岐阜で職人的に作られる日本一ソフトウェア工房の秘密

 2013年1月26日、岐阜県各務原市の“各務原市元気まつり”にて、日本一ソフトウェアのゲーム開発者による“日本一ソフトウェア 20周年記念講演”が開催された。日本一ソフトウェアは、岐阜県各務原市に本社を構え、2013年7月13日に設立20周年を迎える会社。ゲーム開発の秘話から、なぜ岐阜県各務原市で開発を続けるのかといったことまで、ふだんは語られない地元のイベントならではの講演会になっていた。

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▲日本一ソフトウェアの物販ブース。新作グッズのほか、発売されたばかりの『神様と運命革命のパラドクス』のPVなども上映していた。
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▲物販ブースのほか、日本一ソフトウェアのイラストレーターである堀愛里氏、三村勇貴(hakus)氏のイラスト展示を行なっていた。
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▲展示された堀愛里氏のイラスト。堀愛里氏は、『迷宮塔路レガシスタ』や『ビックリマン 漢熟覇王』などのイラストを担当しているイラストレーター。
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▲三村勇貴(hakus)氏のイラスト。三村勇貴氏は、日本一ソフトウェアの社員であると同時に、hakusの名義で月刊ビッグガンガンにて連載中の『伏 少女とケモノの烈花譚』の作画を担当している。

今回の講演では、以下の4名のメンバーが登壇。ゲームの開発工程を、順序立てて解説していた。

日本一ソフトウェア 代表取締役社長
新川宗平
マール王国の人形姫』シリーズ、『魔界戦記ディスガイア』シリーズ、『流行り神』シリーズ、『神様と運命革命のパラドクス』プロデューサー、シナリオライター

日本一ソフトウェア 取締役開発部長
簗瀬涼司
『流行り神』シリーズ、『インフィニットループ ~古城が見せた夢~』ディレクター、『特殊報道部』プロデューサー

日本一ソフトウェア 企画部ディレクション課
池田真一
ソウルクレイドル 世界を喰らう者』、『クラシックダンジョン』シリーズ、『迷宮塔路レガシスタ』ディレクター

日本一ソフトウェア 企画部ディレクション課
松田岳久
魔界戦記ディスガイア3 Return』、『ディスガイア D2(ディメンション2)』ディレクター

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▲写真右から、新川宗平氏、簗瀬涼司氏。
▲写真右から、池田真一氏、松田岳久氏。

ゲームができるまで その1“ゲーム企画、シナリオ、キャラクターデザイン”

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 最初に語られたのは、企画の立てかたと、シナリオ、キャラクターデザインについて。ゲームの企画について池田氏は、「ゲーム会社によって作りかたは大きく違うので、今回は日本一ソフトウェア流の作りかたを例にお話しします」と前置きしたうえで、まず「一般的なゲーム会社に多い、プランナーが日本一ソフトウェアにはいない」という仰天の内容から切り出した。では、日本一ソフトウェアでは誰が企画を立てるのかと言うと、「できる人がやる」(池田氏)とのこと。ディレクターがプランナーを兼任することがあるだけでなく、別の職種の人が”こんなゲームが作りたい”というアイデアを出して、それが承認されれば、メンバーを集めてチームになっていくのだという。池田氏も、もともとドット絵を描くデザイナーだったのが、プランナーの兼任を経て、現職のディレクターになったひとり。プランナーがいない理由については、「最初からいない会社だったので(苦笑)」(池田氏)と話しながらも、「いろいろなスタッフが役職や職種に縛られず、いいアイデアを出せば採用される、やりがいのある会社」と、評していた。

