの場合、勝つことしか見えなくなって、観客を沸かせるようなプレイをするところまでは気が回らないですね。

川村 勝ちにこだわるのは当然のことだと思いますよ。僕らの世界でも当然そうですし。格闘技の場合だと死んでしまうこともありますから。勝ちを狙いに行ったうえで沸かせることを考える、ということですよね。

Darkよっぴー たまには余裕を持つというか、お客さんを沸かせるようなプレイもしてみたいですね。

プロとして、チームとしての在りかた

川村 大きな大会だと、ひとつのイベント中に何試合もあるんですよね?

井上 複数の国やチームが参加するトーナメント戦が多いです。

川村 そうなるとますます色を出していきたいですよね。

MaxJam 協力企業さんにスポンサードしていただいたりして、紆余曲折もありましたけど、ようやくチームとしてまとまりつつあるんです。それなりに長くはやっているんですけど、ここ最近でようやく戦う集団として“魅せる”ということに選手が気づいてきたように感じます。注目を集められるプレイヤーには、ゲームや自分たちのことをどんどん伝えていってほしいです。ISAO選手は教室を開いて子どもたちに教えたりしているじゃないですか。それと同じように、子どもたちやこれから始めようとしている人たち、強くなりたい人たちに向けた伝えかたを考えるべきターニングポイントに来ているなと。

川村 おぉ~・・・。深いですね。

MaxJam やっぱり競技人口を増やしていかないと成り立たないと思うんですよ。

川村 うちはもともとアマチュア育成にも力を入れていますからね。

MaxJam そういう考えかたには非常に共感します。

川村 こっちも同じような課題を持っていますよ。さっきも言いましたけど、まずは“勝つ”ということが大切になってきます。そのへんはもう、このふたりに聞いていただければ。

MaxJam おふたりにもぜひ勝負論を聞いてみたいですね。

ISAO 自分の場合は、何事も勝つために一生懸命やるというのを大切にしています。

MaxJam それは練習をやるということですか?

ISAO 練習もそうですけど、私生活の面も一生懸命やります。やっぱり私生活って試合にも表れると思うんです。私生活が荒れると練習もおろそかになりますし、そうなると試合にも影響して負けにつながります。人間的な土台をしっかりしておかないと。

Darkよっぴー すべてに全力を尽くす、ということですか?

ISAO そうですね。ずっと勝ち進んでも、基本的な部分ができていないと、いいところで負けてしまうと思うので。自分はストイックにやっているほうだと思います。

MaxJam そのストイックさはどういう面に出ていますか?

ISAO 何をしているときでも、頭のどこかで格闘技のことを考えていると思います。

Darkよっぴー 練習方法についてもお聞きしたいんですけど、練習の段階で対戦相手の研究はするものですか?

ISAO 選手それぞれですけど、自分は相手にどういうクセがあるのかとか、ある程度は研究します。でも、細かい対策はあまり立てないで、いかに自分のいいところを出すか、ということを重視します。

石渡 自分はまず相手のビデオをよく見てクセを確認して、そのうえで今度は自分の映像を見直します。どこに何をぶつければ勝てるかを確認して、それで練習していきます。

川村 “ストロングポイントを見つけて当てていく”みたいな。

石渡 そんな感じです。

Darkよっぴー 自分のスタイルが相手からどう見えているかとか、意識はしますか?

石渡 それも自分で客観視して、「自分がこうしたら相手はこう来るだろう」とか、予測します。

Darkよっぴー 相手の考えを踏まえたうえで、さらに上をぶつけていくわけですね。

石渡 そうですね。

井上 パンクラスの選手のなかには、UFC(世界的な総合格闘技大会のひとつ)のような海外の大会を意識する人も多いと思います。僕らも選手たちと「世界で戦って1位にならないと意味がない」という話をしていて、どういう努力をしているのか気になっているんです。選手個人のがんばりもそうですけど、パンクラスという団体としても。

川村 パンクラスは“世界標準”というスローガンを掲げてやっているんですけど、それに固執することなく、いろいろな道があってもいいと思うんですよ。同じような人ばかりだとおもしろくないですし。いくつも試合があるなかで、塩味のなかにしょうゆ味が入ったり、味噌味が入ったり。それがひとつの団体としての目標です。

MaxJam ISAO選手はUFC参戦を自分の意思で断られたということですが。

ISAO まだ自分に納得してないところもあるし、自分なりのパンクラスに対する想いがあるので、パンクラスのリングに立ち続けたいと思っているんです。海外の試合も見ますし、出場したいという気持ちもありますけど、まだ自分もお客さんも納得しきれていないと思うので。納得できるときが来たら、そのときにいろいろ考えたいですね。

石渡 自分は海外に2回練習に行ったり意識してやってきたんですけど、その前にまずは日本一になろうと思っています。でもこのあいだは負けちゃったんで、またイチからやり直しですね。

井上 リベンジしたいということですか?

石渡 同じ相手にリベンジするというよりは、自分自身をもっと高めたいです。

MaxJam 自分たちは5人で1チームなんですけど、パンクラスは1対1の戦いじゃないですか。仲間やチームなどの意識は強いものですか?

