「『武装中学生』の世界観を自分なりに表現できたと思います」(カワイ)

『武装中学生 バスケットアーミー』の楽曲を手掛けたカワイヒデヒロ氏にインタビュー_01
【プロフィール】
『武装中学生 バスケットアーミー』では、叔父である川井憲次氏とともに、音楽制作に参加。さまざまなジャンルの作曲活動をする傍ら、ベーシストとしてバンド活動も積極的に行なっている。
【作品】
・劇場アニメ『009 RE:CYBORG』マナームービー&予告編
・テレビアニメ『ちはやふる』 綾瀬千早(CV:瀬戸麻沙美)キャラクターソング『full throttle』
・PS Vita用ソフト『みんなのGOLF 6』

 小説『武装中学生 バスケットアーミー』の世界を彩るショートアニメとオーディオドラマ。ショートアニメは計5本、オーディオドラマは“特別編”を含めて計36本が制作された。これらの作品の楽曲を手掛けるのが、川井憲次氏とカワイヒデヒロ氏のふたりである。
 今回、エンターブレインのオンラインショッピングサイト、ebtenの購入特典である『武装中学生 バスケットアーミー オリジナル・サウンドトラックCD』の制作を記念して、川井憲次氏の甥であり、気鋭の作曲家として注目を集めている、カワイヒデヒロ氏にインタビューを行った。

――『武装中学生 バスケットアーミー』での仕事を振り返って。

カワイヒデヒロ氏(以下、ヒデヒロ) およそ1年と2ヶ月、音楽制作という形で携わってきましたが、本当に楽しく取り組めました。『武装中学生 バスケットアーミー』の世界観と、登場人物それぞれのドラマを自分なりに表現できたのではないかと思います。そういえば、僕がオーディオドラマの作曲に携わっていることを知った周囲のバンド仲間や、僕のバンド活動しか知らない人たちには、『武装中学生』で制作した曲や、そういう仕事そのものが、とても新鮮だったようです。

――大変だったことは?

ヒデヒロ オーディオドラマについては、声、音楽、そして効果音で作品を成立させなければならないということもあり、音響監督からのオーダーは実に様々で難しい部分もありました。一方で、指定のシーンだけでなく、他のシーンでも使い回しできるような、汎用性のある曲を求められるので、注文に沿うよう気を使いました。

――作曲時、脚本の内容は意識した?

ヒデヒロ それほど意識はしませんでした。もちろん、事前に脚本は読ませていただきましたが、先ほどもお話したように、音響監督からは汎用性のある曲を求められましたので。それでも、自分としては納得できる曲を作ることができたと思います。

■音楽を意識したきっかけは、『クロノ・トリガー』と『beatmania

――ヒデヒロさんは、ゲーム音楽に大きな影響を受けたとか?

ヒデヒロ ジャズという音楽を意識させてくれたのは、小学校高学年の時に出会った、スーパーファミコンの『クロノ・トリガー』(スクウェア)だったんですよ。正確に言うと、『クロノ・トリガー』のアレンジアルバムCDですね。ゲームそのものはもちろん、BGMも大好きで、思わずCDを買ったんです。でも、それがオリジナル音源のものではなく、アレンジバージョンでして。その中に、ジャズ風のアレンジを施した曲があって、聴いた瞬間、「なんだこの音楽は!」と。当時は、この曲はどういう音楽・ジャンルなのか分からなかったのですが、後になってそれが「ジャズ」であることを知りました。ジャズをはじめ、様々なジャンルの音楽を意識させてくれたのは、『クロノ・トリガー』のアレンジアルバムのおかげかもしれません。

――小学生当時からゲーム音楽が好きだった?

ヒデヒロ ええ、プレイしていないゲームのサントラCDまで買っていたぐらいですから! ちなみに、音楽そのものに興味を持ったきっかけは、高校生のときに出会った、ゲームセンターの『beatmania』(コナミ)なんですよ。ゲームとして楽しめるのはもちろんなのですが、何より音楽が良かった。もちろん、CDは持っています。

――いまでも、ゲームとゲーム音楽が好き?

ヒデヒロ 今でもゲームのサントラCDを引っ張りだして聴いていますよ(笑)。ここ何年かで痺れたのは、『スーパーマリオギャラクシー』(任天堂)ですね。フルオケで聴くマリオは本当に圧巻で、サントラCDも(クラブニンテンドーの)ポイントを使ってすぐに申し込みました。

■サントラCD制作にあたって

――サントラCDについて

ヒデヒロ 今回、最終的に18曲を制作したのですが、その中から7曲をCDに収録させていただきました。オーディオドラマでは一部しか使われていませんが、CDにはフルバージョンが収録されていますので、ぜひ聴いてください。

――思い入れのある曲

ヒデヒロ どの曲にも思い入れはあるのですが、個人的に気に入っているのは「未送信メール」ですね。他の曲と比べても特徴的で、「虚ろ」な感じを込められたと思います。

――今後について

ヒデヒロ いまは「こういう音楽をやっていきたい」という方向を固めず、様々なジャンルに挑戦していきたいと思っています。バンド活動を続けながら、作曲家としてもアニメやゲーム、映画などに積極的にかかわっていきたいですね。

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