“笑顔”と“想い”を届けるために仙台の地へ

 声優・アーティストとして活躍する今井麻美の5thソロライブ“Precious Sounds”の仙台での追加公演が、2013年2月9日(土)仙台市内のCLUB JUNKBOXにて開催された。2011年3月11日に発生した震災後、自身が初めて作曲した(※作詞も担当している)チャリティーソング『いっしょ。』を配信するなど、今井が熱望した東北でのライブ。ファンも待ち望んだ同ライブは、会場を埋め尽くすファンが青いサイリュームで会場を彩り、スタートを切った。

 2012年12月22日に行われた東京公演から1ヵ月以上ぶりとなるソロライブ。追加公演を待ち侘びたファンも、そして今井自身も1曲目の『Limited Love』からスロットルは全開。会場はコールも完璧で今井も満面の笑みでノリノリになりながら同曲を歌う。続く『天空の炎~miragem~』では会場が一瞬にして赤く染まると、今井の切ない歌声が響き渡った。

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 MCでは、うれしさが爆発してテンションが高めになった声で「皆さんこんばんわー!」と会場に集まったファンに挨拶。「東北にお住まいの人ー?」、「私のライブ初参加の人ー?」という質問に非常にたくさんの手が挙がると、「わー! うれしい!!」とさらにテンションが上がっていく。そんな中、披露されるのは、ライブで恒例となったアコースティックコーナー。『COLOR SANCTUARY -BOSSA NOVA ver.-』では語りかけるように、流麗に歌声を紡ぐ今井。そこにバンドメンバーの演奏が加わり、今井の歌声を引き立てる。よりシンプルに直接的に今井の歌声を楽しむことができる空間となり、ファンもその歌声に聴き入る。続く『The Azure - Latin Acoustic Ver. -』では、今井が「船長!」と声を掛けると、バンドマスターでありベースを担当する“みゃあみゃあ”こと宮下智氏が口笛を吹き、演奏がスタート。東京公演ではうまくいかなかったが、今回は完璧に鳴り響かせると、会場もクラップで同曲を盛り上げる。一転して明るく楽しい歌声を響かせ、笑顔で会場を煽る今井は「みんなすごい!」と感激。さらに「船長、今回バッチリでしたね!」という今井のコメントに「みんな最高ー!」とみゃあみゃあもご満悦のようだった。

 続く楽曲に行く前に、“保”という言葉を2013年の目標に掲げながらも、新年早々に体調を崩してしまった今井は、新たに目標を決めたと発表。その内容は“座”。「どういう意味なのかは、みんながそれぞれに考えてください」と今井は語った。そしてつぎの楽曲『遠雷 -Piano Version-』へ。キーボード担当の“たまちゃん”こと、花岡環氏とふたりで作り上げるやさしい空間。ピアノの調べと今井の歌声が会場を包んでいくと、ファンもふたりによって紡がれる一音一音に聴き入っていた。歌い終えると手応えを感じたのか、「回を重ねるごとに遠雷が近くなってきますねー……おお? これはマズい。近くなるのは遠雷ではなく、心ー!」と、たまちゃんとの絆がより深まったことをアピールした。

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 そして今回のライブで初の試みとなったメドレーへ。今井自身が「今井さんを試すメドレー」と語るように、アップテンポな曲がつぎつぎに続いていくメドレーとなっており、会場のファンもまた1曲ごとにサイリュームの色を変えていくという、ファンも試されるメドレーだ。『Day by Day』では会場が青色に、『Strawberry~甘く切ない涙~』ではピンク、『フレーム越しの恋』では同じくピンクであるものの「きっしー(※マニピュレーターの岸本泰明氏)カモーン」と今井が呼び込むと、赤いメガネが投げられ今井が装着するというやりとりも。続く『Promised Land』でそのメガネを会場に投げ込むと、今度は会場が赤色に。『Faraway~最後の夢~』では赤、『雪原のカルマ~Snow Storm~』では白、『Kissing a dream』では青、『花の咲く場所』では赤、そして再びの『Day by Day』では青とオレンジと、一瞬で会場のサイリュームの色が変化する様は圧巻のひと言。すべての曲を歌い終えた今井は「ミンゴスつかれたぁ~」と言いながらも達成感に浸っていた。

