【ファミキャリ!会社探訪特別編】ゲーム作りに求められるものとは!? ディー・エヌ・エー特別インタビュー_01

ファミキャリ!会社探訪特別編ディー・エヌ・エー特別インタビュー

 ファミ通ドットコムに本日2013年5月30日にオープンした、ゲーム業界専門の求人情報サービス“ファミキャリ!”。ゲーム業界での転職を目指す人たちに向けたこの“ファミキャリ!”のオープンにともない、今回はディー・エヌ・エーに所属するふたりのクリエイター、小林潤氏と馬場保仁氏へのインタビューを収録。コンシューマーゲームとソーシャルゲーム、どちらの現場でも活躍を続けてきた両氏に、制作現場の現実と、そこで必要とされる人材についてお話をうかがった。

前職では「6年かかる」と言われ、DeNAに入社

【ファミキャリ!会社探訪特別編】ゲーム作りに求められるものとは!? ディー・エヌ・エー特別インタビュー_02
小林 潤
Mobage統合事業本部Japanリージョン事業本部
ソーシャルゲーム本部第三統括部システム第一グループ

――まずは、小林さんがDeNAさんに入社された経緯からお教えください。
小林 もともと僕は大手ゲームメーカーに所属していたのですが、ソーシャルゲームが出てきたころは、まったく意味がわからなかったんです(笑)。でも、だんだん市場が大きくなってきてニュースでも取り上げられるにつれ、「これはすごいな」、「これって異常なほどの人気じゃないか」と思い始めました。それで、ソーシャルゲームの研究を始めたのですが、「これは、何かある!」と興味を惹かれました。なぜ人々がお金を使うのか、僕のようなコンソールゲーム畑の人間にしてみれば、「?(クエスチョンマーク)」でした。でも、実際に遊んでみると、明らかにお金を使ってしまうタイミング、仕掛けというものがある。
――ソーシャルゲームには不思議な魅力があるということですね。
小林 一方で、僕らコンソールゲーム畑の人間が培ってきたノウハウを、まだまだ活かせる場所もあるなと感じました。そこで当時は、そのソーシャルゲームの制作手法をコンソールゲームに持ち込めないかな……と思ったんです。お金を使ってしまうポイントが独立したものであれば、ユーザーの離脱率が下がり、ずっとゲームに居続けてくれる。そういうものをコンソールで作りたかったんです。それで、僕が関わっていたタイトルの世界観を持つソーシャルゲームを作りたいという話をしたところ、「それはおもしろいと思いますが、実現は6年後くらいでしょう」という話になったんですね。さすがに6年となると、業界が再編されかねないほどの年月です。「これはいかんぞ!」ということで、だったらソーシャルゲームを作っている会社に入って、コンソールで培ったスキルを活かそう……という発想に変えて、最終的にはDeNAに転職したんです。
――根本にあるのは、ソーシャルゲームに対する興味ですかね?
小林 そうですね。もともと個人的にも、ゲームの枠を超えたサービスに興味があったんです。そういう意味では、「DeNAだったら、柔軟にできそうだ……」という思いもありました。一方で、いまのコンソールの世界における開発力を比較してみた場合、お金にしてもスキルにしても、日本のゲームメーカーはなかなか欧米に勝てないという現状がある。となると、ソーシャルゲームは、日本のゲームメーカーにとって勝負できる方向性のひとつなのかも……という考えもありました。

DeNAには、企画を通す障壁がない

――なるほど。それで、実際に働いてみての印象は?
小林 まず、みんなポジティブ(笑)。ふつう、どの会社でも何かの企画を通すためにはいろいろと障壁があると思うのですが、DeNAにはそれがない。
――いわゆる社内調整ですか?
小林 そうです。どの会社もそうだと思うのですが、フットワークが悪い。とくに大きな会社になるほど悪くなる。それに比べたら、DeNAは自分の裁量でできる範囲がすごく広いです。あと、誰かを巻き込んだとしても、それがプラスの方向にしか働かないんです。通常ありがちな「この人を入れたから、やりにくいな」ということを感じないのがすごいと思います。要は、スタッフのみんながひとつの目標に対して、同じ意識をちゃんと持って動いているんです。なおかつ、期待した以上のことを提案してもらえるし、やりやすいようにアドバイスをくれたりすることもあります。
――そのへんは文化の違いなのでしょうか?
小林 そうですねえ……。ふつうの企業って縦割りじゃないですか。もちろん、DeNAにも役職はありますが、たとえ役職上は下の人であっても、その人がその企画についていちばん詳しいのであれば、その人がチームリーダー的な役割になって動きます。その人の意見が中心となって動くんです。ふつうだったら、いくらその人が詳しくても、詳しくない上司にきちんと説明して“アグリー(同意)”を得ないといけない。DeNAでは、その過程がないんです。もちろん情報はシェアしますし、確認はしますよ。けっして自分勝手に動いてはいないのですが、“アグリー”が得られる時間がめちゃくちゃ短いですし、個人の裁量も大きい。信頼されている感じでしょうか。
――ソーシャルゲーム業界にはスピード感があると言われますが、そのへんの要素がひとつにはあるのでしょうか?
小林 そうかもしれないですね。僕はソーシャルゲーム業界はこの会社が初めてなので、ほかがどうか、というのはわからないのですが、明らかにコンソール系とは違う感じです。唯一近いとすれば、かつて10人くらいの規模で半年かけてWiiウェア向けのソフトを作ったことがあるのですが、あのときのスピード感に似ていますね。

