新たなPS4像が見えてきた

 2013年3月25日(北米時間)よりサンフランシスコでGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2013が開催中。3日目にプレイステーション4のテクノロジーに関する講演が行われた。
 今回の講演は、テクノロジーの面からPS4に何ができるのかを説明することがテーマになっている。登壇者はSCEA(ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ)のシニアスタッフエンジニア ・Chris Norden氏。はじめに「あくまでもコンテンツがPS4の中心にあり、コアゲーマーがおもな対象である」として、PS4がゲーム機であることを強調。そのうえで家族全員がアクセスできる、そしてあらゆるユーザーがつながることができるソーシャル性の強化をアピールした。今回発表された内容をピックアップして、項目別に紹介していく。

プレイステーション4は何ができるのか?開発者向けセッションでわかったこと【GDC2013】_02
プレイステーション4は何ができるのか?開発者向けセッションでわかったこと【GDC2013】_01

■PS4の5つのコンセプト
Simple:ゲームのレベルに関係なく誰もが楽しくて使いやすい。
Immediate:ストレスを感じることなく、シームレスにプレイできる。
Social:人気のソーシャルネットワークサービスと連携。プレイヤー同士がつながり、シェアが可能に。
Integrated:モバイルやPS Vitaなど好きなデバイスで楽しめる。
Personalized:ユーザーとユーザーとの関係性が強化されるものにする。

■ハードウェア
CPU:64bit x 86 アーキテクチャ、省電力、低発熱、8コア、8ハードウェアスレッド
GPU:DirectX 11.1にフィーチャー・セットとSCEのカスタムセットを含む。800MHz クロック。
 シェーダーにはHLSLに似たPSSLという独自の言語を使用。DirectX 11、OpenGL 4.0以上をサポート。
 テセレーション:ラフな形状を作って、スムーズにしたり角を残したりする技術。人間や地面の質感の特徴が出る。
 ローワーレベルAPI、ラッパーAPI、ソースコード、フルSDKサンプルなどを提供。
RAM:8GB 256bit GDDR5
 ユニファイドメモリーによりアクセスが容易。

 以上から、PS4は開発者にとって柔軟性があり、複雑なコードを書かずに、高いパフォーマンスを実現できるというのが氏の主張。また、開発環境はWindows 7(64bit)で動作し、Visual Studioに統合されており、一般的な環境で開発可能。
 開発者はハードのアーキテクチャー解析に苦労せず、高度なビジュアルエフェクトなども駆使して、クリエイティブ面に集中することができるというのがメリットだ。

■DUALSHOCK4
 PS4のコントローラ“DUALSHOCK4”では、Start/SelectボタンがOptionボタンに変更され、新たにShareボタンが追加。また、4つのボタン(○、△、×、□)はアナログからデジタルに変更される(理由はアナログ機能を使用されることがなかったから)。
 L2/R2ボタンはカーブ形状で、スムーズな入力を可能に。アナログスティックもデッドゾーンが少なくなった。
 ヘッドセット用のマイク端子を完備しており、32KHzのステレオ音質。高品質のスピーカーはPS4からストリーム音声を流している。
 タッチパッドの解像度は1920x900。正確な操作入力が可能で、2つ同時に使えるタッチポイントがある。ジェスチャー入力も可能。
 ライトバーはLEDライトになっており、プレイヤーの各スロットの色に点灯。システムがオン時はつねに点灯し、チャージ中は点滅する。ゲームの仕様に合わせて、カラーを変更できるので、マズルフラッシュやライフを表示するなどの応用が可能に。
 PlayStation4 Eyeと組み合わせて使うと、PS4 Eyeのカメラは4つのコントローラーを正確に追跡。どのコントローラーがどこにあるのかを認識できる。

■PlayStation4 Eye
・内蔵カメラは高感度デュアルカラー。解像度は1280x800、12 bits/pixel。ワイドアングル。対象が正面にいなくてもカバー可能。
・マイクはワイドベース4チャンネルのマイクアレイを内蔵し、ノイズをキャンセルできる。
・レイテンシーの低いローリングシャッターを搭載。また、フルオートまたはマニュアルコントロールに対応している。露出などを別々に設定可能で、3つのカメラで露出を変えて設置すれば、より美しい画像が撮影できる。
・時計が内臓されており、ゲームのフレームレートにぴったり合わせて調節ができる。
・頭部、腕、コントローラの位置を検知して、奥行きを感知することが可能。
・PS Moveとの互換性あり。マイクやヘッドセットによる音声を認識できる。

 カメラを利用することで、ゲームのウォークスルービデオやチュートリアルが簡単に作成できる。このほかユーザーがコンテンツを作成したり、ボイスチャット、ビデオチャット、ビデオメッセージに対応。ゲームプレイでは、レースゲームで身体を傾けてカーブを曲がったり、シューターで物陰から覗いたりする利用方法が可能に。また、スプリットスクリーン(分割画面)でプレイ中、プレイヤーが左右を交代してもコントローラを認識して、つねに正しい位置を表示する。また、ゲームのキャラクターがプレイヤーを見つめたり、マルチプレイでお互いを見ることも可能。音声を認識して、話している人の位置もわかる。

■フレンド機能
 全プレイヤーは2つのID、名前、オンラインID、アバターを所有し、何をどのような公開するかはプレイヤーが決められる。また、フレンド数の上限が増える。

■シェア機能
 ゲームプレイの最後の数分間はハードディスクに記録され、Shareボタンを押すとこのデータを編集して、ほかのユーザーとシェアすることができる。どのゲームでもスクリーンショットやビデオをシェア可能。タイトルやコメントも付けられる。

■ライブストリーミング機能
 ゲームプレイをライブストリーミング配信できるので、ユーザーは観客として見ることができる。リアルタイムでコメントすることができるので、会話が生まれる。もちろん誰でも参加可能。

■リモートプレイ機能
 PS4のコンテンツをPS Vitaにストリーミングして、両方同時に映像を見ることができる。これはいつでもスタートできて、使いやすい。Gaikaiのテクノロジーを活用している。

■PS App
 iOS、Android用にリリースされるオフィシャルアプリを使うと、デバイスでPS Storeやフレンドリストをブラウジング可能に。PS4と同じ部屋でセカンドスクリーンとして使用できる。なお、オフィシャルのほかにもデベロッパーが制作するアプリも予定。

■ダウンロードシステム
 PS4では分割された複数のデータをダウンロードすることにより、ダウンロードが完了するのを待たなくてもゲームをスタートできる。また、先述のアプリでPS Storeからゲームを購入すると、本体がダウンロードを開始する機能も。外出先で購入して、帰宅後すぐにゲームを遊ぶことが可能になる。