過去最大にして最高傑作! とてつもない作り込みのファンタジー世界

ゲラルトさん三部作の最終章は超絶クオリティのオープンワールドRPG! 『The Witcher 3: Wild Hunt』【E3 2013】_08

 E3は閉幕したが、会期中にお伝えしきれなかったニュースを引き続きお届けしよう。CD Projektの『The Witcher 3: Wild Hunt』は、2014年にXbox Oneとプレイステーション4とPCで発売予定のファンタジーRPG。
 次世代機とハイエンドPC向けのリリースとなる本作では、Witcherシリーズ初のオープンワールドRPGとなり、ゲーム世界も前作の30倍に大幅にボリュームアップ。異常なほどに作り込まれた世界にブッ飛ばされた!

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▲主人公はモンスター殺しを生業とする“ウィッチャー”のゲラルト。文句なしに過去最大の規模、圧倒的なクオリティで彼の冒険の最終章が描かれる。

時間や天候変化の概念もアリ。ぎっしり詰まった生きている世界

 今回冒頭で見せてもらった世界の中の比較的小さな島だけでも、前作の135%の大きさで、“何もないところを進み続けることがない”ように開発されており、歩いていると難破船があったり、キャンプに遭遇したり、狩人の為のものなのか、村外れの場所に小屋があったりする。

 新たな移動手段としてボートも登場するのだが、本作には時間と天候の変化の概念があり、嵐の際には陸に戻らないと転覆する危険性などもあるという。北欧の雄大ながら厳しい海をイメージしているのか、主人公ゲラルトは泳げるものの、水温が低いため、そうなってしまうと溺死は避けられないようだ。

 一方、目的の場所に一発で行けるファストトラベル機能もあるので、探索よりもクエストを優先したい人はそちらを使えばオーケー。ただし記者としては、この隅々まで作り込まれた世界を探索しないのは、本作をプレイするにあたってかなりの損だとお伝えしておきたい。

 ちなみに会話が発生しないNPCも多いのだが、従来よりも生きた世界を描くべく、夜に会うと酒場で飲んだくれているオッサンが、昼に会うとちゃんと仕事をしているといった、天候や時間による違いを与えているとのこと。

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▲『TES V: スカイリム』のような世界への干渉(例えば何かアイテムを盗んだり掴んで投げたり)こそできないが、世界はすごいリッチな作り込み。

ミッションは3種類。リアルタイムカットシーンなども進化

 ミッションは大きく分けてメイン、サイド、ランダムの3種類があり、メインクエストを進めていくと気が付かない内にサイドクエストもスタートするといったように、有機的な繋がりになっている。

 ミッションの最中には会話などでカットシーンが挿入されるが、これらはすべてリアルタイム処理されており、ボケ表現などの映像表現も駆使して、説得力のあるストーリーテリングを試みている。フェイシャル(顔の表情)表現も向上しており、顔だけでも表情をコントロールするボーンが40個仕込まれていて、セリフ以外に言外に表情で行う感情表現なども演出の一部となっている。

 開発チームでは初代Witcherで「現代的RPG作り」、Witcher2では「ストーリーテリング」を学んだと位置づけており、本作では「プレイヤーの選択が世界に影響をおよぼす」ようなストーリーシステムに挑戦している。

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 デモでは木の精霊のようなモンスター“Leshen”をめぐるクエストで、その効果を見ることができた。ゲラルトはとある経緯から訪れた村で、村人が木に巻き付かれて変死する事件を捜査することになる。

 ここで役だったのが、ウィッチャーの類まれな感覚を示す“Witcher Sense”だ。これは魔力の痕跡などを視界に赤く示すレーダーのようなもので、いつでも使用可能。ゲラルトは現場周辺に残された痕跡を追っていくことで、狼を使役するLeshenが殺人に関与していることを知り、村人に決断を迫る。
 というのも、ゲーム中のモンスターリストにも出ているのだが、Leshenは森のさまざまな場所に設置した像から力を得る非常に強力なモンスターで、それだけなら像を焼き払っていけばいいが、殺しても“印”をつけてある人間の体を使って転生するという能力を持っている。つまりLeshenが印をつけた人間が生きている限り、討伐をやってもあまり意味が無いのだ。

 デモでは穏健派の老人たちと対立する改革派の若者にどうするか尋ね、Leshen討伐の前に“始末”をつけるということで合意する。そしてゲラルトがWitcher Senseで村を見て回ると……改革派リーダーの若者が好意を抱いている女性に印がつけられているのを発見する。そして真実を告げたゲラルトは森に入り、像を焼き、ついにはLeshen討伐に成功して村に戻ってくる……。

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▲Leshenはボスっぽい扱いだったが、開発陣いわく「80種類いるモンスターのうちの一匹にしか過ぎない」。戦闘中もQTEなどは一度もなし! ちなみにQTEの排除はかなり強調していた。

 これは正しいことだったのか? その後の結末がカットシーンと絵物語を織り交ぜた“フラッシュバック”で描かれたが、実に苦い内容だった。
 森の精の仕業であるから仕方がないとする老人たちに反抗し、モンスターを倒して村を助けたいと言っていた若者たちだったが、Leshenを倒して帰ってきたところ、彼らは印をつけられた女性のみならず老人までを殺害していた。要するに彼らは村を牛耳りたかっただけなのだ。しかしその数カ月後、村が拡大する戦火に飲み込まれて焦土と化すとは、彼らには知る由もなかった……。

 こういった深い因果のディープなストーリーは「全部で100時間は感情を揺さぶるようなゲームプレイが可能」なレベルに張り巡らされているそうで、道中で突然発生するランダムクエストにも、野党に襲われている村の住人を助けたがために黒幕から狙われる……というものが見られた。

ダークなファンタジー世界を真正面から描ききる

 隅々まで描きこまれた世界、容赦の無いディープなストーリー、大型モンスターともQTEなしに戦うバトルシステム。こういった数々の要素からは、本作をWitcher三部作の最終章にふさわしい、言い訳のない究極の作品に仕上げようという開発チームの決意が伺えた。

 本シリーズのダークさは万人受けするようなものではないし、膨大かつ陰鬱なストーリーは日本語ローカライズでも決定しないとなかなか厳しい感じがあるが、もしこの原稿のどこかで「オッ」と思う部分があったら、ぜひチェックしてみてほしい。(ところでグラフィックがウルトラ進化した本作だが、シリーズおなじみのオトナのロマンスシーンはどうするんだろうか?)

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▲戦闘はまだモーションの調整などが必要な感じだったが、剣と魔法、そして回避行動などをフル活用して、時には巨大な敵、時には複数の敵を相手に戦うアクション性の高い内容。