 “できる人がやる”という、日本一ソフトウェアのスタンスはシナリオでも同様で、社長の新川氏を始め、登壇している簗瀬氏、池田氏なども、過去作でシナリオを担当している。それが、近年では社内にシナリオを書く専門の部署ができたということで、これまで自前でシナリオを書きつつ、一部でプロの手を借りていたところが、自社の部署で担当できることになったようだ。そして、『ディスガイア』シリーズや、『神様と運命革命のパラドクス』などのシナリオを歴任してきた新川氏は、ゲームのシナリオについて、こう語る。「ゲームのシナリオは、小説と違う特殊なもので、戦闘を挿入する量や選択肢を用意する場面などのバランスを考えないといけない。ゲームがわかっていることが前提で、たとえプロの作家にお願いしてもうまくいくとは限らないものです。ただ、これまでは社内の誰かが書くという流れになっていましたが、昨年からシナリオ課という部署を作りましたので、これからさらにクオリティーの高いものを作っていけるようにがんばっていますので、ご期待ください」(新川氏)。

 その1で語られた最後の項目が、キャラクターデザイン。日本一ソフトウェアでは、キャラクターデザインでは2通りの手順があるという。池田氏いわく、「こういうキャラクターで、衣装やモーションはこういうものですという設定を開発者が作るものと、設定を含めて原田たけひとさんなどのイラストレーターにお願いするものの、2パターンあります。『ファントム・キングダム』は、原田たけひとさんがイチからデザインしているんですが、今後発売される『魔女と百騎兵』の場合は、主人公の百騎兵についてはもともと社内でデザインしていたものがあり、それを原田たけひとさんに仕上げてもらっているんです。最終的に、皆さんの目に触れる形はイラストレーターさんのイラストに仕上がっているんですが、その前段階はいろいろなパターンがあるんですね」とのことだ。

 ここまでを読んでいただければわかるとおり、日本一ソフトウェアの開発体制は他社と比べると独特のものが多い。その状況について、簗瀬氏はこう語る。「うちは、社内の少ないメンバーをやりくりしていくという構成だったので、それが独特の文化、風土を生んだのかなと思っています。さらに、会社のある場所が、岐阜の各務原ということで、東京や関西とは違う、独自の進化を遂げたのかもしれません」(簗瀬氏)。

ゲームができるまで その2“プログラム、デザイン、サウンド”

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 続いて、ゲームを動かす要となるプログラム、そしてデザインと音楽について。ここは、簗瀬氏が全体を取りまとめて語った。スライドでは、プログラム、デザイン、音楽と順序立てて書かれているが、実際には前述のゲームのプランニングを含めて、それぞれのチームが並行して進めていくという。プログラマー出身の簗瀬氏は、プログラムのチームについて、「ゲームの規模、そして、どういう動きをさせるのか、どういうものを表示させるのか、どういった音を鳴らすのかによって、プログラマーはひとりだったり、10人だったりと、必要な人数が大きく変わる」と説明。また、デザインについては、ゲームの世界観、統一イメージを形成するイメージボードのほか、2D、3Dを始め、いろいろなアニメーションなど、実際のゲームに使われる各種データなどがあり、「デザイナーというひとことではくくれない、特殊な職種」(簗瀬氏)とのこと。なお、音楽は、作曲家に作曲をお願いするだけでなく、声優によるボイス、効果音など、ほかの部分よりも多数の人が関わるパートであり、日本一ソフトウェアでは社内で制作することもあるが、「『ディスガイア』シリーズなどは、音楽で世界観、雰囲気を作っていただける、佐藤天平さんにお願いしています」(簗瀬氏)と、タイトルごとにどの作曲家に依頼するかを吟味しているという。

ゲームができるまで その3“演出、ムービー(OPアニメ)、テストプレイ・デバッグ”

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 ゲーム開発の流れとしては、最終パートにあたるこの部分は、松田氏の説明で進行。演出と言っても、ゲームの場合、イベントシーンの演出から、必殺技の効果まで、さまざまな部分に演出が必要になる。たとえば、イベントのデモシーンの場合は、シーンごとに音楽やSE、キャラクターのアニメーションなどをつけて演出をつけていくが、「演出は専門の担当者が考えることもあれば、シナリオライターからの指示を読んで、それを膨らませることもある」(松田氏)。また、必殺技の演出などには、キャラクターをどのように動かすのかを、コンテというアニメーションなどでも使われる設計図を用意するという。ちなみに、どちらも演出を組み込むには、スクリプトという簡易プログラムを使って行っていくとのこと。

