俺たち+A!!

“今井麻美 Birthday Live 2013 orange stage”リポート_01

 声優、アーティストとして活躍する今井麻美。これまでにも数々のライブをこなしてきた彼女が2013年5月25日(土)と26日(日)の2日間にわたって、初のホールライブを行った。それは彼女が目標に掲げた”座“という言葉の意味する”座席ありのライブ“であり、ソロ活動としては初めてとなる2daysでのライブ。1日目は“blue stage”と題され、ゆったりと座って聴くことのできる楽曲が多い構成でありながらも、ゆったりとはしていられないほど心を震わせるようなライブとなる。そして今井のソロ活動としては初となる連日のライブ、2日目。“orange stage”と題された同ライブは、どこまでも楽しそうに笑顔で歌う、今井の魅力がいっぱいに詰まった内容となり、会場に詰めかけたファンと感動と興奮を分かち合った。

 ライブの開幕を彩るのは、今井の2ndアルバム表題曲であり、オレンジをイメージカラーとするナンバー『Aroma of happiness』だ。会場中がオレンジ色に染まり、ファンのコールが高らかにホール内に響き渡ると、1日目とは打って変わっての満面の笑みを浮かべた今井がステージ上に姿を現す。薫(桑原薫)、えびちゃん(海老沼彩)、FU-KO、AKIという4人のダンサー陣とともにダンスを披露しながら楽しそうに同曲を歌う今井。間奏ではダンサー陣から誕生日を迎えた今井に花束が贈られるなど、静かに始まったblue stageとはまったく様相の異なる内容を見せ、会場のファンを驚かせる。続く『Heavenly Sky』では、それまでオレンジ一色だった会場が青一色に染まるなど、ファンもライブの演出にガッツリと参加し、ともにライブを作り上げていく。

 「皆さーん、こんばんわ! 改めまして今井麻美でーす!」と元気に挨拶した今井は「すごいオレンジ率ー!」と会場のファンがオレンジ色のTシャツで染まっていることに顔をほころばせる。「昨日はおしとやかな曲が多かったんですが、orange stageは元気な曲が多いので声出していきましょう!」と元気いっぱいにファンに呼びかけると、『Day by Day(サンバ arr.)』へ。今井の1stシングル『Day by Day』のサンバアレンジということで、リズムに合わせてステップを踏みながら同曲を歌う今井に会場も魅了される。しかし、曲の最後に今井の靴が衣装に引っかかって取れなくなってしまうというハプニングが起こるなど、カッコよく決まりきらないところも、“笑顔”や“楽しさ”が充満したorange stageの醍醐味だったのかもしれない。

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 今井がゆっくりとステージ上を歩き、壇上へと上がっていく。今回のライブでは、こういった“間”もBGMが流れ、照明の演出がなされており、ひと時もステージ上から目が離せないような内容となっていた。壇上の幕が開くと、そこには弦を担当するemyu:(エミュー)、はるちゃん(池田晴子)、ティコ(七海加奈)、おまつ(松尾佳奈)によるカルテット(弦楽四重奏)と、グランドピアノを前にするたまちゃん(花岡環)が待ち構えており、この構成で『海月 ~Jellyfish~』を披露。流麗に、ときに力強く今井が歌い上げる『海月 ~Jellyfish~』は、カルテットとグランドピアノの調べに今井の歌が乗り、会場の照明と相まって幻想的な空間を作り出す。続く『クレッシェンド』では、しんと静まり返った会場に、同曲と今井の歌声が響き渡り観客を圧倒。同曲を歌い上げ、今井が深々とお辞儀をすると、割れんばかりの拍手が贈られた。『海月 ~Jellyfish~(Acoustic ver.)』、『クレッシェンド(Acoustic ver.)』と2曲続けて“聴かせる”構成で観客を満足させたところで、さらに畳み掛けるようにアカペラで始まる『花の咲く場所(Acoustic ver.)』を披露。その歌声だけで会場を震わせると、今度はバンドメンバーによる情熱的な演奏が加わり会場をアツく盛り上げる。アコースティックアレンジされた『Hata La Vista(Acoustic ver.)』では、前奏に合わせて今井が舞ってみせると、それまで席に座り、曲に、歌声に聴き入っていたファンも、席から立ち上がり赤いサイリュームを振り、クラップを響かせ、全身で同曲を楽しんだ。

