“乙姫”のミタマのイラストも本邦初公開!
2013年6月27日にコーエーテクモゲームスより発売された『討鬼伝』。『無双』シリーズを手掛ける開発チーム“ω-Force”が放つ、和風ハンティングアクションゲームだ。プレイヤーは“モノノフ”と呼ばれる戦士となり、太刀や弓、手甲といった6系統の武器を手に取って、人間に仇なす“鬼”に立ち向かっていくこととなる。本記事では、この注目の新規タイトルのプレイインプレッションをお届けしよう。
“アクション体験版”とその更新パッチについて
『討鬼伝』は、PS VitaとPSPで、それぞれ2種類の体験版が配信されている。ひとつは、4系統の武器が使用できる“アクション体験版”。もうひとつは、“アクション体験版”の後に配信された、製品版へのセーブデータの引き継ぎが可能な“引き継ぎ体験版”だ。この記事を読んでくださっている皆さんは、『討鬼伝』の体験版をどこまでプレイされているだろうか?
体験版をプレイしたことがなく、かつハンティングアクションゲームが好きだという方は、つぎの章から読んでいただいて大丈夫。更新パッチが当たった後の“アクション体験版”や“引き継ぎ体験版”をプレイし、『討鬼伝』の世界に魅了されているという方は、この記事を読まずとも十分に魅力が伝わっていると思うので、製品版をぜひ遊んでいただきたい。問題は、更新パッチが適用される前の“アクション体験版”のみ遊んだ、という方である。そういった方は、恐らく『討鬼伝』に興味があったものの、“アクション体験版”の内容に不満があり、プレイをやめてしまったのだと思う。しかし、これは非常にもったいない。なぜなら、更新パッチ適用後の“アクション体験版”や“引き継ぎ体験版”は、手触りが抜群によくなっているからだ。
確かに初期の“アクション体験版”は、必ずしもいい出来だったとは言いがたい。キャラクターの動きは全体的にもっさりしているし、走ろうとして回避になったり、ボタンを押すタイミングがシビアだったりした。もちろん、遊べると言えば遊べるのだが、「おもしろいか?」と聞かれると「うーん、まあまあかなあ」と、目を逸らしながら答える感じだったのだ。こうなった要因には、個人的な期待度が高すぎたということもある。『無双』シリーズで有名な“ω-Force”が作るのだから、おもしろくならないわけがないと思っていたし、和モノのハンティングアクションという、いままでになかったゲームだった点も、大いに魅力的に映った。筆者と同じような期待をしている人が多かったからこそ、最初の“アクション体験版”のハードルが、かなり高かったのだろう。
ただ、考えてみれば、1作目から超がつくほどおもしろい作品に仕上げるのは、相当に難しい。ハンティングアクションゲームにはヒット作が多数あるが、そのどれもがシリーズを重ね、ノウハウを蓄積したうえで、いまの形に落ち着いている。ω-Forceがいくらアクションゲームの開発に定評があるとは言え、本格的なハンティングアクションを作るのは初めてなのだ。それに、“アクション体験版”は、ユーザーからの意見を吸い上げ、そのノウハウの差を少しでも埋めるために配信されたもの。作りが粗い箇所があるのは、当然と言えば当然だったのかもしれない。
さて、“アクション体験版”の配信後、開発陣のもとにたくさんの意見が届いたわけだが、ここから開発陣の動きは早かった。“アクション体験版”の配信から約1ヵ月半後に、更新パッチを配布したのだ。この更新パッチでは、前述のような不満点がことごとく解消されていた。たとえば、モッサリと言われたアクションは、キビキビと、スピーディーになった。全体的にゲームのテンポが上がったことで、ボタンを押す気持ちよさや、鬼の部位を破壊する壮快感が増したのだ。さらに、武器ごとのアクションについても、攻撃を出しやすくなったり、アクションの幅が広がったりと、ユーザーの要望が多数取り入れられていた。皆が期待した『討鬼伝』が、ここで形作られたと言ってもいいだろう。だからこそ、更新パッチ前の『アクション体験版』しか遊んでいないというのは、本当にもったいないのである。更新パッチを適用していないという方は、開発陣とプレイヤーが一体となって作り上げた“真の『討鬼伝』”に、ぜひとも触れてみてほしい。おもしろいかおもしろくないかの答えを出すのは、それからでも遅くはないはずだ。
『討鬼伝』の魅力とは?
