バカンスが一転、地獄になってしまった!

 ユービーアイソフトから、プレイステーション3・Xbox 360用ソフト『ファークライ3』が、2013年3月7日に発売された。本作はサバイバルをテーマにしたオープンワールドのファーストパーソンアドベンチャーで、銃撃戦のみならずアドベンチャー要素も取り入れていることが特長だ。
 まずはストーリーから紹介。本作の舞台は、南国の孤島“ルークアイランド”。兄弟や友だちとバカンスに来ていた“ジェイソン”だが、島にはびこる犯罪集団に捕らわれてしまう。なんとか脱出できたはいいが、ほかの仲間は捕まったまま。現地の人々の力を借りながら、仲間の救出を目指す……という物語だ。ちなみに本作はシリーズの3作目にあたるが、前2作との関係はまったくないため、シリーズ未経験者でも問題なく楽しめる。

海賊と動物、どっちもハンティング! 狂気のサバイバル体験、『ファークライ3』プレイインプレッション_01
海賊と動物、どっちもハンティング! 狂気のサバイバル体験、『ファークライ3』プレイインプレッション_02
▲仲間とスカイダイビングやバーベキューを楽しむ“ジェイソン”。この幸せは長くは続かなかった……。
▲仲間たちは全員、身代金目的で犯罪集団に捕らわれてしまう。右のイッちゃってるヤツが、犯罪者のボスである“バース”。

君よ、サバイバルを通じて強くなるのだ

 文頭でも述べたように、本作はオープンワールド。プレイヤーは自由に“ルークアイランド”を探索し、メインクエストを進めたり、島内をうろつく犯罪集団と戦ったり、野生動物とたわむれることができる。

海賊と動物、どっちもハンティング! 狂気のサバイバル体験、『ファークライ3』プレイインプレッション_03
海賊と動物、どっちもハンティング! 狂気のサバイバル体験、『ファークライ3』プレイインプレッション_04
▲美しい自然が生い茂るルークアイランド。ただし天国ではなく、探索中に犯罪集団と鉢合わせすることも。
▲島には野生動物も豊富。カメラで覗いたり銃口でしばらく狙うと、マーキングできる。追跡するときに便利。

 個人的にいちばん楽しく感じたのは強化要素だ。主人公にはレベルが存在し、クエストをクリアーしたり、敵を倒すことで経験値を稼げる。レベルアップするとポイントを入手し、スキルを覚えていく仕組みだ。
 スキルは種類が多く、体力が増加するもの、しゃがみ状態での移動速度が向上するものなど内容も多彩。注目したいのは、新しいアクションを覚えられるスキルだ。たとえば“ナイフスローダウン”というスキルを取得すると、敵を近接攻撃で倒したとき、正面にいるもうひとりの敵にもナイフを投げられる。アクションが非常にかっこよく、また2体の敵を同時に倒せるというゲーム的なメリットもあり、バトルがさらに楽しくなるのだ。

海賊と動物、どっちもハンティング! 狂気のサバイバル体験、『ファークライ3』プレイインプレッション_05
海賊と動物、どっちもハンティング! 狂気のサバイバル体験、『ファークライ3』プレイインプレッション_06
▲スキルはツリー形式で3系統に分類される。下位から取得していく必要があり、一部はミッションを進めたり特定の条件を満たすことで取得可能になる。
▲敵を背後からナイフキルし、敵のナイフを奪ってさらに前方の敵へと投げる! こんなスタイリッシュなアクションも楽しめるのだ。

 また、主人公のバックパックや財布、弾薬ポーチといった装備も強化できる。こちらはレベルとは関係なく、“ルークアイランド”にいる動物を倒して皮を入手し、それを材料にして加工する。初期状態の装備はかなり貧弱で、とにかく弾薬やアイテムを持てないため、効果をハッキリ体感できるのがうれしい。当然バトルも有利になるため、こちらも戦闘の魅力を底上げするのに役立っている要素だ。
 動物を倒すハンティング自体もおもしろい。装備の強化に必要な素材は、装備と強化段階によって異なる。最初はイノシシやブタなど入手しやすい皮が要求され、徐々にヒクイドリやトラといった猛獣の皮が必要になってくるのだ。対象の生物がどこに住んでいるか足で調べ回り、発見したら逃げられないうちに仕留める。相手が猛獣の場合は反撃してくるため、倒すのも命がけ。動物たちとの死闘を思う存分に楽しめるのだ。

海賊と動物、どっちもハンティング! 狂気のサバイバル体験、『ファークライ3』プレイインプレッション_07
海賊と動物、どっちもハンティング! 狂気のサバイバル体験、『ファークライ3』プレイインプレッション_08
▲動物を倒すと、その死体から皮を剥ぎ取ることができる。装備を強化するときに使用するのだ。
▲一部の強化は、クエストで出現する野生動物の皮が必要になる。

基地を開放して島に平和を取り戻せ!

