『討鬼伝』の誕生秘話から今後の展開まで、小笠原Pと森中Dにズバッと直撃!
森中隆ディレクター(写真右)
2013年6月27日に発売となったコーエーテクモゲームスの『討鬼伝』。同社の開発チームω-Forceが手掛ける新規タイトルであり、ジャンルがハンティングアクションという点でも注目を集めている。そこでここからは、本作のプロデューサー小笠原賢一氏とディレクター森中隆氏へのインタビューをお届けしていく。同社初のハンティングアクションの出来は? 発売後のアップデートは? などなど、気になる部分をたっぷりと聞いた。
──いよいよ発売となりました『討鬼伝』。改めて本作のコンセプトを教えてください。
小笠原賢一氏(以下、小笠原) 最初に、「コーエーテクモゲームスの“ハンティングアクション”を作ろう」という会社の方針がありました。マルチプレイアクションゲームということであれば、『真・三國無双 MULTI RAID(マルチレイド)』というシリーズもありましたが、あれは“ハンティングアクション”とは少し違う。そうして違う形を検討していたのですが、プロジェクトの初期は、ハンティングアクションというより、MOタイプのゲームを森中と考えていました。何しろ、同系統のゲームにはカプコンさんの『モンスターハンター』シリーズ、バンダイナムコゲームスさんの『GOD EATER(ゴッドイーター)』シリーズ、セガさんの『ファンタシースターオンライン2』という強力なタイトルがズラリとある。ω-Forceが手掛けるということもあったので、“ハック&スラッシュ”系のゲームを考えていました。テイストを和風にしようということもこの時点で決まっていましたね。
森中隆氏(以下、森中) 当初は、『ディアブロ』ライクなゲーム性を考えていましたね。戦闘をしてアイテムを収集して、やり込んでいくという。
──しかし、それではダメだと?
小笠原 そうですね。「ど真ん中のハンティングアクションにしましょう」と言われて(笑)。それからはある意味開き直って、まずコーエーテクモらしいハンティングアクション。さらに和風の世界観を取り入れるならば、敵は鬼しかいないだろうと。そこで、鬼を退治するものとして思い出したのが、渡辺綱が酒呑童子を退治している絵だったんです。その絵を見ながら、部位破壊を特徴にするアイデアを思いつきました。さらに、部位破壊をくり返していくと、ふつうに考えれば鬼が弱くなってしまいますが、それだとつまらないので、壊した部位がもっと強くなって再生するのはどうだろうと。また、和のテイストだけでなく、歴史の要素も取り入れたいということで、そこが最終的にミタマというアイデアに結びつきました。私は当初、戦国時代の要素だけでいいと思っていたのですが、森中らスタッフからの「全時代にしましょう」という提案でいまの形になりました。アクションは、武器のモーションも、ズバッとした手応え、気持ちよさをフィーチャーするために、重さを感じられる作りにしようと考えました。最初のアクション体験版は、その結果できたものです。
──モーションに関しては、体験版のフィードバックで速くなるように調整されましたね。
小笠原 はい。我々開発チーム考える爽快感を追求すると言ったところで、実際にプレイされるのはプレイヤーの皆さんです。皆さんが「これはクセが強くてダメだ」となったら、いくらがんばっても意味がない。触っていただいたときに、すぐに気持ち良さが伝わる、間口の広さがキープされている状態というのは絶対に作らなければダメだということで、対応しました。
──対応は速かったですよね。1ヵ月ぐらいでしたか。
小笠原 ここで対応をしっかりして、プレイヤーの皆さんの信頼を得ないと終わる、という危機感ですね。それこそ、私が鬼になって「やらなければならない」と伝えました。
──体験版で意見を取り入れてフィードバックする、というやり方も増えてきましたね。
小笠原 フィードバックを反映できるタイミングでの体験版の配信は増えていますね。とくにハンティングアクションには、そういう流れがあります。当社はそもそも、本格的なハンティングアクションに挑戦するのは初めてなので、プレイヤーの意見を取り入れることは絶対にやらなくてはいけないだろうと思っていました。また、個人的な見解ですが、いわゆるSNS系のゲームから始まって、プレイしていただいて出たデータや意見から、こういうことをやっていけば数字が上がっていくんだ、というやり方が普及したことで、プレイされている方のほうにも、そういうやり取りでゲームが盛り上がっていくというのが、いまは実感としてあると思います。
──プレイヤーとともにゲームを作り上げていくスタイルですね。
小笠原 例えばソーシャルゲームの場合は、それが如実に売上という数字で返ってくるので、これはよかった、これはダメだったということがどんどん蓄積されていきます。数字だけで判断してしまっていいのか、という難しさはもちろんあると思いますが。家庭用ゲーム機で言うと、ちょうど私も森中もとあるMMOタイトルを遊ばせていただいているのですが、その作品はいままでのMMOよりもさらにユーザーさんとの対話に力を入れているのかな、という印象を受けました。これは最近のゲームの作り方の流れなのかなと思います。
──『討鬼伝』の各種体験版の反響はいかがでしたか?
