あそこでミスしたら本当にアウトなんだなと……。

プレゼンでまさかの“死んでリスタート”! 『PsychoBreak(サイコブレイク)』E3デモリポート&三上真司氏ショートインタビュー【E3 2013】_01
▲ベセスダブースは例年通り予約した関係者しか入れないという完全隔離仕様。

 E3 2013で、ベセスダ・ソフトワークスはTango Gameworksのサバイバルホラー『サイコブレイク』を出展している。

 プレゼンテーションの冒頭ではディレクターを務める三上真司氏が登場し、本作は『バイオハザード4』以来初のサバイバルホラーにふたたび取り組むタイトルであり、怖さに力を入れた“純粋なるサバイバルホラー”を目指すと挨拶。

 そして始まったデモの内容については、本誌既報のデモリポートとほぼ重複するため割愛するが、デモを見るのが3回目となる記者は、ひょんなことで起こったアクシデントに驚かされた。

 それはデモの前半戦、チェーンソーを持った謎の大男から逃走するシーンでのこと。主人公セバスチャンは武器を失っており、暴れながら自分を探しまわる大男の隙をついて先に進まなければならないというステルスアクション的な場面だ。
 ここでデモプレイヤー(名誉のために名前は伏せておくが、三上氏ではない)がタイミングを見誤り、大男の後ろをすり抜けようとした瞬間に振り向かれてしまうという痛恨のミス。しかし振り向いた瞬間は通れてしまったので「あれ、まだ製品版じゃないし、ちょっとぐらい見つかっても通れるようになっているのかな?」と思った次の瞬間、チェーンソー男に追いつかれ、セバスチャンはチェーンソーでキッツい処刑攻撃を食らってあえなく死亡。

 リスタートとなりざわつくシアター内で、記者はメモに「死んだ!」とだけ書き付け、密かに興奮していた。これって要するに……

1.録画などではなくマジで実機プレイだった
2.それを何度もプレイしているハズのデモプレイヤーでも油断したらアウト
3.見つかった瞬間に終了ではないが、捕まったら見事に処刑

 ということが分かるわけで、これってサバイバルホラーとしてはナイスハプニングなんじゃないだろうか! この冒頭の脱出パートはそこまで長くないのだが、チュートリアル代わりにナメてプレイするわけには全然いかない“殺る気まんまん”な感じに、「3回目だし」と油断していた身が引き締まる思いだった。
 っていうか早くプレイして、見事に罠にひっかかったり逃げまわったりしながら「コントローラーを握った手が冷や汗でビチョビチョになる」(三上氏)ような体験をしたい!

三上真司氏ショートインタビュー

プレゼンでまさかの“死んでリスタート”! 『PsychoBreak(サイコブレイク)』E3デモリポート&三上真司氏ショートインタビュー【E3 2013】_02

 というわけでプレゼンテーション終了後、三上氏にショートインタビューを行ったので、その模様をお届けする。

■画面が横長な理由

――E3での反応はいかがですか?
三上 結構いい感じですね。
――プレイステーション4とXbox Oneでのリリースが正式に発表されましたが、具体的にどういう違いが出てくるのでしょうか?
三上 簡単に言うと、まずグラフィックは違ってきますよね。それ以外については試行錯誤中なので、まだはっきり明言できないんですよ。

――今日、結構大きいスクリーンで見て、横長の画面がやっぱり迫力あって良かったです。
三上 あれは本当はもっと画角をキツくしたかったんですけども、そうするともっとカッコよくなるんですが、ゲームプレイでかなり酔っちゃうので。それと描画もキツくなる。映す範囲を広くすればするほど、(画面内に表示するオブジェクトなどが増えて)描画がシンどくなるので。そういったところで、バランスとしてはあれぐらいがいい感じかなと。
――上下を思い切って切っている感じですよね、ディスプレイで見ると。
三上 そうですね。でもディスプレイも今、横長の奴出てるじゃないですか。僕は横長の方が好きなんですよね、臨場感がすごく出るので。
 あれで描画のことを無視して画角をキツめに取って、「スゲェな」と感じるものも出来ていたんですけども、ちょっとそこはバランスを取って。広く見せると臨場感が出るんですけど、ホラーとして見え過ぎると緊張感がなくなっちゃうんですよ。そこら辺がちょうどいい状態が今のバランスですね。

