ゴールデンボンバーのトークに会場も大爆笑

襟川恵子氏

 2013年3月18日(火)、東京・明治記念館において、社会法人デジタルメディア協会が主催する第18回AMDアワード授賞式が開催。大賞/総務大臣賞『おおかみこどもの雨と雪』を始め、各賞を受賞したクリエイターたちが表彰を受けた。 この賞は、社団法人デジタルメディア協会がデジタルメディア業界の発展を目指し、優秀なデジタルコンテンツ等の制作者を表彰するもの。登壇した社団法人デジタルメディア協会の理事長・襟川恵子氏は、「この賞に出席するためのイブニングドレスの量もすごいことになってきましたが、これからも政府の方々にもっともっとコンテンツの育成支援をお願いしていきたいと同時に、30周年を迎えた『信長の野望』のノミネートも目指していきます」と野心を覗かせながらコメントした。

 その後、第18回AMDアワード授賞式作品・人物が表彰された。受賞結果は、以下の通り。

細田守氏

■大賞/総務大臣賞
作品名:『おおかみこどもの雨と雪』
制作・関連会社など:『おおかみこどもの雨と雪』製作委員会/スタジオ地図
<大賞/総務大臣賞選考理由>
アニメーション映画として国民的に受容されるのはスタジオジブリの作品のみと長らく言われてきたなか、細田守監督による本作は、興行(興行収入42億2000万円)の面でもクオリティの点でも、ようやくその定説を覆し、新たなシーンと可能性を映画史に残したエポック的一本と言える。全編、絵の力が圧倒的な勢いで迫ってくる本作は、非現実的で荒唐無稽な表現も、リアルな光景として現出させ、自然の風景や家の中の細部など精密に描かれる部分と見事に融合。改めてアニメーションならではの描写力とシナリオの力を体感させる、強い記憶に残る一本であった。

<受賞コメント>
「並みいる優秀賞の作品の中で本作が選ばれるとは思っていませんでした。非常に光栄思いますし、身の引き締まる思いです。この作品を通して、アニメーションの未来がこれからどういう風に向かっていくのか、日本のみならず、世界の人の心に届くような作品を作るにはどうすればいいか、これからも考えていきたいと思います。そして世界の広さ、おもしろさを世界中の人と共有できるような作品が作れればいいなと思います」

萩野正昭氏

■AMD理事長賞
作品名:EPUB3
制作・関連会社など:IDPF(国際電子出版フォーラム)
<AMD理事長賞選考理由>
EPUBは米国の電子書籍標準化団体の国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum;IDPF)が普段促進している電子書籍用ファイル・フォーマット企画である。すでにウェブの世界で普及しているXHTMLをベースとしており、オープンかつコンテンツ制作者にとって扱いやすいことから、英語圏ではすでに標準規格となっている。EPUB3では各国の担当者により各国語対応サブセットの開発が進められ、日本においても縦書きやルビなど、日本語書籍の組版で必要となる基本的な機能がサポートされた。世界標準に、日本と台湾でしか使われていない縦組という仕様を盛り込んだのは奇跡とも言われている。EPUB3規格に日本語サブセットを搭載することで、世界中のEPUB3対応機器で日本語の電子出版物が利用可能になり、日本のコンテンツを世界に向けて販売することもより容易になった。電子出版市場を世界標準のプラットフォームに乗せた大きな功績を讃えたい。

<受賞コメント>
「皆さんが親しんできた紙の本と同じように、デジタルの本が残っていくために、我々も図書館などで生きて行ける土台を使っていかなければならないと思います」

佐藤毅彦氏

■功労賞
受賞者:国会国立図書館
1990年代という早期より、図書資料の保存のためにデジタル化に取り組み、蔵書検索システムを構築。所蔵する資料のほとんどをインターネットを通じて、世界のどこからでも検索可能とした世界のパイオニアである。明治・大賞・昭和前期に出版された資料をスキャニングした画像を提供する近代デジタルライブラリーなど、さまざまな電子図書館コンテンツも公開するなど、貴重な文化遺産のデジタル化に先陣を切ってとりくみ、大きな貢献を重ねている。

<受賞コメント>
「当館は、国立図書館として、出版物の収集と保存、利用提供を任務としております。この度、図書館資料のデジタル化および電子図書館事業の取組を評価いただき、大変光栄に存じます。引き続き、国民の皆さまに利用しやすい図書館サービスの充実に努めてまいりますので、よろしくお願い致します」