 ここからは東京公演では原由実がゲスト出演し、歌を披露していたのだが「私の素敵なマイ・エンジェル由実さんは明日関東で大切なイベントがあるので(笑)」ということで「私のエンジェルの歌をお届けしたいと思います」と語り『想いの羽根 ~Angelic White~』を披露することになったのだが、なんと出とちりをしてしまい「間違えたー!」と恥ずかしながら歌も止め、演奏もストップ。「落ち着いて(笑)」というみゃあみゃあの声に自分を取り戻し、ステージ上でドラムを担当する“玄ちゃん”こと白川玄大氏とみゃあみゃあの3人で入りのタイミングを確認。「大丈夫。今日いちばんのがんばりを見せるよ(笑)」と語ると、2度目はバッチリと決め、その後は伸びやかな歌声で会場を魅了した。『シャングリラ』では赤いサイリュームに照らされながら妖艶な表情で同曲を歌い上げる今井。彼女がステージを去ると、ステージ上では“+A”バンドメンバーによるInstrumentalへ。バラード調の楽曲で魅了すると、続けて軽快な楽曲に移行。ギターを担当する“カズー”こと山口和也氏と“天ちゃん”こと中村天佑氏もそれぞれにギターソロで会場を煽る。

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 Instrumentalが終わると、『Precious Sound~風が残していった~』の衣装に着替えた今井が登場し、同曲を熱唱。すべての人への応援歌である『Precious Sound~風が残していった~』を力強く歌い上げると、今度は『Hasta La Vista』を激しく情熱的に歌う。「(『Hasta La Vista』の)発売直後は、この曲をライブで歌えるんだろうかという感じだったのですが、今日は踊りまくりで歌っております!」とライブを重ねるごとに自身もまた進化を遂げていることを実感している様子。また、2013年3月27日に発売予定の今井の10枚目のシングル『Dear Darling』には、『Hasta La Vista』の作曲を務めた椎名豪氏作曲による新曲『旅人』が収録されることに触れ、「もう本当に本当に好き!」と語りつつも「『Hasta La Vista』を越えるドSな曲です(笑)」と難度の高い楽曲に仕上がっていることも伝えた。

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 続いては、東北にはなかなか来られないということで「スペシャルなものを用意しました」という今井。用意されていたのは、オリジナルビデオアニメーション『コープスパーティー Tortured Souls -暴虐された魂の呪叫-』(以下、『コープスTS』)の主題歌『星屑のリング』。劇場で上映されることも決まっている同アニメ。「“ミンゴスはまぁまぁ好きだけど、ホラーはちょっと……”という方でも胸を打つような作品になっています」と今井はアピール。そんな『コープスTS』の主題歌を仙台で初披露するというのだ。「キタキタキター!」とテンションが上がる今井。「仙台には塔が建ってますもんね(※電波塔のこと)。じゃあ、ここに素敵なタワーを建てましょう。キマシタワーってね。って、そんな歌じゃないんですけれども(笑)」と饒舌な今井は、さっそく同曲を披露しようとするが、なんとここで今井の音楽プロデューサーである濱田智之氏を呼び込まなければいけないことに気づき、「忘れてた!! また忘れてた!!!!!」と動揺。ファンに「“ともたん!”と呼んでいただいて、ちょっと気分をよくしていただければ」とお願いしたり、濱田氏登場後はずっと頭を上げられないでいるなど、完全に恐縮しまくり。さらに、「みんな手伝って!」と言って会場のファンとともに「せーの、ごめんなさい」と濱田氏に謝るなど、奇妙な光景がくり広げられた。濱田氏の機嫌も取りなしたところで、『星屑のリング』と『Dear Darling』の2曲を披露。荘厳なイントロと抑えめなA・Bメロ、それを爆発させるかのように盛り上がるサビと、『シャングリラ』や『花の咲く場所』など、『コープスパーティー』を彩った楽曲の正統進化と言える楽曲に仕上がった『星屑のリング』。そして、一転してかわいらしく幼い歌声で歌詞の中の少女を演じるかのように歌い上げた『Dear Darling』。同曲では、ハート型のペンライトを用意して振っているファンの姿も見られた。なお、まったくベクトルの異なる2曲で会場を魅了した今井は、「私の曲、振り幅が広いね(笑)」とコメントしていた。

