初めての試みを多数盛り込んだステージに

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 2013年5月25日(土)、東京・新宿にある日本青年館で、声優・アーティストとして活躍する今井麻美のライブ“今井麻美 Birthday Live 2013”の1日目が行われた。今回のバースデーライブは今井にとって初の2days開催であり、1日目は“blue stage”と題され、“青”をイメージした楽曲を中心とした構成となった。

 ライブが始まるとステージ上に水が揺らめく映像が映し出され、今井のバンドメンバー“+A”が登場。ステージ上の映像演出というのも今井のライブとしては初の試みだ。キーボードのたまちゃん(花岡環)とギターのカズー(山口和也)による演奏が響き渡り、会場に自然と拍手がわく中、ライブの開幕曲としては珍しいチョイスとなった『蒼穹ノ月』が静かに始まる。ステージには水辺に浮かぶ月の映像が映し出され、幻想的な雰囲気を作り出す。青のサイリュームがゆらゆらとゆらめく会場で、今井は青と白のドレスを身に纏い、同曲を静かに浪々と歌う。続く『Aquaのキセキ』で、今井はエアギターをして弾けると、ふたりのダンサーとともにダンスを披露しながらかわいらしいパフォーマンスを披露。そして「さぁ、私のダーリンはここにいるかなー?」と会場に問いかけ、『Dear Darling』へ。会場中がピンク色に染まる中、「L・O・V・Eラブリーミンゴス! 東京エンジェルプリティーミンゴス!」と、ライブやイベントですっかりおなじみとなったコールがばっちりと決まり、今井は照れながらもテンションを上げていく。さらにこの曲からアツい熱気が会場中に渦巻き、ファンのテンションも駆け上がる。最後は今井からの投げキッスが、会場のダーリンたちに贈られた。

 「皆さんこんばんはー! “今井麻美 Birthday Live 2013 blue stage”へようこそー!」と今井が切り出すと会場も歓声で呼応。「このたびは念願だった座席つきのライブ会場ということで! ありがとうございます、ありがとうございます。人間、願えば叶うものだということを目の当たりにしました」(今井)と、かねてより切望していた座席のあるライブを行えたことをうれしそうに語る。また、1日目はblue stageということで「青にまつわる曲を披露していこうと思う」と言う今井。3曲目の『Dear Darling』がピンク色だったことについては、「『Dear Darling』は“青”春色だから!」とうまく切り返し、“blue stage スペシャルメドレー”へとつないでいく。

 「コールできるところはぜひコールしてください! 歌えるところは隣りの人を気にせず、歌っていただきたいです!」と今井がファンに呼びかけて披露された“blue stage スペシャルメドレー”。『The Azure ~碧の記憶~』から始まり、『三日月色』、『Shining Blue Rain』、『struggle』、『シャングリラ』、『Promised Land』、『いっしょ。』と色彩豊かな曲調のナンバーが披露されていく。4人のダンサーを引き連れた今井は、楽曲のイメージに合わせて、ときに力強く、ときに切なそうな表情を見せ、曲の世界観を歌声で、パフォーマンスで魅せつける。会場のファンも色とりどりのサイリュームを曲に合わせて切り換えて振り、全力でコールを入れ、曲との一体感を楽しんだ。『いっしょ。』では、会場中から歌声が響き、大合唱となるなど、開始早々だというのに会場の一体感はすっかり出来上がっている様子。続いて披露された『海と空と君と』では、曲が流れ始めると会場のファンも静まり返り、座席に着席。今井の歌声に身を委ね、一音一音に聴き入る。

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 「去年はミンゴス(35)の年だったから、いろいろなところで言いまくっていたんですけれど、そろそろ控えたほうがいいのかなって(笑)」と笑いながら、自分の年齢に触れた今井。巳年生まれの今井のことを、蛇嫌いの母親が「どうして私は巳年に娘を産んでしまったんだろう」と何年も思い悩んでいたというエピソードを披露し、会場のファンの笑いを誘う。そして「つぎの曲は、皆さんが故郷を思い描けるような曲を2曲お届けしたいと思います」(今井)として『満天星 ~金木犀の咲く頃~』を歌い上げる。同曲からはフルートを担当する、しかばねちゃん(宮地夏海)も参加し、曲を支える。座りながら静かに同曲を聴く人、黄色のサイリュームを掲げ、星空を作り上げる人と、会場のファンも思い思いに曲の世界観を作り上げた。続く楽曲は、さだまさしの『案山子』。今井が参加しているコンピレーションアルバムでカバーした同曲は、今井の母親が好きな曲ということで、彼女にとっても思い入れのある楽曲。歌に込められたメッセージを、そして今井自身の想いを歌に乗せていくように、温かい、やさしい歌声を会場に届けた。

