トライアングル・サービスの原点が詰まった1本

トライアングル・サービスの最新作、Xbox 360『シューティングラブ。10周年 ~XIIZEAL & ΔZEAL~』を発表&藤野社長ロングインタビュー!_01

 上のムービー“Xbox 360 ゲームラッシュ映像 2013年春”にて明らかとなった、Xbox 360用ソフト『シューティングラブ。10周年 ~XIIZEAL&ΔZEAL~』は、シューティングを中心に個性的なアーケードゲームを作り続けてきたトライアングル・サービスの最新作。同社が創設した2002年に登場した、トライアングル・サービスの原点ともいえる、『XIIZEAL(トゥエルブジール)』と『ΔZEAL(デルタジール)』の2本が同梱された2in1ソフトとなっている。2013年5月30日発売予定。
 また、同社としては初の試みとなる、数量限定のスペシャルパックも同時発売予定。初音源化となる2タイトルの全楽曲のほか、未使用のレア音源やコンポーザーによるライブ秘蔵映像も収録。月刊アルカディアで藤野社長が連載していた“知った気になれるゲーム講座”のPDFデータも収録されている。

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XIIZEAL(トゥエルブジール)
2002年にアーケードに登場した、縦画面シューティング。レバーを左右に激しく振ることで横方向に強力なサイドアタックを放てるほか、自機後方へのバックファイア、緊急回避に使えるボムバリアなどを使用可能。当時主流だった、弾幕系ゲームに対するアンチテーゼが込められている。全8ステージ。

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ΔZEAL(デルタジール)
2002年にアーケードに登場。ワイド、レーザー、誘導ミサイルの3種類のパワーアップを使い分けて進む王道シューティング。元セイブ開発で『ライデンファイターズ』のドット絵を描いた開発者による、メカ系ドット絵の妙味が味わえる。アーケード基板は耐久性に乏しく、稼動から10年経ったいまではベストな状態で遊べる基板がほぼ現存していない。プレイしたくてもかなわない、幻のゲームでもある。全9ステージ。

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藤野社長に聞く! シューティングとゲーセンへの想い

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▲トライアングル・サービス 代表取締役 藤野俊昭氏。

――突然の発表でびっくりしました。いつごろから作られていたのでしょうか。
藤野 去年の10月に、ちょうど弊社が創立10周年を迎えました。そのころは業務用の『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』(以下『ゲーセンラブ。』)の開発をやっていたんです。もともと僕はゲームセンターのゲームを作りたくて会社を始めたので、本来ならば『ゲーセンラブ。』が10周年タイトルになればよかったんですが、すでにロケテストや“AOU 2012 アミューズメント・エキスポ”にも出していて、いまさら「10周年でした!」というのもカッコがつかない(笑)。それで『デルタジール』はいままで1回も家庭用に移植していなかったし、僕たちが初めて作ったアーケードゲームでもあったので、原点回帰の10周年記念にちょうどいい。でも、1本だけでは寂しかったので『トゥエルブジール』も入れることにしたんです。『ゲーセンラブ。』が出たのが2012年9月で、その後ですから10月くらいから開発をはじめました。
――では、開発期間は半年弱といったところですか。
藤野 実際にはそこまで時間はかけていないですね。ほかの作業も並行していたので、年末年始は本当に忙しくて、以前開発会社にいたころを思い出してしみじみしました(笑)。発売予定日も延期したのですが、それは、家庭用・業務用合わせても初めてのことです。
――現在はもう完成しているんですよね。
藤野 仕様が全部入ったものがもうできています。あとはひたすらデバッグですね。
――今回は限定版も発売されるとのことですが、どんな特典がつくのでしょうか?
藤野 2タイトルの楽曲を収録したオーディオCDが付くのですが、CD-DAになっていて、データ領域も持たせています。そこにはまず、アルカディアさんで2年半ほど連載していた“知った気になれるゲーム講座”というコーナーをすべて収めたPDFが入っています。
――2年半ぶんですか! 読みごたえがありそうですね。
藤野 ざっと読み返してみたところ、1時間以上かかりました。初めて読んだ方ならもっとかかると思います。それともうひとつ、昨年の11月にトライアングル・サービスの10周年記念ということで、新潟のゲームセンターと共同で開催したライブ(“新潟事変”)の映像が入っています。『トライジール』や『コンバットジール』のBGMには歌モノがあるんですが、それをライブで歌ったりしてすごく盛り上がりました。こちらもぜひ見てほしいですね。

