Webブラウザ版の実装は4月末を予定

Wii Uのネットワーク機能“Miiverse”開発者が語る「ゲームに特化したサービスでありたい」【GDC2013】_01

 2013年3月25日(北米時間)よりサンフランシスコでGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2013が開催中。3日目にMiiverseに関する講演が行われた。
 登壇したのは、Wii Uを代表する機能のひとつ“Miiverse”のプロデューサーを務める任天堂の水木潔氏。誰でも気軽に参加できるネットワークサービスとして知られるMiiverseだが、あくまでも「Wii Uのゲームをサポートする」ために開発されたものであることを強調する内容の講演となった。

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▲冒頭はMiiverseの機能紹介が中心となった。Wii Uでゲームを遊んでいるユーザーのMiiが集まり、ゲームに関するさまざまなコミュニケーションが図れる。
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▲実際にユーザー間で活用されている事例として『Zombi U』の掲示板を紹介。ゲームオーバー後、ユーザーが掲示板に投稿すると、ほかのユーザーが協力するという使い方がされているようだ。

 Miiverseを開発することになった経緯として、Miiverseの骨格となるコンセプトを聞いた岩田社長が「これは共感ネットワークですね」と感想を述べたエピソードを紹介した。いまにして思えば、このときがMiiverseのプロジェクトスタートだったとのこと。知り合いだけがつながるのではなく、ゲームを共通点に世界中のユーザーがつながることから、岩田社長は「共感」と表現したようだ。

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▲Miiverseはできるだけ言葉を使わなくても交流できるインターフェースを提供している。これはその一例として、世界中の『ゼルダ』ファンがイラストを投稿している模様。

 Miiverseの機能を紹介した後は、ゲーム開発者に向けてMiiverseをゲームに活用することでどのようなメリットがあるのかを説明した。たとえば掲示板について、1本のソフトにつき掲示板の数はひとつとは限られていないため、開発者が希望すれば目的別のコミュニティを形成させることが可能になっている。
 また、公式アカウントの機能を使うことで開発者が自ら掲示板に投稿して、直接ユーザーと交流が図れる。より強いつながりが生まれるだけでなく、公式アカウントには特別にYouTube動画を投稿できる機能が追加されており、開発者から積極的にゲームの楽しみ方を提案できることをアピールした。

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▲同じゲームを遊んでいるユーザーが集まるコミュニティが作られるので、自然と共通の話題が生まれ、つながりができることがMiiverseの強み。
▲Nintendo TVとMiiverseを連携すると、同じ番組を試聴するユーザー同士でも交流が生まれる。
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▲このほかにゲーム内からコメントや絵をMiiverseに投稿できる機能と活用例を紹介した。
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 さらにMiiverseへの投稿にはゲームのデータを一緒に送信して、ほかのユーザーがプレイ状況を確認したり、共有できる仕組みにも対応している。水木氏はこうした機能を活用して、新しいゲームの楽しみを実現するゲームが増えることを期待していると語った。
 ゲーム内にコミュニティを形成する新機能も紹介された。同じゲームをプレイしているユーザーだけが参加でき、マッチメイク機能も用意されている。これから発売される『Wii Fit U』が対応を予定しており、Miiverseを通じてユーザー同士が励まし合いながら、フィットネスが楽しめるという。

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 Miiverseの今後についても言及された。現在、MiiverseはWii Uのみ対応で、Webブラウザ版とニンテンドー3DS版は将来的に対応する予定が発表されていた。その時期について、Webブラウザ版は4月末を予定していると明かした(ニンテンドー3DS版は時期未定)。近いうちにPCやスマートフォン、タブレットなどの端末でもMiiverseが利用できるようになるが、最初は基本的な機能だけ実装される予定だという。

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 最後に水木氏は自身の持つMiiverseの理想像を語った。Miiverseを担当したことで、あらためてゲームの素晴らしさに気づいたという水木氏は「Miiverseはどこまでもゲームに特化したネットワークサービスでありたい。ソーシャルネットワークサービスになろうとはまったく思っていません。ゲームのために存在しているのがMiiverse」として、さらにゲームとの連携機能を強化していく方針を会場にいる開発者に印象づけた。