“徹底的に開発者をサポート”それがNVIDIAの方針
2013年5月18日(土)、19日(日)、中国・上海で開催されるNVIDIA主催のゲームフェスティバル“GeForce e-Sports”。その1日目に、コンテンツ&テクノロジ担当の上級副社長であるTony Tamasi(トニー・タマシ)氏によるプレスカンファレンスが開催された。
タマシ氏は、開発者とNVIDIAの相互活動を管理するだけではなく、グラフィックスプロセッサの企業戦略の方向性、および開発者向けツールやサポート開発を担当。1999年にNVIDIAに加わる以前は、3Dfx Interactiveのプロダクトマーケティング部長を務め、Silicon GraphicsおよびApple Computerにも勤務していた経歴を持つ。
カンファレンスでは、主にNVIDIAの“開発”と“サポート”について説明。NVIDIAではスペシャリストたちがそれぞれの分野で知識・情報を集めており、水のシミュレーションなどさまざまな開発を行っている。最近では、研究大学で実際に取ったデータをもとに、人間のさまざまな表情を表現する“フェイスワークス”も、新技術と合わせることによって実現した。この技術を使ったゲームが、タイトルは明かされなかったものの、2013年度末に発売される予定だ。また、開発者に対しては、デバッグまでを含めた開発のためのツールが提供されるほか、専門のエンジニアがみっちりとサポートし、開発のノウハウを伝授。日本でもエンジニアによる開発支援が行われているとのこと。「NVIDIA自身がソフトの開発を行わないのか」という質問には、「ソフトは開発会社に任せた方がいいものができると思っているので、私たちはサポート側に回るのが一番です」とタマシ氏は、徹底的にサポートしていく体制であることを示した。
現在大注目されているAndroidベースの携帯ゲーム機“SHIELD”についても、トニー氏が開発理由を説明。話はまず、驚くほど成長したモバイルゲームから始まり、タブレットの成長率・収入がすでにPCを超えて史上最大の市場となっていること、タブレットユーザーの3分の2はメールよりもゲームをたくさんプレイしていることを挙げた。これを受けてデベロッパーもすでにモバイル向けのゲームを作ることが大事であると気づいており、NVIDIAも20年ほど開発を行ってきている中で、PCだけではなくモバイルを追加することでゲームの市場を大きく捉えようという試みになったようだ。しかし実際にモバイルで遊んでみたところ、「あまり操作感がよくない」という不満点に遭遇。結果、「やっぱりゲームはコントローラーで遊びたい」という思いから、モバイルゲームを遊ぶのに適したゲーム機を作ることとなったそうだ。
また、中国のSHANDA GAMESと、GIANTもカンファレンスに登場し、それぞれDX11やTessellationなどを使用して開発された新作を発表。DX11によって変化した部分などを、スクリーン上で説明した。
最後に、「ゲーム開発者と協業する基準はクオリティーで選ぶのでしょうか? それとも、シェア率などの面などを基準とするのでしょうか? また、具体的にどのような支援をするのですか?」という質問に対し、タマシ氏は「NVIDIAが得意とするのは経済的な支援ではなく、技術の支援です。サポートするかどうかの判断基準は、シェア率ではなく、熱意とNVIDIAの技術を必要としているかどうかです」と語り、カンファレンスを締めくくった。