丁寧なローカライズにビックリ! 子供向けとはまったくあなどれない『スカイランダーズ スパイロの大冒険』を見てきた_08
▲『コール オブ デューティ』シリーズや、Blizzardの『Diablo』シリーズなど、数百万本売れて当然の漢らしい銃弾と血と筋肉なゲームが揃っている総本山ですが、今日のお目当ては別です。

 2013年5月14日、アメリカのカリフォルニア州サンタモニカで、米大手パブリッシャーのアクティビジョンのプレE3イベントが行われた。

 というわけで折角サンタモニカに来たなら……と、イベント翌日にサンタモニカにあるアクティビジョンの本社オフィスにお邪魔してきた。

 お目当ては『スカイランダーズ スパイロの大冒険』。子供向けのアクションゲームなのだが、欧米でめちゃんこ売れている(セールスは10億ドル以上、フィギュアは1億個以上)本シリーズが、実はローカライズ進行中との情報を聞きつけてやってきたのである!

日本上陸のためにWii U版も開発

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▲ディスプレイをよーくご覧ください。漢字は使ってないんざんす。写っているのは本シリーズを統括するJoshua Taub氏。

 ローカライズが着々と進んでいるのは、シリーズ第1作となる『Skylanders Spyro's Adventure』。2011年にリリースされたタイトルだ。日本では7月12日より全国のトイザらス、ベビーザらス、および“トイザらス・ベビーザらス オンラインストア”で、プレイステーション3、Wii、Wii U、ニンテンドー3DSで発売される。
 ちなみにWii U版は海外では発売されていないのだが、「日本のために作った」(関係者談)と、わざわざ本来ないものを開発したっていうんだから本気具合がスゴい。

 シリーズを遡るとその源流はプレイステーションで発売された『スパイロ・ザ・ドラゴン』まで辿れるんですが、歴史の話はこの際省略。
 『スカイランダーズ』シリーズになってからについて簡単に説明すると、その特徴は丁寧に作られたアクションゲームと、リアルなフィギュアをミックスしていること。フィギュアにRFIDチップが内蔵されており、ゲーム機に接続した台(ポータル)の上に乗せると、ゲーム中にそのキャラクターが出現し、プレイヤーキャラクターとして使えるようになるのだ。

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▲ゲーム本編が入っている“スターターパック”に付属のキャラは本当にスタートでしかない。他のキャラとかスケルトン仕様とか欲しくなっちゃってからが本番です。
▲スパイロと聞いて「あれ?」と思った人、正解。『スパイロ・ザ・ドラゴン』のスパイロくんです。

 しかし子供用タイトルとあなどるべからず。子供のハートを着実にロックオンすべく、キャラクターデザインは映画「シュレック」の、音楽は「パイレーツ・オブ・カリビアン」の(というかハンス・ジマー!)、ストーリーは「トイ・ストーリー」の、サウンドデザインはスカイウォーカー・サウンドと、関連スタッフはAAAタイトル並み、というかそこらのAAAタイトル以上のスゲェ~面子。

 ちなみに本シリーズは最新作『Skylanders SWAP Force』(フィギュアを分解して異なる上半身と下半身を合体可能という男子にはたまらん新機能!)の制作が進行中だが、なぜ日本ではそっちじゃなくて第1作の方を出すのか?
 それはフィギュアの蓄積がとても大事だから。フィギュアは同じキャラクターでもシリーズごとにちょっと違ってたり、特殊素材のレア物なんかもあって、最新シリーズだけ出しゃあオーケーってワケでもないんですな(新作でも使えるからって旧作当時のフィギュアだけ出すのも変だし)。

 日本でのリリースでは、32キャラクター中、まずは24種類をリリース予定とのこと。ちなみにフィギュアは、ソフトやポータルやなんかとセットになった“スターターパック”、フィギュア単体や数体セット販売の“キャラクターパック”、DLC的な追加ステージが手に入る“アドベンチャーパック”などでゲットできる。

本来持つ魅力を引き出しまくる素晴らしきローカライズ!

 とはいえ、若干、いやほんのちょっと、キャラクターが“洋ゲー”テイストなのは否めない。「ワシらの子供の頃なんかキャラデザがコテコテなTMNTとか普通に見てたぜ」と言いたくもなるが、現代のお子様がノッてくれなかったらしょうがない。だがその壁を本作は3つの方法で乗り越えようとしている。

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▲顔が迫力あるというかなんというか……これはサメ風のキャラTerrafin。

 まずはゲーム自体の出来の良さ。個性的な各キャラクターは結構反応が良く、その動きを見ているだけでキャラクターに愛着が湧いてくる。
 敵の反応などもきっちり作り込まれていて、例えば羊のキャラクターは、プレイヤーが炎系の攻撃をすれば黒焦げに、水系の攻撃なら毛が濡れてしぼんじゃってる感じになり、ハンマー攻撃では潰れてペランペランになる。このわかりやすさはとてもナイス。

 そしてもうひとつはフィギュアと連動していることそのもの。自分のフィギュアがすぐにゲームキャラクターとして使え、前述のような反応のいい動きを見せてくれるだけで「おっ」と思う強さがある。
 日本展開にあたってはトイザらスとのパートナーシップにより店頭にデモ機を置くそうなのだが、そこでまず子供にフィギュアを置かせてみることに成功すれば「え、なになに?」となり、最初のツカミはオーケーなんじゃないだろうか(「これ欲しい」と言われ続けるかもしれないお父さんお母さんたちはお疲れ様です)。

 そして最後は秀逸なローカライズ。テキストはすべて片仮名と平仮名で翻訳されていて、カットシーンなども子供番組や子供向け映画のようにはっきりとしたトーンの丁寧な吹き替え音声になっている。本編がすでに完成しているタイトルのため当然と言ってしまえば当然なのかもしれないが、じっくりと時間をかけた丹念なローカライズを行なっているのが伝わってきた。

結構奥行きもあるゲームプレイ

 ゲームとしては3Dアクションで、プレイヤーは自分のキャラクターの得意技などを駆使しながら世界を冒険していくことになる。
 キャラクターには8種類の属性があり、これが合っていないと通れない場所などもあって、本シリーズを担当するシニア・バイス・プレジデントのJoshua Taub氏いわく「キャラクターによってゲームの見えなかった部分が見えてくる」奥深さや、新キャラをゲットする動機のひとつにもなっている。

 ちなみに協力プレイや対戦プレイも可能で、フィギュアがキャラクターの成長を記憶しているので、例えば自分の家でWii U版でプレイしたキャラクターを友達の家のプレイステーション3版で使うといったことも可能。持っていけばいいのはフィギュアだけというわかりやすさ。

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▲対戦モードなんかもある。友達に負けたからって新しいフィギュアをねだると多分怒られる。

 日本の子供を対象にしたプレイテストなどもすでに実施したそうで、子供だけでなく親御さんからも好反応を得られ、手応えを感じている様子。日本展開が成功するかどうかは、プロモーション施策によりいかにして子供に知ってもらうかという点にかかっていそうだ。