 さらに今井から「ここで素敵な報告がありますー。私のラジオの謎の司令官みよちゃんが、なんと先日、結婚しちゃいました!」と語ると会場中から「Fuuuuuuuuuuuuuuuu!」、「おめでとうー!」と祝福の声が上がる。さらに「しかも、美人の才女と! うらやましい!!」(今井)と続ける。そしてつぎに歌う楽曲『僕から君に』について、「私が勝手にふたりの恋愛を祝して、フィクションで書いた曲なんですねー。ご本人に聴いたら、なんと7~8割合ってるということです。ラジオにお祝いメールをいただいた方もいらっしゃったんですけれど、家宝にするって涙ぐみながら言ってました」と裏話を披露した。さらに「最後に“I LOVE YOU”とくり返すところがあるんですけれど、そこはみよちゃんを祝して歌ってください」と会場のファンに呼びかけ、同曲を歌い上げる。曲の最後にはファンも「I LOVE YOU」を大合唱し、あたたかくやさしい空気が会場を包み込んだ。

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 続いて披露されたのは『三日月色』。同曲について今井は、全曲紹介ムービーの中で「震災の直後に書いたんです」というコメントがあったことに触れ、そのコメントを見て「思いを馳せるとそういう意味もある」ということに気づいたとのこと。「“出会いも別れもある。ありがとう、大丈夫って言えるくらい、私強くなったんだ”って。わー、ホントだーって私はすごく感動したんですね」と、その当時を振り返る。そして、「私が音楽活動を始めて、仙台に来るのは3回目になります。1回目はラジオのイベントで来て、その直後、1ヵ月後に本当に大きな地震が起きて。直後はすごく鮮明に覚えていたし、現実だったんですけれど、時間の流れとともに、だんだん、東京に住んでいると不思議とおとぎ話のような、“そんなことがあったね”って教科書の出来事のようになっていくんじゃないかっていう、行ったり来たりになっているような時期だと思います。今日はとくに東北からいろんな方が駆けつけてくれて、中にはご自身が被害に遭われたという方もいらっしゃると思います。月並みにたいへんだったねっていうのは、自分は違うかなって思って、何かできないかなって思って、いろいろ活動させていただいたりしたんですけれど、それもなかなかたいした力にはなれなくて。なんとか仙台、もしくは東北地方のどこかでライブができれば、みんなの気持ちを忘れないよって伝えられるかなって思って。来るまでにけっこういろいろなハードルを、私と+Aのメンバーと、そしてプロデューサーの濱田さんとで乗り越えてまいりました」とコメント。「今年1年も音楽活動をがんばっていきたいと思っていますので、仙台と言わず、東北すべての県を回れるぐらい、ホントにホントにがんばりたいと思います。私の第3の故郷・岩手にもいきたいとおもいますし、福島にも行って、いま福島でがんばっている方といっしょに歌いたいと思いますし、目立たないかもしれないけど青森も大きな被害を受けていますし、日本海側は津波と地震はそんなに大きくなかったかもしれないですけど、絶対何かしらの影響があったかと思います。なので、私たち+Aはなんとかがんばって、経費節約しながらも! 衣装も自前でごめんね。もっとみんなの衣装も作れるぐらいにがんばるから、今年も! 演奏してください! お願いします!」と内に秘めた想いを語る。