小笠原 先にもお話した、モーションを速くするなどのパッチの配信後にガラッと好評価に変わりましたね。プレイヤーの皆さんからいただいた意見を自分たちのほうで咀嚼して実装し、手触り感などが客観的によくなっている、という評価もたくさんいただけました。それから、指摘したことが直っているというところに、プレイヤーの皆さんも手応えを感じていただけたのではないでしょうか。そこが大きかったと思います。発売前のゲームは、楽しみにしてくださっている方々の間で、どういう空気ができるかというのが大事です。そこで、我々がご意見いただいたことをほとんど対応できれば、当然プレイヤーコミュニティの雰囲気はよくなっていく。意見を送ってくださる人たちは、このタイトルのコアなファンになってくださると思うので、コアなところの空気が変わると、まわりも徐々に巻き込む流れになります。パッチを出したあとの反響は、作り手のほうも手応えを感じたタイミングでしたね。
──難しい面もありますよね。すべてに完璧に対応できるものではないでしょうし。
小笠原 そこはやっぱり、ずっとゲームを作り続けているプロとしての判断があります。本当は最初のアクション体験版は、もっと調整したかったのですが、納期やフィードバックのタイミングを考えると、ここで出さなきゃ間に合わないという状態でした。ですので、出す段階で修正しないといけないと思っていたところはありましたが、動きが“もっさり”というところへの反応は想像以上でしたね。
森中 作っていく中で、「無双」との差別化にこだわった部分があるんですよ。「無双」がサクサク動くので、『討鬼伝』は手応えを重視しようと。そこで考えていたものが、プレイヤーの皆さんの想像とちょっと離れすぎていたところがありましたね。そうなると、最初のとっつきで離れてしまうプレイヤーの方が出てきてしまい、遊んだ先の意見がいただけなくなる。体験版の土俵に上がってないというか、そういう意見が1回目のアクション体験版で多くて、まだまだ遊んでもらいたい部分があるのに、そこにたどり着かない。さすがにショックでしたが、修正パッチが当たったあとは、いろいろな要素に対して意見がいただけるようになりました。それらの意見がいただけたというだけでも、修正パッチの意味はありましたね。
──ゲームスピードという根幹に関わってくる部分の修正は大変だったのでは?
森中 新規タイトルをアクションゲームで作るからには、これは仕方のないところではあったと思います。
小笠原 他の作品のように、シリーズを重ねてリソースを蓄積しているわけではないですからね。最初から太刀打ちできるものを出すのは難しいところがあります。とはいえ、後発なだけに、追いつくことは難しくても、いきなりグッと近くに寄って行かないといけないので、どんなに大変でもこのプロセスは必要だったと思います。追いつくという意味では、遊びの部分などは、これからどんどん増やしていくつもりです。
──引き継ぎ体験版も配信されましたが、こちらの反応はいかがでしたか?
小笠原 このくらいの評価をいただけるものを1発目で出せていたら、というくらい、評価としては高くつけていただいていますし、非常にいい反応がいただけました。「所持品の制限がきついよ」という声もありますが、そこはあくまでもゲームのシステムを「体験」していただくためのものですのでご容赦いただけると。
──体験版だけでも、パッチを含めて3回も出すのは大変だったと想像します(笑)。
森中 PSP版もありますからね。現場は大変でした。これPSP、PS Vita……どっちだっけ……という状態に(笑)。
コーエーテクモゲームスの和モノへのこだわり
──『討鬼伝』は和風テイストを採用していますが、コーエーテクモゲームスの和モノ好きのルーツは、やはり『信長の野望』であり襟川社長であったりという部分なのでしょうか?
