ゲームオンの新作PCタイトル『ArcheAge(アーキエイジ)』の開発者に、その魅力を聞く!

 日本国内でのサービス開始が待たれるゲームオンのMMORPG『ArcheAge(アーキエイジ)』。『リネージュ』の生みの親としれ知られるJake Song(ソン・ジェギョン)氏が率いる、韓国XLGAMES社が手掛ける本作の魅力や今後の展望とは? ファミ通コネクト!オン4月号(2月27日発売)に掲載された、インタビューの完全版をお届けする。

ついに日本上陸! MMORPGの王道をゆく『ArcheAge(アーキエイジ)』開発者インタビュー完全版_01
写真右:Jake Song(ソン・ジェギョン)氏
韓国XLGAMES社CEO。MMORPGというジャンルを確立した立役者。

写真左:Ahn, Sung Jun(アン・ソンジュン)氏
『ArcheAge』プロデューサー。開発全般を統括するキーマン。

――まず『ArcheAge』の特徴や魅力を教えてください。
Jake氏(以下、)王道を突き詰めたゲームであることです。基本的に持つべき要素である、レイド戦や攻城戦などをすべて備えたうえで、生産といった生活型コンテンツを取り入れ、それぞれがサブコンテンツとして別々に存在するのではなく、すべてが有機的に混ざりあって、結びついていることが大きな特徴です。
Ahn氏(以下、) 人々が生活することができる、もうひとつの世界であるということです。

――非常に自由度が高いゲームであると言われています。その特徴がもっとも感じ取れるのは、どの部分でしょうか。
 最初に職業を選択するところから、非常に自由度が高いです。戦士は戦士、魔法使いは魔法使い、というように決まっているわけではなく、10個の能力から3つを選択し、その組み合わせでキャラクターの特徴が決まるシステムになっています。その組み合わせだけでもすごく多いですし、自分が選んだ3つの能力を、いつでも変更できて、べつの能力を育てていくことも可能です。費用はかかってしまいますが(笑)。

 家を建てて、畑を作ることができますが、特定の場所だけに家を建てられるのではなく、自由にどこにでも建てることができます、フィールドの空き地であれば、自分が住みたいと思える場所に家を建てることができるというわけです。
 また、フィールドも広いうえに、遠くにあるよく見えない場所も、実際に存在し、行くことができます。誰も知らない、やって来ない場所だろうと思っていても、畑から作物を奪われたりと、思いも寄らないことが起こりますので、そういったことも含めて、ゲーム全体が非常に自由であると言えると思います。「この場所には家を建てられないだろう」と思っていたところにも、あるユーザーが家を建てていたこともあって、「すごいなあ」と関心したこともあります(笑)。

――どこに家が建てられたのでしょうか。
 平地に空中庭園のようにそびえ立つ、細く高い地形の上です。そこに家を建てるには、木材や石材などを運ばないといけないのですが、基本的には、正攻法では上れないはずの場所なのです。しかし、そのユーザーは友だちにも助けてもらい何時間もかけて材料をそこに集めて、家を建てました。サーバーは全部で25あるのですが、そのなかでひとりだけが達成したのです。それを知ったほかのユーザーから、掲示板などに問い合わせが殺到してしまったので、我々のほうで、そこに上れるようにオブジェクトを設置したことがあります。そのユーザーには、賞賛に値する偉業と考え、家を建てた場所にプレゼントを設置しました(笑)。

――ちなみに、家を建てるメリットは?
 直接的なメリットとしては、生産をするうえで作業台が必要になるのですが、それを設置することができます。町にも共用の作業台があって、最初はそれ事足りますが、高ランクのものを生産する場合は、それに適した作業台を用意する必要があります。その作業台は、自分の家や庭にしか設置できないというわけです。もちろん、友だちを招いて、社交的な場所とすることができますよ。

●敵対勢力との争いがさまざまなコンテンツに影響

――Jakeさんは、どのようなスタイルで本作を遊ばれているのでしょうか。
'ジ 生産をメインに楽しんでいます。畑に種をまいて、それを収穫して、その産物を遠くの国まで運んで利益を出す、つまり貿易ですね。''
 それに関連するクエストも用意されているので、自然になじむことができると思います。ちょっとした畑がもらえるクエストがあって、もっと大きな畑をもらうために、貿易にチャレンジするクエストがあります。バナナを15個を集めて、海を渡ってほかの大陸に行って売るというクエストです。

――途中には危険もあるのでしょうか。
 私が最初にチャレンジしたときには、海を渡る途中でクラゲに刺され、荷物をなくして失敗してしまいました(笑)。つぎの日に再チャレンジしたときは、クラゲを避けることはできたのですが、目的地が敵対している大陸にあるので、「ほかのプレイヤーに見つかったら、また品物を失ってしまうかもしれない」と緊張しながら陸地を進んだ記憶があります。ここ最近、感じたことのないエキサイティングな経験でしたね(笑)。
 そのクエストを達成したことを、私は1日のうちに4回も聞かされました(笑)。
 あまりにも興奮して、目的地の直前でスクリーンショットを撮りました。光景も非常にキレイでしたし。そのスクリーンショットをフェイスブックにアップロードしたら、「え? そんな小さな船で行けたの?」とレスがつきました。本来は、もっと大きな船で安全に行くべきクエストだったようです(笑)。

――ひとつのクエストに対して、いろいろな解決方法があるということですね。工夫しだいでは、人とは違う方法でもクリアーすることができると。
 そのとおりです。クエストを達成する方法はいろいろあって、たとえば貿易ならば、大きな船に間借りして移動することもできますし、友だちに助けてもらって、船でいっしょに進んでいく方法もあります。パーティーを組んでいけば、敵対勢力の大陸を進むにしても、心強いですよね。あるユーザーは、泳いで海を渡ってクエストを達成したそうです。

