変なスイッチが入った今井による、レアすぎるイベントが展開
声優、アーティストとして活躍する今井麻美。彼女の5thソロライブの模様を収録したBlu-ray&DVD『今井麻美 5th Live「Precious Sounds」- 2012.12.22 at SHIBUYA-AX -』の発売記念イベントが2013年6月9日(日)に神奈川県のアニメイト横浜店と、東京のAKIHABARAゲーマーズ本店にて開催された。その模様をまとめてお伝えする。
異常なテンションで盛り上がったアニメイト横浜店
数多くのファンが詰めかけたアニメイト横浜店。開始時間になっても誰からも呼び込まれる気配がなかったためか、今井はステージ裏でみずからを呼び込み「私でーす」と言いながら登場。さらに「飴舐めながら出てきちゃったー」とかなりゆるめの登場を果たすと、集まったファンから「預かります!」と提案され、「バカじゃないの!?(笑)」と突っ込むシーンも。いま思うと、すでにこのときからテンションがあらぬ方向へいっていたと言わざるを得ないひと幕だった。
その後も会場最後方からオペラグラスで観覧しているファンをいじったり、まだライブBD&DVDを観ていないというファンに「さては今日受け取ったな!」と突っ込むなど、どこかテンションが上がりっ放しのままイベントは進行。そんなテンションになってしまったのは、今井の「ちょっと言いづらいんですけど、めっちゃ自信作なんです」という言葉に表れていたのかもしれない。「何度観ても感動するというか、客観的に観られるんですよ」と自信のほどを窺わせた今井は、「自分が目指していたライブ映像にかなり近づいた」と感じているという。その理由として、ライブの主役である自分自身だけではなく、作り込まれたステージの演出から、演奏をしているバンドメンバー、ステージに華を添えるダンサー陣など、いろいろなところを観て欲しいと思っていた今井の想いを汲むように、さまざまな視点からライブを観られる構成になっていたことを挙げた。
また、今井のライブ映像商品としては初収録となるオーディオコメンタリーについても言及。こちらは初の試みだったため、「楽しかった?」とファンに率直な質問を投げかける。ファンが「おもしろーい!」と大満足の表情で答えると、今井もほっと胸を撫で下ろし、自身が出演していないシーンでもじつはブース内にいてラジオの構成作家のような体験ができたことが楽しかったと収録時の感想を語った。さらに、音響に関して「今回、音よすぎないですか? 努力?」と自身の音楽プロデューサーである濱田智之氏に確認をした今井。濱田氏からは「機材は何も変わっていないから。努力だね」との回答。スタッフの努力により、さまざまな部分でクオリティーが上がっていることが明かされた。なお、今回のようなオーディオコメンタリーのほかにどんなものを入れて欲しいかという質問をファンに投げかけると「リハーサルの映像!」という声が。しかし今井が「私、たいてい床で寝てますからね。事務所に怒られちゃいますぅー」と答え、これは実現の可能性が低そうな雰囲気。しかし、どうしても今井が床で寝ている姿が観たかったのか、会場から「やってみてー」という声が飛ぶと、思わず今井も「言えば何でもやると思ってるの?(笑)」とあきれ顔だった。
そしてここで質問コーナーへ。「+Aバンドメンバーの中でイチバン人気のダンサーさんは?」という質問には、バンドメンバーとダンサー陣が雑談をするようになったことが最近なので、これから変動があるんじゃないかとコメント。ちなみに雑談をするきっかけになったのは、今回のライブBD&DVDのオーディオコメンタリーだと語る今井。ダンスを踊ったり、楽器を演奏したりという本来の仕事ではなく、トークをするという仕事だったため、時間に余裕もあり、雑談をする機会ができたということで、これをきっかけに仲間意識がさらに強くなり、その後行われた“今井麻美 Birthday Live 2013”にいい影響を残せたことを今井は喜ぶ。
