アメリカのマサチューセッツ州ボストンで、PAX Eastが今年も開幕。初日の模様をお届けする。
ペニー・アーケード・エクスポ、略してPAXは、ゲームネタのWebコミック“Penny Arcade”から生まれたゲーマー向けのイベント。年々規模を拡大して西海岸と東海岸で行われるようになり、うち東海岸で行われるのがPAX Eastだ。PAXにはゲーマーが数万単位で大挙して押し寄せ、レトロゲームからリリース前の最新作まで遊び倒し、マニアックなテーマのパネルディスカッションやゲームネタのライブまで楽しむ。基本的に流通業者&メディア向けのE3と違ってエネルギーに満ち溢れたPAXは、北米のゲーム業界で今一番ホットなイベントと言えるだろう。
クリフ・ブレジンスキーいわく「ゲーマーほど平和な人間もいないぜ?」
初日の基調講演は、『ギアーズ オブ ウォー』などで知られる、元エピック・ゲームズのゲームデザイナー、クリフ・ブレジンスキー氏が行った。テーマは同氏のゲーム人生。幼少期の経験に始まり、いじめられた記憶、ニンテンドー・ワールドチャンピオンシップに出た話、父親を亡くしたこと……自身の経験を、その折々のゲームに交えて振り返り、キャリア、友人、ゲームへの愛情、そして父が生きていれば誇りに思ってくれたであろうものをゲームがもたらしてくれたと語った。
ラストでは、スポーツ・イベントでの乱闘風景を紹介。「俺たちはこうして集まってるが、こういうことは起きないだろ?」と語る。もちろんスポーツが悪いとか言いたいわけじゃない。念頭にあるのは、昨今の銃乱射事件などで、ゲームが槍玉に挙げられたこと。「ゲーマーほどピースフルな人種はいないぜ」と語り、何か暴力的な事件が起こるとゲームが責められることに対して憤慨してもいいんじゃないかと述べると、大観衆から自然と拍手があがった。
ゲーマーが中心!
PAXはとにかくゲーマーが中心だ。
メーカーはとっておきの情報(サプライズ発表も含む)やプレゼントをしこたま用意して、ファンをもてなす。そこに序列はなく、ファンの側だって、大手メーカーの発売前の大作を無視してインディーゲームを遊んだり、レトロなアーケードゲームが集まったコーナーにこもったり、コスプレ姿のまま音楽ゲーム『ロックバンド』のステージに上がったり、とにかく好きなように遊ぶ。
楽しけりゃ歓声を、気に入らなかったらブーイングを。PAXは参加者全員が筋金入りのゲーマーで、会期中とにかくゲームを全力で遊び倒す、ゲームファンにとっての夢の様なイベントなのである。