 それまでに見せていた真剣な表情をほころばせて、笑みを浮かべる今井。「さっきは素敵なお衣装に、まるで釣られた魚のように引っかかってしまいましたが(笑)、どうですか、オレンジ衣装ー」とちょっとしたハプニングもなんのその。変わらぬ笑顔で「今年の目標であった“座”というのが、2013年半分経たないうちに、もう実現しちゃいました! 私が1歳年をとるということは、皆さんも1歳年をとるということなんです。常々思っていたんです。私がいっぱいしゃべればしゃべるほど、皆さんの足が痺れるんじゃないかなって(笑)。ぜひこれからはトークのときと、しっとりした曲のときは座るっていう習慣をね、後世の方に伝えていってもらえればと思います」と座席ありのホールでのライブを切望した理由を笑いを交えながら語った。

 また、「皆さんは前世とか来世って信じます?」と語り出した今井。会場のファンに前世が何だったかを聞いてみると「犬」と答える人や「声優をやってたんじゃないかなって」と答える人などさまざま。そんな今井は、懇意にしている整体師から「今井さんって崖みたいなところで誰かのために祈ってる“巫女”みたいだよね」と言われたのだそう。その根拠は“体に不調が出ているところを見るとそういうイメージが沸く”というものだったのだが、今井自身、その見立てに感じるところがあるのだという。彼女の楽曲『旅人』は作詞家の森由里子が今井をイメージして書いた曲であり、同曲の“歌を口ずさめば……”という部分が今井には巫女をイメージしているように思えると語る。さらに整体師の先生の見立てでは、“洪水を止めようとして祈りを捧げながら帰らぬ人となったようなイメージ”と伝えられたとのことで、「だからイベントが8割方雨なんですかね?(笑)」と自分が“雨女”と言われていることを引き合いに出して会場を沸かせる。また、バンドメンバーのカズーに自身の前世が何だったかを聞いてみると、長考したのちに「楽器のカズー」と答え、苦笑されてしまう場面も。そんなお茶目なカズーだが、なんと今井の11枚目のシングル『星屑のリング』に収録される楽曲『路地裏のプラネタリウム』で作曲・編曲を担当したとのこと。そして同曲が続いて披露されると、青いサイリュームの海の中に、黄色や白のサイリュームが混じり、夜空のような空間が広がった。

 『想いの羽根 ~Angelic White~』では、会場中が白のサイリュームで埋め尽くされる。今井は高音を伸びやかに響かせ、会場を魅了すると一旦ステージを後にする。そして、ステージ上ではバンドメンバー“+A”によるinstrumentalが展開。ファイアーさん(渡辺ファイアー)によるサックスからスタートしたinstrumentalは、前日のblue stageとは打って変わって激しい内容に。観客もその勢いに乗せられ立ち上がり、クラップやサイリューム、コールを入れて盛り上がると、各メンバーのソロパートではヴァイオリンのemyu:やキーボードのたまちゃんが会場のファンを魅了。さらにバンドマスターのみゃあみゃあ(宮下智)がファンとともにコール&レスポンスを行い、盛り上がりをさらに一段引き上げる。ファイアーさんはドラムの玄ちゃん(白川玄大)のもとまで駆け寄りセッションをくり広げたり、ギターのカズー(山口和也)&天ちゃん(中村天佑)とともにステージ中央で演奏すると、観客をさらにアツくさせ、最後は「We are +A!!」というみゃあみゃあの声に、ファンも一体となって応えていた。

