シューター向けXbox 360用スティック“リアルアーケードPro.AX S+G”はこんなにスゴい!
周辺機器メーカーのホリは現在、シューティングゲームのプレイヤーに向けた、Xbox 360用アーケードスティック“リアルアーケードPro.AX S+G”のプレオーダーを実施中。2013年2月20日の18時までにプレオーダー数が規定の数以上に達した場合、この商品が実際に販売されるのだ。今回は、この製品の企画担当である“HORI_A”こと浅葉氏が、ファミ通.com編集部を訪問してくれたということで、ででお、豊泉三兄弟(次男)、北口徒歩2分というアーケードゲーム好きの3人が、このスティックについてアレコレ聞いちゃいました!
シューティングの筐体を完全再現
北口徒歩2分(以下、北口) そもそも、なぜシューター向けのアーケードスティックを作ろうと思ったんですか?
“HORI_A”浅葉氏(以下、HORI_A) 格闘ゲーマーに向けたスティックは、弊社でもたくさんの種類を用意しているのですが、シューティングに特化した、と言い切れるものはあったかな?という状態だったんです。アーケードゲームのファンの中にはシューターの方もたくさんいらっしゃいますし、そういった方に向けて作ってみるのもおもしろいんじゃないかと思いまして、『怒首領蜂』シリーズで知られるケイブの浅田プロデューサーにも形状などをご相談させていただき、今回のプレオーダー品が形になりました。
豊泉三兄弟(次男)(以下、豊泉) なるほど。やっぱり、スティックを作る前には、シューティングで使われている筐体を見て回ったりしたんですか?
HORI_A そうですね。全国のゲームセンターを回って、使っているレバーやボタンを調べました。
ででお 具体的に、シューティングに特化している部分っていうのはどこなんですか?
HORI_A 筐体をどっしりと安定するものにしつつ、レバーやボタンは“シューティング向け”と呼ばれるものを採用しています。レバーは、セイミツ工業の“LS-32-01”という、多くのシューティングゲームの筐体に入っているモデルです。
北口 その前に、ちょっと聞いていいですか? よく、格闘ゲームは三和電子(サンワ)のレバー、シューティングはセイミツ工業のレバーって言いますけど、具体的にふたつのスティックはどこが違うんでしょう。
ででお レバーのユニットを裏側から見ればわかるよ。
豊泉 さすがゲーセンバイト経験者(笑)。
HORI_A では、ちょっと中を開けてみましょうか。
ででお セイミツのレバーは、この青いプラスチックのガイドを付け替えることで、4方向や2方向しか入力できないように設定できるんだよ。
豊泉 あー、ここでやるんだ。『テトリス』とか『ぷよぷよ』とかは4方向になってることが多いよね。
HORI_A セイミツのユニットは、レバーの上下左右についた板でレバースイッチの入力を押す仕組みになっていて、ガイドに沿っていくことで、それぞれの方向の入力が比較的入りやすい構造になっています。格闘ゲームによく使われているサンワのレバーの、直接スイッチを押す構造とはちょっと違うんです。この違いが、サンワのレバーの場合、斜めを経由せずに下から直接右に行ってしまう、というようなことにつながっている場合もあります。
豊泉 北口君、いつも“真空波動拳”が斜めが入ってなくて出せないって言ってるから、セイミツのレバー使ったほうがいいんじゃないの?(笑)
北口 それは確かにちょっと試してみたい。
HORI_A 『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』(※1:)や『スーパーストリートファイターIIX』(※2)などのタイトルは、“きっちり斜めに入れなければ必殺技が出ない”というシステムなので、そういう方に支持されているのでしょうね。
※1:1999年リリースの対戦格闘ゲーム。攻撃が当たる直前にレバーを入力することでその攻撃を無効化する“ブロッキング”が特徴。
※2:1994年リリースの対戦格闘ゲーム。高威力の“スーパーコンボ”が追加された。
北口 ふむふむ。じゃあ、格闘ゲームもセイミツのレバーのほうがいいんじゃ?
HORI_A 一概にはそうとはならないようです。サンワのレバーは操作感が軽めなので、前→前のような、レバーの戻りが要求される入力がやりやすいと言われていますし、近年の格闘ゲーム、例えば『ギルティギア』(※3)や『ブレイブルー』(※4)が稼動している筐体はそもそもサンワのレバーが入っている前提ですから、プレイヤーの手がサンワになじんでいる、という実情もあります。また、セイミツのレバーは構造が複雑なので、自力でメンテナンスできる方はなかなかいらっしゃらないとも聞きます。ですから、レバーが酷使されるゲームセンターの環境では、手入れしやすいサンワさんのレバーのほうが普及しているのかもしれません。
※3:アークシステムワークスがリリースする2D格闘ゲームのシリーズ。『ギルティギア イグゼクス アクセントコア プラスR』が稼動中。
※4:アークシステムワークスがリリースする、もうひとつの2D格闘ゲームシリーズ。最新作は『ブレイブルー クロノファンタズマ』。
ででお セイミツのレバーは、ガイドの部分が磨り減りやすいんだよね。サンワのレバーは頑丈だから、そうでもないんだけど。
豊泉 シューティングゲーマー的には、セイミツのレバーはどこがいいの?