小笠原 根っこは間違いなくそこだと思います。最初はシミュレーションゲームでしたけれども、ベースの物語なり史実なりがあるところに、そこの知識を持っているプレイヤーが、自分の知識をもとに疑似体験ができる。そういうところを支持していただいていて、それに応えていく形でいろいろな提案をしていこう、という理念があります。少なくとも私と同じ世代で入社した人間たちはその気持ちが強くて、そういう人間がいまディレクターなりプロデューサーをやっている、という面もあると思います。
──小笠原さんは『信長の野望』を作りたい、ということで入社されたんですよね。
小笠原 ひと昔前はそういう人間が多かったですね。最近は「無双」や“ネオロマンス”シリーズが好きな人間のほうが多いかもしれませんが(笑)。
──なるほど(笑)。ではお話を戻しまして、テイストを和風でやる難しさってありますか?
森中 和風に絞ってしまうと、海外展開しにくいという部分はあると思いますね。
小笠原 昨今は、ゲーム業界のグローバル化が大きく叫ばれていますが、和風というある意味偏ったテイストでは、海外で大きく勝負しにくいところはありますね。
森中 今回は完全に、携帯ゲーム機のハンティングアクションを作るということで、その市場密度も明らかに日本が高いというのが見えていましたので、海外での販売はあまり意識せずストレートな和モノで行こうとなりましたが。
──逆に、『討鬼伝』こそ海外で展開したらおもしろいのでは、と思うのですが。海外の方たちはやっぱり洋風ファンタジーテイストは自分たちがオリジナルだというプライドがあると思います。なので、日本製の洋風ファンタジー作品に対する見方も厳しめなのかなと。一方で、日本発のニンジャ、サムライは大好きじゃないですか。
小笠原 結果論になってしまいますが、日本が海外で受けそうなものを作って、実績を落とすことは確かにあります。反対に、コアなジャパニメーション系や、萌えゲーなどが北米、欧州でもしっかりと日本と同じくらいの市場を確保していたりする。『討鬼伝』が海外でドカンとメジャー受けするのは難しいかもしれませんが、後者のような売れかたで受け入れてもらえる可能性はあるのかな、とは思いますね。
──北米、欧州以外ですと、アジアは人気の出る土壌がありそうです。
小笠原 アジアでは出しますよ。日本と同じ発売日で、台湾などで。
──市場密度のお話がありましたが、ハンティングアクションというジャンルが、海外では日本ほど受け入れられていないのは、どういう理由だと分析されていますか?
小笠原 私は端的に言って、ものすごくゲームシステムチックなものだから、大受けするには時間がかかるのかなと思っています。現在の海外で大受けする基準は、非常にリアリティーがあるか、映画的であるか、というふたつがメジャー路線ですよね。どんどんボーダレスになってきているとはいえ、求めるインパクトや快感、遊びの仕組みなど、少し文化が違う面はあると思います。また、携帯ゲーム機で遊ぶとなると、海外では高価なゲーム機をカバンに入れて持ち歩くなんてとんでもない、というところもあるでしょうし。そうなるとゲームは家で、どうせ家でやるなら、ゲームを遊ぶ時間は限られているので、いちばんハイクオリティーなものでやりたい。PCや据え置きゲーム機が選択肢になります。
森中 国民性もあるかもしれませんね。それがすべてではないですけど、どこかに根付くところがあって、誰かがやっていたら集まって遊ぼうか、というのが日本。俺は好きなものを遊ぶ、というのが海外。そういう違いはあるのかもしれません。
最初はPSP版で開発をスタートしたが……
──PS Vita版とPSP版の両方で発売するというのは、最初から決まっていたのでしょうか?
小笠原 最初はPSPで開発していましたね。
森中 SCEさんのご協力もありまして、あとからPS Vita版が決まりました。
小笠原 協力してプロモーション的にも盛り上げていきましょうという話になったときに、ならばぜひPS Vita版もお願いしますという流れになりました。我々としても新しいハードを盛り上げていきたいですし、そのお役にたてるのならということで決まりました。
──完全にイメージですが、PSP向けに開発していたものをPS Vitaでも出すというのは相当に大変だったのでは?
森中 完全に切り換えですね。PS Vitaをメインにした開発体制にしました。とにかくPS Vitaでできることをやって、それをなんとかPSPに詰め込んでいくという流れに変わりましたね。ふつうならPSPをアップグレードするという流れになるんでしょうけど。
──据え置きゲーム機は候補にはなかったんですか?
