待ちに待った発売日が発表に

『ロストプラネット3』発売は6月27日に決定! 開発者に直撃インタビュー_02
大黒健二氏(左)
アンドリュー・サマンスキー氏(右)

 カプコンの人気TPSシリーズ『ロストプラネット』。その最新作『ロストプラネット3』発売日が2013年6月27日に決定した。そこでファミ通.comでは、プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏、ディレクターの大黒健二氏へのインタビューを実施。改めて、本作のコンセプトや魅力を聞いた。

――いよいよ発売日と価格が発表となりました。まずは本作の発売を待ち望んでいたファンへのメッセージをお願いします。
アンドリュー・サマンスキー氏(以下、アンドリュー) 大変長らくお待たせ致しました。当初の予定よりも制作に時間が掛かってしまいましたが、僕たちとしてもやはり久々の新作、内容的にもチャレンジングなものになっているので、よりよい状態で皆様にお届けしようということでこの発売日(2013年6月27日)となりました。併せて、情報の公開もだいぶブランクが空いてしまいましたが、今後はどんどん出してきますので、期待してくださってる方も、『ロストプラネット3』の存在を初めて知ったという方も楽しみにしていてください。
大黒健二氏(以下、大黒) 期待して待ってくださっていた皆さんは『ロストプラネット』の極寒の世界に対するイメージを持っていらっしゃる方も多いと思いますが、そんな皆さんの想像以上の世界に仕上がっていると思います。発売は暖かい時期になってしまいましたが(笑)、もう少しお待ちいただければと。

――当初のアナウンスより発売日が延びましたが、これはやはりクオリティアップのためでしょうか? それとも何かトラブルがあったのでしょうか?
アンドリュー トラブルがあったというわけではないのですが、当初の目標(2013年初頭)よりも開発に時間が掛かってしまいました。そしてそのことを何度もアバウトな時期で更新してアナウンスするよりも、キッチリと「この日に発売します」とご報告できる状態で公開したいと思い、今回のタイミングでの発表となりました。
大黒 作り手というのは完成の目標時期に近付くと、いろいろと諦めたり纏めていかないといけないものなのですが……悪い癖といいますか(笑)。やはり目指したクオリティに仕上げたい、最高の状態で皆様にお届けしたいという気持ちが強く、現場のほうがワガママを通してもらったという形です。
アンドリュー 入れようと考えていたもので、まったく手つかずのものであれば畳んで纏めていくということも簡単なのですが、今回は風呂敷を広げた上にさらにもういろいろなものが乗っかっているという状態だったので(笑)。時間をかけてでも、この形で仕上げていこうと。

――その甲斐があった、というものに仕上がっていると期待してもよろしでしょうか?
アンドリュー はい。まず、とにかくボリュームがあります。単純にプレイ時間で見ても、要素の数で見ても、一般的なシューターよりもかなり多いですね。
大黒 個人的にはもう少しコンパクトでもいいかな、と思うくらいですね(笑)。

――では、改めまして本作のコンセプトについてお聞かせください。
アンドリュー 大きな柱としては”原点回帰”というキーワードを掲げています。その意味として、ひとつは極寒の世界に戻ろうということがあります。舞台となるEDN-3rdは、1作目が極寒の世界で、2作目では温暖化していました。物語の時系列といった設定を決める前に、まずこれがありました。そうして、ではどうやって戻るかということを考えたときに、EDN-3rdの過去を描くということを考えました。これであれば、例えばネベック対雪賊の情勢など、シリーズにすでに存在している設定で語れることが多い。物語を整理する意味でも、またそこから新しい種を蒔けるという点でも、いいのではないかと。
大黒 ”原点回帰”という言葉には、1作目を作っていた時の、草案としての「こういうものを作りたいな」と思っていたことを実現したい、という意味もあります。最初は、もっと厳しい極寒の世界、またEDN-3rdという惑星自体を体感してもらえるようなものを作りたいと考えていました。ですが当時、草案の段階ではまだプレイステーション2の時代でしたが、技術的なことやハードの制約などもあり難しかった。プロトタイプとして本当にだだっ広い雪原を作っていたこともあったのですが、「これどう纏めるの?」という状態で(笑)。そういったことが、いまならできるだろうということでチャレンジしています。じつは”過去”という設定はこの点でもマッチしていて、”技術もまだ進歩してない過去であれば極寒の地はもっと厳しかっただろう”と自然に思えますよね? ほかにも、武器やバイタルスーツはもっと前時代的なものだろう、といったようにどんどんとアイデアが出てきた。