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 今井は11枚目のシングル『星屑のリング』で着た衣装のライブアレンジバージョンで登場。blue stageでは赤く染まった会場だったが、orange stageでは今井の希望どおりに白と黄色のサイリュームが咲き乱れ、ファンが一体感を見せる。濱田智之プロデューサーも参加した同曲は、その壮大な楽曲がホールでのライブにはぴったりといった様相だ。MCでは、ダンサーがひとりメンバーチェンジしてAKIちゃんが加わったことを解説した今井。「女の子のほうが多くなったんですよ! うはうはですよー!」とうれしそうに語ると、続いて“orange stage スペシャルメドレー”を披露。『SPARKLE』、『Strawberry ~甘く切ない涙~』、『フレーム越しの恋』、『Faraway ~最後の夢~』、『ガーベラ~今年の花』、『DEPARTURE』、『いっしょ。』という、さまざまな曲の構成で彩られたメドレーで、会場との一体感がさらに増していく。メドレーを歌い終えると「何が驚いたって『星屑のリング』の色が昨日と違って!」と、先の楽曲で前日とは違い、自身の希望した色で会場が染められたことを興奮しながら語った今井。「カッコつけて歌わなければいけないのに、前奏のところで思わずニヤっとしちゃいました(笑)」と笑顔を見せる。そんな幸せそうな笑顔を見せた今井がつぎに歌うのは、『ほんの少しの幸せ』だ。ゆったりとやさしい歌声が会場を包み、観客を癒すと、一転して次曲の『旅人』では力強い歌声で会場の空気を支配。会場がオレンジ色のサイリュームで染められると、今井はスカートをなびかせながら華麗に舞ってみせた。

 「壮観でしたねー。『旅人』色に染まっていました。綺麗でした。本当に自分が夕日の中を颯爽と歩いているような気持ちで歌いました。皆さんのおかげです。ありがとうございます!」と曲のイメージに合った空間を作ってくれたファンへ感謝を述べた今井。「ライブっていうのは本当に私ひとりではできないもので、スタッフのみんなだったりとか、来てくれる皆さんが空気を作ってくれるものだと思っていますので、ぜひこれからももっともっと私がいい歌だったり、素敵な音楽を奏でられるように、皆さんのお力を借りたいと思います!」とその想いを伝えた。

 そして、つぎの曲は今井にとっても「大事な大事な通過点になった曲」という『COLOR SANCTUARY』。会場で色とりどりのサイリュームが輝くと、今井の透明感のある歌声がどこまでも響き渡る。続いて『天空の炎 ~miragem~』を披露すると情熱的な今井の歌声に応えるようにコールも熱を帯びていく。ステージを舞うように踊りながら同曲を歌い上げると、今度は『Dear Darling』へ。ピンク色に染まった会場では、ファンのコールが会場に響き渡る。さらに歌詞の一部である「大好きだよ」をファンが今井に贈ると、今井が照れる仕草を見せ、会場のファンのハートを射抜くひと幕も。最後は「ありがとう! 投げキッス!」と投げキッスを届け、ファンを虜にした。

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 前日に引き続き、自身の4年間の活動の軌跡をたどるPV集の発売をファンに報告すると、過去いちばん楽しかったミュージックビデオ撮影が『Aroma of happiness』だったことを挙げる。理由は「ちびっこたちがかわいくてかわいくてー!」というもの。この言葉に会場から「お母さーん!」という声が飛ぶと、「君たちに“お母さん”って言われても困るんだよ!(笑)」と猛抗議。そして、ライブも残り1曲へ。ラストナンバーへ行く前に言葉を紡ぎ出した今井。「この一瞬一瞬を大事に私も生きていきたいなと思っていますので、ぜひ皆さん今後とも私、+Aのメンバー、そしてあなたのお隣にいる方の幸せを願いつつ、今後も音楽活動をね……あ、知り合いじゃない?(笑)」と最後まで笑顔でおどけながら、楽しそうに話した今井は、ミュージックビデオと同じ衣装で登場するダンサー陣も注目ポイントと伝え、『Precious Sounds ~風が残していった~』を熱唱。ロンドンオリンピックを見た今井が五輪をイメージして詞を作り上げた同曲。すべての人への応援歌であるこの曲を、伸びのある歌声で会場に集まったすべての人たちに届けた。