真鍋大度氏

■江並直美賞(新人賞)賞
受賞者:ライゾマティクス ディレクター・プログラマー・プランナー 真鍋 大度
アートと広告表現の両フィールドで斬新な作品を発表し続ける希有な才能。ジャンルやフィールドを問わず、プログラミングを駆使してさまざまなプロジェクトに参加。MIT Media Lab、Fabricaを始め、世界各国でワークショップなどの教育普及活動も行う。とくにテクノポップユニット Perfumeに関するPerfume Global Projectは、ネットの中で起こっているコンシューマによる創作を商業プロジェクトに接続したこの時代らしい表現となり、多くの人に支持されている。

<受賞コメント>
「思いがけず新人賞を賜りまして、驚くとともに身の引き締まる思いでおります。Perfumeさんのプロジェクトは非常に実験的な試みだったのですが、賛同・共同してくださった方々に皆様に感謝の意を表するとともに、今回の受賞を励みとしてより一層精進していきたいと思っています」

■リージョナル賞
受賞者:合志あぐっと!ねっと
制作・関連会社など:「合志あぐっと!村」運営協議会(熊本県)
熊本県合志市の地域住民みずからがICTを利活用した情報発信活動である。地域に根差した情報をSNS(ブログ、Facebook)、Web(Ustream)といったインターネットのほか、CATVや地元広報誌など多くの媒体を活用し、積極的に情報発信を行っている。そこの取り組みは、全国にある合志市と動揺の地域における、地域ブランドの構築とデジタルコンテンツによる情報発信の融合による地域コミュニティ活性化の参考となる取り組みである。

<受賞コメント>
「この度は、名誉あるAMDアワードリージョナル賞をいただき、まことにありがとうございます。住民ディレクターによる地域密着型の情報発信を行ってまいりましたが、今回の受賞を機に、活動に拍車がかかると思います。今後も地域が元気になる取り組みとして、精進してまいります」

“あぐねっと!村”運営協議会
平沢方秀氏

■年間コンテンツ賞“優秀賞”
作品名:EOS C300
制作・関連会社:キャノン
高感度性能を活かして、肉眼の暗さでも撮影でき、自然光と地明かりのみでも対応可能・また、長時間かけてセットを作り込まなくても、少ないライティングで、短時間で撮影可能。よって撮影日数が短縮され、経費軽減できることは予算という面でも映画制作において画期的なカメラであるといえる。

<受賞コメント>
「“EOS C300”は、映像の表現力の拡大、そして映像文化の発展の貢献のもと作られました。今回このような賞を受賞することができて、ひとつの目標を達成することができ、スタッフ一同とても喜んでおります。これからも撮影現場のニーズをしっかりと取り入れながら、デジタルならではの工夫を凝らした製品でデジタルメディア産業にしっかり貢献していきたいと思っております」

佐渡島傭平氏

作品名:宇宙兄弟プロジェクト
制作・関連会社:コルク・講談社モーニング編集部
マンガを核にしながら、テレビアニメ化や実写映画化へとマルチ展開し、twitterやfacebook、ソーシャルゲームなどソーシャルメディアを駆使し、ファンを巻き込むことに成功。『宇宙兄弟』という壮大な世界観をエンタテインメントに仕上げた才能と努力は、コンテンツビジネスに携わるものに勇気とやる気を届けた。

<受賞コメント>
「『宇宙兄弟』というすばらしい作品の力に突き動かされ、ひとりでも多くの方に届けたいという一新でプロジェクトを進めてまいりました。多くの方に読んでいただけただけではなく、このような章までいただけて、大変光栄に思っております」

橋田直樹氏

作品名:しゃべってコンシェル・しゃべってキャラ
制作・関連会社:NTTドコモ
日本語の認識精度が高く、回答も的確なものが多く実用的で、操作に慣れていないユーザーだけではなく、十分に使いこなせるだけのスキルを持ったユーザーにも有用なサービスと言える。ユーザーと会話をする機能も備えるなど、エージェントサービスの今後の進化に大きな影響を与える存在だ。

<受賞コメント>
「名誉ある賞をいただきありがとうございます。しゃべってコンシェルはこれからも利便性の向上を実施し、また今後も多くの魅力的なしゃべってキャラを提供することで、新たなコンテンツ市場の拡大とともに、お客様の“パーソナルライフエージェント”として成長していきます。今後もよろしくお願いします」

京極あや氏

作品名:『とびだせ どうぶつの森
制作・関連会社:任天堂
大人気シリーズの最新作が、発売わずか2か月で販売本数250万本+α(ネットストア販売分)を突破。世代、性別を問わずに広く愛される、根本のゲーム性を維持しながらもネットワークを利用した遊びとサービスを充実させるなど新規のチャレンジも行い、ユーザーから高評価を得ている。