前置きがだいぶ長くなったが、ここから、改めて本作の魅力に迫っていきたいと思う。筆者が考える『討鬼伝』の魅力は、大きく分けて、“部位破壊の壮快感”、“魅力的な仲間たち”、“発売後のフォロー”の3つだ。
魅力1:部位破壊の壮快感
『討鬼伝』の特徴は、“部位破壊”に重きを置いている点にある。鬼を討伐するためには、腕や足などの部位を破壊して鬼の生命力を露出させたうえで、さらに攻撃を加える、というプロセスを踏む必要があるのだが、ここで特筆すべきは、部位破壊の壮快感。『討鬼伝』のアクションは、スピーディーながらも“重さ”を感じられるものとなっており、部位破壊で鬼の腕を斬り落としたときなどは、“ズバッ”という手応えが伝わってくるほどだ。
また、太刀、弓、手甲、鎖鎌、槍、双刀と、特性が異なる6系統の武器が用意されているところも見逃せない。それぞれの武器はモーションから何から大きく異なっているため、使えば必ず気に入る武器があるはずだ。ちなみに、筆者のお気に入りは手甲。こうしたハンティングアクションゲームにおいて、いわゆるナックル系の武器はなかなか採用されていないこともあり、とくに新鮮味を感じた。リーチは短いながらも威力にすぐれており、スリリングな近接戦闘が味わえるのはめっちゃくちゃ楽しい!
魅力2:魅力的な仲間たち
プレイヤーは新米の戦士なので、任務にはサポート役の味方がついてきてくれる。彼らはじつに頼りになり、序盤の任務では、プレイヤーがほとんど何もしなくても、鬼を倒せてしまうほどだ。これは、プレイヤーの間口を広げるという点で、非常に重要なこと。と言うのも、ひとりでのプレイは、プレイヤーの技量に頼るところが大きくなりがち。従って、壁にぶつかることもあるわけで、そうした壁を乗り越えられないプレイヤーは、ゲームを諦めてしまうことになる。実際に、かつて筆者もそういった体験をしたことがあった。だが、これだけ味方が強ければ、初心者だって安心だ。「ハンティングアクションは遊んだことがないけれど、『討鬼伝』は遊んでみたい」という人には、大きな助けとなるだろう。
また、キャラクター面では、彼らが織り成すストーリーにも言及しておきたい。『討鬼伝』には、ひとり用とマルチプレイ用のふたつの任務が存在し、ひとり用の任務については、その進行に合わせてストーリーが展開する。その中で、モノノフの仲間たちのバックボーンが語られたりもするのだが、妹を守るために戦っているとか、かつての失敗に負い目を感じているなど、これがまた、どいつもこいつも重い! 彼らの人間くさい生き様が、声優陣の熱演によって表現されるムービーシーンは思わず魅入ってしまうほどで、このストーリーだけでも、一見の価値があると言える。
魅力3:発売後のフォロー
“アクション体験版”に更新パッチを配信するなど、何かと対応の速い『討鬼伝』の開発陣。こうした対応は、発売後も継続して行っていくそうで、たとえば、“引き継ぎ体験版”でユーザーから出た要望なども、今後のバージョンアップで対応するようだ。これは、長い時間プレイすることが多いハンティングアクションというジャンルにとっては、本当にありがたいこと。ダウンロードコンテンツなどの配信も始まるので、発売されたらこちらもぜひ遊んでみていただきたい。
というわけで、今後もさらに遊びやすく、快適になっていくことは間違いないこの『討鬼伝』。本作でしか味わえない魅力が盛りだくさんなので、少しでも気になった方がいたら、ぜひ“引き継ぎ体験版”や製品版をプレイしてみてほしい。きっと、その魅力の虜になることだろう。
■筆者紹介:北口徒歩2分
アクションゲームが大好物の週刊ファミ通編集者。お気に入りの武器は手甲、お気に入りの仲間キャラクターは那木(なぎ)。2013年7月25日発売の週刊ファミ通には、3代目ゲーマーズエンジェルの一木千洋さんが声を担当した“乙姫”のミタマのダウンロードコードが付属! お楽しみに!!(宣伝)
討鬼伝
メーカー | コーエーテクモゲームス |
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対応機種 | PSVPlayStation Vita / PSPPSP |
発売日 | 2013年6月27日発売 |
価格 | PS Vita版は6090円[税込]、PSP版は5040円[税込] |
ジャンル | アクション / 歴史・ハンティング |
備考 | PlayStation Vita 討鬼伝 鬼柄(おにがら)は26070円[税込]、PS Vita版のPS Store ダウンロード版は5400円[税込]、PSP版のPS Store ダウンロード版は4500円[税込]、開発:ω-Force、ゼネラル・プロデューサー:鯉沼久史、プロデューサー:小笠原賢一 |