開発力も、コンソール系に負けていない

――一方で開発力に関しては、コンソール系には及ばないとの意見もありますが……。
小林 それは違うと思います。データを分析するノウハウだったり、サーバーまわりの技術だったりと、ソーシャル系には、ソーシャルゲーム特有の、新しい技術や分析手法があるんです。とくにサーバーまわりの技術に関しては、コンソールはぜんぜん追いついていけないと思います。ただし、ゲーム内の“演出”という部分になると、コンソールのほうがまだまだ上ですね。だからこそ、いまはどんどん自分のノウハウを提供しています。僕は、DeNAには2011年の7月に入社したのですが、当時を振り返ると、入ったばかりの人間にうだうだ言われたら、ふつう嫌がりますよね? でも、当時は先輩社員がすごく熱心に話を聞いてくれました。皆さんすごく勉強熱心で、いろんな人とコミュニケーションを取って、いろいろな意見を吸い上げる。情報の受け取りかたとか、処理の仕方とか、その点はすごいですし、いまもそのスタンスはまったく変わってない。
――では、DeNAに入社して以降の日々はいかがですか?
小林 毎日、時間が経つのがめちゃくちゃ早いですね。朝から帰宅時間まで、あっという間に過ぎていきます(笑)。仕事をしていると、嫌な気分になることも多いのですが、ここではそんなことは少しもない。疲れますけど、そんな感情はでてこないですね。それは、おそらく仕事自体を自分でしっかりとコントロールしているからだと思うんです。誰かに制御されている感じがしない。コンソール系だと、いろんな人に“アグリー”を取らないといけない場合が多いから、何かをやるのに2~3週間かかったりするのですが、ここだとやろうと思ったことがつぎの日にはできていたりします。考えたことをすぐに形にして……、のくり返しができるのは本当に楽しいです。
――最後に、ソーシャルゲーム業界に興味を抱いているクリエイターの皆さんにアドバイスをお願いします。
小林 まず、「ソーシャルゲームの開発は、おもしろい!」というのは、伝えたいです。伸びしろの大きなソーシャルゲーム業界では、コンソール系のクリエイターが必要とされています。ソーシャルゲームを、“もっとゲームとしておもしろくする”というのは、僕らのような、もともとコンソール系の人間だからこそ、できることだと思っています。そういうところは能力を活かせますし、これからソーシャルゲームはまだまだ進化すると思っています。一方で、先ほども述べましたが、ソーシャルゲーム業界にも最先端の技術が溢れています。そういった意味でも、とても腕の振るい甲斐のある職場です。いまだからこそ、コンソールゲームの経験者が必要だと思っています。まずは話を聞いてみる、くらいのノリでもいいので、ぜひお気軽に応募していただきたいです。

ソーシャルもコンソールも、大事なことは、「おもしろさをいかに伝えるか」

【ファミキャリ!会社探訪特別編】ゲーム作りに求められるものとは!? ディー・エヌ・エー特別インタビュー_07
馬場 保仁
Mobage統合事業本部Japanリージョン事業本部
ソーシャルゲーム事業本部 第三統括部
企画第2グループ グループリーダー/シニアプロデューサー 兼 X-Function部コンセプトライティンググループ グループリーダー

――ここ数年で、ソーシャルゲームが隆盛となっていますが、その勢いについて、制作現場ではどのようにとらえているのでしょうか?
馬場 コンソールとソーシャルでは、遊ぶ時間の違いと、「お客様のどの時間をどういただくか?」という部分が著しく違うと思います。1日に何回もつないで遊ぶのと、がっつり張りついて遊ぶのとでは違いますよね。しかもコンソールといっても、プレイステーション Vitaやニンテンドー3DSであれば、ふつうに携帯して遊べるわけです。「それらとソーシャルでは何が違うの?」という部分を、ソーシャルゲームを作る側は考えないといけません。ただ、おもしろさの根幹はいっしょですし、それぞれの“おもしろさ”を求めるユーザーに満足していただけるゲームを作るという意味では、目的は同じだと思っています。コンソールとソーシャル、それぞれの特性を生かせば、違った“おもしろさ”を感じていただけると思います。
――制作の現場において、意識の変化はあるのでしょうか? たとえばソーシャルゲームの制作において、コンソール的なものを意識するとか。
馬場 携帯電話やスマートフォンでゲームができるようになって、「短い時間でどうやって楽しんでいただくか」を突き詰めていく中で、進化しているのはゲームデザインの部分だと思うんです。新しい技術が出てきたら、「そこにゲームデザインをどうはめていこうか」と考えるのは、制作者なら当たり前にやっていることですよね。いちばん大事なことは、おもしろさをいかに伝えるか。ソーシャルとコンソールのどちらであれ、絶対にいい影響は受け合いますよね。