 なお、日本一ソフトウェアでは、ムービー(オープニングアニメ)の社内制作は行なっておらず、社外の協力会社に依頼する。ムービーの中でも、オープニングなどにはBGMが必須のため、まずは歌を作ることが前提。そのほかのムービーシーンでも、音楽、背景、キャラクターといった各種素材を協力会社に渡して、それからアニメを作る流れになるとのこと。日本一ソフトウェア側は、それらの素材の準備のほか、できあがったアニメの監修などを行い、完成までのクオリティーアップを詰めていく役目を担う。

 そして、開発終盤に必要になるのがテストプレイ&デバッグ。とくにテストプレイは、ゲームならではのもの。デバッグで不具合を探るのはさまざまなソフトウェアで必要なる工程だが、「そもそもゲームがおもしろいのか、操作性はどうなのかと、試しながら改良を加えていくのは、ほかのソフトウェアではあまり見ないもの」(松田氏)だ。

 ちなみに、日本一ソフトウェアが1本のタイトルにかける開発期間について、「ジャンルによって異なりますが、パズルゲームなどのお手軽なものは半年くらいでできる場合もありますし、『ディスガイア』やRPGなどの規模が大きいものは1年くらいかかります。でも、業界でこの話をすると、めちゃくちゃ早いと言われます(笑)。ほかの会社はRPGで1~2年かけますからね」(新川氏)と、およそ1年間隔で新作を開発するという、ゲーム業界ではかなりのペースであることを明かした。その理由について新川氏は、「早く作って出さないとお金がもたないんです(笑)」と茶化しつつも、「早く作りつつ、いいものになるようにがんばっていくのが大事。長い期間をかけて作っていると、お客さんの求めるものやプレイ環境が変わってしまうこともありますので、短期間のほうがいいと思っています」と、スピード感の重要性を説いていた。

ゲームの各職業について

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▲司会を務めたのは、日本一ソフトウェアの営業担当である猿橋氏。

 ゲームの開発工程に続いて、プロデューサーやディレクター、デザイナーといったゲーム開発職の各職業について説明が行なわれた。名前は知っていても、その実態を知らない人は多いだろう。同じ肩書きでも各社によって仕事内容が違うこともあるが、ゲーム業界に興味を持っている人は、ぜひ参考にしてほしい内容となっていた。

・プロデューサーについて
新川 プロデューサーは、名前だけではわかりづらいですし、ただの怪しい人にしか見えないと思うんですが……、だいだい当たっています(笑)。弊社の場合は、プロジェクト全体を見る人であり、開発面だけでなく、販売や営業などを俯瞰して見る立場です。タイトルごとの予算、ゲームのイメージ、クオリティーなどをコントロールするために、プロジェクトを見張るという役目もあります。とはいえ、会社だけでなく、人によって違うものでもあって、私の場合は開発と販売を俯瞰して見ながら、シナリオを書いたりするという、なかなか珍しいタイプですね。でも、プロデューサーは、いろいろなタイプの人がいたほうがおもしろいと思います。

・デザイナーについて
池田 いまは、私はディレクターをしていますが、もともとは2Dのドット絵を担当していました。2Dのドットが得意な人がいるように、キャラクターを描くのが得意なデザイナー、背景を描くのが得意なデザイナー、3Dが得意なデザイナーというように専門性が分かれていまして、背景はうまいけど、キャラクターを描かせると、「えっ!?」と言いたくなるデキになってしまう人がいたりと、同じデザイナーと言えども、何でもできると思ってはいけない職業だと思います。(「では、いろいろと手を出さす、道を極めたほうがいい?」という司会の問いに)原田たけひとさんのような天才肌の人は、キャラクターを描いてもポリゴンを作ってもうまいんですが、ほかの人は専門性を持たないと、他社さんの努力をしているクリエイターさんに負けてしまうので、道を極めたほうがいいかなと思います。