小笠原 作るものがハンティングアクションだったので、「狩りゲーと言ったらアドホックで集まってやるというシチュエーションをどう作るかというのがマストだよね」というのはまずありました。SCEさんといろいろ話しているときにも、PS3という選択肢もあるんですかね、と言いましたが、軸がブレるので携帯ハードだけにしたほうがいいのではないか、ということで、当面はPS VitaとPSPでやっていこうと。単純にいまの状況で考えると、クロスプラットフォームできる環境が整っているので、PS3とPS Vitaで展開するなど据え置きハードも視野に入ってくるんじゃないかなとは思いますね。
”次”もある!? 『討鬼伝』の今後について
──今後の展開についてもお聞きします。パッチやアップデートなどは定期的に行われていきますか?
小笠原 もちろんです。チームのスタッフも「いつ終わるんだろう」と思っているかもしれないですけれど(笑)、発売されてひととおり入った状態でのプレイヤーの皆さんの意見というのが、体験版とは違った形で絶対に出てくるので、それは対応する方針でいます。ちなみに、発売日にもアップデートをしました。鬼ノ目が発動しづらいという声をいただいたので、そこに対応しています。具体的には、PS Vita版で、タマフリのあたりの画面をタッチすると発動するようにします。それから、弓で狙いを付けるときの視点についても、オプションで異なる視点を選べるようにしました。
森中 これがですね、マスターROMを出して「終わったー!」と思ったら、小笠原が後ろに来て「これ、発売日パッチ行ける? この意見は取り入れようよ」って(笑)。あれはビックリしましたね。
小笠原 やるのが当然です(笑)。
──最近のゲームってすごいですよね。発売後でもいろいろ調整ができてしまう。
小笠原 先程も言いましたが、うちは後発なので、とくにしっかり丁寧にやっていかないといけません。つぎのナンバリングが出るときには、ハンティングアクションの中で並び立てるものにしたいですしね。となると、発売した後のリアクションを受けて全部調整していくということは、『2』でやるべきことを先にやっているだけなので、ムダということは全くない。どうせ後でやらなければいけないんですから。
──『2』出るんですか?(笑)
小笠原 お約束できるものではもちろんないですが、久々の新規タイトルですから、やりたい気持ちはもちろんあります。また、このくらいのリソースを突っ込むプロジェクトは、最初からある程度続編もやれるような計画で動き出すものでして、そういう意味で言うと『2』は作るつもりではいますけどね。もちろん会社の方針もありますので、予定とやる気だけではできませんが(笑)。ですが、発売後もプレイヤーの皆さんの意見を反映して改良を加えていく過程、新規タイトルが大きく育っていく過程というのは、開発にとってもプレイヤーの皆さんにとってもすごく楽しいことだと思うんですよね。そういう流れをしっかり作って、それが”次”に繋がればいいと思っています。
──『討鬼伝』に関しては、メディアミックスなど幅広い展開を考えられているというお話がありました。
小笠原 マンガ、アニメ、映画など、いろいろやりたいのですが、いまの段階ではまだ目標レベルのものも多いですね。新規IPなので、まずはIPとしての実績と知名度を取ってからでないと、あんまり大きい話はやっぱり乗ってきてもらいにくいですよね。とはいえ、そういうことを『討鬼伝』ではやっていくんだという気持ちは持ち続けています。いまのところ、コミカライズと、アニメーションについてはPVという形ですが、手を付けています。ここからそれを長期に連載できるような仕組みとか、アニメーションについてもOVAなどに持っていく展開というのは、今後の課題だと思っています。
──今後、DLCや追加コンテンツなどは具体的に決まっていることはありますか?
小笠原 はい。9月いっぱいくらいまではすでにスケジュールが決まっています。
森中 発売2週間後くらいからずっと続けていく予定です。
小笠原 当面は任務や武器防具の追加などを行っていきます。それ以外はミタマも大きな特徴ですので増やしていきたいと思いますし。それと平行して、先ほどお話したバージョンアップも予定しています。
ぜひいっしょに育ててやってください
──では、『討鬼伝』を始めた人、これから始める人に向けて、おふたりのオススメの武器を教えてください。
小笠原 私は、チェックするときは太刀を使っていました。
森中 太刀はベーシックな武器なので、ここから触れていただくのがひとつオススメですね。
小笠原 太刀は使い込みましたし、個人的には思い入れもありますね。
森中 私は手甲をオススメします。人間の体を使って、という直感的なアクションで巨大な鬼の部位を壊すというのが気持ちいいですね。いちばん直感的なアクションという意味で、爽快感が再現されていると思います。
──そのほかの武器はいかがでしょう?
小笠原 開発チームの上手なスタッフのプレイを見ていると、いちばん楽しそうなのは鎖鎌ですかね。上手くなると、とんでもない動きをするので、見た目にも派手でスゴイと感じます。
──魅せるプレイをしたい人は鎖鎌と。弓はどうですか?