DeNAは意思決定のスピードが速い

――ソーシャルゲームが成功した要因のひとつとして、ベンチャー的なスピード感のある開発、運営というのがよく言われますが、これだけ市場が大きくなり、プロジェクトの規模も拡大してきた中で、変化はありませんか?
馬場 そこで言われる“スピード感”というのは、たぶん開発のスピードのこともあると思いますが、大事なのは意志決定の速さであって、そこはコンソールもソーシャルも関係ないと思うんですよ。私がDeNAに来て「速いな」と思ったのはまさにそこで、物ごとを決めるまでのスピードがとにかく速い。申請のステップを踏まなければいけなかったり、いろいろと交渉をしなければいけなかったり、というのがなくて、「各自でやっていいよ」というところがあるんです。ただそれは会社のカルチャーであって、ソーシャルとコンソールの差ではないんです。
――世の中が目まぐるしく変化していく中で、ゲームはどのように進化していくとお考えですか?
馬場 ゲームがどう変わるかというよりも、変わっていくのは、遊ばれかた、どこの時間をどう使っていただくか、だと思います。いまはまさに、「ソーシャルゲームでどう遊んでもらうのか?」という新しい発明が求められているタイミングなんです。また、昔に比べて、いまはユーザーさんが好きなゲームを選んで遊べる状況になっていますね。しっかり工夫をして、毎月更新を続けて、クオリティーの高いものを提供し続けていけば、長く楽しんでいただくことができるわけですよ。そこをもっともっと注力していかなければいけない。DeNAのいいところは、分析を担当する人たちが大勢いて、すごく強力なデータを見せてくれるので、それと真摯に向き合って、ゲームデザインをしっかり考え、スピーディーに展開していくのが、大事なんだろうなと思います。

自分がやりたいことをどんどん発言し、前に進められる環境

――DeNAのゲーム制作現場において求められる人材とはどんな人なのでしょうか。
馬場 たくさん遊ぶこと、人を喜ばせる経験をたくさんしておくことが重要だと思います。また、ソーシャルゲームを作りたいなら“ソーシャル性とは何か”を徹底的に考えておくべきです。「ゲームをたくさん触っておくといいですよ」ということアドバイスもできますが、それは当たり前のこと。その上で何を持っているか、どんな遊びを知っているか。もっと言えば、喜怒哀楽をどう知っているかが、すごく大事なところだと思います。
 ただ、念のために言っておくと、技術はどうでもいいと思っているわけではないですよ。技術を突き詰めて、そこに喜びを感じることもあるでしょうし、とくにエンジニアにはそういうところもあると思います。とにかく、何かに“打ち込んでほしい”んですよね。それがすごく大事だということです。それは知識習得でもかまわないし、プログラマとしてすごいことをやってくれるのでもかまわないんですよ。たとえば、朝出社してみたら、昨日はなかったものが動いていて、若手のスタッフが「おもしろそうなのでやっちゃいました」とか、そういうのって楽しいじゃないですか(笑)。そういうのが欲しいですよね。「おもろしいと思ったら、やっちゃえばいいじゃん!」というノリで勝手にやってしまうことって、おもしろいんですよ。おもしろすぎて、ゲームに入れられないときもあるんですけど……(笑)。いい意味で前のめりであってほしい。「やりたい、やりたい!」ってアグレッシブな人が欲しいですよね。ゲーム作りに情熱を持っている仲間、求む!
――DeNAではゲーム業界で活躍されている人を募集されているようですが、その方々にメッセージをお願いします。
馬場 ゲームを作る人たちには、自分自身が何かを突き詰めて“想い”を持てるところまで、何かをやり尽くすことを経験していてほしいと思います。それに加えて、人を喜ばせるというのはどんなことなのかを、どんなことでもいいので、体験していてほしいですね。そして、エネルギーがあって、やりたいことを持っている人に、どんどん入ってきてほしいです。DeNAは、“誰が言ったか”ではなく、“何を言ったか”を大事にする会社です。自分がやりたいものをどんどん発言していって、全力でコミットして進んでください。そういうことができる人材を求めていますので、DeNAに少しでも興味を持ってくださっている方には気軽に参加していただきたいです。いっしょに最高のゲームを作りましょう!

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<会社概要>
株式会社ディー・エヌ・エー ●代表者:代表取締役社長兼CEO 守安 功 ●事業内容:プラットフォーム事業、ソーシャルゲーム事業、インターネットマーケティング事業、eコマース事業、その他