Unityアセットストアで実際に販売してみるとどうなのか? 個人開発者の実体験が明かされる_01

 2013年4月15日・16日の2日間、東京都のベルサール汐留でゲームエンジン“Unity”が主催する公式カンファレンス“Unite Japan 2013”が開催。2日目にUnityユーザーが利用できるAssetStoreに関するセッションが行われた。

AssetStoreのノウハウを公開

 Unityには個人開発者が自分で作成したゲーム制作用のアセットデータを販売できるAssetStoreと呼ばれるサービスが用意されている。これはUnityユーザーであれば誰でも販売したり、購入することができ、Unityのエディタからアクセスが可能だ。キャラクターモデル、テクスチャー、マテリアル、オーディオエフェクト、スクリプト、アニメーション、パーティクルシステム、制作ツール、拡張プラグインなど、6000以上のゲーム開発に必要なアセットがラインアップされている。

 今回のセッションでは、会社の業務とは別に個人としてAssetStoreでアセット販売を行なっているfrontakk氏が登壇。自身の体験談を元にAssetStoreの仕組みやノウハウが紹介された。

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 frontakk氏はAssetStoreを利用することのメリットについて、何でも揃っているため、自分が苦手な分野をやらなくてもいい点であるという。苦手な分野はすべてAssetStoreから購入できるので、得意な分野の開発に注力できるというわけだ。個人でゲーム開発をしているユーザーが多いUnityにおいて、すべての分野をフォローすることは難しいと言わざるをえない。AssetStoreを上手に利用すれば、貴重な時間と労力を有効活用できることになる。

 続いて、アセット販売の売上について紹介が行われた。AssetStoreでもっとも売れているアセットはGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ライブラリ「NGUI: Next-Gen UI」(通常価格は95ドル)。Unity関係者によると、定期的に行われるセール期間中の1週間で約400万円の売上を記録したとのこと。frontakk氏が販売しているのはパーティクル系のアセットだが、こちらの売上は平均すると月に5~6万だという。アセット販売だけで生活するのは、まだ厳しいようだ。ちなみにアセットの価格はユーザー自身で決定することができ、売上のうち70%がユーザーに配分される。

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 frontakk氏はUnity公式ホームページにフォーラムを開設しており、自分のアセットについてユーザー対応を行なっている。するとフォーラム上やプライベートメッセージを通じて、海外のデべロッパーからアセットやエフェクトの制作依頼が届くようになったという。ただ、インディー系のデベロッパーだと金額面で折り合えないことが多く、実際の制作に至るのは難しいそうだ。

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 これからAssetStoreに登録を考えている開発者に向けては、以前より登録手順が簡単になっているとのこと。英語の文書やメール対応に関しても、Webサービスを利用することで大きな問題ではないという。開発スキルに自信があるUnityユーザーは、検討してみてはいかがだろうか。

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▲frontakk氏が考える理想的なネットワークの形。ユーザー(デベロッパー)からの依頼でアセットを開発→開発したアセットのテスト&提供と同時にAssetStoreで販売する流れ。1対1の取引だけでは金銭面で折り合えない部分を、AssetStoreの販売分でカバーする。
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▲セッションの後半はUnity 3.5以降に導入されたパーティクルシステム“Shuriken”のデモが行われていた。