カプコンの原点を知ってもらいたい
2013年に創業30周年を迎えるカプコン。これを記念するタイトルとして、プレイステーション3、Xbox 360ダウンロード専用ソフト『カプコン アーケードキャビネット -レトロゲームコレクション-』が発表された。カプコン初期のアーケード作品を収録しているという本作について、片岡謙治プロデューサーに聞いた。
※この記事は、週刊ファミ通2013年1月24日号(2013年1月10日発売)に掲載されたものです。
カプコン プロデューサー
片岡謙治氏
Kataoka Kenji
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(アーケード版)シリーズや『MARVEL VS. CAPCOM 』シリーズ、『重鉄騎』などに携わる。『カプコン アーケードキャビネット』ではプロデューサーを務めている。
■アーケード初期作を完全再現! さらに役立つ機能を多数追加
――最初に、『カプコン アーケードキャビネット』を30周年記念タイトルとして開発することになったきっかけを教えてください。
片岡謙治氏(以下、片岡) 以前から、「昔のアーケードゲームを復活させてください」という声を、多くのユーザーの皆さんからいただいていたんです。我々も、そのご希望にお応えしたいとずっと考えていましたので、この30周年という記念すべきタイミングで、皆さんへのお礼として、本作を開発することを決めました。
――初期のアーケードゲームが再現されるとのことですが、具体的にはどのタイトルが登場するのですか?
片岡 タイトル名も含めて、詳細はまだ言えませんが、初期作品の中でも、本当に初めのころに出たタイトルを選びました。登場キャラクターのシルエット(下)を見ていただければ、古くからのカプコンファンの方ならピンとくるのではないかと思います。
――これらの初期のアーケードゲームが、そのままの形で再現されるのですか?
片岡 はい、完全再現されています。過去のアーケードゲームは、ファミコンなどに移植されるケースは多々ありましたが、その場合、内容がぜんぜん違うものになっていたりしましたよね。本作では、そんなことはありません。バグであっても、当時のプレイと同じ感覚を味わっていただくために必要と思われるものは、残してあります。
――それは徹底されていますね! では、新たに追加される要素はあるのでしょうか?
片岡 もちろんあります。昔のゲームは、全体的に難度が高いので、「これではクリアーできない」と思われる方も多いと思います。そんな皆さんの助けになるよう、いくつかのモードをご用意しています。
――古くからのファンの中には、「変えてほしくない」と考えているファンもいるのではないかと思いますが……。
片岡 そう思われる方のために、追加した機能については、ひとつひとつオン・オフが可能な仕様にしています。カジュアルなプレイヤーの皆さんには、これらの機能を存分に使っていただき、腕に自信があるプレイヤーの皆さんには、昔のままのプレイを楽しんでいただきたいですね。もちろん、スコアランキングもオンラインに対応していますので、ぜひ自分の腕を試してみてください。
――追加機能について、具体的にどのようなものがあるのか、教えていただけませんか?
片岡 この点についても詳細は言えませんが、たとえば攻撃の威力や、当たり判定などを調整できます。トレーニングができたり、連射やアーケードスティック操作に対応しているのもポイントですね。僕は、これらの機能を使うことで、ほぼすべてのタイトルについてエンディングを見ることができました。かつて「クリアーできなかった!」という悔しい思いをされた方は、ぜひこの新機能を試してみてください。
■まずは無料の体験版を遊んで、気になるタイトルをダウンロード
――本作はダウンロード専用タイトルだとうかがいましたが、販売形式について、詳細を教えていただけますか?
片岡 最初に、ひとつのタイトルを最後までプレイできる、スターターパックのようなものを無料で配信します。まずはこの体験版をプレイしてもらい、『カプコン アーケードキャビネット』を気に入っていただけた場合は、ほかのタイトルもぜひ購入してコレクションしてください、というスタイルです。
――体験版に収録されるのは、シルエットの中で、唯一キャラクターが見えているタイトルですよね。このタイトルがまるまるプレイできるとは、太っ腹です。
片岡 本当に、昔からのファンの方も、新規のファンの方も楽しめる要素がたくさん盛り込まれています。ですので、まずは1タイトルを通して遊んでもらい、そのよさを実際に手に取って感じてもらいたいと考えました。
――そのほかのタイトルは、個別に有料配信されるのでしょうか。
片岡 形式については検討中ですが、数本をパックにする予定もあります。驚くほどお求めやすい価格でご提供しますよ。
――配信時期はいつごろになりますか?
片岡 体験版は、あまりお待たせすることなく、配信できると思います。そのほかのタイトルは、長く楽しんでいただけるよう、配信時期を調整中です。
――自分でタイトルを選んで購入できるというのは、まるで自分好みのゲームセンターを作れるような感覚ですね。
片岡 その通りです。タイトルに入っている"キャビネット"は、英語で"筐体"を意味する言葉なのですが、私たちは、「昔ゲーセンで遊んだ、あの感覚をどうぞ!」という気持ちで作っています。カプコンの原点であるアーケードゲームの楽しさを、ぜひ皆さんに知ってもらいたいんです。
――家庭用ゲームの中には、アーケードゲームが下地になっているものも多いですしね。
片岡 はい。「このシステムは、もしかしてあのゲームにつながっているのかな?」と想像しながらプレイするのも、また楽しいと思いますよ。本作の詳細については、2月7日に公開する予定ですので、ぜひ楽しみにしていてください。よろしくお願いします。