<受賞コメント>
「本日はこのように栄誉ある賞をいただき大変光栄に思っております。家族や友達の間で共通のコミュニケーションツールになればいいなと思って開発しました。海外版の制作に取り組んでいるんですけれども、今後も世界中のお客様に笑顔になるコンテンツをお届けできるようにがんばりたいと思います」

齊藤陽介氏

作品名:『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
制作・関連会社:スクウェア・エニックス
伝統ある国民的RPG、大人気シリーズのナンバリングタイトルでありながら、初のオンラインRPG化、従来の成功法則、形式などに縛られずに時代に則したチャレンジを試み、発売3か月で有料プレイヤー40万人突破など、数字的な実績も築いている。伝統と革新、その困難な両立を称える。

<受賞コメント>
「伝統とオンラインという革新の両立が困難な中受賞を讃えるという言葉が非常にありがたいです。作り手側としてはなかなか困難さは発信できないので、その部分を評価していただけて非常にうれしく思います。『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』はまだまだ始まったばかり。これからもたくさんの“冒険者”の皆さまといっしょに、楽しい世界を作り続けてまいります」

山本大介氏

作品名:『パズル&ドラゴンズ
制作・関連会社:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
2月にリリースされて以降、口コミでアプリ市場トップセールスまで駆け上がり、年明け1月現在も、ほぼ1年間に渡ってトップに君臨し続けるスマホ業界の超ビッグタイトル。iPhone、Android版累計で600万DL以上を記録している。

<受賞コメント>
「『パズドラ』は人に恵まれたコンテンツで、あたたかいユーザーのみなさんはもちろん、同じゲーム業界の方々やメディアの方々に支えられてここまで大きくなることができました。お世話になったみなさまへの感謝の気持ちは忘れずに、10年後も同じように愛していただける作品になるようがんばっていきたいと思います」

佐藤夏生氏

作品名:メルセデス・ベンツ「NEXT A-CLASS」キャンペーン
制作・関連会社:博報堂/AOI Pro.Inc/Production I.G.,Inc.
広告会社、CM製作会社、そしてアニメーション会社という従来のアニメーション制作とは異なる座組み。そして公開から19日間で200万再生回数を達成。海外175か国からアクセスがあったという。さらに先行販売限定車200台も公開後、1か月以内に予約数を上回った。

<受賞コメント>
優秀賞をいただきありがとうございます。広告が、メッセージではなく、エンターテイメントとして、どこまで昇華できるのか。広告が、TV番組や映画、ゲームなど、すべての枠組みを外したときに選ばれるものなのか。6分という時間の中で、どこまで、人の気持ちを動かせるのか。どのくらい達成できたかはわかりませんが、そういう気概をもって作りました。アニメーションという日本の工芸で、世界を簡単させることができたら、かっこいいかなと。プロジェクトをいっしょに作り上げたメルセデス・ベンツ日本の皆さま、スタッフにも深く感謝したいと思います。

受賞者名:ゴールデンボンバー
制作・関連会社:ユーグリッド・エージェンシー
鬼龍院翔「この度は選んでいただきまことにありがとうございます。なぜ僕らみたいな宴会芸のような学園祭のような団体を選んでいただいたのか、デジタルコンテンツで何をすることができたのか、少々頭がよわいのでよくわかりませんが、何か褒めてくれたってことはわかりました(^-^)演奏してなかろうが、がむしゃらに活動してみてよかったです。パソコンばっかりやっててよかったなと思います。進んでみるもんですね、人生。本当にありがとうございます!」

ゴールデンボンバー
濱野保樹氏

 ゴールデンボンバーの登場では、鬼竜院翔が「入場のテンションを間違えた」というほどひょうきんなものとなったが、その後のトークでも、メンバーたちのマイペースなコメントに会場は大爆笑。「僕のお店をよろしくお願いします(歌広場淳)」「喜矢武豊をよろしくお願いします(喜矢武豊)」「僕のブログ本をお願いします(樽美酒研二)」と、各自チームワークがいいのか悪いのかよくわからない宣伝を残していった。

 授賞式の最後には、審査委員長の濱野保樹氏がコメント。「データコンテンツは襟川さんのドレスの数ほどたくさんありますが、これからも襟川さんの強い圧力にも屈しない、公正な審査を続けていきたいと思います。最近のヒットの流れはとても早いので、とらえ損なえないように尽力します。また来年も、我々を驚かす作品がここに集うことを期待しています」と式を締めくくった。