 一度はステージをあとにした今井だったが、会場のファンからのアンコール(※もちろんこの日もミンゴスコールになっていた)に応えて登場! ここでバンドマスターのみゃあみゃあから「+Aの振りを考えたんです!」と、新たに+Aのポーズが出来上がったことが報告される。「俺たち+A!」というセリフの「プラス」の部分で腕を十字に交差させて、「エー」で両腕を上げてAの形にしつつ、右足を出すというもので、まずはみゃあみゃあを始め、ファイアーさんやマニピュレーターのキッシー(岸本泰明)など、+Aのバンドメンバーが実践。その後は会場のファンとともにこのポーズを練習し、ファンとの絆を深めた。

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 アンコールは『Limited Love』、『散花の祈り』と激しく盛り上がる楽曲が続く。今井は『散花の祈り』で1日目は持っていなかった扇子を使って華麗な舞を見せると、「うわー気持ちいい! やっぱりライブは最高ですね!」と興奮気味に語る。そして「今日を境に、また巳年として力強くこの世を生きていきたいと思うわけでございます! そんな私の活力になるのは、こうやってお忙しいなか集まってくれる皆さんだと思っておりますので、ぜひこれからも見守っていてください。今年も、飛ぶぞ!」と決意。「2daysが初めてだったので、どんな感じになるんだろうってずっと思っていたんです。最後まで乗り切れるのかなーって思っていたのですが、後半のほうが元気でした(笑)、なんかすみません! それも皆さんからのパワーをいただいているからだと思います。それでは最後の歌ですが、私がここ何年も続けさせていただいています『SSG』というラジオ番組があるのですが、そこで皆さんが穴埋めで歌詞を考えてくださった曲で、とってもとっても私にとって“たからもの”みたいな曲になりました。なので歌える方は歌ってみてください! 歌えない方ははいっしょに手を振りまくってください! それが私たちの目に焼き付いて、また明日からの活力になると思います!」と語ると、さまざまな色のサイリュームが会場中を彩る中、『たからもの』を歌唱。「ホントに皆さんに私はいろんなことを教えてもらっています。ライブも回を重ねるごとにホントに自分でも楽しくて楽しくてしかたがありません! また、次回こんなライブをやれることがあったら、新しいことにチャレンジしたいと思います!」と2日間のライブを駆け抜けた今井の新たな決意を語り、「それでは2013年後半もよろしくー、ネ!」とファンに挨拶。そして、「さぁみんな手をつないで。みんなもよかったら隣りの人と手をつないで」と無茶ぶりをしながら「今井麻美の……いいや、言っちゃえ……36歳の誕生日をお祝いして! 今井さんおめでとうございまーす! ありがとうございまーす!」と自身の誕生日をファンとともに満面の笑みで祝う今井だった。

 「ありがとうございましたー! 気をつけて帰ってねー!」と声をかけながら今井がステージを後にすると、会場ではBGMとして流れていた『いっしょ。』をファンが大合唱。ライブの最後の最後まで、今井を中心とした深い絆を確かめ合い、今井の誕生日を祝うバースデーライブ2daysは、温かい一体感とともに閉幕。会場では今井とバンドメンバーとスタッフ、関係者、そして多勢のファンという“+A”の全員に向けた拍手が惜しみなく贈られた。

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■今井麻美 Birthday Live 2013 orange stage
セットリスト
00. introduction
01. Aroma of happiness
02. Heavenly Sky
03. Day by Day(サンバ arr.)
04. 海月 ~Jellyfish~(Acoustic ver.)
05. クレッシェンド(Acoustic ver.)
06. 花の咲く場所(Acoustic ver.)
07. Hasta La Vista(Acoustic ver.)
08. 路地裏のプラネタリウム
09. 想いの羽根 ~Angelic White~
10. instrumental
11. 星屑のリング
12. 【メドレー】SPARKLE/Strawberry ~甘く切ない涙~/フレーム越しの恋/Faraway ~最後の夢~/ガーベラ~今年の花/DEPARTURE/いっしょ。
13. ほんの少しの幸せ
14. 旅人
15. COLOR SANCTUARY
16. 天空の炎 ~miragem~
17. Dear Darling
18. Precious Sounds ~風が残していった~
【ENCORE】
En01. Limited Love
En02. 散花の祈り
En03. たからもの(Long ver.)

リハーサルの様子

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