ででお やっぱり、斜めとかがきちっと入るところじゃないかな。左右の動きだけだと弾を避け切れないこともあるし。
豊泉 さすがででおさん。『Gダライアス』のハイスコア全国一(笑)。
ででお 何年前の話だよ!
北口 10年以上前でしょ(笑)。
HORI_A シューティングゲームはドット単位で機体の調整が必要で、少しズレただけでミスしてしまうこともあります。そういった細かい操作をちょこちょこやるのは、セイミツのレバーのほうが得意なんですよ。
豊泉 でも、ハイスコアを狙うときは、やっぱりこういうスティックをちゃんと使ってるお店に行くの?
ででお そうだね。メンテナンスは重要だよ。最後の最後でボタンが効かなくなったりしたら困るし。
HORI_A シューティングは突き詰めると1回のプレイ時間が長くなりますし、操作ミスで自機を落としてしまうと、そのプレイ中での挽回は不可能とも言われていますからね。
ででお このスティック、ボタンのほうはどうなっているですか?
HORI_A ボタンは、サンワの“OBSF-30RG”という製品を使っています。これですね。
※写真は開発中のもののため、OBSF-30RGは4つのみとなっています。製品版ではすべてOBSF-30RGが使用されます。
HORI_A “OBSF-30RG”は、通常のボタンに比べて耐久度が高いんですよ。
ででお シューティングは格闘ゲームよりも、ボタンを押している時間が長いから、耐久度は重要ですよね。
HORI_A とくに、昔のシューティングゲームは、ボタン押しっぱなしのオート連射機能がなくて、みんな自力で連打をしていました。そうするとボタンの摩耗も激しかったので、耐久力の高いものが好まれたんです。昔は、セイミツさんにも高耐久のボタンがあったんですが、それはもう製造停止になってしまったので、いまは高耐久のボタンというと、“OBSF-30RG”ほぼ一択なんです。筐体によっては、“OBSF-30”というボタンが使われている場合もありますが、今回は耐久度の高い“OBSF-30RG”のほうを選びました。
北口 なんでこのボタンは耐久力が高いんですか?
HORI_A “リードスイッチ”という構造のおかげで、中の接点が磨耗しにくいという特性があります。また、ストロークが"OBSF-30"よりもわずかに長いので、それも高い耐久力に繋がっています。
北口 へぇー、なるほど。
HORI_A 最近のシューティングゲームだと、オート連射が基本設定になっていることが多かったり、押しっぱなしでレーザーが出たりという仕様が多いのですが、一方でスコアを稼ぐために、いわゆるタップ打ちのようなことをやる場合があります。そうしたときに、ボタンのストロークが短いと、ボタンに触れただけでショットやボムを誤射してしまうようなことがあるんですね。シューティングの場合、それだけで攻略のパターンが崩れることがあるので、ストロークが長めなのは、誤操作を防ぐことにも役立ちますね。
ででお 『バトルガレッガ』(※5)とか、自分の撃った弾が画面外に逃げていった数によって難度が上がったりするんだよ。だから、誤操作するとパターンが崩れちゃう。
※5:1996年リリースの縦スクロールシューティング。プレイ内容によって、プレイ中に難度が変わるのが特徴
北口 ちなみに、このスティックのボタンは“A配列”だそうですが、A配列というのはどういう意味なんですか?
豊泉 AってアストロのAですよね? シューティングゲームでよく使われている、アストロシティ(かつてセガが販売し、多数流通していたアーケード筐体)のボタン配置ってことでしょ?
HORI_A そうです。最近はアストロシティの後継であるブラストシティが一般的なので、B配列と言うべきなのですが、BよりはAのほうが名前のイメージがいいので(笑)。
北口 さっき、『ストIII 3rd』や『スパIIX』はセイミツのレバーを使うっていう話が出てましたけど、これらのタイトルってブラストシティ筐体に入っていますよね。ってことは、この手の格闘ゲームを遊ぶ人にも向いていそうですよね。
HORI_A 1990年代~2000年代前半にゲームセンターに置かれていた筐体は、セイミツのレバーを使っていることが多かったですし、当時バリバリとプレイされていた方にはしっくり来ると思いますよ。
豊泉 近々『ヴァンパイア リザレクション』(※6)とかも出るし、いいかもしれませんね。
※6:プレイステーション3とXbox 360で2013年3月14日に発売される対戦格闘ゲーム。『ヴァンパイアハンター』と『ヴァンパイアセイヴァー』の2作品を収録。
女性デザイナーがデザインした角形模様の天板
北口 “リアルアーケードPro.AX S+G”の名前の由来ってなんなんですか?
