10年ぶりに甦った『THIEF』シリーズ

 世界的ヒットを遂げた人気作『Deus Ex(デウスエクス)』を手掛けたアイドス・モントリオールの新作は、“盗み”に特化したステルスアクション『THIEF』だ。『THIEF』シリーズはこれまでに3作品がリリースされているが、日本ではローカライズされていないので、なじみが薄いという方が多いかもしれない。だが、海外では歴史あるステルスアクションの先駆けとして非常に有名である。前作から10年ぶりとなるシリーズ最新作は、過去作のDNAを継承しつつ再び原点に立ち返るという意味で、ナンバリングを外した恰好となっている。

 本作の主人公であるギャレットは、一匹狼の盗賊(マスター・シーフ)だ。彼は闇に隠れて建物に侵入し、警備の目を盗んでさまざまな宝を盗み出す。盗みの手口(選択肢)は豊富に用意されており、侵入経路や敵の目の欺きかたはすべてプレイヤー次第。敵をステルスキルで倒しながら進むもよし、誰にも見つからずに目当ての宝を目指すもよし、非常に自由度の高いゲームデザインが特徴だ。本作の開発の中心人物であるStephane Roy氏へのインタビューを掲載するので、チェックしてほしい。

盗って盗って盗りまくるステルスアクションの原点が新生!『THIEF』【開発者インタビューあり】【E3 2013】_02
盗って盗って盗りまくるステルスアクションの原点が新生!『THIEF』【開発者インタビューあり】【E3 2013】_03
盗って盗って盗りまくるステルスアクションの原点が新生!『THIEF』【開発者インタビューあり】【E3 2013】_04
盗って盗って盗りまくるステルスアクションの原点が新生!『THIEF』【開発者インタビューあり】【E3 2013】_05
盗って盗って盗りまくるステルスアクションの原点が新生!『THIEF』【開発者インタビューあり】【E3 2013】_06
『THIEF』
プロデューサー
Stephane Roy

――アイドス・モントリオールは、2010年に『Deus Ex(デウスエクス)』を見事にリブート(再起動)させることに成功しましたが、今回再び『THIEF』シリーズのリブートにチャレンジするのはなぜでしょうか?
Stephane Roy氏(以下、Stephane) いまのマーケットを見てみると、ダークなテイストを持った作品を好むプレイヤーが非常に多く存在しています。そこで、ダークな世界観の元祖とも言える『THIEF』シリーズに着目しました。ただ、ほかのゲームのコピーではなく、まったく新しい作品を作りたかったので、続編ではなくリブートすることにしました。前作の発売から10年以上経っているので、現在のゲームファンの嗜好に合うように作り直しています。

――アイドス・モントリオールは、リブートすることに何かこだわりがあるのでしょうか?
Stephane いえ、『Deus Ex(デウスエクス)』と『THIEF』の開発チームは別なので、まったくの偶然です。しかし、『Deus Ex(デウスエクス)』のチームが成功を収め、リブート作品でも評価されることを証明してくれたので、我々がこうして『THIEF』の開発を進めるのによい影響を与えてくれたかもしれません。『Deus Ex(デウスエクス)』チームには感謝していますよ。

――『THIEF』シリーズは日本でローカライズされていないので、海外における『THIEF』シリーズの位置づけを教えてもらえますか?
Stephane 海外のユーザーにとって『THIEF』シリーズは、“ピュア”なステルスアクションだと受け止められています。長い歴史のあるステルスアクションの原点とも言えるような存在です。日本でローカライズされていないということなので、将来的にはぜひとも日本の皆さんにも遊んでもらいたいですね。

――先日スクウェア・エニックスブースでデモプレイを拝見しましたが、ギャレットの動きがじつにスムーズで、猫科の動物のようなしなやかさを感じました。ステルスアクションとしてはスピーディーなテンポにした理由を教えてください。
Stephane 海外のメディアからはスローテンポだと言われることもあるのですが、印象の違いがおもしろいですね。ゲームのテンポは直感的に決まったと思います。10年前といまではゲーム業界の状況がまったく違います。昨今のゲーマーはスピーディーなゲームを求めているので、自然とそうなったのだと思います。

――ステルスアクションと言えば、三人称視点を採用していることが多いのですが、一人称視点を採用したのはなぜでしょうか?
Stephane 一人称視点は『THIEF』の大事な柱の要素のひとつです。私たちはプレイヤーの没入感を大事にしています。たとえば、敵からスリをするときに、一人称視点だと非常に臨場感を出せますが、三人称視点の場合は一枚フィルターがかかってしまったように没入感が失われるのです。とは言え、確かに一人称視点であることで、ゲームデザインを構築するのが難しかったのは事実です。今回は効果音の演出に力を入れて、周りが見えないという状況を補うようにしています。

――盗賊の最大の目標は宝だと思いますが、ギャレットは宝を盗み、それを何に使うのでしょうか?
Stephane 現時点ではストーリーの話はできないので、今回はゲームプレイの観点でお答えします。ふたつの答えがありますが、ひとつ目は、ギャレットは宝の収集家なので、彼のアジトの壁に飾るなどのコレクションが楽しめます。もうひとつは、宝を集めてギャレットの装備品をアップグレードしていくことが可能です。

――本作が日本でローカライズされることを楽しみにしています。日本のゲームファンにコメントをいただけないでしょうか?
Stephane そうですね。ぜひとも日本にお届けしたいと思っています。もしそれが実現した場合、私は日本のゲームファンにジェラシーを感じると思います。なぜなら、自分の好きな映画や小説を記憶を消してもう一度楽しみたいと思うときがありますよね? 日本の皆さんは『THIEF』シリーズを初めて体験することになるのですから、羨ましく感じるわけです(笑)。『THIEF』は、すごく自由なゲームです。敵をすべて倒して進んでもいいし、隠れてやりすごしてもいい。あなたの性格次第で、ゲームの在りかたがどんどん変わっていくのです。ぜひ日本の皆さんに『THIEF』の世界を体験してもらえる日を楽しみにしています。

盗って盗って盗りまくるステルスアクションの原点が新生!『THIEF』【開発者インタビューあり】【E3 2013】_01