 一転して力強い歌声を響かせた『旅人』で会場を温めると、一旦今井はステージを離れ、バンドメンバーによるinstrumentalへ。ここでは今井の音楽プロデューサーである濱田智之氏も初めてinstrumentalに参加。カズーとともに華麗なギターソロを演奏し、観客を盛り上げる。バンドメンバーによる情熱的な演奏がくり広げられると、会場のファンも割れんばかりの拍手を贈った。

 そして会場にクワイアが響き渡ると、今井がダンサーふたりを引き連れて登場。彼女の新曲『星屑のリング』を熱唱する。ゆっくりと静かに始まりつつ、徐々に勢いを増していく同曲では、今井の力強い歌声、ダンサーの激しい踊りに引き込まれるように、会場の熱気もどんどん増していく。MCでは、同曲のイメージカラーを白と黄色と定めていたものの、会場の95%が赤色のサイリュームを振っていたことに言及しながらも、じつは今井のライブでは白のサイリュームが売られていないという致命的なミスに気づいたという話題で会場を沸かせる。また、今回の物販では今井が“パッキン”と名付けた、電池式ではない、折って光らせる通常のサイリュームを用意したとのことで、その理由について説明。今井によると、とある方のライブを見たときに関係者に配られたため、実際に使ってみたら楽しかったので、自分のライブでも用意したいという理由から販売が決定したということだった。

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 続いて披露されたのは、『海月 ~Jellyfish~(Acoustic ver.)』。たまちゃんが弾くグランドピアノとemyu:(エミュー)、はるちゃん(池田晴子)、ティコ(七海加奈)、おまつ(松尾佳奈)によるカルテット(弦楽四重奏)という構成で披露された同曲。会場からはこれまでの今井のライブにはない様相に「おおお……!」という感嘆の声が漏れる。そして歌声と音の波が会場に流れ込むと、会場中に音が浸透していくかのように、音楽が会場を満たしていく。さらに、同じ構成で続けて『クレッシェンド(Acoustic ver.)』も披露。こちらは今井の歌声を存分に活かし、観客を圧倒。会場からは一切の光が消え、ファンもその歌声と演奏に集中。今井が同曲を歌い終えると、今井の歌に心を震わされた観客から、いつまでも鳴り止まないほどの拍手が贈られた。

 バンドメンバーが再び加わったところで、『花の咲く場所(Acoustic ver.)』へ。今回は、沖縄で行われたライブで見せたアカペラから始まるバージョンを披露。今井が歌声だけで会場を魅了したところで、バンドの演奏が加わる。すると、会場はクラップで応え、一体感が増していく。この一体感に高揚した今井はスカートをなびかせながら優雅に、楽しそうに舞ってみせた。情熱的な楽曲『Hasta La Vista(Acoustic ver.)』では、会場中に赤いサイリュームが輝く中、こちらも舞いながら華麗に同曲を歌い上げる今井。ヴァイオリンを担当する新メンバー・emyu:もノリノリで同曲を弾鳴らし、会場を煽った。

 「今回初めてカルテットというものに挑戦してみましたー!」とうれしそうに語り始めた今井は、「これは間違いなく、+Aメンバーからの私へのバースデープレゼントだと思います!」と喜びを爆発させる。そしてダンサーを含めてカルテットが入ったことにより、+Aのメンバーが女性陣のほうが多くなったことにうれしさを隠せない様子の彼女は、新メンバーであるemyu:について、「かわいいでしょー、すごく変な子なの!(笑)」と紹介。これに猛烈に抗議をするemyu:だったが、その仕草や今井とのやりとりに会場のファンも笑いを堪えきれない様子だった。

 続いての楽曲は、+Aでギターを担当しているカズーが作曲・編曲を務めたという新曲『路地裏のプラネタリム』。「カズーらしい大人の青春ソングになりました」という今井の紹介で披露された同曲は、爽やかな、どこか懐かしい雰囲気を持った楽曲に。青いサイリュームが揺らめく中で、今井は笑顔で楽しそうに歌を紡いでいく。曲間のインストを経て、続いて披露されたナンバーは『天空の炎 ~miragem~』だ。情熱的なアツい楽曲に会場のテンションも跳ね上がり、赤く染まった会場に高揚感が生まれる。頬を上気させながら、衝動を抑えきれないというように、くるくると楽しそうに舞う今井は、アツい歌声で会場を圧倒した。続く楽曲は、一転して、静かに想いを歌い上げる『サ・ヨ・ナ・ラ』。自身が演じる『シュタインズ・ゲート』の牧瀬紅莉栖をイメージして、今井が作詞をしたという同曲。『劇場版シュタインズ・ゲート 負荷領域のデジャヴ』を経て、より厚みを増したように感じさせる同曲は、さらに紅莉栖の心情を深く掘り下げる内容となった。

