ゲームをより遊びやすくするための“Kinect対応”

 『The Elder Scrolls V: Skyrim』(以下『スカイリム』)といえば、ベセスダ・ソフトワークスが発売した世界的に有名なアクションRPGである。この作品が発売されたのは2011年の終わり。今日まで、多くのプレイヤーが『スカイリム』の世界を思う存分楽しんできたことだろう。今回は本編シナリオ以外について、具体的に言えば“Kinect対応”と3つのダウンロードコンテンツについて紹介していこう。

 本作がKinectに対応をしているのを知らなかった、または知っていても対応させていなかったプレイヤーもいるのではないだろうか。Kinectへの対応は日本語版発売より少し遅れ、2012年5月からオンラインでのアップデートが行われている。
 Kinect対応と聞くと、身ぶりを認識して操作する、Kinect専用タイトルのような操作を思い浮かべるかもしれない。しかし本作で対応しているのは音声認識のみである。プレイヤーの発する声をボイスコマンドとして認識し、キャラクターの操作を手助けするというものだ。
 音声認識のみの対応では物足りないと思うかもしれないが、筆者はこれで正しかったと思う。ボイスコマンド(キャラクターへの指示)を使うと、コントローラのみで操作するよりも、簡単かつ直感的な操作でキャラクターを動かせる。「Kinectでの操作性は悪い」と先入観を抱いてしまっている人は、ぜひ本作の“Kinect対応”を試してみるといいだろう。

<Kinectを利用するうえでの注意点>
 ここでは本作において、Kinectを利用する上での注意点を説明しておこう。まず大事なのは、音声認識の再設定をしっかりしておくこと。これができていないと、自動的にKinectへの対応がオフになり、認識してくれないことになる。Kinectを買ったままあまり使っていなかったプレイヤーは、これを機会に再設定しておこう。
 ゲームをスタートさせたらすぐにスタートボタンを押してシステムに入り、“設定”“ゲームプレイ”の中にある“Kinectコマンド操作”という部分にチェックを入れよう。その時点からKinectでの音声認識が可能になる。
 またシステム内の“ヘルプ”に“KINECTコマンドリスト”“KINECTシャウトを使用”という項目がある。ここに音声認識を利用したボイスコマンドについてくわしい説明があるので、参考にするとよい。

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▲Kinectを使うときは、必ず“設定”“ゲームプレイ”内にある“Kinectコマンド操作”にチェックを入れること。システム“ヘルプ”内の“KINECTコマンドリスト”“KINECTシャウトには、ほぼすべてのコマンドリストが網羅されている。

自分の遊びやすさを重視してボイスコマンドを使いこなす

 ボイスコマンドがもっとも威力を発揮するのは、“シャウト”を使うとき。“シャウト”は日本語での名前と、ドラゴン語両方に対応している。日本語で叫ぶ場合はたとえば「揺るぎ無き力」と叫ぶだけで、アンロックしてある最大の“シャウト”が可能になる。ドラゴン語で叫ぶ場合はRBを押しながら「ファス・ロ・ダー」と叫べばよい。ドラゴン語の場合は、区切りの途中まで叫ぶことで、1~3段階の使い分けが可能だ。コントローラで操作した場合は、複数の種類の“シャウト”を使い分けるのが難しい。しかし、ボイスコマンドなら自由に選択できるし、なにより直感的な操作でゲーム世界に埋没できるのがよい。
 また意外に役立つのが、マップ上でのボイスコマンド。ホワイトラン、マルカルスなど9つの大都市に対して認識しているので、マップ上で発声するだけでその場所にカーソルが移動してくれる。そのほかクイックセーブや魔法、武器の装備など、さまざまな用途で幅広くボイスコマンドガが利用できる。
 とはいっても、音声認識を最大限に利用しなければいけない、という決まりがあるわけではない。コントローラでも操作できるので、自分の使いやすい部分だけボイスコマンドで補っていけばいいのだ。自分なりに音声認識を使いこなし、快適にプレイしていこう。

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▲通常時は日本語で最大の“シャウト”が発動可能。RBを押せば、ドラゴン語で音声認識する。コントローラ操作で“シャウト”を発動したい場合は、LBとRBを同時押しで出す。マップ画面での高速移動にもボイスコマンドが活躍する。

吸血鬼をテーマとしたDLC第一弾“Dawnguard(ドーンガード)”