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▲スコアアタックも楽しめる。

――では改めて、収録された『デルタジール』と『トゥエルブジール』について教えてください。
藤野 『デルタジール』は、『雷電』のようなショットとボムの王道を目指して作ったシューティングです。実際に、セイブ開発で『ライデンファイターズ』のドット絵を描いていたスタッフが描いたので、見た目も似ています。ですが、当時は起業したばかりで、王道と言いながら変わったこともやろうとしたんですね。
――どんなことですか?
藤野 ショットはワイド、レーザー、ミサイルがあって、時間で色が変わる武器アイテムで集めていくんですが、10個までストックできるんです。全部同じ色で染めればすごく強くなるし、3つの武装をバランスよく集めれば3つの攻撃が出る。10個の内訳を決められるんですよ。新しく取ると、いちばん前に取ったアイテムが追い出されていく形ですね。
――なるほど、下に細かいゲージがありますね。
藤野 あとは敵を破壊するとばら撒かれる粒子を集めると、ボムとは別にタメ撃ちでブラックホール弾を撃つことができます。爆風で敵弾を消すことができて、勲章に変わります。でも、このタメ撃ちを使いこなしている人は見たことないですけどね(笑)。正しくは、『デルタジール』がちゃんと動いてるのを見たことがない。たまに稼動してても、基板が壊れているんですよ。
――え? いいんですか、それで?
藤野 いや、よくないですよ(笑)。もともと枚数も少なかったし、基板の耐久性に問題があって、完璧に動いているのは見たことがない。
――なるほど、ある意味幻のゲームですね。『トゥエルブジール』は?
藤野 『デルタジール』の開発終盤には、すでに『トゥエルブジール』を作り始めていました。『トゥエルブジール』も王道シューティングとして作っていたんですが、同じようなものを作ってもしようがない。そこでデザインし直したんですね。当時は『式神の城』や『怒首領蜂大往生』が流行っていた時期で、“弾幕系”が主流になりつつありました。僕としては、ずっと避け続けるのはあまり好きではなくて、逆に攻め続けるシューティングとして『トゥエルブジール』を作りました。いちばんの特徴は、レバーを左右に激しく振ると真横に強力な攻撃を出せることです。そのショットで敵を倒すと倍率がかかります。ボムも『デルタジール』のブラックホール弾を拡張したもので、一定エリアにバリアを張って、その中にいると自機が無敵になる。爆風の中に入ってレバーをガチャガチャやれば、あっという間に敵を倒せてスコアも稼げます。ただ、ふつうのシューティングのつもりで正面ショットだけで遊ぶと、やたら敵が硬い(笑)。
――そのシステムを活用することが前提だったんですね。
藤野 はい。当時はそれでいいと思ったんですけどね。今回はそんな極端な2本が同時に入っているので、それはそれでおもしろいかなと。
――『デルタジール』でブラックホール弾を使いこなす人がついに出て来そうですね。
藤野 そうですね(笑)。Xbox 360なのでリーダーボードもありますし、リプレイのアップロードやとダウンロードもできます。ゲームセンターと同じ遊びかたのほかに、クリアーしたステージが個別にアンロックされていって、1ステージ単位のスコアアタックができます。

――今年に入ってから、Xbox 360のシューティングゲームが増えています。あえてこのタイミングでシューティングを出そうと思ったきっかけは?
藤野 他社さんはわからないですが、うちは先ほどもいったように10周年という節目だったことが理由のひとつです。最初のタイトル名は『シューティングラブ。2002』だったんですが、営業的にウケが悪くて、「むかしのゲームみたいだ」とダメ出しされました。「いや、昔のゲームだからいいじゃん(笑)」って思いましたけど。
――今回の発表から、反響は届いていますか?
藤野 メールが何通か来ました。でも、「前に出たサントラが手に入りにくくいのでください」とか、「社長の近況が知りたいので、Twitterを始めてください」とか、友だちみたいな距離感のものが多いです(笑)。親しみを持たれているのはありがたいんですけどね。
――トライアングル・サービスの今後の展望などは?
藤野 家庭用と業務用を両方やっていますが、家庭用は世代交代とともに流通がいままでとは大きく変わってきます。簡単に言うと、パッケージがなくなってダウンロード販売が中心になる。でも それはすごくツライというのが本音です。ダウンロード販売の場合、開発が終わって納品してもすぐにはお金にならず、長期的に少しずつ回収していきます。業務用もいままでは基板やロムを10数万で販売していたので、初回で数百枚も出れば、それで十分見通しが立ちました。それがいまの“ALL.Net P-ras MULTI”(セガの業務用ゲームシステム)だと課金収入です。1回100円でプレイしてもらって、そのうち何十円かをセガさんとうちで分ける形です。だから、遊ばれないとお金にならないし、何ヵ月もかけて回収していくことになるんです。体力のあるときならともかく、いまはそうではないので、ちょっと頭を抱えています。
――作って売っても、すぐにお金が入らないのはきびしいですね。
藤野 いままでのような収入を見込むとなれば、数タイトルを同時に動かさないとダメですね。それはさすがに無理ですが、近々の予定として業務用と家庭用を合わせて4本ほど企画があります。業務用の『ゲーセンラブ。』やこのソフトの売れ行きによって、どれを優先すべきかは変わってきます。ただ、同じ条件ならやはりいちばん思い入れのあるゲームセンターが最優先にはなります。
――これからも応援しています。では最後に、ファンへメッセージをお願いします。
藤野 3月14日に“ALL.Net P-ras MULTI”がバージョン2になりました。いままではゲームセンター側が入れるゲームを選んでいたのですが、今回からお客さんが選択できるようになりました。全国いろいろなところにある基板なので、ぜひ『ゲーセンラブ。』で遊んでいただきたいですね。4つのゲームが入っているんですが、とくに『ペンゴ!』がオススメです。オリジナルを知っている人もそうでない人も、友だちを誘って遊んでみてください。もちろん、Xbox 360ユーザーの方は、『シューティングラブ。10周年 ~XIIZEAL & ΔZEAL~』のほうもよろしくお願いします。

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シューティングラブ。10周年 ~XIIZEAL&ΔZEAL~
メーカー トライアングル・サービス
対応機種 X360Xbox 360
発売日 2013年5月30日発売予定
価格 6090円[税込]
ジャンル シューティング
備考 スペシャルパック:8190円[税込]