質問コーナーを終えると、会場では『今井麻美 5th Live「Precious Sounds」- 2012.12.22 at SHIBUYA-AX -』の鑑賞会を実施。どの部分を鑑賞するかを会場のファンに決めてもらった結果、指定された楽曲は『Dear Darling』。ファンからピンクのサイリュームを借りていっしょに映像を観始めると会場では「L・O・V・E・ラブリーミンゴス! 横浜エンジェル・プリティーミンゴス!」というコールがバッチリ決まる。さらに、「みんなも歌う!?」という今井の提案に応え、なんとファンが同曲を合唱をしたり、コールをいっしょに入れたりと自由な鑑賞会に。2番からは今井の生コメンタリーも実施され、発売前に新曲を披露することが今井としては珍しく、しかも楽曲がかわいらしい内容だったため、披露前は本当にドキドキしていたというエピソードを披露した。
続いて、ライブコーナーへ。今回はアルバム『Precious Sounds』に収録されたアコースティックバージョンの楽曲をカラオケで歌うという選曲に。アコースティックバージョンはライブなどで生演奏で歌われることがメインで、カラオケでの披露はこれまでに1度しかなかったので、非常にレアな内容となる。どの曲を歌うのか期待が高まるなか、今井から発せられたタイトルは『遠雷(横浜エンジェルバージョン)』。完全にイベント中に考えたとしか思えないこのタイトル。しかしタイトル名とは裏腹に静かな歌声で、ゆらゆらとたゆたうように同曲を歌い上げる。その歌声に会場が魅了され、楽曲が終わろうかというところで、今井がスクリーンに映し出された『遠雷』の映像を指差しながら「これ、私」とわかりきったことを解説すると、会場のファンから「台無し!」という言葉を浴びせられ、会場は笑いに包まれる。これには今井も「私の商品の発売イベントで“台無し”って言われるのどうなの?(笑)」と頭を抱えていた。続いては『Precious Sounds(横浜エンジェルバージョン)』を披露。こちらもイベント中に思いついたタイトルに違いないだろう。ファンから借りた黄色のサイリュームを振りながら歌う今井は、いつもとは異なる声色で歌ったり、「誰かのせいにして」という歌詞の部分でファンを指差したり、音を延ばすところで限界まで延ばしてみたりと、遊び心に満ちたライブに。最後はファンを促し同曲をいっしょに歌い、一体感を演出した。
イベントの最後にはサイン入りポスターが当たるジャンケン大会が行われ、エンディングへ。1曲歌いながら帰ることにした今井は、選曲を濱田プロデューサーに任せると、ライブでも最後の曲として選曲された『いっしょ。』が会場に流れる。「オススメのライブBD&DVDなんで、皆さんぜひお友だちとかにもオススメしてくださいね!」と語った今井は1番だけを歌ってステージを後にする。すると、ステージを去った今井に届けとばかりに会場に残されたファンが続きを大合唱。思わず今井が再び登場して2番も歌い始める。「私、インストアライブでアンコールをいただいたの初めてです!」と笑顔で語った今井は、「これからも私、歌い続けまーす!」と高らかに宣言。異常なテンションと一体感の中、イベントは幕を閉じた。
首脳会談が開かれたAKIHABARAゲーマーズ本店
AKIHABARAゲーマーズ本店でのイベントは、まずはスクリーンに映像が映し出されてイベントがスタート。上映されたのは、『今井麻美 5th Live「Precious Sounds」- 2012.12.22 at SHIBUYA-AX -』の1トラック目“OPENING”の映像だ。シャンシャンと鈴の音が鳴る中、会場では青いサイリュームがゆらゆらとゆらめく。そこへ小走りで登場した今井は「どうしよう、遅れちゃったー。私の席ここかな? サイリューム忘れちゃったー。誰か貸して? 1曲目なんだろうねー。楽しみだなー」と会場へ遅れて到着したファンという設定で寸劇を開始。「観てみてー。すごーい。王蟲がいっぱいいるー! キャー! ミンゴスー!」とファンになりきると、続いて演奏された『Limited Love』では、映像に合わせてファンといっしょになってコールを入れ、ライブ特有の一体感を全身で感じる。アニメイト横浜店に続き、おかしなテンションでスタートしたイベントとなったが、今井は「いやぁ、満足です(笑)」と語り満足げ。さらに、ファンとともに映像を楽しんだ今井は「いつか、上映会とかやりたいですねー」と提案。「そういうイベントがあったら来たい?」と問いかけると、ファンも同調。さらに「映画館!」という会場の声に「“いつかやりたいですね”って相談してみる」と今井もノリノリで答えていた。