HORI_A サンワ+セイミツという意味ですね。弊社の商品の場合、サンワさんのモデルは“SA”、セイミツさんのモデルは“SE”という名前をつけていたのですが、今回は両社のパーツを使っているので、どうしようかなと。ボタンのRGからGのひと文字を取りつつ、サンワとセイミツのパーツということで、最初は“SSG”にしようかなとも思ったのですが、それだと今井麻美さんのラジオ(※7)になっちゃうじゃないですか(笑)。
※7:ファミ通.comで配信中の『今井麻美のSinger Song Gamer』のこと。
ででお 確かに(笑)。
HORI_A それもあったので、S+Gという名前にしました。遠目からうっすらとS+Gの文字を見ると、“STG”に見えなくもないので、それもいいかなと。
北口 天板もカッコいいですが、このデザインコンセプトは?
HORI_A シューティングゲームのデザインって、三角形、五角形、六角形に円を組み合わせたものが多いんです。そこを主軸にしました。古くから言えば『スペースインベーダー』(※8)や『ギャラクシアン』(※9)などは、ドットだからこそ必ず角があるデザインでしたし、2000年代以降のシューティングも、角数の多いモニュメントのデザインものが多くて。たとえば、『怒首領蜂最大往生』(※10)や『ダライアスバースト』(※11)などはそうですよね。
※8:社会現象を巻き起こしたシューティングゲーム。“名古屋撃ち”など数々のテクニックも生まれた。
※9:『スペースインベーダー』以後に大人気を博したシューティングゲーム。
※10:2012年リリースの縦スクロールシューティング。膨大な数の敵弾を避ける“弾幕系”シューティングの代表格『怒首領蜂』シリーズ最新作で、Xbox 360版が2013年5月30日に発売予定。
※11:2009年リリースの横スクロールシューティング。名作『ダライアス』の流れを汲むタイトルで、現在は『ダライアスバースト アナザークロニクル』が稼動中。
ででお 『ダライアスバースト』のステージ選択画面、確かに角形のデザインでしたね。
HORI_A そうしたところをリスペクトしつつですね。また、僕が思い入れのある『ゼビウス』のアンドアジェネシス(※12)以来、“シューティングは角形”みたいなイメージが個人的にありまして。そういった僕のワガママを、シューティングをまったく知らない弊社のデザイナーの女の子に、資料を渡しつつイメージを伝えたら、うまく上がったという感じです。いままでの弊社のモデルは、わりと曲線を使ったものが多かったので、そういった意味でもうまく差別化が図れたと思います。
※12:往年の名作シューティングゲーム『ゼビウス』に登場する、八角形の機動要塞。『ゼビウス』を象徴する敵のひとつ。
北口 色もカッコいいですよね。さわやかで見栄えがします。
豊泉 『ダライアス』の魚のウロコのイメージでした(笑)。
HORI_A やっぱり、シューターの方ってそういった角形になじみがあると思うんですよね。上がってきたデザインには他の形もあったのですが、デザイナー的にも六角形のパターンがいちばんしっくりきたようです。ですので、シューターでない方にも「これがシューティングなのかー」というくらいで、違和感なくお使いいただけるようなパターンだと思いますよ。
北口 僕もぜひ使ってみたいです! 最後になりますが、読者へのメッセージをお願いします。
HORI_A リアルアーケードPro.AX S+Gは、長年のシューティングゲームとアーケードゲームをリスペクトした製品です。皆様といっしょにシューティングを盛り上げていければと思いますので、ぜひプレオーダーを申し込んでいただければと思います!
■製品概要
製品名リアルアーケードPro.AX S+G
販売価格17800円[税込]
対応機種Xbox 360
発売日2013年5月30日発売予定
※本製品は『HORISTORE.com』プレオーダー期間内に規定の数量が集まった場合に製造可否を決定いたします。
<仕様>
●連射機能搭載(3段階:約5・12・20回/秒)。
●スタートボタンの誤押しを防ぐ、スライド式ボタンカバー機能を搭載。
●ボタン配置切替機能搭載(START⇔BACK LSB、RSB⇔LB、RBボタン)
●ボイスチャット用ヘッドセット端子搭載(※旧形状のXbox 360 ヘッドセット(別売)ではご使用になれません。
<その他>
・本品はアナログスティック機能、右トリガー、左トリガーのアナログ機能および振動機能には対応しておりません。
・本品はワイヤレスコントローラーではありません。
・本製品にはXbox360本体、ゲームソフトは付属しておりません。
・日本マイクロソフト株式会社様ライセンス商品です。
・Microsoft、Kinect、Xbox、Xbox 360、Xbox LIVE、Xbox 関連ロゴは、米国 Microsoft Corporation および/またはその関連会社の商標です。