 『スカイリム』の追加ダウンロードコンテンツとして、最初にリリースされたのがこの“Dawnguard(ドーンガード)”だ。“Dawnguard(ドーンガード)”では、吸血鬼をテーマにしたクエストが中心となっている。本編に登場する吸血鬼は、たまにダンジョンで出会うものの、それほど目立ったものではなかった。しかしこの“Dawnguard(ドーンガード)”では、“吸血鬼の王”と呼ばれる強大な存在が現れる。メインクエストに匹敵するボリュームがあり、壮大なストーリーが展開されるので、ぜひ体験してみてほしい。

<吸血鬼の王となるか、ドーンガードとして戦うか>
 それでは、ごく簡単に“Dawnguard(ドーンガード)”の概要を紹介していこう。“Dawnguard(ドーンガード)”をダウンロードすると、街でしばしば吸血鬼の攻撃が行われるのを目にすることになる。これがクエスト開始の合図だ。この攻撃は、ある程度クエストを進めるまで続く。そこで街の人間(NPC)を巻き込みたくない場合は、早めにクエストを進行させるとよい。
 “Dawnguard(ドーンガード)”では、吸血鬼側と吸血鬼ハンターの組織であるドーンガードとの対立が描かれる。スカイリムを舞台に、吸血鬼の城とドーンガードの拠点が新たなエリアとして出現する。クエストの途中で双方の拠点におもむくことになるが、その過程で吸血鬼側につくか、ドーンガード側につくか選ぶことができる。このあたりは本編の内戦クエストと似ており、吸血鬼というマイノリティに属する側を選ぶこともできるのが、いかにも『スカイリム』らしい。
 吸血鬼側を選んでクエストを進めると、“吸血鬼の王”という能力を手に入れることができる。これによって、みずからを吸血鬼に変身させ、コウモリになって移動するなどの特殊な能力を使うことができる。これまでにない、新たな操作性を体験できるのが魅力となっている。
 クエスト後半では、新たなフィールドである ソウル・ケルンという場所に進むことができる。このエリアは広大で、見たことのない敵が登場する。そしてここでは未知の呪文、武器、“シャウト”などを手に入れることができる。ぜひこの“未体験ゾーン”を味わってほしい。

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▲吸血鬼に変身し、幻惑魔法や特殊な攻撃を仕掛けるのも“Dawnguard(ドーンガード)”ならではの楽しさだ。新たなフィールド、ソウル・ケルンでは、見たこともない敵が出現する。

家を建ててハートフルな生活を送れるDLC第二弾“Hearthfire(ハースファイア)”

 “Hearthfire(ハースファイア)”は家を建てて養子を迎え、家庭を作るという、RPGでは定番の楽しみを強化した内容だ。ただ家を作るだけというとシンプルに思えるが、これが意外に手間のかかるもの。家を改良しているうちに愛着がわき、ハマっていく仕掛けになっており、なかなかあなどれないコンテンツとなっている。

<ゲームの世界でも家を持つというのは大変なこと>
 “Hearthfire(ハースファイア)”のDLCをダウンロードすると、これまで家を持つことができなかった街の周辺の土地を与えられ、家を建てることが許される。とはいえ、家を建てるための材料費や建設は自分でやらなければならない。近くの製材所から丸太を購入し、大量に集めた鉄のインゴットから釘や金具を作って家の建設を進めることになる。
 序盤でポイントになるのは、必要な石材や粘土、鉄鉱石は自宅の周辺から採取できるということ。これを知らないと材料の調達に困ってしまう。採石できる場所にはツルハシが置いてあるので、よく探してみよう。
 材料を調達するため各所を飛び回り、建設予定地に戻って製図台と作業台で黙々と作業を続ける。それを重ねるうちに、マイホームが着実に完成に近づいていく。そのうちこじんまりとした家が完成するが、これで終わりではない。さらにメインホールを増設することで、本編で購入できる家よりも大きな豪邸に仕上げることができる。
 外見を作り上げたら、つぎは内装だ。テーブルやベッドのほか、部屋を飾る動物の置物や武器庫などを作ることができる。家の周辺には養蜂場など、その土地に固有な施設を作ることも可能だ。
 豪邸を建てても、ひとりで住むのは味気ない。伴侶とともに住み、養子をもらって子供といっしょに暮らすのがいいだろう。街に行くと身寄りのない孤児がいるので、家を建てた後にアプローチしてみるとよい。家を建てる前に出会うと、持ち家がないゆえに引き取れない悲しさを味わうことになる。そんな悲しみも含めて、ゲーム世界の中にリアルな生活感を感じられるのが、“Hearthfire(ハースファイア)”の醍醐味といえる。