今回リリースしたライブBD&DVDについて「映画館で観ても大丈夫なぐらい」、「自慢してまわりたい」と太鼓判を押す今井。会場のファンにどんな部分がライブ会場とは違うかという質問をすると、“音”と“視点”という回答が。事実、音に関しては今井好みの音作りがなされており、視点もふだんは見えないところまで観られるなど、ライブの臨場感を楽しみながら会場では味わえない部分まで楽しめる内容となっている。今井自身も自身のライブメンバーである“+A”のメンバーのことを細かいところまで観て欲しいという願望を持っているようで、その想いが形になっている今回のライブBD&DVDがお気に入りの様子だった。なお、メンバーのことも観て欲しいという今井の願望が伝わるエピソードとして、先日行われた日本青年館でのバースデーライブが座席ありのホールライブになったことで落ち着いてステージを観られるようになったからなのか「(お客さんの中に)何名かダンサーさんの腰しか観てない人がいたんだよねー。完全にずーっと目が合わない人がいて、それがすっごくおもしろくて。そういうところもうれしいんですよね。私ちょっと変わってるんでしょうね」という出来事を伝えて会場の笑いを誘う。そして「いろんな視点で観てもらいたいなっていうのがみんなに伝わったのがうれしかったな」と笑顔を見せた。
続いて、会場に詰めかけたファンとともに“+Aの今後を考える首脳会談”を行おうと提案。この提案に会場はざわつくが、今井麻美が今後どんなライブを行っていくかを考えるという内容に、ファンも俄然乗り気に。アイデアを募ると、「(Birthday Live2013での)カルテットが非常によかったので、いっそのことオーケストラでやってほしい」という意見が真っ先に飛び出し、今井は思わず「バカじゃないの!?(笑)」と無謀な提案にツッコミを入れてしまう。ちなみにこの提案に対し、濱田プロデューサーは「いいっすね。ただ、いいと思うのとできるかどうかは別問題!」と答えていた。ツッコミはしていたものの今井自身も「やってみたら楽しそうではありますよね」と意欲を見せる。というのも、ライブをこなしていくうちにCDとは違うライブならではのグルーヴ感を楽しめるようになってきたそうで、ライブ中に自分の想いがあふれる瞬間を感じることがあったという。とくに5thソロライブではそれを強く感じたそうで、オーケストラになったらどうなるんだろうとワクワクする部分もあるとのことだった。つぎのアイデアは“プラネタリウムでのライブを実現して欲しい”というもの。これは今井がパーソナリティーを務めるWebラジオ『今井麻美のSSG』宛に送られてきたメールが元ネタとなっており、ライブができるプラネタリウムがあるということで、濱田プロデューサーも実際に調べたとのこと。なお、実現の可能性は「ナイショ。ゼロではないです。選択肢のひとつとしてあると思います」(濱田)と含みのある発言をしていた。なお、ほかにどんな場所でライブをやってほしいかという話題では、“海岸の砂浜で夕日の時間帯からスタートして日没ぐらいまで”(※実際にそういう形式のライブがあるそう)という案や、“台湾”、“アンデス”、“教会”というものが挙がる。そのほかライブの形態として“ミュージカル”という意見も。これには今井が即答で「無理だろー」と答えたが、幼少期にオペレッタ(セリフと踊りのあるオーケストラ付きの歌劇)をやっていたことがあるという今井が、当時歌った歌をまだ覚えているということで、ファンからの要望に応えてその場で歌うことに。自分で言い出したものの、恥ずかしがって何度も照れた様子を見せる今井だったが、当時の歌を一節だけ披露し、大きな拍手を贈られた。なお、今井の配役は年長者だったため“ナレーター”だったとのことだ。
また、『ガーベラ~今年の花』のサイリュームの色について、今井が黄色と緑色を希望した理由が知りたいというファンからの質問に答える今井。こちらは自身がイチバン好きな黄色のガーベラをイメージしているとのことで、黄色の花と緑の茎でガーベラの花畑を作ってほしいとのこと。サイリューム自体は振らなくていいので手元に持って花畑を作り出してほしいと伝えた。ちなみにサイリュームつながりで、『Heavenly Sky』は今井の中ではオレンジのイメージだったとのこと。自身の中ではオレンジ色だったのでorangeステージで披露したとのことだったが、濱田プロデューサーの中では赤イメージ、ファンのあいだでは青イメージと、てんでバラバラだったことが発覚。首脳会談の結果、今回の会談に参加した人たちはオレンジのサイリュームを振らずに手元に掲げるということで決着がついた。ライブ会場ではこれまで青のサイリュームが振られていたので、青とオレンジになるということだろう。