 “ルークアイランド”という広大な舞台で、犯罪集団との陣取り合戦(正確には主人公が一方的に解放していく)を楽しめるのも魅力。ゲーム開始直後は地図が明らかになっておらず、各地にある電波塔のスクランブラーを無効化すると、その周囲の地理が判明する仕組み。少しずつ孤島の詳細が明らかになっていくという、開拓者気分を味わえるのだ。マップには重要拠点のほかに、生息している動物のアイコンも記載されており、お目当てである動物の生息地を発見したときはかなり嬉しい。
 また、各地には犯罪集団の基地が点在しており、基地の敵をすべて倒すと解放できる。以降は味方の基地となり、マップ画面からファストトラベルすることも可能になる。基地はそれぞれレイアウトが異なり、また一度も見つからずに全滅させるとボーナス経験値を入手できるため、基地ごとに新鮮な気分でステルスバトルを楽しめるのだ。もちろん正面から戦ってもいいし、基地に捕らわれている猛獣を解放して襲わせる、なんて変わった戦いかたも行える。また開放した基地の周囲では犯罪集団が出現しなくなる、新たなサブクエストが解禁される、などのメリットもあるのだ。

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▲マップは電波塔のスクランブラーを無効化すると徐々に明らかになる。赤い部分は犯罪集団の勢力を表している。
▲基地には動物が捕らわれたケージがあることも。銃で扉を破壊すれば動物が逃げ出し、犯罪集団に襲いかかるという寸法だ。

レースからスコアアタックまでバラエティ豊かなミニゲーム

 ミニゲームや収集要素も存在し、メインストーリーや探索以外にも楽しめる要素が多数用意されている。ここでは、そのうちいくつかを紹介していこう。

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▲各地に点在する赤い石から始められるミニゲーム。これは制限時間内にどれだけ敵をひき殺せるかを競うもの。

 ラクヤットトライアルは、制限時間内に敵を倒してスコアを競うミニゲーム。ジャングルで戦うものや、クルマに乗って敵をひき殺すものなど、数種類の内容が存在している。敵の倒しかたによってスコアが変わるため、ハイスコアを狙うと熱中してしまうミニゲームだ。バトルを思う存分に楽しめるのもいい。

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▲自然そのままのコースでワイルドなレースが楽しめる補給物資クエスト。クリアーすると報酬が得られる。

 補給物資クエストは、制限時間内に補給物資を詰んだ車両を目的地まで運ぶ、いわゆるレースゲームだ。問題なのはそのコース。ルークアイランドの土地をそのまま走るため、オフロードどころか山脈をそのまま駆け抜けるという、ワイルドなドライブを楽しめるのだ。

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▲バードハンティングが楽しめるショットガンチャレンジ。どのタイミングでリロードするかがカギ。

 ショットガンチャレンジは、飛んでいる鳥をショットガンで撃ち落とすスポーツハンティングゲーム。リロード時間が長いため、いかに一発で複数の鳥を仕留められるかが勝負の決め手。規定数以上を打ち落とせば掛け金が増えて戻ってくる。

 収集要素は、レリックに手紙、メモリーカードと3種類存在。それぞれ一定数集めるごとにスペシャルウェポンが解禁されていく。通常のゲームであれば集めるのはタイヘンだが、本作では地図を購入すると存在する場所がマップに表示されるため、意外と楽にコンプリートできるのはありがたい。

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▲収集アイテムは多いが、地図を購入すれば場所がマップに表示される。収集状況を調べることも可能だ。

マルチプレイのボリュームも膨大すぎる!

 ここからはマルチプレイについて紹介しよう。本作のマルチプレイは完全に独立しており、マルチプレイ専用のレベルやスキルが存在する。プレイを重ねて経験値を稼ぎ、レベルを上げれば、新たなスキルや武器がアンロックされていく。
 対戦モードは、チームデスマッチ、ドミネーション、ファイアストーム、トランスミッションという4つのルールが存在する。いずれもチーム戦で、全員が敵というモードは存在しない。昨今のFPSでは定番といえるルールのため、FPSファンならすぐに楽しめることだろう。
 協力プレイはミッション形式になっており、シングルプレイの半年前が舞台。とある男女4人が犯罪集団に復讐していくという内容で、最大4人で楽しめる。プレイ時間が30分~1時間ほどのミッションが6つ用意されており、ボリュームも申しぶんなし。武器のカスタマイズやスキルもシングルプレイとは大幅に異なっているため、新鮮な気持ちで楽しめること請け合いだ。

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▲マルチプレイは独立した別モード。レベルが上がれば、武器やスキルがアンロックされ、戦いの幅がどんどん広がっていく。
▲協力プレイは最大4人でプレイ可能。倒れた仲間を救出するなど、共闘ならではの要素も。とりあえずなんでも爆破して解決するのが笑える。

 散りばめられた要素は非常に多いが、大変よくまとまっており、オープンワールドFPSにおけるひとつの完成形といっても申し分ない完成度。FPSファンはもちろん、サバイバルが好きなゲーマーも十分に楽しめるだろう。ボリュームも多い、というかありすぎるため、マルチプレイを楽しめるのであればかなりの長時間遊べることだろう。シングルプレイのストーリーも怒濤の展開を迎えるので、ぜひとも最後までプレイして、ジェイソンが歩んだ波瀾万丈の道を体験していただきたい。

■著者紹介:喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。ファミ通.comの『ファークライ3』特設ページでもプレイレポートを掲載しているので、そちらもぜひチェックしてね!


ファークライ3
メーカー ユービーアイソフト
対応機種 PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360
発売日 2013年3月7日発売
価格 7770円[税込]
ジャンル ファーストパーソンアドベンチャー
備考 ※18歳以上のみ対象