ビジネスマンが去っても世界は続く

あの『セカンドライフ』が10周年――これまでにユーザーが過ごした合計時間や経済活動の総額などのデータが公開_01

 「スノウ・クラッシュ」は、1992年に刊行された、ニール・スティーブンスンによるサイバーパンク小説(邦訳も出ている)。
 Webブラウザのインターネットエクスプローラーはまだ存在せず、Netscape Navigatorすら出ていないころに書かれたこの小説に出てくる仮想世界“メタヴァース”は、プログラミングコードやハッキング技術によりプレイヤーが干渉できるという仮想世界。ニール・スティーブンスンが予測していたかどうかは知らないが、その思想を受け継いだサービスが2003年に実現する。『セカンドライフ』だ。

 ユーザーが仮想世界内のコンテンツ制作を大々的に行えるこの世界が、2007年頃に突如日本で新聞や一般誌などに取り上げられるようになったのを記憶している人も多いかもしれない。しかし、仮想世界に金を探してやってきたビジネスマンが去っていき、ユーザーが世界を作るという自由を好む人だけが残った。

 そしてリリースから10年。Linden Labが10周年を記念したデータを公開した。
 これまでに作られたアカウントは3600万。仮想世界内の経済活動でやり取りされたお金は32億ドルに相当し、プレイ時間は累計で実に21万7266年になるという。
 世界の広さは700平方マイルで、これはサンフランシスコのおよそ14倍。210万個の仮想アイテムが売りに出され、毎日120万アイテムがやりとりされているとのこと。ちなみに一番購入されるアイテムは女性の髪型だそうだ。