 「“座席あり”というのが初めてだったので、私もプロデューサーも考えながらのセットリストだったんですけれど、大丈夫そうですかね? これからも」と会場の反応を確認する今井。すると会場からは大きな拍手と歓声が贈られ、今井も顔をほころばせる。そして最後の曲『Precious Sounds ~風が残していった~』へ。会場は同曲のイメージカラーである金を模した、黄色のサイリュームで埋め尽くされる。今井の歌声が、バンドメンバーの演奏が、そしてダンサー陣のパフォーマンスが会場中を魅了したところで、“今井麻美 Birthday Live 2013 blue stage”は一旦幕を下ろす。しかし、会場に詰めかけたファンからは、アンコールならぬ、ミンゴスコールがすぐさま贈られ、今井の、バンドメンバー“+A”の再登場を待ち構える。

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 ミンゴスコールに応えて再び登場した今井と+Aのメンバー。ステージ中央にはバースデーケーキが用意され、会場のファンとともに『ハッピーバースデートゥーユー』を歌い、今井の誕生日をお祝い。イチゴを頬張りながら笑顔でうれしそうに振る舞う今井の姿に会場が温かい空気に包まれたところで、アンコール1曲目の『Limited Love』へ。ファンとともに作り上げていったコールがバッチリと決まると、今井もファンもテンションが一気に振り切る。続く『散花の祈り』はしかばねちゃんの篠笛でスタート。急遽参加することになった“今井麻美 5thソロライブ Precious Sounds”よりもパワーアップしたメロディーが奏でられると、扇子を持ったダンサー(&ファイアーさん)の華麗な舞がくり広げられ、楽曲をより盛り上げていく。同曲では、アツく華麗に歌う今井の後ろで、会場のファンを煽ったり、隣りにいる天ちゃんを扇子で仰いだりと自由に振る舞うファイアーさんの姿も印象的な一曲となった。

 『Limited Love』、『散花の祈り』とアツい楽曲で大いに盛り上がったところで、本当に本当のラストナンバーへ。最後の楽曲は『たからもの』。今井がパーソナリティーを務めるWebラジオ『今井麻美のSinger Song Gamer』でリスナーとともに作り上げた楽曲ということで、今井が「皆さん歌えますかー?」と問いかけると、会場からは「もちろーん!」、「まかせろー!」という声が上がる。そして「歌える人は歌ってください。そして手に持っているキラキラしたものを全部出しちゃえ! みんなの“たからもの”を私に見せてください!!」と会場を煽ると、『たからもの』を披露。会場からも歌声が響く中、終始笑顔で歌う今井。さらに、曲の最後にはファンとともに「ラーラーラー」というメロディーを口ずさみ、会場中が温かい一体感で包まれた。

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 随所に映像の演出や照明での演出、曲間のBGMなど、これまでにない演出が多数盛り込まれたことも印象的な内容で、いままでに見たことのない今井麻美のステージがくり広げられた“blue stage”。「来年のバースデーもみんなといっしょにお祝いできるように、今年もがんばります!」と決意を新たにした今井は、最後にバンドメンバー全員と手をつないで「ありがとうございましたー!」とファンへ挨拶し、一本締めでバースデーライブ1日目を締めた。

■今井麻美 Birthday Live 2013 blue stage
セットリスト
00. introduction
01. 蒼穹ノ月(Live arr)
02. Aquaのキセキ
03. Dear Darling
04. 【メドレー】The Azure ~碧の記憶~/三日月色/Shining Blue Rain/struggle/シャングリラ/Promised Land/いっしょ。
05. 海と空と君と
06. 満天星 ~金木犀の咲く頃~
07. 案山子(カバー)
08. 旅人
09. instrumental
10. 星屑のリング
11. 海月 ~Jellyfish~(Acoustic ver.)
12. クレッシェンド(Acoustic ver.)
13. 花の咲く場所(Acoustic ver.)
14. Hasta La Vista(Acoustic ver.)
15. 路地裏のプラネタリウム
16. 天空の炎 ~miragem~
17. サ・ヨ・ナ・ラ
18. Precious Sounds ~風が残していった~
【ENCORE】
En01. Limited Love
En02. 散花の祈り
En03. たからもの(Long ver.)

リハーサルの様子

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