・ディレクターについて
池田 ディレクターは何をするのかと言うと、ゲームを完成させるのが仕事です。あらゆる手段を使って完成させる。叱咤激励もするし、人出が足りなければほかから連れてくるし、ディレクターが自分でシナリオを書いたりもする。15年くらい業界にいますが、ゲームって本当に完成しないんですよ。皆様のお手元に届く前に、いくつものゲームが消えていて。それにはいくつもの要因があるんですが、だからこそゲームを完成させるのが、ディレクターの仕事になります。

・テストプレイヤーについて
簗瀬 開発終盤のほぼゲームができている状態で、商品に問題がないかどうか、客観的にどういう企画、仕様で作られているのかを、テストプレイして調べてもらう職業です。実際にプレイしてもらって、敵が強すぎて進めない、といったゲームバランスへの意見をもらったりします。じつはテストプレイとデバッグは大きく違いまして。デバッグは不具合を洗い出していく職業で、途中で止まったり、見えてはいけない背景の裏側などを見つけるといったものを報告することがメインになります。ただ、どちらも多くの人数が必要になりますので、社内だけでなく、社外の協力会社やアルバイトの人にお願いすることが多いです。

開発者への質問

ここからは、当日集まったお客さんからのさまざまな質問について、4人が答えていくというコーナーに。ここは、一部を抜粋してお届けする。

・ゲーム開発でいちばん重要だと思うこと
新川 ゲームはお金をもらって遊んでいただくもので、おもしろくてナンボだと思っていますので、まずおもしろいことがいちばん重要です。あとは、先ほどの話しにもありましたが、ちゃんと世に出すということです。ゲームを完成させて世に出すということは、けっこう難しいことなので、ちゃんと発売して皆さんに評価をしていただく。そして、お客様の声を反映して、さらにいいものを作っていく。この流れが重要ですね。
簗瀬 いちばんは新川が言ったことだと思うんですが、同じ事を言ってもつまらないので(笑)。最近私が思っていることは、ブレないこと。企画で考えていたことが、1年かけてゲームを作っていると、いつの間にか違うものになっていたりするんですね。完成間際になって企画書を見直すと、「あれ? 違う」ってこともよくあるので、しっかりした判断基準を持つことが大事です。でも、仕様を変更することも必要です。それは、ブレるということではなく、お客様に遊んでいただく商品を出すにはクオリティーが重要ですので、ああでもないこうでもないと修正して出すことも大事だと思います。
池田 いちばんは、新川と簗瀬が言ったこと。お客様に喜んでもらえたゲームは、開発が楽しかったものが多いんです。とくに開発が早く終わると、さらにクオリティーアップできるという喜びを多く味わえる期間が長く取れるので、2番目には楽しく作れることを大事にしています。
松田 スタッフがこだわって作るのが大事かなと。クオリティーアップという部分は、スタッフのやる気しだいで変わってくるので、どれだけこだわりが詰め込めるのかが重要になります。ただ、あまりにこだわりすぎると完成しなくなってしまうので、開発期間のギリギリまでこだわりを入れられるか。そのバランスが重要です。