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【めざせ!!100万時間応援企画】プレイリポート第10回:『The Elder Scrolls V: Skyrim』_08
▲製図台と作業台を使い、みずからの手で一から家を建設する。内装に凝るなど、細部にまでこだわれば手間がかかる。だがそのぶん、築き上げた自宅と新たな家族に対し、愛着がわくことになるだろう。

新マップ“ソルスセイム島”が舞台となるDLC第三弾“Dragonborn(ドラゴンボーン)”

 ダウンロードコンテンツ第三弾の“Dragonborn(ドラゴンボーン)”は、最初のドラゴンボーンにまつわるストーリーが展開される。メインとなるクエストは興味深い内容だが、それ以上に新たなフィールドである、ソルスセイム島の存在感が魅力的。大半が寒冷地のスカイリムとは違い、独特の気候と風土を持った土地で冒険がくり広げられる。島の各所でスタートする、サブクエストも充実しており長く楽しめる。

<ソルスセイム島とアポクリファ、まだ見ぬふたつの世界が待ち受ける>
 “Dragonborn(ドラゴンボーン)”の舞台となるのはソルスセイム島。この島は、スカイリムではなくモロウウィンドに属しており、風土も文化も違う。この島に行くには、ウィンドヘルムから船に乗って行かなければならない。ソルスセイム島に行くとワールドマップが更新され、スカイリムのマップが表示されなくなる。スカイリムに行きたい場合は、マップ画面の左下にある矢印のところにカーソルを合わせてボタンを押そう。そうすればスカイリムに高速移動することができる。
 ソルスセイム島に行って困るのはアイテムの置き場だ。スカイリムとの往復は時間がかかるので、現地に自宅がほしいところ。幸い、特定のサブクエストをこなし貢献することで、島でいちばんの都市レイブン・ロックに居を構えることができる。サブクエストから進めるのもひとつの手段だ。
 メインとなるドラゴンボーンのクエストでは、黒の書と呼ばれる謎のアイテムが鍵となっている。黒の書に関連して出現するのが、幻想的な異世界アポカリファ。登場する最初のドラゴンボーン、ミラークを追い、プレイヤーはアポカリファをさまようことになる。黒の書、アポカリファ、最初のドラゴンボーンとのあいだに、どのような関連があるのか。それはプレイヤー自身の手で確かめてみてほしい。

【めざせ!!100万時間応援企画】プレイリポート第10回:『The Elder Scrolls V: Skyrim』_09
【めざせ!!100万時間応援企画】プレイリポート第10回:『The Elder Scrolls V: Skyrim』_10
▲クラゲのような生物がいたり、巨大なキノコが家になっていたりと、ソルスセイム島の風土はスカイリムとは異なっている。異世界アポカリファを突破し、ドラゴンに騎乗できる新たな“シャウト”を身につけるのだ。

 筆者は『スカイリム』の本編では、小さなサブクエストまですべてやり尽くしたが、3つのダウンロードコンテンツとKinect対応に関してはまったく手をつけていなかった。しかし、今回の記事を制作するにあたってプレイしてみたところ、その充実ぶりには驚きを感じるほどであった。『スカイリム』にハマッたプレイヤーなら、これらのコンテンツを楽しまないのはもったいない。
 もし、この記事をきっかけに『スカイリム』に興味を持ったなら、6月27日に発売される『The Elder Scrolls V: Skyrim Legendary Edition』がオススメ。紹介した3つのDLCに加え、コンバットカメラ、騎乗戦闘、最上級難易度レジェンダリー、そしてパークのマスターとスキルの永久レベルアップが可能となるレジェンダリー・スキルなどの新要素も完全収録しているのだ。価格は7140円[税込]。

■筆者紹介:石井ぜんじ
おもにファミ通Xbox360誌で攻略、クロスレビューを担当してきた古株ライター。ゲームの文章を書き始めてから20数年、飽きずに続けております。過去に『NINJA GAIDEN』シリーズ攻略本、シュタインズ・ゲート公式資料集などに参加。