トークで盛り上がり過ぎたため想定以上に時間を使ってしまった今井は、大急ぎでライブパートへと移行。AKIHABARAゲーマーズ本店では『COLOR SANCTUARY - Bossa Nova ver. -』を披露することに。しかし、今井から再びファンへ向けて質問が。それは「ガチで歌う? おもしろく歌う?」というもの。この提案に再びざわつく会場に、今井は思わず「気分で歌います!」と宣言。そして披露された『COLOR SANCTUARY - Bossa Nova ver. -』は、なんと小さな女の子のような声で歌い始めるというかつてない内容に。会場から笑いが起こる中、さらにママミンゴス、パパミンゴスが登場する家族バージョンの『COLOR SANCTUARY - Bossa Nova ver. -』へと変化を遂げ、通常のイベントとは一線を画す、どこでも感じたことのない異様な空気を作り上げる。今井自身は「私の生歌を聴くのが初めての人がいたら、どうしよう。あの人、変だと思われちゃう。いやぁ、やっちまったな!」と少しだけ反省の色を見せる。しかし、続く『Precious Sounds~風が残していった~』でも、悲劇……喜劇は起こる。会場が黄色のサイリュームで染まる中、伸びやかな歌声を響かせる今井。しかし2番に入ったところで、男らしい歌いかたをする兄ミンゴスに歌声が変化。さらにお婆ちゃんミンゴスまで飛び出し、「今井家総出演ですねー」と笑顔。満面の笑みを浮かべて同曲を歌い上げた今井だったが、ファンからの「ライブでもやってー」という声には真顔で「それは無理」と答え、理性の欠片を少しだけ見せた。
最後はサイン入りポスターがプレゼントされるジャンケン大会で盛り上がり、『いっしょ。』をファンとともに歌ってお別れという流れに。「1番が終わったら私は帰るので、みんないっしょに歌ってね!」とアニメイト横浜店と同じような光景を思い起こさせる言葉を投げかけると、ファンとともに『いっしょ。』を大合唱。1番を歌い終え「皆さん今日はありがとうございましたー。また来てくださいねー」と挨拶し、ステージを後にすると、アニメイト横浜店と同様に2番をファンがそのまま合唱。やはりというかなんというか、「もうー、みんなアンコールありがとう!」と笑顔を振りまきながら再び登場した今井は、最後までファンとの合唱を楽しみ、「ありがとうございましたー! 今度こそホントにバイバーイ!」と満面の笑みでイベントの幕を下ろした。
今井のテンションをおかしな方向へと持っていってしまうほど、今井にとっても自信作となったライブBD&DVD『今井麻美 5th Live「Precious Sounds」- 2012.12.22 at SHIBUYA-AX -』。まだ手に入れていないという人は、ぜひチェックしてみて欲しい。そこに今井の上がりっ放しのテンションの理由がたっぷり詰まっているはずだ。
■今井麻美 5th Live「Precious Sounds」- 2012.12.22 at SHIBUYA-AX -【DVD】【Blu-ray】
発売日:2013年5月29日発売
価格:【Blu-ray】7350円[税込]/【DVD】6300円[税込]
発売元:5pb.
販売元:メディアファクトリー
【収録内容】
01. Limited Love
02. 天空の炎~miragem~
03. COLOR SANCTUARY(Bossa Nova ver.)
04. The Azure ~碧の記憶~
05. 遠雷
06. Strawberry~フレーム越しの恋~Kissing a dream~Promised Land~Far a way~雪原のカルマ~花の咲く場所~Day by Day(メドレー)
07. HANABI(原 由実 feat.今井麻美)
08. あふれる想い(原 由実)
09. Precious Sounds ~風が残していった~
10. Hasta La Vista
11. シャングリラ
12. Dear Darling
13. 僕から君に
14. 三日月色
15. ガーベラ~今年の花
16. クレッシェンド
17. 散花の祈り
18. struggle
19. いっしょ。