――原点回帰というコンセプトから過去という理想的な設定に繋がったんですね。
アンドリュー そうですね。いい企画というのは、いろいろな要素がしっくり紐づいてくれるもの。作る側にもプレイヤーにも違和感なくハマる。それが今回は過去という設定で1本筋が通ったということですね。

――ストーリー的な面でお聞きしたいことがひとつ。昨今、いわゆる三部作という形で3作目で完結を迎えるという作品が多いですが、『ロストプラネット3』はそういう位置づけになるのでしょうか?
大黒 纏めようと思えばできなくはないですが、本作に関してはそういうイメージもないですし、そういう物語でもないですね。もちろん1作目、2作目とキチンと繋がるものにはなっていますが、完結するわけではないです。
アンドリュー 大黒が言うように、3つの作品を繋げるという面は強く意識しています。これは、もちろん『1』『2』と遊んでいただいた方に向けて、そして『3』から初めて遊ぶ方が次に『1』『2』と遊べるように、という考えからです。どちらの場合も、驚きやニヤリとする部分があると思います。

『ロストプラネット3』発売は6月27日に決定! 開発者に直撃インタビュー_01

――では次に、ゲームのメインとなるTPS部分のコンセプトについて聞かせてください。
アンドリュー 今回TPS部分で気を付けたのは、誰にでもわかりやすい作りにすること。ですので、操作系もいわゆる一般的なシューターに合わせています。ゲームを楽しんでいただくことが目的であって、操作を覚えてもらうことが目的ではないですからね(笑)。触って、すぐプレイできるのがベストです。

――触り心地もシューターのトレンドに近くなっているのでしょうか?
アンドリュー そうですね、これまでのアクションシューターという感触以上にシューター寄りになっていますね。また、ひとつひとつのアクションも、より直感的にできるようになっています。

――『ロストプラネット』シリーズといえば、アンカーを飛ばしてのワイヤーアクションというイメージがありますが、これも大きく変わっているのですか?
大黒 ワイヤーアクションに関しては、開拓黎明期の厳しい世界でアンカーを刺してピョンピョン進んで行けてしまうのも、それはすこし”軽い”なということで、若干制限を加えています。とはいえ、それによってテンポが悪くなったり爽快感が失われたりしてはいけないので、キチンと調整しています。バランスのいい落とし所になっていると思いますよ。制作の初期には、それこそ捕鯨船の銛のような形でよっこいしょとセットして、バシュッっとアンカーを撃って「ようし、進めるようになったぞ」なんてこともやっていたのですが、苦労感は出るけどさすがにこれはないよねと(笑)。
アンドリュー 設定との調和という面では、エネルギー系の武器も最初からは使えないようになっています。軍隊ではないですし、地球から開拓者として来ているのですから、当然持ってきているのは実弾系の武器だろうということですね。最初のうちはそういった無理のない形でアナログ感を演出して、コンセプトを強調しています。

――特徴的な部分ですと、バイタルスーツに変わるユーティリテイ・リグが登場します。
大黒 はい、こちらは新しい操作体系や操作感を実現できていると思いますので、新しさやシューター部分とのメリハリという意味でも楽しんで頂ければと。

――ユーティリテイ・リグの強化要素はありますか?
アンドリュー 機能の追加・拡張という要素はありますね。強化については主人公のジムもユーティリテイ・リグも、メインミッションを進めることでパワーアップしていく部分とサブミッションの報酬や貯めたお金でパワーアップしていくという部分があります。

