『.hack』シリーズの歩み、そして“いま”と“これから
2013年4月13日、東京・サイバーコネクトツー東京スタジオにおいて、『.hack』シリーズ完全設定資料集LIGHT EDITIONの発売を記念したトーク&サイン会イベントが開催された。
“『.hack』シリーズ完全設定資料集LIGHT EDITION”とは、これまでサイバーコネクトツーが発行した、『.hack』シリーズの完全設定資料集“.hack//archives”の01~03を、読み応えのある内容はそのままに、それぞれB5サイズのソフトカバー仕様のお手ごろ価格にリニューアルした全3巻の完全設定資料集だ(※詳細は→【コチラ】)。
その発売を記念して開催されただけあって、今回のイベントも、集まった熱心な『.hack』ファンにとってはたまらない内容となった。
トークショウに登場したのは、『.hack』シリーズの制作総指揮を執るサイバーコネクトツー代表取締役社長・松山洋氏と、シリーズのディレクターを務める新里裕人氏。まさに『.hack』制作の中心にいるふたりだからこそ語れる、興味深い裏話が満載のトークショウとなった。
トークは、“『.hack』シリーズ完全設定資料集LIGHT EDITION”の内容を一部紹介しつつ、制作時のエピソードなどを交えて、『.hack』シリーズの歩みを振り返る内容となった。新里氏が語るところによると、企画当初は、『.hack』は女盗賊が主人公のゲームとして構想が練られていたのだそうだ。しかしそのままでは魅力に欠けると考え、構想を広げていくうちに、「ハッカーっていうのも泥棒だよね、と気づいたんです」(新里氏)ということで、ハッカーとファンタジーを融合させたイメージができあがっていったのだという。
『ギルティドラゴン』――『.hack』シリーズの“いま”
『.hack』シリーズの歩みをひと通り振り返ったのち、今回のトークショウで、とくに力を入れて語られたのが、シリーズ最新エピソードにあたる、iOS/Android用ゲーム『ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い』についてだ。松山氏は、サイバーコネクトツーとして、スマートフォンを、「スペックと、ネット接続の容易さも含めた便利さを兼ね備えているうえに、世界中のお客様とつながることができる万能なゲーム機です」と位置づけたうえで、最新の『.hack』シリーズを、『ギルティドラゴン』という形で展開しているのだと説明した。
現状については、バージョンアップを重ねることで、どんどん遊びやすいものになっていることを強調。2013年4月3日には50万ダウンロードを突破したことが発表されているが、その後も順調にプレイヤー数が増加しており、「ぶっちゃけた話、売上も右肩上がりで上がってきております」(松山氏)と、非常に好調であるようだ。
ただし同時に松山氏は、『ギルティドラゴン』は「無料でどこまでも遊べることをコンセプトにしています」(松山氏)と、無課金で気軽に遊びつつも、『.hack』シリーズらしい迫力や世界観、ドラマをとことん楽しめることを強調した。
そしてこの後、イベントに来場した人だけに、こっそり公開NGな情報が語られた。会場からは大きな歓声が上がるほど、『.hack』ファンにはたまらない情報だったが、残念ながら詳しくはお伝えできない。50万ダウンロード突破記念で公開されたPVの終わりのほうで、少しだけヒントが明かされているので、イベントに来られなかった人は、PVをくり返し観て、内容を想像してみてほしい。
また、今後の『ギルティドラゴン』について松山氏は、「ほとぼりが冷めてきた、というのもありますので(笑)、『.hack』らしさが、だいぶ色濃く展開されていくことになると思います。ある程度売れたんだから、ここから先はええやろ、うちの好きなようにやらせてくれよと(笑)」と、『.hack』ファンにとってはより魅力的なものになっていくことを示唆した。
さらに、詳細は未定ながら、2013年5月に、秋葉原コトブキヤにて、『ギルティドラゴン』イラスト展示イベントを開催することが発表された。また同会場にて、『ギルティドラゴン』のイラスト集が先行販売されることも決定。日ごろ『ギルティドラゴン』内のイラストを、もっと大きなサイズで見てみたいと思っていた人にとっては、またとないイベントとなるので、今後の続報に注目しておこう。
「PS VitaやPS3、PS4でリメイクしてほしい、と言われますが……」
なお、最後に松山氏は語られたメッセージは以下の通りだ。
「よく『.hack』シリーズは、プレイステーション Vitaでリメイクしてほしいとか、PS3やPS4で、HDでリメイクをしてほしいと言われますが、なかなかいま、家庭用ゲームでオリジナルシリーズを展開するのは、すごく難しいです。でも、我々が何の準備もしていないのかというと、そんなわけはないです。いまの『.hack』シリーズは『ギルティドラゴン』ですから、ぶっちゃけた話、『ギルティドラゴン』の売上、利益が一定規模になって、“『.hack』いけるじゃん、そろそろやりなよ”と言われたときに、“そんなこともあろうかと!”と、ちゃんと展開できるように準備はしています。
背中を押してくれるのは、皆さんの応援です。課金してくれ、と言っているんじゃないですよ?(笑)。みんなで楽しんでいただいて。ガラケー使いの方は機種を変えていただいて(笑)。ぜひ、いまは『ギルティドラゴン』で楽しんでいただいて、今後の『.hack』シリーズの展開を、暖かく見守っていただければと思います」