アクションゲームのおもしろさをとことんまで追及

 『NINJA GAIDEN』シリーズといえば、忍者を題材とした硬派なアクションゲームとして知られている。本作は2012年に発売された『NINJA GAIDEN 3』をベースに、新たな追加、刷新をおこなって大幅にパワーアップした作品。『NINJA GAIDEN』シリーズを通して遊んできたヘビーユーザーの期待に応える作品となっている。本作でしか味わえない魅力を、ここで紹介していこう。
 『NINJA GAIDEN』シリーズのファンなら周知のことではあるが、本シリーズはアクションゲームの本質的な魅力の詰まった作品である。忍者らしくすばやく動き、激しい戦いをくり広げて敵陣を突破していく。自分の思ったとおりに主人公(リュウ・ハヤブサ)を動かすことができ、敵を倒したときの爽快感はすばらしいものがある。
 そのぶん難度は高く、ただやみくもに突っ込んでいるだけでは死あるのみだ。プレイヤーは知能ある敵の動きを読み切り、反応して適切な対処をしていかなければならない。プレイヤーに課されるハードルは高いが、だからこそうまくいったときに至高の体験を与えてくれるのだ。
 前作にあたる『NINJA GAIDEN 3』では、それまでのシリーズ作品と比べ、システムや難易度がマイルドになっていたように思う。しかし本作では闘いがより激しくなり、より深くプレイヤーがやり込める要素が追加されている。新たに追加された要素も豊富なので、前作『NINJA GAIDEN 3』をプレイしたヘビーユーザーに対してもオススメできる作品となっている。

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▲追加要素と調整が加えられ、ストーリーモードのやりごたえは増した。しかし、NORMALの難度からいつでもHEROに変えられるので、腕に自信のない人でも楽しめる。

新要素の追加でボリュームが大幅にアップ

 本作のベースとなるストーリーは『NINJA GAIDEN 3』と同じだ。しかし前作でデモシーンのみに登場したあやねを、メインストーリーの中で使うことができるのがうれしい。リュウ・ハヤブサの陰で、あやねがどのように立ち回っていたか知ることができる。あやねのアクションは小気味よいもので、リュウとはひと味違った操作感覚が新鮮だ。
このほかに新プレイヤーキャラクターとして、紅葉とかすみを使うことができる。こちらは“CHAPTER CHALLENGE”と“NINJA TRIALS”で使用可能。“CHAPTER CHALLENGE”はストーリーモードをクリアーすると開放されるモードで、ストーリーモードとほぼ同じ敵と戦う。正式なストーリーには対応していないとはいえ、リュウ・ハヤブサを含めた4人のキャラクターで、あらゆる敵と戦うことができる。アクションを楽しみたいユーザーには、十分満足できる仕様といえる。
 また条件を満たすことで、“猛禽爪”“エクリプスサイズ”“迅嵐丸&邪神剣”“無想新月棍”“鎖鎌”の5種類の武器を使うことができるようになる。武器はプレイすることによって溜めたカルマを消費することでレベルを上げることが可能。どの敵に対してどの武器が強いか、いろいろな技を試すのは楽しい作業だ。
 そのほかフィールドには、新たに水晶ドクロが10個設置された。この水晶ドクロの場所に行くと殲滅戦を行うことができる。殲滅戦は多彩な敵が出現し、それらの敵をすべて倒すことでクリアーできるというギミックだ。殲滅戦をクリアーすると多量のカルマを獲得できるが、途中であきらめてもストーリーには影響しない。
 これらのプレイアブルキャラクター、新武器と殲滅戦が追加されたことで、本作のボリュームは前作に比べて大幅にアップしているといえるだろう。

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▲戦闘の結果で得たカルマを消費することで、プレイヤーキャラは成長していく。フィールドに落ちている水晶ドクロを見つければ殲滅戦を楽しむこともできる

新たな楽しみが見い出せる多彩なモードとXbox SmartGlass

 本作ではストーリーのほかに、“SHADOW OF THE WORLD”と呼ばれるモードが存在している。このモードには、さまざまな課題に挑む“NINJA TRIALS”やオンラインでの多人数同時対戦が楽しめる“CLAN BATTLE”などがある。“NINJA TRIALS”はミニゲームの集合体で、いろいろな組み合わせの敵と戦える。“CLAN BATTLE”はチームに分かれ、お互いに戦いあって基本的には倒した数で競うことになる。
 “CLAN BATTLE”は複数のプレイヤーが入り乱れて戦うので、不意打ちを仕掛ける楽しさがある。これはオフラインのモードにはない独特のおもしろさといえるだろう。“CLAN BATTLE”は前作から存在したが、本作では新たな要素が追加されている。本作では武器を2種類持つことができ、リスポーン時に持ち替えることが可能だ。さらに武器にスキルをつけてカスタマイズすることもできるようになっている。

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▲ひたすらやりこむゲーマーにとっては、“NINJA TRIALS”は最高のモード。

 また、Xbox 360版ならではの機能として、“Xbox SmartGlass”へ対応している部分も見逃せない。本作をプレイしながらスマートフォンやネットに接続されたタブレット端末から、プレイヤーへの戦闘記録、実績などをリアルタイムで確認できる。これらをうまく利用して、プレイヤーとしてのスキルアップに活用していくといいだろう。

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▲Xbox SmartGlassからは、プレイヤーの記録や実績を確認することができる。

『NINJA GAIDEN』の進化は止まらない

 本作は目立つ追加要素だけでなく、ゲーム性の細かいところまで前作から変化しているのがポイントだ。システム的には断骨、絶技といったところである。これらの変化は、プレイヤーが自分の行動を自分で選択できるようになったところに特徴があると思う。自分の意思で行う行動が多くなり、よりプレイヤーのスキルが反映されやすくなっている。そのぶん前作よりも、腕の差が現れるゲーム性になっていると思われる。これは多くの『NINJA GAIDEN』シリーズのファンが望んでいた変化ではないだろうか。
 そのほかにもボスやザコなど、ほとんどの敵の動きや技の選択にも調整が入っているように見受けられる。これは「本当のアクションのおもしろさとは何か?」という命題を、開発スタッフが追い続けた結果なのではないだろうか。
 本作のストーリーのベースは前作と変わらない。このストーリーは主人公に対して多くを語ることで、忍者という存在の神秘のベールを、少し剥がしてしまったように思う。個人的なことをいえば、この部分は気になるところだ。しかし本作のゲーム性の進化は、このシリーズがアクションのおもしろさをいまだ追求し続けていることを再確認させてくれた。まだ『NINJA GAIDEN』シリーズをプレイしたことのない人は、ぜひこの作品から体験してみてほしい。すでに『NINJA GAIDEN 3』をプレイした人に対しても、本作はあらためてプレイする価値のある作品であると思う。

■著者紹介:石井ぜんじ
おもにファミ通Xbox360誌で攻略、クロスレビューを担当してきた古株ライター。ゲームの文章を書き始めてから20数年、飽きずに続けております。過去に『NINJA GAIDEN』シリーズ攻略本、シュタインズ・ゲート公式資料集などに参加。