――泳いでもクリアーできる!?
 オススメはできませんが(笑)。また、代金をもらってユーザーを船で運ぶ商売をしているユーザーもいます。ただ、海の真ん中まで行ったところで、心変わりして荷物を奪って……というようなケースもしばしばあるようです。

――そういった要素、いわゆるPKを毛嫌いしている日本のゲームファンは多いです。そういった行為に対して、襲われたほうがゲームがイヤにならない工夫、もしくは襲った側へのデメリットなどはあるのでしょうか。
 『ArcheAge』には、西大陸と東大陸があって、お互いが敵対勢力となっています。この敵対勢力どうしで戦ったり、ドロボウしたり、ということに関しては、ペナルティーはありません。ただし、同じ勢力の味方どうしで戦ったり、犯罪行為が行われた場合は、血の跡が残ったり、足跡が残ります。それを発見したユーザーは、”告発”することができ、犯罪に関するポイントが蓄積されるんです。そのポイントが一定以上になると、裁判所に呼び出され裁判が行われます。

――そこで罪が裁かれるわけですか。
 裁判では、一般のプレイヤーが陪審員として配置され、被告と原告のユーザーは、意見を言うことができるようになっています。ペナルティーの内容は、何時間か監獄に閉じ込められて、そのあいだはプレイできない、といったものです。この時間や有罪、無罪はシステム的に決まっているわけではなく、お互いの主張を聞いて、陪審員が決定します。たとえば、襲われたユーザーが先に悪いことをしていた場合、その主張が正しいと認められれば、無罪になる可能性もあります。

――本格的な裁判なんですね。
 裁判もひとつのコンテンツとして楽しんでいただいていますが、PKに関しては、日本では非常にデリケートな問題であると認識しています。ゲーム全体のバランスが崩れない範囲で、日本のゲームファンにも楽しく遊んでいただけるような、さまざまな調整を施すこともつねに検討し続けています。

●リアリティーを追求した攻城戦と海上戦

――MMORPGといえば、大規模な戦闘やストーリーにも注目が集まります。本作では、どのような新しい体験ができるのか、お聞かせください。
 ほかのMMORPGと比べて、明確に差別化されているのは攻城戦です。これから実装されるのですが、よりリアリティーのある攻城戦になると思います。
 このゲームでは、城は最初からあるわけではなく、ユーザー自身が築くものになっています。その周辺に家が建てられていって、ひとつの町が形成されていくイメージなのですが、それをまるごと奪い合うような攻城戦を想定しています。場所が固定され、システム化された攻城戦ではなく、自然発生的に領地を奪い合う戦闘です。すでに城を建て始めているユーザーもいますね。重い税金を課しているみたいで、その領地に住んでいるユーザーからは、文句を言われているようです(笑)。
 海上戦は貿易に関わることで発生することが多いようです。こちらの勢力の貿易路を確保したり、相手の貿易を邪魔したりといったようなことです。大砲で相手の船を沈めるといったこともできますし、貿易船を守るための護衛船を用意することもできます。また、レイドモンスターとして、海上戦ではクラーケンといった巨大なモンスターが出現することもあります。非常に狩りにくいモンスターなのですが、ユーザーどうしが艦隊を作り上げて、協力して狩りにいくことができます。

――町そのものがユーザーの手によって形成されていくというのは、これまでにない体験ですね。ストーリーに関してはいかがでしょうか。
 韓国や中国で小説を発売している著名な作家さんにストーリーラインの制作をお願いしました。ストーリーに関しても、ほかのゲームとは違う体験ができると思います。

――ほかに注目してほしいコンテンツや機能があれば、教えていただけますか。
 インスタンスダンジョンもありますし、”探検”も特徴的だと思います。これは隠された遺跡や宝などを発見していくというコンテンツです。宝の座標だけ記されているような簡素な地図を入手できることがあり、その宝を探し出すためには、ほかに道具が必要になります。その道具を手に入れたうえで、その座標にたどり着けるような移動手段を見つけ出す必要もあります。

――韓国のプレイヤーが、いまいちばん熱中しているコンテンツは?
 コンテンツが多いゲームですので、どれがいちばんかと言われると困ってしまいますが(笑)。最近、評判がいいのが、ゲーム内で正午になると、さまざまアイテムと交換できる”名誉ポイント”を入手できるモンスターが出現するコンテンツですね。正午になるとワールドチャットで盛んにパーティー募集が行われています。

 生産や貿易を楽しんでいるユーザーは多いです。激しい戦いをしなくても、お金を集められたり、レベルアップもできますので、まったりと楽しんでいるユーザーさんも多いですね。また、これとは正反対になるのかもしれませんが、生産や貿易をメインとしているユーザーから略奪することを生業としている勢力もいます。自分が略奪されたら悲しいことですけど、逆にその集団を撃退するため、ユーザーどうしが協力する、という流れもできつつあるようです。

――では最後に……バナナ貿易のクエストはレベルいくつから楽しめますか?
 レベル10になると生産クエストが始めることができて、すぐに挑むことができます。
――まずは、そのクエストを楽しみにゲームを進めてみようかと思います(笑)。
 楽しみにしてください(笑)。

ついに日本上陸! MMORPGの王道をゆく『ArcheAge(アーキエイジ)』開発者インタビュー完全版_02
▲攻城戦を彷彿とさせるワンシーンだが、はたして実際はどんな感じになるのだろうか?