 そこから、つぎの曲へというところで「涙をこぼさずに最後までいくのが今日の目標です! その最大の難関がこのあと控えています。この曲を笑顔で最後まで歌いきることが今回の目標でした」と決意を語り、『ガーベラ~今年の花』を歌う。曲に込められたメッセージを歌声に乗せ、会場のひとりひとりに届けとばかりに、しっかりと会場のファンを見据えて歌い上げる今井。最後の最後で感極まり、涙がこぼれる場面があったものの、彼女の想いがしっかりと届いたことは、その後会場中に鳴り響いた温かい拍手で証明された。

 「仙台では絶対笑顔で歌いたいと思っていたんですが、こういう風に想いが込もった歌を歌っていると、やっぱりあのときの情景を思い出すと思うんです。もちろんそれが辛い人もいると思うんですけれど、絶対自分たちの子孫のためになることだと思うので、私はこの歌を歌い続けていきたいと思っています。“悲しみをいまはやさしさに変え、希望という名の花を咲かせよう”というのは、いまの東北に絶対必要なことだと私は思っているし、私も微力ながらお手伝いしていきたいと思っているので、これからもともに歩んでいきましょう!」。そう語り、最後の曲『クレッシェンド』へ。曲の最後をファンと合唱すると、満面の笑顔を会場に向けてステージを後にする。すると、会場からはアンコールが。途中、「ミンゴス」コールに変化しながら、今井の再びの登場を待つ観衆。そして、バンドメンバーに続いて登場した今井は、さっそく『散花の祈り』を披露。“和ロック”というテーマをもとに制作された同曲を華麗に歌う今井と、アツいコールを入れて盛り上がる会場。その熱気は、続く『struggle』でさらに勢いを増し、今井も全力全開のパフォーマンスで応える。

 そして、最後の楽曲。「いろんな想いがあると思いますけど、みんなで“いっしょ。”に歌いたい! みんなでこの曲を分かち合いたい!」と今井が語ると、会場にはオレンジのサイリュームが輝き、満面の笑みを浮かべる今井と、満面の笑みで応える会場とが一体となって『いっしょ。』を大合唱。「これだけ集まっている人たちが、すごい笑顔なの! まだまだ日本は捨てたものじゃないね!」と喜びを爆発させた今井。同曲を歌い終えると、会場からは「ミンゴスありがとうー!」、「ありがとうー!」という声が今井に届けられる。そして、「今日は本当に本当に本当に本当に本当に本当にありがとうございました!!! また会おうねー!!」と伝え、会場の奥の奥まで見えるように全力で手を振る。「もうすぐ、ミンゴス(35歳)の年が終わるけど、大丈夫! 見てろよ!(36歳)」と決意を新たにした今井は「またねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」とファンに約束をし、ステージを後にした。

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 2013年2月15日(金)には大阪・UMEDA CLUB QUATTROにて追加公演が行われる。仙台で受け取ったものを、今度は大阪という地で今井がどのように魅せるのか。要注目だ。

■今井麻美 5thソロライブ“Precious Sounds”
SENDAI CLUB JUNKBOXセットリスト
01 Limited Love
02 天空の炎~miragem~
03 COLOR SANCTUARY -BOSSA NOVVA ver.-
04 The Azure - Latin Acoustic Ver. -
05 遠雷 -Piano Ballad ver.-
06 Precious Sound スペシャルメドレー
07 想いの羽根〜Angelic White〜
08 シャングリラ
09 Instrumental
10 Precious Sounds~風が残していった~
11 Hasta La Vista
12 星屑のリング
13 Dear Darling
14 僕から君に
15 三日月色
16 ガーベラ~今年の花
17 クレッシェンド
【アンコール】
En01 散花の祈り
En02 struggle
En03 いっしょ。

リハーサルの模様

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