ミリタリーFPSに一石を投じたマイルストーン的シリーズ

 「第二次世界大戦をテーマにしたゲームで、プレイヤーの操作するキャラクターが単身で無敵のスーパーソルジャーのように無理難題を解決するのはおかしい」という、第二次世界大戦を題材にしたFPS(一人称シューティング)へのアンチテーゼとして登場した『コール オブ デューティ』。戦場では単身ではなく、つねにいっしょに行動する仲間が存在するという、より現実的な目線で戦争のストーリーテリングに挑戦するだけでなく、戦場をより正確に表現するべく舞台となる場所を再現し、実際にその作戦に従事した人々から制作の協力を得るなど、ほかの第二次世界大戦をテーマにしたブランドよりも凝りに凝ったゲームというのがウリで、2003年に最初の作品が発売された。
 当時のゲーム作りの手法としては少し異質だったような気がしないでもないが、結果的にミリタリー系FPSを楽しんでいたゲーマーからの受けはよく、処女作からブランドを確立することに成功した。
 その後も複数の作品がリリースされていたのだが、不動の人気を確立したのは『コール オブ デューティ モダンウォーフェア』(CoD MW)。当時、第二次世界大戦モノばかりが乱立していたのだが、ゲーマーのコミュニティーはニッチもサッチもドイツ軍や日本軍を相手に戦うことに飽きだしていた。そこに、シリーズの開発会社のひとつであるInfinity Wardが現代戦をテーマにした作品である『CoD MW』を市場に投入したところ、乾ききった大地に雨が降るかのように、ミリタリーFPSファンは夢中でプレイし、結果的に大ヒット。『コール オブ デューティ』というブランドを一気に成長させることに成功した。
 この『コール オブ デューティ』シリーズだが、Infinity Wardのほかに、Treyarchというスタジオも制作をしている。日本未発売の『Call of Duty World at War』や、ご存知『コール オブ デューティ ブラックオプス』シリーズを制作している。今回、この原稿で扱うのは昨年発売された『コール オブ デューティ ブラックオプスII』(以下、BO2)だ。
 『BO2』は、シリーズ1作目の続編的な位置付けとなる作品なのだが、前作は1960年代が舞台なのに対し、本作では1980年代の冷戦と、2025年を舞台として物語が綴られている。主人公のデイビット・メイソンは、米海軍の特殊部隊 シールチーム6(最近だと、某集団のリーダーを追跡する映画で有名だろうか)に所属する海兵隊員のデイビッド・メイソン(前作の主人公の息子)。さまざまな国を転戦したり、過去の出来事を追憶することで、本作の黒幕や因果関係が少しずつ判明していく。詳しく書くとネタバレになってしまうので、あえて控えさせていただくが、「あー、こういうことなのか!」とたびたび思わされる内容だ。ちなみに、キャンペーンモードはハリウッド映画のように派手な演出が多数あり、筆者は口を開けて見入ってしまうことが多かった。凄くお金かけて制作しているんだろうなぁ。

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【めざせ!!100万時間応援企画】プレイリポート第1回:『コール オブ デューティ ブラックオプスII』_02
▲ド迫力のキャンペーンでは、頼もしい味方とミッションを遂行する。
▲アメリカ本土が焦土と化してしまいそうな事態に発展。はたしてどうなるのか?

オンライン要素は世界中のゲーマーが唸る品質の高さ!

 さてさて、FPSと言ったら切っても切れないのがオンラインを介したマルチプレイヤー。本作も過去の『コール オブ デューティ』シリーズ同様に、オンライン上で対戦や協力プレイを遊ぶことができる。ゲームモードも豊富にあり、昨今のFPSでは標準的なチームデスマッチだけでなく、敵チームと3つの拠点を取り合うドミネーションや、マップ上の2ヵ所に配置されている目標物の爆破と防衛を目的としているサーチアンドデストロイといった変則的なルールのほかに、多数のルールがある。

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▲拠点を奪い合うドミネーションは、味方との連携が重要となる。

 対戦で敵を倒したり、チームが勝利すると、プレイヤーには経験値が与えられ、経験値が一定数溜まり、ランクがアップする。ランクアップすると、そのランクに応じて武器が少しずつアンロックできるようになり、プレイヤーごとに使用する武器の傾向が大きく変化する。また、使用している武器は、習熟度により消音器や多段マグといったアタッチメントを追加することができるようになり、プレイヤーごとに使用する武器が同じでもカスタマイズの違いなどが出る。ゲーム中、誰かが落とした武器を拾ってみると、自分とは異なるカスタマイズをしている武器を多く見かけることがあり、そのたびに「へぇぇぇ、こういう組み合わせも意外とアリなんだなぁ」といった感じの発見もある。ただ、自分にとって地雷の組み合わせを引くと絶望感は果てしない。

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▲自分のプレイスタイルに合った武器のカスタマイズを見つける過程もおもしろい。

 オンラインを介した遊びには、対戦のほかに協力プレイも用意されている。これは、『Call of Duty World at War』から人気を博したゾンビモードのことで、波状攻撃を仕掛けてくるゾンビなどのクリーチャーを、どれだけ多く撃退することができるか挑戦するモードで、いわゆる“ウェーブ”タイプのゲームだ。敵を倒すごとに得られる報酬をもとに、少しずつ行動できる範囲を広げていき、武器やプレイヤーのステータスをアップさせつつ、可能な限り闘いぬくのが目的のモードだ。
 このゾンビモードなんだけど、Xbox 360で先行配信された“Uprising”というDLCで、追加のステージとキャラクターが配信されている。その登場人物は、マイケル・マドセンやレイ・リオッタといった海外の俳優が登場し、アメリカでもっとも有名な監獄(元だが)のアルカトラズ刑務所から脱出するのが目的としている。このモードはひとりでも遊ぶことが可能だが、アイテムの捜索や敵の数が途中から異常なほど増えるという点を考えると、やっぱりパブリックマッチで見知らぬ人と協力をするか、フレンドといっしょに遊びながら、島からの脱出を目指してみるといいだろう。残念ながら、筆者の友人たちは対戦ばっかりやっているため、いつもボッチプレイになっているけどね。ウゥッ。

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▲有名(?)俳優がアルカトラズ刑務所からの脱獄を目指す! それにしても、このオッサンたち、ノリノリである。
▲ウェーブが進めば進むほどゾンビの数が増える。本当にこの島から脱出できるのだろうか?

 さて、ゾンビモードのところで少し触れたのだけど、DLCの“Uprising”に含まれているマップのうちひとつが日本を舞台としている。場所としては恐らく桜島なのだろうけど、その名もマグマ。いたるところに日本語の看板があり、溶岩が山から流れ続けている。なんというか、第二次世界大戦ネタのFPS以外で、戦争を題材にしたゲームに日本が出てくるのは凄く珍しいので、ぜひとも一度は見てみてほしいと思う。妙ちくりんな雰囲気もきっと楽しめるはずだ。

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▲北九州の魚市場に到着。未来の世界ということで、“コレジャナイ”感は置いておきましょう。
▲溶岩が目の前に迫ってきている状況下なのに、悠長に戦っていていいんでしょうかね? まぁ、野暮ですが。

 ちょっと長々と書いてしまった感じがするので、そろそろお開きといったところでしょうか。昨年発売したタイトルではあるものの、いまだに多くのプレイヤーが日夜修練している『BO2』。僕もチョイチョイオンライン対戦や、ゾンビモードを“ボッチ”で遊んでいたりします。もし出会うことがあったら、いっしょに楽しみましょう。それでは!

■筆者紹介:BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用している“BRZRK(バーサーク)”名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!