渋谷ヒカリエにミクが降臨
2013年3月17日よりスタートした、東京・渋谷の渋谷ヒカリエで開催中の“メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京”は、世界の5大ファッション・ウィークに数えられる催し。このファッション・ウィーク 東京のイベントのひとつとして、2013年3月19日、“39LIVE 2013 Spring ~みくとのかいこう~”が行われた。
このイベントは、デジタル技術のスクール“デジタルハリウッド”が主催するもの。二部構成になっており、第一部では5人のキーマンによるトークセッションが、第二部では、2012年にデジタルハリウッドにて開講した“専科 初音ミク映像専攻”の学生の卒業成果発表が行われた。
■第一部 トークセッション“ファッションとテクノロジーの融合”
生駒芳子氏(ファッション・ジャーナリスト)、石川 涼氏(株式会社せーの 代表取締役)、猪子寿之氏(チームラボ代表)、北田能士氏(株式会社冬寂 代表取締役/初音ミク映像専攻 コースプロデューサー)、杉山知之氏(デジタルハリウッド学長)の5人によるトークセッションでは、“ファッションとテクノロジーの融合”をテーマに、さまざまな観点からの意見が述べられた。
ファッションの歴史と変遷を見続けてきた生駒氏は、ファッションにテクノロジーが活かされている例として、“3Dプリンタードレス”を紹介。iPadでデザインしたドレスを、3Dプリンターで出力し、実際に身に着けられる……そんな時代がすでに来ているのだ。これからも、テクノロジーの発展により、デザインや素材はいろいろな形で進化していくと思う、と生駒氏は語る。
また、服そのものだけではなく、アパレル店舗にも、さまざまなテクノロジーが導入されつつある。石川氏率いる“せーの”が展開するメンズファッションブランド“VANQUISH”では、昨年“初音ミク”とのコラボレーションを実施。イラストコミュニケーションサービス“pixiv”で見つけたイラストレーターに、VANQUISHの服を着たミクを描いてもらい、店舗内のモニターに、そのミクのイラストを表示するという試みを行った。
この試みを支える技術が、猪子氏率いるチームラボ率いる“チームラボハンガー”。服のかかったハンガーを手に取ると、ディスプレイに、その商品を着たミクの映像が流れるというものだ。
単に服を並べるだけでは、店舗はECサイトに勝てない。店舗をアミューズメント化し、お店に運んでもらうことが大切だ、と石川氏は考える。実際、ミクとのコラボレーションは大成功し、客層の開拓につながったという。猪子氏は、「テクノロジーがユーザーに力を与えた」と語り、pixivで絵師を探したように、これからはユーザーとともにおもしろいことをする流れになる、と述べた。
VANQUISHでミクがファッションモデルになったように、今後、ミクが新たなファッションアイコンになる可能性もある。生駒氏は「ミクが日本のケイト・モスになったらいいな」とコメント。これは、まったく非現実的な話というわけではない。いま、世界で活発なファッションストリートは、テクノロジーが生み出した“オンライン”というストリートであり、そこにミクは存在しているからだ。
■第二部 専科 初音ミク映像専攻 卒業成果発表会
第二部では、デジタルハリウッドの専科 初音ミク映像専攻の一期生が手掛ける映像と、エレクトロニックダンスミュージックを融合させたDJ/VJライブが開催。
専科 初音ミク映像専攻は、“その道で職を得る”ことを目標とするデジタルハリウッドの他専科とは違い、“すばらしいミクを作る”が第一の目標となっていた、とは杉山学長の談。受講生の中心は社会人だったという。作品の中には、ゲームエンジンのUnityを使用しているものも多いとのことだ。