黒の騎士となり、不思議な世界で戦い抜け!
2013年1月10日より、PlayStation StoreならびにXbox LIVE アーケードにて『BLACK KNIGHT SWORD(ブラック・ナイト・ソード)』が配信された。開発を手がけるのは、鬼才・須田剛一氏が率いるグラスホッパー・マニファクチュアだ。
本作のジャンルは2D風の横スクロールアクション。“ブラックナイト”を操り、剣の精“ブラックヘレボルス”と力を合わせて戦いに挑むのだ。なお今回のインプレッションでは、Xbox 360版を使用している。
個性的すぎる世界観にノックダウン!
前情報をほとんど仕入れていなかった筆者は、「まぁ、よくある横スクロールアクションかなー」なんて思いながらプレイ開始。だが開始数分でその予想は裏切られることになる。ある意味、グラスホッパーらしさが全開なのだが、世界観がキテレツすぎるのだ!
画面を見てまず目を引くのが、左右に幕が描かれたレイアウト。ゲーム中の木や建物といった背景は色鉛筆で描いたような手書き風イラストで、演劇や紙芝居をモチーフとした世界であることが読み取れる。これは格好よく、世界観の構築にひと役買っている。
特筆すべきは、個性的すぎるデザインのキャラクターだ。禿げた老人の顔に足が直接生えた変な生き物“ウォーキングヘッド”、頭がふたつあって石を投げてくる小太りの親父“ピッチャー”、目玉に手のような羽が生えた“スズ目”など、いずれも狂気あふれる外観。そして敵を倒したときに出現するゲーム内通貨のアイテムが、なぜか心臓。さらにショップの主は、目玉がひとつに唇が6つという恐ろしい外見。……かと思いきや、アイテムが入っている箱は電子レンジというミスマッチ具合。ここまでブッ飛んだ世界観の作品は筆者の記憶にはあまり存在せず、一気に魅了されてしまった。
また、こんな奇妙な世界にもかかわらず、ゲーム序盤では説明が抑えられているのもポイント。不可思議な世界にいきなり放り込まれ、ナレーションを担当した本田博太郎氏の超シブすぎる声で「風にふかれて ニガヨモギ」と言われた日には、頭の上に“?”が3つほど浮かぶってものだ。物語の全貌が気になり、ついつい先へと進みたくなる。
システムは純粋なアクション……だけではなかった!
奇抜な世界観とは裏腹に、ゲームシステムはオーソドックス。主人公が行えるアクションは、2段ジャンプ、しゃがみ、回避といった定番のものが多く、ゲーマーならばすぐに主人公を思いどおりに操れるのはうれしい。
特徴的なのは、剣の精“ブラックヘレボルス”を飛ばすアクションだ。飛距離はボタンの溜め時間で変化し、ステージ中にあるスイッチにぶつけると、オン/オフを切り替えることができる。また敵に当てて攻撃したり、遠くのアイテムを回収させる、といった活用方法もある。
なお“ブラックヘレボルス”は、通常時は主人公の剣となっているため、飛ばしているときは剣による攻撃が行えないことに注意。2段ジャンプもできなくなる。
また、ゲームを進めるごとに使用できるアクションが増えていく。チャージアタック(溜め攻撃)や風車蹴り(上方への跳び蹴り)などが解禁され、バトルはどんどんダイナミックになっていくのだ。
本作は純粋なアクションゲームかと思いきや、いきなりシューティングのステージが始まったのも驚いた。世界観だけではなく、さまざまなスタイルでユーザーの予想を上回ってくるため、「つぎは何が待ち受けているのだ!?」とワクワクしながらプレイできた。
ゲームオーバーにはなりたくない!
ショップでは、心臓を消費して体力を回復させたり、残機を増やせるほか、体力最大値の増加、“ブラックヘレボルス”の威力アップといった、パワーアップも行える。
なお、セーブおよびコンティニュー時の仕様はちょっと特殊。ステージの途中にチェックポイントが存在し、主人公が倒された場合はチェックポイントからのリスタートとなる。ここまではよくあるシステムが、残機がなくなってゲームオーバーとなってしまった場合、ステージの最初から初期状態でやり直しとなる。集めた心臓はすべてなくなり、パワーアップも消えてしまう。そのため、ステージが進むにつれてゲームオーバー時のペナルティが増大するのだ。
またオートセーブは存在せず、セーブはメニュー画面から手動で行う。その際、直前のチェックポイントの状態が記録されるという仕組み。
この、ゲームオーバー時のリセット仕様に加え、体力回復の手段が少ないことから、本作はかなり難しいゲームに仕上がっている。筆者は難易度“普通”で遊んでいたが、ステージ1こそ詰まることがなくクリアーしたものの、ステージ2でしばらく足止めを食らってしまったほどだ。
結果、とにかくゲームオーバーを避けたい(=パワーアップを失いたくない)ため、何度もやり直して倒されないようにチェックポイントまで進められた場合にセーブし、倒されたらメニュー画面に戻ってセーブ地点からリスタート、というサイクルでなんとか進められるようになった。個々のギミック自体は、そこまで鬼の難度というわけではないが、このリトライの仕様のため、結果的にはかなりの難しさに仕上がっているように感じた。
ゲーマーへの挑戦状!? さらに難しいモードも
本作にはメインモード以外にも、いくつかのゲームモードが存在する。ゲームを進めると解禁される“アーケードモード”は、難度がとんでもなく上昇したモードだ。敵の数が大幅に増え、さらに制限時間が設定されており、ショップでのアイテムの価格も上がっている。
“チャレンジモード”は、さまざまなアクションを駆使してゴールを目指す、ステージクリアータイプのモード。こちらも難度が高く、たとえば最初に挑むであろうミッション1から、敵を下付きで攻撃したときのわずかなジャンプを利用して、下に落ちないように長い距離を渡っていく、という難しいアクションが要求される。こちらも本編以上に歯ごたえバツグンなので、腕に自身があるゲーマーはチャレンジしていただきたい。
アクション好きならぜひともプレイ!
世界観は奇抜だが、コアとなるシステムはしっかり作り込まれており、純粋に2D風のアクションとしてもバッチリ楽しめる本作。ただし難度は高いため、「最近のゲームは歯ごたえがなさ過ぎて……」とお嘆きのヘビーゲーマーは、十二分に満足できるだろう。トライ&エラーで少しずつ突破していく達成感を思う存分に楽しめるはずだ。
逆に、「世界観は気に入ったがあまり難しいのも……」という人も心配無用。メインモードには難易度選択があり、“かんたん”も選択できるため、それなりの難度で本編を楽しむことが可能だ。お値段も1000円/800MSPと比較的安めなので、何かしらビビッと来た人は、恐れずに本作の不思議な世界へ足を踏み入れてみてほしい。
■著者紹介:喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。2013年も、本作みたいにガンガンに尖ったゲームをビシバシ紹介していきたい所存であります!
BLACK KNIGHT SWORD
メーカー | グラスホッパー・マニファクチュア(PSN)/D3 Publisher of America(XBLA) |
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対応機種 | PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360 |
発売日 | 2013年1月10日PlayStation Store、Xbox LIVE アーケードで配信 |
価格 | 1000円[税込](PSN)/800マイクロソフトポイント(XBLA) |
ジャンル | ファンタジーアクション |