小笠原 弓は最終的に使いやすくしたので、あまりトガった部分はなくなったかもしれませんね。
──セーフティーゾーンから攻撃できますし、初心者向けというイメージでしょうか。
小笠原 ただ、ひとつデメリットがあって、仲間の3人が倒れた状態になると、盛り返すのが難しいんです。
森中 ですから、弓を使う場合は回復できる癒のミタマを装備するといいですね。
──いっしょに戦ってくれるNPCがかなり強いですよね。これには理由が?
小笠原 開発内でNPCが使えないと言われていた時期がありまして。それはまずいということで直していって、いまの強さになりました。もうひとつの理由としては、シングルプレイでストーリーがあるという点ですね。お話を見たいのに、ストーリーが進むごとに壁に当たって物語が進まなくなったりするのもどうかと……。強敵とやって苦労するのは、極端に言えばエンディングを観てからでいいと割り切りました。そこから先もやりこみ要素はあるので、そのくらいの難易度でいいかなと思っています。
──アクションが苦手、初めてというプレイヤーにはうれしいですね。
森中 加えて、NPCのキャラ立てというところもありました。那木はお医者さんという設定なので癒のミタマをつけていますし、桜花は防のミタマをつけています。防のミタマは、挑発で敵を引きつけたり、無敵になるタマフリを使って復活させてくれたりします。「桜花さんありがとう! 頼りがいがある!」みたいな、キャラ立てという意味でも際立つようなチューニングにしています。
小笠原 キャラクターがどういう個性なのか、というのはAI上では何のミタマをつけているか、という点で差別化を図っています。8系統のミタマごとに個性が違いますが、ミタマが役立つようなAIをしてくれるから、NPCが使えると感じやすいということに繋がっています。なかでも那木は回復のミタマを付けているのでかなり強力です。個人的には一緒に連れて行くには那木がいちばんいいかも(笑)。
──NPCのキャラクターって強くしようと思ったらものすごく強くなるものなんですか?
森中 なります。そこも迷って、たとえばストーリーの序盤では、プレイヤーが何もしなくても勝てるぐらいの強さなんです。それはどうかという意見もありましたが、ストーリーを順番に進めていくうえでは、多少大目に見た部分はあります。
──では最後に、すでに遊んでいる方、これから遊ぼうという皆さんにメッセージをお願いします。
小笠原 アクション体験版で、間口が狭いものを作ってもダメなんだと切り換えたのをきっかけに、製品版も誰でも楽しんでいただけるというように調整しました。なので、あまりハンティングアクションが得意じゃないという方でも楽しんでいただけるようなストーリーの展開、キャラクターの濃さも味付けしてありますので、そこはぜひ、多くの方に触っていただきたいと思います。
森中 現時点でのベストは尽くしましたが、生まれたてのゲームなので、現時点でのベストは尽くしましたが、まだまだ発展していく伸びしろがあると思います。ぜひいっしょに育てていっていただけたらうれしいです。『討鬼伝』の成長に力を貸していただけたらと思います。「鬼とか苦手だわ」、「グロいんじゃないのこれ」、と思っている方もいるかもしれませんが、そのあたりを感じさせない作りになっていますし、ストーリーも王道の、楽しめるものが入っています。体験版でもいいので、ぜひプレイしていただければと思います。
小笠原 引き継ぎ体験版でいただいている意見も、すでに調整に取り掛かっています。これは発売当日のパッチとは異なる部分です。皆さんといっしょによくしていきたいと思いますので、製品版でもよろしくおねがいします。とにかく、完全新規の久々のω-Forceのタイトルということで、私がプランナーとして『真・三國無双』を作ったときくらい、ゲーム的にもいろいろなチャレンジをしています。もちろんプレイヤーを選ぶようなことはあまりない、いろいろな方が「楽しいよねこういうのは」と思える作りになっていると思います。アクションについてもそうですし、ストーリーについても、広くお楽しみいただけるようなものを目指しました。とはいえ新規IPですし、まずは体験版でご確認いただければ。体験版を遊んだ方からよく聞くんですよね「期待してなかったけどやってみたらおもしろかった」とか(笑)。パッとさわりで「おもしろいね」というところから、物語の展開含めて最後まで楽しめます。また、ω-Forceが狩りゲーを作ったらこうなるんだね、という形も見せられていると思いますので、手に取って遊んでみていただければと思います。