ゲームのボリュームもさらにアップ

 E3の開催前日に行われたマイクロソフトによる“Xbox E3 2013 Media Briefing”では、Xbox Oneのタイトルが続々と発表されたわけだが(⇒関連記事はこちら)、個人的にいちばんのサプライズだったのは、『Crimson Dragon』のXbox Oneへの対応が発表されたことだ。

 『Crimson Dragon』といえば、東京ゲームショウ 2010の基調講演で『Project Draco(仮題)』として発表されて以降、その発売をファンから待望されていたXbox LIVE アーケード用ソフト(⇒関連記事はこちら)。『パンツァードラグーン』の生みの親として知られる二木幸生氏がディレクションを務める作品だけに期待値も非常に高かったのだが、ここ1年ほどは進捗も聞かれず……という状態だった。それが、ここへきてのサプライズ発表と相成ったわけだ。


 E3という、海外市場をターゲットに据えた発表会にて『Crimson Dragon』がフォーカスされるということは、いかに海外市場における同作に対する期待値が高いかを物語るものとも言える。実際のところ、“Xbox E3 2013 Media Briefing”でお披露目されたタイトルの中でも、KONAMIの『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』や、開発をアクセスゲームズが担当する『D4』などと並んで、日本のクリエイターが関わる数少ないゲームのうちの1本となっている。同じ日本人として、何となくうれしくなってしまうのも、それは人情というものだが、E3のマイクロソフトブースに足を運んでみると、二木幸生氏の姿が! 「これは好機」とばかりに、おもむろにお話をうかがってみました。

『Crimson Dragon』はXbox Oneでさらに進化する、会場で二木幸生氏を直撃【E3 2013】_02
▲グランディングの二木幸生氏。

――『Crimson Dragon』がXbox One向けに発表されてびっくりしました。どんな経緯でXbox One向けにリリースされることになったのですか?
二木 Xbox 360向けに開発していたときに、Xbox Oneを初期段階で見せていただいて、そのときに「こっちでもやらないか?」とマイクロソフトさんからいただいたんですね。で、いろいろと話しをしていく中で、Xbox One用にも作ろうということになりました。

――Xbox 360版はどうなりますか?
二木 いずれマイクロソフトさんから正式発表があると思いますので、お待ちください。

――Xbox One版はKinectにも対応しているのですか?
二木 もちろん対応しています。今回、Xbox OneはKinect同梱なので、みんなKinectを持っているということもありますし、多くの方に遊んでいただけるのではないかと期待しています。ただ、『Crimson Dragon』に関しては、以前から「パッドで遊びたい」という声が多かったので、パッドだけでも遊べるようにしようということになりました。

――操作性に違いがあったりするのですか?
二木 パッドはパッドだけでも遊べますし、Kinectだと、Kinectを使った違った操作性になります。こちらはハイブリッドになりますが。そのどちらでも遊べる予定になります。

――2010年の東京ゲームショウで初お披露目されてから、けっこう長いプロジェクトになりましたが、注力したポイントはどこになりますか?
二木 今回に関してはXbox Oneの機能をうまく活かす……というか、絵をXbox 360よりはよくしないといけないので、この1年間は、その部分に力を込めていました。

――Xbox Oneならではの魅力ってなんでしょうか?
二木 Xbox Oneの開発にあたっては、Xbox 360版と同じくUnreal Engine 3を使っているのですが、Xbox 360版よりはぜんぜん絵が出るので、「もともと、これくらいやろうか」と言っていたところが、出せるようになったかな、というのはありますね。

――Xbox One向けの開発にあたって、ゲームのボリューム的にも増やしたなんてことはありますか?
二木 そうですね。ドラゴンの種類も増えていますし、マップの種類も増えています。やっぱりひとつのマップのビジュアルの量も増えていますよ。あと、本作では、シューティングをしながら餌とかを集めていって、それを与えてどんどんドラゴンを育てていく……というドラゴン育成が大きな特徴なのですが、その部分もさらに充実しています。

――ドラゴンの種類はどれくらいに?
二木 前は6種類だったのですが、それがひとつの種族になって、ひとつの種族の中に何種類も存在する……という形になっています。

――気になる発売時期に関してはいつくらいになりますでしょうか?
二木 それは、まだちょっと言えないです。鋭意制作中です!

――最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
二木 ずいぶんお待たせしてしまって、去年から「どうなっているんだ!」と非常にお怒りの声をいただいていたのですが、こういうことになっていたので、何も言えず……という感じでした。期待に応えられる作品になるようにみんなで作っていますので、期待していてください!

『Crimson Dragon』はXbox Oneでさらに進化する、会場で二木幸生氏を直撃【E3 2013】_03
『Crimson Dragon』はXbox Oneでさらに進化する、会場で二木幸生氏を直撃【E3 2013】_04
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『Crimson Dragon』はXbox Oneでさらに進化する、会場で二木幸生氏を直撃【E3 2013】_01

 さて、E3のマイクロソフトブースでは、『Crimson Dragon』がプレイアブルで出展されており、かなりの反響ぶり。記者もしばし列に並んで実際に試遊してみた。体験できたのは、敵ドラゴンを倒しつつ、ステージボスに至る……という、10分ほどの長さのステージ。やはり注目すべきは、その美麗なグラフィックで、ドラゴンの詳細なディテールなどを見ると、「これが表現したかったことなのか」と思わせた。とくに目を奪われたのは焔だ。試遊できたバージョンでは、マグマが燃え盛るステージを進むことになるのだが、焔の表現が臨場感に溢れ、極めて印象的だった。

 体験できた攻撃方法は“Plasma Ray”と“Vision”の2種類。“Plasma Ray”は、右スティックを使って最大で8ヵ所まで敵をロックオンし、右トリガで攻撃。対する“Vision”は、右スティックで照準をあわせて右スティックで攻撃するというもの。こちらは、レーザー状の武器で、“Plasma Ray”よりは若干威力が弱めとなっているようだ。武器の切り替えは左トリガで行う。それぞれ異なる趣向の攻撃方法が魅力だが、個人的に爽快だったのは、“Plasma Ray”。ロックオンしつつ攻撃するという一連のアクションが、勇壮なドラゴンの動きとマッチしているようで楽しい。リクエストが多く寄せられたということもあり、パッドでの操作は極めて快適との印象。とはいえ、Xbox One版ではハイブリッドになるという、Kinectでの操作も気になるところだ。

 Xbox Oneでさらに進化した姿を見せてくれた『Crimson Dragon』に期待したい。