・もっともたいへんなとき、やりがいを感じるとき
松田 ブレるということはよくあるので、ブレながらもどこか落としどころを見つけないといけないのが、たいへんです。周囲の意見を聞いても好き勝手を言ってくるので(笑)、どう落ち着けるかが悩ましいところですね。
池田 やりがいという点では、ゼロからゲームを作ってお客様に届けて、反応をいただけること。そしてお客様の反応、ご意見を反映して、つぎを出すということはやりがいを感じます。たいへんな部分は……、たいへんなことだらけです(苦笑)。
簗瀬 すべて人の手で作っているので、人間関係がとってもたいへんだなと(苦笑)。たとえば、ディレクターの上にプロデューサーの新川がいるわけですが、ディレクターの下にシナリオライターとしての新川がいたりするわけです。それで、ディレクターが、新川に「シナリオの進行どうですか?」と聞くと、「すまん」と。その“すまん”は、どっちの肩書きで言っていますか? と(笑)。プロデューサーの立場ならしょうがないんですが、シナリオライターの立場なら怒らなきゃいけない。それは、私ではなく別のディレクターだったんですが、「どうしたらいいですか?」と相談されたことがあります(笑)。やりがいという点では、以前、サウンドのステレオとモノラルを切り換えるプログラムを作ったんですが、1名だけアンケートはがきで「うちのテレビ、モノラルなんです。おかげで、サウンドがキレイに聞こえました」と書いてくださった方がいて。それが、とってもうれしくて。社内で「俺の仕事、喜ばれたよ!」と自慢しました(笑)。ですので、ぜひ皆さんアンケートはがきを出していただければ。そして、とくにどの部分が……と細かい部分を教えてくださると、スタッフの一部がものすごく喜んだりします(笑)。
新川 つねにたいへんなんですよね。おもしろさというのは曖昧で、しかも一発でおもしろいものができるわけではないので、試行錯誤しながら作らなくてはいけない。そんなたいへんさが10個も20個も重なってくるとヘコむんですけど……(苦笑)。では、なぜそんな辛いことをやっているのかというと、やはりいいものができたときに、皆さんに喜んでいただけるからですね。

・日本一ソフトウェアは、なぜ岐阜にあるの?
新川 もともと岐阜に会社を立ち上げたのは、ある会社から独立したスタッフだったんです。愛知県から独立したんですが、いちばん安いところはどこだろうということで、岐阜の各務原に会社を構えたようです。そのときは、IT関連も発達してきたこともあって、東京ではなくても、お客さんとの連絡もできるのではないかと。また、ものづくりの会社なので、落ち着いたところで腰を据えて作ったほうがいいということで、いまもなおこの各務原市でやっているんですね。少なくとも開発の拠点としては、これからも本社をここに置いていく予定です。

 こうして、1時間の講演は時間を迎え、最後に4人からのメッセージが送られた。

松田 いま『ディスガイア D2』を制作中で、もう少しで完成ということで、がんばっています。この後、出演していただく三森すずこさんに、じつは歌を歌っていただいておりますので、楽しみにしてください。
池田 先日、『神様と運命革命のパラドクス』も発売しまして、ご好評いただいております。ここまで来て、こんなマニアックな講演を聴いてくださる皆様に感謝しています。ぜひ今後とも弊社の応援をお願いします。
簗瀬 アンケートはがきでも、メールでも、直接でも、日本一ソフトウェアに「こういう会社になってほしい」とか「こういう商品がほしい」とかいった、ご意見をお待ちしています。すべてを叶えることはできませんが、もっと皆さんに喜んでいただけるようにがんばりますので。とくにアンケートはがきは、スタッフが喜びますので、よろしくお願いします。
新川 2013年7月12日で設立20周年を迎えるんですが、今日来てくださった皆様を始め、熱心なお客様に支えられて、ここまでこれたのだと思います。20周年記念タイトルと20周年記念イベントを今後も続けていきたいと思いますので、楽しみにしてください。そして、25周年、30周年と迎えられるようにがんばっていきたいと思います。最後に、先日『神様と運命革命のパラドクス』が発売されましたので、こちらも応援をお願いします。

 『ディスガイア』シリーズで知られ、近年では数々のオリジナルタイトルに挑戦している日本一ソフトウェア。岐阜県各務原市という、ゲーム会社では非常に珍しい場所でゲーム開発を続ける同社らしい、ほかにはない稀有な講演会に多くの来場者から拍手が送られ、講演会は幕を閉じた。

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