『グランツーリスモ』15周年記念イベントで発表された『グランツーリスモ6』!!
2013年5月15日(現地時間)、イギリスのシルバーストーン・サーキットにて『グランツーリスモ』(以下、『GT』)15周年記念イベントが行われた。世界各国から集まった取材陣の数は、100メディアにも及ぶほど。『GT』シリーズに対する各国メディアの注目度の高さが伺えた。ここでは、そんな同イベントの詳細についてお届けしよう。
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シルバーストーン・サーキットに到着した記者の目に最初に止まったのは、これまでの『GT』シリーズに収録された名車の数々。クルマファンなら垂涎のラインナップで、イベントを前に嫌が応にも期待が高まる!
同イベント会場となったのは、シルバーストーン・サーキットのグランドスタンド内ホール。1歩外に出ればすぐにサーキットのホームストレートが見えるという、なんとも『GT』らしい環境だ。ホール内にも数台のクルマが展示されていたほか、歴代の『GT』タイトルの試遊台が設置されていたが、立ち入りと撮影はイベント後のお楽しみということ。その理由は後述する。
現地時間の16時に開始された『GT』15周年記念イベント。まずは、ソニー・コンピュータエンタテインメント・ヨーロッパのCEO、Jim Ryan氏の挨拶、さらに日産自動車のグローバルディレクターであるDarren Cox氏による、”GTアカデミー2013”の概要解説および、輩出したドライバーたちによる成果が発表された。そして、ふたりのプレゼンテーション終了後、いよいよ『GT』シリーズの産みの親である山内一典氏がステージに登壇。山内氏による「『グランツーリスモ6』(以下、『GT6』)をプレイステーション3用タイトルとして、2013年末に発売すべく開発中です」というコメントが訳されると、場内は大きな盛り上がりを見せた。その後、山内氏が『GT6』のアウトラインを具体的に説明していった。その内容は下の通りだ。
ゲームシステム・物理演算について
・ゲームエンジンの新しくする。それによって、将来の拡張性を確保し、レスポンスのいい操作体系を確保していく。
・レンダリングエンジンも刷新し、より高精細なグラフィックを実現する。
・リアルドライビングシミュレーターのコアとも言うべき、物理エンジンも新しいものにする。パーツ単位で紹介すると、タイヤは、横浜タイヤ社の協力を得て開発中。また、ダンパーについてはドイツのKWオートモーティブ社の協力を得ている。
・エアロダイナミクス(空力)の演算に関しても、より精度の高いものに進化させる。
・我々がレース活動をすることによって得られた莫大な情報を、『GT6』の物理エンジンにすべて盛り込む。
ゲームの遊びやすさや楽しさに関わる部分について
・クルマは『GT5』の1000台からさらに200台を増やし、『GT6』の発売時点で1200台を収録予定。DLCによってさらに増やしていく。
・『GT5』よりも圧倒的なボリュームとなるカスタムパーツを収録。数千種類のエアロパーツはもちろん、『GT5』で制限されていたカスタムホイールもかなりの数を用意する。
・『GT6』では、今回の『GT』15周年記念イベントが開催されたシルバーストーン・サーキットを含めた33種類のロケーション、71種類のコースを収録。さらにDLCで毎月数を増やしていく予定。
・コースメーカーも強化。数十キロ四方のシナリー(景色)の中でコースを作ることができる。現時点で収録されることが決まっているシナリーは、スペインのアンダルシア地方。また、コースの生成アルゴリズムも大幅に変え、より自由度の高いコースを作れるようになる。なお、シナリーもDLCによって増やしていく予定。
・『GT5』のオンライン機能を強化。クラブやコミュニティーを作れる機能を始め、プレイヤーがオンライン上で多彩なレースを気軽に開催できるようになる。
・ユーザーインターフェースのレスポンスを強化。高速化するとともに、タッチスクリーンにも対応させる。
・『GT6』はマルチデバイスへの対応を行う。リアルドライブシミュレーターとしてはプレイステーション3が適しているのは間違いないが、オンライン上でのソーシャルな遊びを行う場合も踏まえ、スマートフォンやタブレット、PCなどのデバイスでも、『GT6』のコミュニティーの情報が得られるようにする。
・リアルな世界とバーチャルな世界の境界で起こる“おもしろい作用”というべきものを『GT6』ではたくさん用意している。たとえば、GTアカデミーはそういった“おもしろい作用”の中でももっとも成功したもののひとつ。
・『GT』とトヨタ自動車社で共同開発している“CAN-ECU”というシステムを使い、現実世界でサーキットを走行したデータをそのままプレイステーション3の中で再現するという“おもしろい作用”も準備している。これは、いずれトヨタのスポーツモデルへの展開も考えられている。
以上のような『GT6』のアウトラインを発表した後、山内氏は「『GT6』のリリースまでおよそ6ヵ月あります。今後もリアルとバーチャルの狭間にある楽しさに関して、どんどん発表していく予定なので、ニュースを楽しみにしてほしいです。現在、自動車業界に限らない数多くの会社とさまざまな準備をしているので、今後はそれらを順番に発表していけると思います」とコメント。続いて、『GT6』最新プロモーションムービーを公開し終えると、各国の記者から惜しみない拍手が送られた。
体感するG以外は、本物そのまま!
ステージイベント終了後には、プレス向けにシルバーストーン・サーキットが収録された『GT6』のプレイ体験を実施。平行して”GTアカデミー”が輩出したドライバーたちによる、『GT6』のデモランも行われた。記者もいち早くプロトタイプの『GT6』をプレイ! リアルなクルマの挙動と美しい画面からは、『GT』らしさをしっかりと感じ取ることができた。
続いて行われたのは、プロドライバーの運転によるシルバーストーン・サーキットの走行体験。記者は、日産・フェアレディZに乗り込むことになった。
同乗走行が終わった後、最後に記者を待っていた体験は……なんとシルバーストーン・サーキットのガチドライブ! 助手席にアクセルオンやブレーキングのポイントを指示してくれるサポート役の人物が座った状態で、実際に記者がサーキットを走行した。乗車したのはアウディ・R8(2000万円近いスポーツカー)。クルマの運動性能もさることながら、事前に『GT6』でコースをシミュレートし、同乗走行でスピードにも慣れていたおかげで、かなりのスピード(パワースライドさせながらコーナーをクリアーしていくレベル)で走行することができた。もちろん限界走行にはほど遠いが、プロドライバーでない記者が抵抗なくサーキット走行ができるということは、『GT6』がいかにドライブシミュレーターとして優れているかの証明であるといっても過言ではないだろう。