プレイステーション4開発機での生テックデモ披露も

Unreal Engine最新デモ映像も公開! GDCプレゼンリポート【GDC2013】_01

 米時間の3月25日から29日までサンフランシスコで開催中のGDC 2013。Epic Gamesのビジネスブースで今年も最新プレゼンテーションを見てきたので、その模様をお届けしよう。

 大型のAAAタイトルからインディータイトルまで幅広く使われているゲームエンジンUnreal Engineだが、Unreal Engine 3をHTML5に移植した実験が紹介された。JavaScriptとWebGLでの動作になり、プラグインなどを必要とせずに実行可能で、ネイティブのアプリケーションに近いパフォーマンスを実現できるという。

そのほかZombie StudioやLukewarm Mediaがそれぞれ発表されたばかりの新作『Daylight』と『Primal Carnage: Genesis』とともに登場。前者は6人で6ヶ月で開発、後者は20人でUnreal Engine 4を使ったプレイステーション4タイトルとして開発中だそうで、優れた少数精鋭チームのクリエイティビティを最大限に引き出せるというメッセージになっていた。

 また、Unreal Engine 4の“Elemental Demo”を、プレイステーション4の開発機で生披露するというデモも披露された。これはUnreal Engine 4発表時のバージョンとプレイステーション4対応発表時の追加パートを合体させたフルバージョンのものとなっていた。

 Unreal Engine 4はPCとプレイステーション4をはじめとする次世代コンソールに注力したエンジンとなっており、その上でWeb対応や、モバイル対応なども予定。今年のプレゼンテーションではさまざまなツールや技術の紹介が行われた。

 まずはビジュアルスクリプト言語“Kismet”の強化版とでも言うべき存在“ブループリント”から。
 基本的にはスクリプトを繋いでプログラミング言語をいちいち書かなくてもイベント処理を構築したり、プレイ環境をコントロールできるというものだが、ブループリントでは、現在どういうスクリプトが実行されているのか、リアルタイムにゲームを実行しながら確認できるという機能がついている。今行った入力に対して、何が実行されて何が起こっているのか視覚的にチェックできるというのは、レベルデザイナーが試行錯誤する際に非常に役立ちそうだ。
 素材を集めたコンテンツブラウザーの紹介も行われ、ブラウザー上から素材のサムネイルの拡大・縮小・表示スタイルの切り替えを行ったり、エディタ上からサムネイルを撮影して反映するといった、こちらも使う人の考えた機能が披露されていた(例えばサムネイルを使用シーンで撮影しておくことで、「この素材なんだったっけ」なんてことがなくなるわけだ)。

 またアニメーションツールの“Persona”も、ブループリント的に何が実行されているのかがリアルタイムにわかるようになっていて、リアルタイムにわかりやすく変更したり、ブレンドしたりが可能。

 そして技術については、まず新たなデモ映像“Infiltrator”を見て頂くとしよう。

 個々の技術のデモも行われたのだが、まず面白かったのがパーティクルシステム。火花を例に、パーティクル自体がそれぞれライトを持っていて発光し、また床などの遮蔽物にぶつかって正しく流れたり反射したりしている様子が見られた。ちなみに、パーティクルの衝突についてはGPU側で処理しているとのこと。
 また、エディター上でオブジェクト配置を変えたのに応じてNavMesh(キャラクターが通れる場所を示す)が、リアルタイムに再計算され反映されるといったデモも。

 そのほか、物体を動かしても地面の高精細な映り込みがちゃんと反映されたり、ラフネスやマテリアルをリアルタイムに変更してガンガン質感を変えていったりといったデモ(ロボの金属感を鋼鉄っぽいのからアルミホイル風に変えたりしていた)も見られ、このあたりは専門家でなくともかなりおもしろかったのだが、画面がないと何がなにやらという人は大変スイマセン、撮影禁止だったもので……。

 ともあれ、次世代コンソールも間近に控え、さらなる開発費の増大なども懸念される昨今、映像などの質を上げるだけでなく、少人数制作にせよ、大規模チームにせよ、クリエイティビティを合理的に最大効率化するための仕組みがさまざまな部分に施されているというのは非常にわかりやすいメッセージだった。……ところで、『モータルコンバット』はUnreal Engine使ってたわけだし、スマートフォンとかHTML5でモーコンキャラクターにものすごいエフェクトつきの究極神拳を出せるやつとか、出ませんかね?