――強化していくと最終的にバイタルスーツに近くなるなんてことは……?
アンドリュー さすがにそこまではないですね(笑)。ですが、ユーティリテイ・リグはバイタルスーツではない、ということはストーリー上大きな意味を持っています。これ以上はお話できませんので、そこは見てのお楽しみということで(笑)。

――わかりました(笑)。では次に、より厳しい極寒の世界が舞台ということで、天候の変化などがプレイに影響を及ぼすといった要素はありますか?
大黒 これについては、大きな影響があるという形ではなく、演出などでプレイヤーに伝わるようなものになっています。これも先ほどのアンカーの話と同じで、やりすぎるとプレイを制限することになってしまうという判断で、あくまで表現として強調するというところに留めています。
アンドリュー 当初は、吹雪のときに外に出ると死んでいましたけどね(笑)。

――そういう構想もあったんですね(笑)。
アンドリュー あったのですが、やはりゲームにはゲームの文法というものがあって、設定から来る厳しさの表現を出すために、それを侵すか? と考えるとストレスのほうが大きいよねと。ゲームとして不条理にならないようにバランスをとった結果、いまの形になっています。
大黒 作り手がやりたいことや見せたいことはもちろんありますし大事ですが、それがプレイヤーに対して「こういうものですからそれでやってください」という押しつけになってはいけませんからね。

――ちなみに、キャンペーンモードのプレイ時間はどのくらいを想定していますか?
アンドリュー 寄り道をまったくしないとすると、12時間~14時間。サブミッションや収集などフルコンプを目指すと20時間以上ですね。

――最近のシューターですと8時間~10時間というものが多いですから、かなりのボリュームですね。
大黒 そこは、ゲームデザインが若干違うんですね。最近のシューターは、基本的にずっと銃を撃ち続けてジェットコースターのように進んでいくものが多いですよね。『ロストプラネット3』では、もちろん銃を撃って進んでいくシーンもありますが、ユーティリテイ・リグに乗る場面もありますし、フィールドを探索することもあります。単に敵が変わる、レベルデザインが変わるという変化だけではなく、やることとシチュエーションを変えることでメリハリを付けています。そういった部分も含めてのボリュームですね。

――さて、キャンペーンモードと並んで気になるのがオンラインのマルチプレイモードです。昨年の東京ゲームショウでは5対5の対戦が体験できましたが、これまであまり多くの情報が出ていません。このタイミングでなにかお話いただけることはありますか?
アンドリュー マルチプレイに関しましては、申し訳ありません、今後継続的かつ厚く情報を公開していく予定ですので、もう少しだけお待ちください。現在はキャンペーンモードを前面に押し出していますが、もちろんマルチプレイを楽しみにしていらっしゃる方が多いことは承知していますし、オマケのように考えているということはまったくありません。キッチリと作っているところです。キャンペーンモードとは違う複数のマップ、ゲームモードを用意して、ただ撃ち合うだけではない、さまざまなプレイ体験をお届けする予定です。

――わかりました。楽しみにお待ちしています。少し気の早い話ですが、DLCの展開予定はありますか?
アンドリュー 現在お話できるものはありませんが、考えてはいます。発売が近くなってきたときに、改めてアナウンスできればと思っています。

――体験版はいかがでしょう?
アンドリュー これも検討中です。
大黒 個人的には、『1』のときに、体験版で『ロスト プラネット』の名前を知ってくださったという方も多かったので、ぜひお届けしたいです。

――では最後に、読者にメッセージをお願いします。
大黒 これぞ『ロストプラネット』、という物のそれ以上に、今回は仕上がっていますので、極寒の世界を楽しみに、期待してお待ちください。
アンドリュー 『ロストプラネット3』では”シネマティック”というキーワードもテーマとしています。『1』と『2』に繋がる物語を描いていますが、その演出や表現手法にもぜひ注目してください。これから新たな情報もどんどん出していきますので、楽しみにお待ちください。