川村 強いと思います。とくにISAO選手の坂口道場は“一族”って銘打ってるくらいですからね。スタッフも選手も含めて家族みたいなものです。

ISAO つね日ごろからいっしょにいて、練習が終わったら「じゃあ、酒飲みに行くかー」みたいな軽いノリで飲んだり飯を食ったり。そんなに固くならずにアレコレ喋ったりとか。みんながみんな理解し合っている関係性を作れています。

川村 みんなが信頼するボスがいるから、その関係ができるんでしょうね。チームのメンバーが5人とも同じだと、たぶんうまくいかないですよね。

MaxJam 川村さんはどういうふうにコミュニケーションを図るのがいいと思いますか?

川村 酒を飲むのがいちばんじゃないですか?

一同 笑

MaxJam いまちょうど、地方に散らばっていたメンバーが関東に集まり始めているんですよ。なので、チーム内でご飯を食べたり酒を飲んだりする機会を作ろうという話をしています。ただ、僕は直接会って話したり、それこそ酒でコミュニケーションしてきたタイプなんですけど、そういう環境で育ってきていないメンバーが多いんですね。インターネットでの交流は便利だけど顔が見えにくいから、強くなるためにはコミュニケーションを図ってひとつのチームになったほうがいい。そういう結論にたどり着くまで、意外と時間がかかってしまうんですよ。

井上 パンクラスにはいろんな道場やジムから参戦していますけど、コミュニケーションとしての食事やお酒の場は持つようにされていますか?

川村 もちろん親交や交流の有無はありますけどね。いまの選手はみんなストイックなので、飲むときは飲む、飲まないときは飲まない。タイミングが合えばみんなで飲む、というのは大事なことだと思いますよ。

実力を維持するための精神論

Darkよっぴー 僕のほうから最後にひとつ質問を。試合に負けてしまったときの精神的な建て直しやモチベーションを維持していく方法を教えてください。揺るぎない目標があるからこそ、練習を続けられるという感じなのでしょうか?

川村 そのとおりですね。目標があるから続けられます。

Darkよっぴー “勝てないから止めたい”みたいな気持ちにはならないですか?

川村 率直に言ってしまえば、リングに上がること自体が怖いですよ。できることなら上がりたくないけど、それでもみんなを喜ばせたいですし。戦争もそうですけど、誰もが好きで戦うわけじゃないと思いますね。戦争と比べたら失礼かもしれないですけど、気持ちとしては同じかもしれません。勝手に自分が期待されていると思っちゃって、勘違いから始まった格闘技人生ですから(笑)。

Darkよっぴー 義務感的なものがあるということですか?

川村 勝手な義務感ですよ(笑)。

MaxJam 自分のなかのルールと言うか。

川村 「あれっ?」って気づいたら、そんなに期待されてなかった、みたいなこともあるかもしれないですけど、勘違いも意外と大事かなと思いますよね。

ISAO 自分の場合は最初はふてくされることから始まります。あれこれ考えて、いいところや悪いところを自分なりに消化して、それを整理したうえでつぎの練習につなげます。

川村 ふてくされるってどういうこと?

ISAO 「何でできないんだ」って自分自身にイライラするんですよ。整理して、できなかったことを見つめ直して、それを練習で試してみるみたいな。

川村 へぇ~、偉いわ(笑)。

Darkよっぴー やっぱり“自分の悪いところやできなかったことを反省する”っていうのは大事ですよね。

石渡 自分は試合前の減量やプレッシャーで、バイクで走っているときに「このまま事故で死なないかな」と思うくらい追い込まれたこともあるんです。そういう弱虫な自分を変えなきゃと思ってやっていたんですけど、やっていくうちに少しずつ慣れていきました。最近思ったのは、モチベーション云々というより、けっきょく好きだからやってるんですよね。

井上 ずっと好きだという心を持ち続ける、ということですか。

石渡 それがいちばんのモチベーション維持方法です。

井上 勝敗で変わることはありますか?

石渡 負けてばっかりだったら嫌いになっちゃうかもしれないです。勝ってるから好きなんだと思います。

MaxJam それでは最後に、今後の目標を教えてください。

川村 ゲームもそうだと思いますが、戦場はひとつの行動が命取りになるところなので、僕らはまだ甘いと感じています。こういう交流をさせていただいて思ったのは、まだまだ高められるということ。あとは“ひとつひとつ、ひとりひとり倒していく”ってことじゃないですかね。

ISAO 自分自身が努力をして、勝つところを見てもらって、あとは人との交流で刺激し合って、格闘技界が盛り上がればいいかなと思います。

石渡 まずは日本一になることです。勝って勝って、日本でいちばん強いと言われてからが勝負ですね。

 対談中に井上プロデューサーが口にしているように、秋には『AVA』世界大会が開催される。2月、5月に日本で開催された大会とは異なり、アウェーの環境で戦うことになる。現在は日本代表を決めるオンライン予選が進行しており、8月には代表クランが決定する予定だ。世界を相手に戦う日本の『AVA』から目が離せない。