海外産の本格2D格闘ゲームとして話題沸騰中の『スカルガールズ』日本版が、サイバーフロントよりリリースされた(日本版はPS3版のみ)。“2D格闘ゲーム”と聞くと居ても立ってもいられない、月刊アルカディアや週刊ファミ通などで活躍中のライター・浅葉たいがが溢れんばかりの魅力をリポートする!
食わず嫌いはもったいない!格闘ゲーマーのハートを震わす作品だ
“あの『スカルガールズ』が日本語化&配信決定!”とのニュースを目にして以来、気になって仕方がなかった本作。先日(2013年2月14日)、無事にリリースされたということで、さっそくダウンロードしましたよ! 6ボタン形式の操作システム、さらに1~3人のチームを組んで戦える……とか聞いてしまうと、ゲームセンターっ子の僕としてはわくわくしてしまうのです。だって、“6ボタン”という単語だけでも、攻撃発生に優れた弱攻撃、威力の高い強攻撃、じゃあ中攻撃はどんな技なの……!?って、いろいろ想像できるじゃないですか!
本作を遊び始めて最初に驚いたのは、親切に丁寧に作り込まれたチュートリアルモード。ちょっとは2D格闘ゲームを遊んだことがあるプレイヤーなら、このモードだけで本作の基本となる駆け引きや連続技の仕組みを理解できるはず。
基本的には、キャラクター固有の動きを活かして相手に接近し、見切られにくいガードの揺さぶりから連続技を仕掛ける、というのが本作のセオリー。2人チームであれば、パートナーのアシストを存分に活かして、より多彩な戦術を組み立てられるという仕組みになっているようです。
ただし、チュートリアルモードが親切になっているとはいえ、本作はあくまでも本格的な格闘ゲームなので、まったく向上意欲なしに簡単に勝てるような甘いものではない。駆け引きも連続技もこだわるほどに伸びしろがあり、ひじょうに奥深い。1キャラクターをある程度使いこなせるようになるのにも、かなりの時間を要します。僕自身、この記事のために、結構いろいろなキャラクターを試してみましたが、対戦で満足に動かせるのはまだ1キャラクターだけです。
ちなみに僕が使っているのは、見た目で選んだパラソール。本作のキャラクタービジュアルを並べて見たときに、「このゲームでは日本の萌えは通用しない」と悟ったので、もっとも人間っぽいこのキャラクターを選びました。見た目がほかのキャラクターほど奇抜ではないので、操作もそれほど複雑ではないだろう……と思っていたら! この作品のキャラクターはひとりひとりが奥深いやりこみ要素を備えているので、気づけば一時間以上もトレーニングモードにのめりこんでしまいました。
格闘ゲーマー(腕前はともかく)を自称する僕としては、本作のやりこみ要素の深さが心地良い。格闘ゲームにハマって以来、商業作品として発売される格闘ゲームのほとんどを遊んできたわけですが、そのうち半分以上の作品がやりこみ要素を感じさせてくれないものばかりでした。タイミングよくパンチを繰り出すだけで試合終了まで連続技が終わらないゲーム、ひとつの技を出し続けるだけで相手を詰ませてしまうゲーム……そうそう信じてもらえないような作品が、このご時世にもまだまだ存在するんです。
そんななか、キャラクターの性能差や相性差といった格闘ゲームで避けて通れない要素はあるものの、どのキャラクターにもやりこみ要素が用意されている本作は、格闘ゲーマー心をくすぐる良作です。たとえば、連続技について。相手を空中に打ち上げて、空中連続技のつなぎを工夫して先に着地してから、さらに追撃をかける……という流れが本作の連続技を伸ばすコツなんですが、キャラクターごとにちょっと違った工夫が要求されるのが心憎いところです。
そして、連続技と並んで本作の醍醐味となっているのが、多彩なガードの揺さぶり。本作は、投げからも連続技を決められる状況が多いうえに、投げ抜けのタイミングがシビア。打撃と投げを使い分けるだけで、強力な攻めを組み立てることができます。しかも、固有のしゃがみガード不能技を持つキャラクターも多いため、攻めの見返りと爽快感が極めて高いゲームになっています。
2人チームの場合だと、パートナーの攻撃で攻めの起点を作って、ガードを揺さぶったり、パートナーの攻撃を間に挟んで、攻めの密度を高めたり、と1人で戦っているとき以上にさまざまなバリエーションの攻めを組み立てられます。連続技や連携を考えたり、練習したりするのが好きなプレイヤーには、とくにオススメしたい作品になっています。
ネットワーク機能を使った対戦も、メジャーな格闘ゲームに負けないくらい快適に遊べるように設計されているところも好印象。休憩するタイミングを見失うほど対戦がはかどります。
とにかく! ほんのちょっと遊んだだけでも、応援したくなってしまうほどクリエイターの本気が感じられる作品です。現在、“クラウドファンディング”により開発費を募って、一定額に到達したら、新キャラクターやステージを実装するという試みも行われています(2013年3月14日の時点で新キャラクター“スクィグリー”の追加、ステージとストーリーモードの配信が決定。さらに初の男性キャラクター“ビッグバンド”の追加も決定している)。受付開始からわずか9時間で10万ドルの資金が集まったそうですが、この作品のクオリティーを知れば納得。格闘ゲームファンに自信を持ってオススメできる本作、ぜひ一度遊んでほしいのです。そして僕と対戦しましょう!
■著者紹介 浅葉たいが
インテリアデザイン会社所属のゲームライター。ロールプレイングゲーム、2D対戦格闘ゲーム、美少女ゲームが好物で、『ファントムブレイカー 公式コンプリートガイド』(エンターブレイン刊)執筆。月刊アルカディアや週刊ファミ通などで活動しています!