クローズドデモで数々のシステムが判明!
『Watch_Dogs』のクローズドデモは、おもにふたつの内容に分かれていた。ひとつ目は、主人公エイデンのハッキング能力の紹介。そしてふたつ目はシングルプレイとマルチプレイの関係の解説だ。まずはひとつ目のエイデンの能力についてお届けしよう。
本作の主人公エイデンは、天才的なハッキング技術の持ち主で、携帯端末から都市のコンピューターのセキュリティーにアクセスし、さまざまなインフラ(生活の基盤)をハッキングすることができる。これまでに公開されたデモ映像などで、エイデンが信号を変えたり、都市をまるごと停電させたりする光景を見ることができたが、じつはこのハッキング能力には制限が設けられている。街中で犯罪行為に関わるようなハッキングを使用するためには、“警戒エリア”に侵入し、そこから都市のネットワークにアクセスしなければならないのだ。“警戒エリア”には厳重な警備が敷かれており、いたるところに見張りの兵士が立っている。正面から突っ込んで敵を倒しながら進んでもいいが、街中で目立つ行動を取ると、エイデンの“名声”が下がってしまうので要注意。名声が下がった状態で街を移動すると、警察に目をつけられやすくなるなどのデメリットがあるので“名声”を気にするプレイヤーは、“警戒エリア”ではステルスで進むことになる。最深部の端末にアクセスし、セキュリティーを突破すれば、そのエリアでさまざまなハッキング能力が使えるようになる。
セキュリティーを突破したエイデンは、道行く人の詳細なプロフィールを閲覧できる。プロフィールには生い立ちや職業、年収などに加え、その人物が犯罪に巻き込まれる予測指数/危犯罪を冒す予測指数などが表示される。たとえば、犯罪に巻き込まれる予測指数が高い一般人を見つけたら、その人物が暴漢に襲われるまで待って助ければ“名声”がアップする仕組みだ。もちろん一般人が襲われる前に暴漢を倒すこともできるが、その場合“名声”は上昇しない。モラルを取るかメリットを取るか、すべてはプレイヤーの判断に委ねられる。
デモプレイでは、エイデンの“小遣いの稼ぎかた”も公開された。街のあちこちには各家庭のインターネット回線につながっている“Wi-Fiボックス”が設置されており、そこから伸びる線をたどることで、一般家庭に置いてあるPCやスマートフォンにアクセスできる。そしてクレジットカードの番号から金を拝借するのだ。もちろん犯罪行為なので、見つかるとシカゴ警察が追いかけてくることになる。警察が現れると、画面右下にあるミニマップに警察の追跡範囲が表示され、範囲外に逃げて一定時間が経過すればやり過ごせる。
続いて、ふたつ目のシングルプレイとマルチプレイの関係について説明しよう。『Watch_Dogs』をネットワークに接続して遊ぶと、シングルプレイでもほかのプレイヤーがハッカーとして介入してくる可能性がある。プレイヤーには、自分のゲームにほかのプレイヤーが操るハッカーが“侵入”してきたことは知らされず、ハッカーからハッキングを受けて初めてその存在に気づくことに。本作のクリエイティブディレクターを務めるJONATHAN MORIN氏は「ハッカーは、プレイヤーにハッキングを仕掛けることで、能力の何%かを“コピー”することができます。“奪う”ではなく“コピー”というのがポイントです。プレイヤー側にはまったくデメリットがないので放っておくことができます。でも、“自分がハッキングされた”ということにプライドが傷つく人がいるかもしれません。そんなときはハッキングをやり返したり、そのハッカーと戦って追い出すことになるでしょう」と語る。デモプレイでは、AI(人口知能)の群衆に溶け込むハッカーを見破り、ハッキング能力で追い詰めて殺害するシーンが公開された。お互いにハッキング能力が使えるので、かなり激しいPvP(プレイヤーキャラクターどうしの対戦)がくり広げられていた。ちなみに、ほかのプレイヤーによる干渉を不快に感じる人は、オプションの機能でハッカーの侵入を防ぐことができ、さらにメインミッションに挑戦しているあいだはハッカーが侵入できない仕組みになっているようだ。
クリエイティブディレクター
JONATHAN MORIN
ーーソニー・コンピュータエンタテインメントのカンファレンスでは『Watch_Dogs』のデモプレイが披露されましたが、どんなフィードバックがありましたか?
JONATHAN MORIN(以下、JONATHAN)氏 ゲームファンやメディアの皆さんからの評判がとてもよく、うれしく思っています。2012年のE3では、サプライズ発表だったこともあり、ゲームのディテールを少ししか見せられなかったことを残念に思っていました。しかし、今年はこのゲームのいろいろな要素をお見せすることができ、満足しています。
ーーネットワークを利用したゲームシステムがおもしろいですね。
JONATHAN 本作では、シングルプレイヤーモードを遊んでいる人どうしがお互いをハッキングすることができます。気づかれないように相手のゲームに侵入するのです。ただし、PvPが苦手だという人も少なくないので、このシステムがストレスにならないように注意してバランスを取るようにしています。
ーー日本でも『Watch_Dogs』への注目度が高まっています。日本で発売されるのを楽しみにしているゲームファンにコメントをお願いします。
JONATHAN 日本の皆さんに好意的に受け止めてもらえるなんて、ものすごくうれしいです。というのも、僕は子どものころ――1970年代から1980年代にかけて――は、日本のコミックやアニメ、ビデオゲームを見て育ってきたからです。アニメだと『科学忍者隊ガッチャマン』、ゲームだと『ファイナルファンタジー』やニンテンドー(ファミコンのこと)、それから『メタルギアソリッド』も大好きです。こうしてたくさんの日本のコンテンツに囲まれて育ち、ゲームを作る仕事に就くことになりました。そんな僕が『Watch_Dogs』で、日本の皆さんに少しでもインスパイアすることができたとしたら、ものすごく光栄なことです。『Watch_Dogs』をぜひ楽しみにしていてください。絶対にがっかりさせることはありませんから。