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▲画面は通常のワイド画面よりも横長。

■何よりも怖さ重視

――大きな画面で見て、ざらざらしたフィルムエフェクトのようなものがかかっている感じがしたのですが。
三上 そうですね。ノイズみたいな奴は、意図的にデザイナーの方が。僕が入れろと言ったわけではなくて、片貝(直紀氏)というデザイナーがそういうエフェクトを入れています。今日ちょっとね、モニターの関係で強めに出ちゃってるんですよ。
――コントラストが強い感じでしたね。Tangoで見せて頂いた時と見えた感じが違って、「この地下の通路、こんなに赤かったんだ」と。
三上 カラーについてはあの時からかなり触っています。色味とライティングはかなり触っているので、多分変わってますね。
――ライティングはかなり気を遣われている部分ですよね。
三上 そうですね。片貝がかなりこだわってやっているので、そこは。今回のが本チャンかもまだわからないし、直前で微調整が入る可能性はありますね。僕は怖い雰囲気だけを大事にしてくれと、そこだけ厳重にチェックして、それ以外はデザイナーさん任せです。
――そこはやっぱり怖さ重視ですか、
三上 そうですね、何よりも怖さ重視です、今回は。

プレゼンでまさかの“死んでリスタート”! 『PsychoBreak(サイコブレイク)』E3デモリポート&三上真司氏ショートインタビュー【E3 2013】_04
▲ライトの下にあるものは何なのか。不安が恐怖を駆り立てる。

■生き残るのがかなりシビアなゲームを目指す

――デモを見ていて、いろんな怖さを感じました。不安な感じから来る怖さもありますし、今日のデモで大男に捕まって死んだりして「あぁやっぱりミスるとちゃんと死ぬのか!」と怖くなったり。
三上 あれは裏で見ていて「あ、やらかした。死んだ死んだ!」って笑ってましたけどね、僕は。
 今回、ほとんどがリアルタイムでプレイできているんですよ。でも演出とかアニメーションがスムーズに繋がるように作っているので、不安なのは、逃げるシーンとか「(カットシーン)デモじゃないか」みたいに(思われてしまわないか)。あれは実際プレイしていて、(それ以外のピンチな場面でも)どこでも死ねるように一応なっているんです。
――ブースを回っていると、デモプレイということになっていても「コレ、絶対プレイでこんな動きできないだろ?」と思うようなゲームもありますね。それとは違うと。
三上 アニメーターが頑張ってくれたおかげで、ボタンを押しただけでシチュエーションに合わせた動作が出るというようになっています。
――アイコンなどもほとんど出ないので、操作しているのか、演出なのか継ぎ目は確かに見ているだけだとわからないですね。でもあそこで死んだことで、みんなアレは本当にプレイしているんだというのがわかったと思います。
三上 まぁ元々ちょっと時間の都合上、あそこは強引に抜けるようにしているんです。
――本当はもうちょっとタイミングを見計らって。
三上 慎重にプレイして、敵が完全に気づいていない状態でうまく抜けるのがスマート。ショー用にイージーになっているはずではあるんですけどね。今回は敵のAIも手加減している感じで。本チャンではもっと、生き残るのがかなりシビアなゲームを目指していますね。

――全身であがかないと生き残れないような。
三上 ここまでシビアでいいのかなと。ホラーとしてはいいと思っているんですけど。その方がすごく怖いし、切り抜けた時にホッとする安心感とか達成感も強くなる。若干古典的なゲームのいい所をクローズアップすると、それがサバイバルホラーというジャンルにピッタリ来るんですね、今。結構シビアで難しいから怖いという、それでいいかなと思っていますね。
――それを最新のテクノロジーでやると。
三上 そうですね。

――ファンはまだプレイ映像を見られていないと思うんですけど、こういうものを期待できるというヒントを教えて下さい。
三上 世界観を明かしてしまうと怖くなくなると思うので、大いに疑問符を持って色んな映像や情報を見てもらえればいいかなと思います。それと、コントローラーを握った時に「死ぬ死ぬ! ヤバい!」という(感情)、そこで喜んでもらえるのが一番いいので、そこを期待してほしいですね。